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April 2, 2017
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カテゴリ: 教授の読書日記
予期に反して「ハロウィーン」なるものがここ数年、我が国にいきなり定着してしまったのに比べ、その他の西洋由来の行事って、なかなか定着しないですな。4月と言えばイースターで、どこぞのテーマパークあたりがイースター・エッグがどうのこうのと言って焚き付けようとはしているものの、国民一般は一向に反応する気配なし。

 あと、エイプリル・フールも定着しないねえ。ま、これはハロウィーンの仮装とは違って、かなり高度なユーモアのセンスが問われるだけに、難しいのかな。

 そういえば私が中学生の頃だったか、4月1日に庭で愛用の自転車の整備をしていたら、母から「電話よ」と呼び出され。慌てて家に戻り、油まみれの手を洗い、電話口に出た途端、「ラーメン一丁、大至急!」と言われ、ガチャンと切られたことがあった。電話の声は女の子、しかも切る寸前に後ろで爆笑する数人の女の子たちの声が聞こえたので、多分、クラスメートの女の子の何人かが、エイプリル・フールのいたずら電話をしてやろうと衆議一決、私がその標的になったのでございましょう。自転車整備中に呼び出された私もいい面の皮ですが、思春期の女の子たちのそのレベルの低いユーモアは、その日の春の陽気の心地よさもあいまって、必ずしも不快ではない記憶として今も残っております。


 さて、そのエープリル・フールの一日、私はスウェーデンボルグの『霊界日記』という本を読んでおりました。これ、本当は全5巻とか6巻とかそういう大部のものなのですが、私が読んでいたのはそれの抄訳ね。

 で、これは17世紀生まれの科学者にして神学思想家であったエマニュエル・スウェーデンボルグが、その晩年に記した、霊界探索記でありましてーー。

 ーーいや、その、エープリル・フールじゃなくて、本当にスウェーデンボルグは霊界の人たちと対話が出来たらしいんですがーー。

 実際、スウェーデンボルグ自身はこの記録を公刊するつもりはなく、ただ日記として書いているので、嘘はないと思うのですが、これを読むと、かーなーりー行っちゃっているなと。っていうか、ほんとに行っちゃっているんですけれども。

 例えば、スウェーデンボルグのお師匠さんであったクリストファー・ポルヘムが亡くなった時、スウェーデンボルグは、そのポルヘムの霊と一緒にポルヘムの葬式に出たらしいからね。で、その時、ポルヘムは、「俺、ここにいて生きているのに、どうしてみんな、俺の葬式やってるの?」と言ったらしい。



 それから、スウェーデンボルグは、使徒パウロにも会っているからね。パウロって、聖書にある「使徒行伝」に出てくる人。キリストさんのお弟子さん。

 だけど、スウェーデンボルグによると、パウロはあの世では地獄に墜ちてるらしいよ。もともと、こいつはトンでもない悪人だったみたいで。スウェーデンボルグ曰く、「悪い奴でも、いい本書けるし、いい説教できる」。だから、パウロの業績は一応認めるけど、実際は生前もあの世でも極悪人だったと。

 あとね、キケロにも会ってる。キケロにキリストの話したら、すげー納得して、「そりゃ、神の子だ」って頷いたそうな。スウェーデンボルグ曰く、異教徒にもキリストの偉大さは分かるらしいと。キケロって、キリスト以前に生きたローマの人だからね。

 っていうか、ボルグはイエス本人にもマリア様にも会っているし。マリア様なんか、息子が偉くなっちゃったんで、はにかんでたって。

 それからニュートンにも会ったけど、こいつはいい奴らしい。

 その他、霊界の人たちと話をしたあれやこれやが沢山書いてありますけど、正直、ぶっ飛び過ぎていて、私には分からない世界かも。

 ただ一つ、収穫だったことがありまして。日本では1990年代初頭にスウェーデンボルグ・ブームみたいなのがあって、関連書がどっと出ている。事実、この『霊界日記』も1992年に初版が出ているのですが。

 その理由が今ひとつ分からなかったのですが、今回、この本読んでいて気がつきました。スウェーデンボルグは1688年生まれなのよ。だから1988年は生誕300年だったんですな。それで西欧ではこの年に次々と関連書が出た。で、そのブームが翻訳を通じて日本に届いたのが1990年代初頭だったと。おそらく、そういうことだったのではないかと。


 ところで、この本を訳しているのは高橋和夫という人で、この人は大学教授で、ちゃんとした研究者らしく、例えばみすず書房とか、未來社とか、春秋社とか、ちゃんとした出版社からも訳本を出していたりするのだけど、この『霊界日記』に関しては、出版社が「たま出版」なのよ。

 で、巻末にたま出版の本の宣伝があるんだけど、この出版社から出ている他の本というと、

『驚異のオーラビジョンカメラ』

『大統領に会った宇宙人』
『わたしは金星に行った!』
『二人で一人の明治天皇』
『太陽の神人 黒住宗忠』
『前世発見法』



 これ見ても、スウェーデンボルグの本が、世間一般にはトンデモ本だと思われているのが分かるよね〜。

 ま、エープリル・フールに読むには、ふさわしい本だったのかも。


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Last updated  April 2, 2017 09:27:36 PM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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