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November 21, 2005
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カテゴリ: わけ分からん

 このところ連日のように新聞を賑わせている「欠陥マンション事件」のキーマン・姉歯氏。しかし、この人も変わった人ですなぁ。

 名前も変わっているけど、何よりマスコミへの応対が変わっている。

 とにかく、謙虚。「私に責任があると思っています」「申し訳ないと思っています」「ほんと、済みませんでした」と、あっさりと自分の責任を認めてしまうばかりでなく、その言い方に実感がこもっているというのか、とても誠実な感じがするんですよね。「言わされている」のではなく、「本心から言っている」感じがヒシヒシ・・・。罪を糾弾しに行っているはずのマスコミも、姉歯氏の応対ぶりに拍子抜けして、糾弾ぶりがなよなよだったもんなー。

 一方、いい加減な建築基準審査をして、欠陥マンションにゴーサインを出した某社トップの見苦しいこと。「手続き上は問題ない」などと太いことを言ってましたけど、そんな見苦しい言い抜けをしようとするもんだから、今やマスコミの矛先は、姉歯氏が下げた頭の上を通り越して、監督責任者の責任を問う、という方向に行っちゃってますもんね。

 その辺のことを見ても、あの姉歯氏の「責任感ある究極の無責任男」ぶり、あれは近来でも稀な「新手の手法」ですな。

 しかし、彼がやったこと自体は、確かに「どうやって償えばいいのか分からない」類のもんですよね。既に入居済みの欠陥新築マンション、それも1棟や2棟ではないものを、これからどうするんでしょうか?  全部壊して立て直すのでしょうか? その膨大な費用は誰が出すのでしょうか? 

 ま、もちろんそういうこともそうなんですけど、私がここで問題にしたいのは、誰が考えたって「まずい」と分かりそうなことを、どうして姉歯氏はしたのか、ということです。だって、この設計でマンション建てたら、ちょっとの地震でも倒壊してしまって、すごい惨事になるだろう、ということくらい、別に頭のいい建築家でなくたって分かりそうなものでしょ?  にもかかわらず、それをやってしまう精神状態って、一体何なのだろう、と思うのです。

 今、自分がこうしたら、こういうふうになる。そしてそれがそうなったら、こういうことが起きる。で、もしそれが起こったら、大変なことになる。・・・こういう一連の「物語」が頭の中で作れない、ということなんでしょうか?

 いや、なぜ私がこんなことを持ち出しているかと言いますと、学生の卒論指導をしていると、これと同じことを痛感させられるからです。彼らの多くは、「物語」が作れない。



 だから、論文を書くとなったら、自分なりに仮説(仮の物語)を考え、それを立証するような証拠を集めることで、「物語」を作らなければならないんですが、今の学生はそれが出来ない。何かを調べろ、と私が命じれば、それを調べることはできるのですが、そうやって集めた事実を繋げていって、自分の想像力で一つの物語にまとめ上げることができない。

 そういう「物語」を作れない学生と日々接していると、姉歯氏の「究極の無責任ぶり」に一脈通じるところがあるんじゃないかなー、という気がしてくるんです。自分がやったことが結果としてまずかったことはよく分かる。つまり善悪の判断がつかないわけではない。しかし、それをやっている時には、「これをやったら、こういうことが起きるだろう」という物語が組み立てられないので、ついふらふらとやってしまう。・・・・こういう姉歯氏の不可解な行動の後追いをしそうな人たち、つまり「物語」を作れない人たちは、私が教えている若い連中の中にもいっぱいいるんです。

 これは恐ろしいことだと思いますよ。でもこの調子では、今後、姉歯氏の犯したような罪を犯す人は、増える一方なのではないでしょうか。

 いや、今、新聞を賑わせている事件の大半は、既に、「物語」の作れない人たちの犯罪なのかも知れません。話題の「タリウム少女」だって、「タリウムをこれくらい飲ませたら、お母さん、どうなるかなー」という物語は作れても、その悪行が発覚した場合、自分はどうなるのか、母親との関係はどうなるのか、周囲の人間との関係はどうなるのか、という物語については、まるで作れなかったのでしょうから・・・。

 となれば、こういう無責任男(女)、罪の意識のない罪人の出現に、我々はもっと恐れおののくべきではないのか。そして一刻も早く、何らかの対応策を考えないとまずいのではないか。

 さもないと、マンションだけでなく、既にいい加減ガタがきている日本の安全神話も、そのうちガラガラと音を立てて崩壊するんじゃないかと、私なんぞは思っているのですが、皆様のお考えや如何に?





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Last updated  November 21, 2005 02:31:05 PM
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はいわたしはこう考えます  
謙虚な無責任男に代表される無邪気な罪人は、あなたもわたしもポッキー!
すなわち、ストーリーができない、あるいはイメージがわかないのではなく、「たぶん」みつからないだろう、とか発覚しないだろう、と考えていたから実行したのです。欠陥マンションがなぜバレたのか知りませんが、地震が起こったわけではないでしょう。たとえが卑俗で恐縮ですが、田代まさしのわいせつ行為や裁判官の万引きだって、他人には知られないという根拠のない確信があったこそ、やっているのです。そして日の目をみない犯罪や事件は氷山の水面下くらいたくさんあることでしょう。そしてたまに水の上に顔を出すことがあるものが、報道され評判になるのではないでしょうか。つまりは、無邪気さの裏には「たまたまバレたのは運がわるかった」「反省しているふりをしておこう」という諦念があるわけです。すなわち、大事件の発生までにはちいさな悪事がるいるいと積み重なっておるのです。罪と罰のラスコリーニョフは、そこらへんをどう考えていたのでしょうか? (November 21, 2005 06:20:23 PM)

うちは大丈夫か?  
釈迦楽  さん
Mike23さん
氷山の一角・・・となると、我がマンションは大丈夫か?!

ダム建設なんかの現場を知る人に言わせると、ダムのコンクリの中には、けっこう沢山の○体が埋まっているそうですけど、闇から闇へらしいです。我々が知らないだけど、実際にはそういうもんなんでしょうかね? (November 21, 2005 10:04:22 PM)

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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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