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October 8, 2020
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カテゴリ: 教授の読書日記
ヘッセの『荒野のおおかみ』を読んだついでに、『シッダールタ』も読んでみました。アメリカのヒッピー・ムーヴメントの中では、この2冊がダントツで人気があったもので。

 私はてっきりこの小説に出てくるシッダールタというのは、お釈迦様のことなのかと思っていたんですが、違うのね。

 でも、まあ、バラモン階級のいいとこのお坊ちゃんで、若き日には先行き偉い坊さんか何かになるかと、父母の期待を一身に背負い、マブダチにして彼を崇めるゴーヴィンダと共に学問に明け暮れていたと。

 だけど、「沙門」と呼ばれる苦行修行僧の一行が通りかかったのを見て、アレだな、もう学問とかやっている感じじゃないなと思い、彼に希望を託していた父母を泣かせつつ、親友ゴーヴィンダを伴って苦行僧の弟子入りをしちゃう。で、断食したり、托鉢したり、色々修行する。

 で、そのうち、ゴータマとかいうとんでもないスーパー覚者(要するに、これがお釈迦さんですな)が近くを通るという噂を聞きつけ、シッダールタとゴーヴィンダはゴータマの話を聞きに行くことにする。最初、沙門の親分は反対したんですが、シッダールタは彼に呪文をかけて、自分の意志を通してしまう。

 で、実際にシッダールタはゴータマに会うんですけど、生意気盛りのシッダールタは、「ゴータマすごい」とは思うものの、期待したほどじゃないなと思って、自分は自分で何とかやろうと思うわけね。で、ゴーヴィンダをゴータマの元に残して、自分は沙門であることもやめちゃう。

 で、とある渡し守に川を渡してもらって、世間に出てみた。そしたらカマーラという高級娼婦みたいなのに出会って、この人に色々教わろうって思うわけ。で、カマーラから、お金ないなら一昨日おいで、みたいなことを言われちゃうので、じゃ、お金でも稼ごうかっていうので、大商人カーマスワーミなる人物のところに行っていきなり右腕になる。で、お金持ちになったシッダールタはカマーラとめちゃくちゃ、イチャイチャしまくる。

 ま、最初のうちは世間の勉強だ、みたいな感じだったんだけど、シッダールタも結局煩悩の人、金儲けやら賭け事やら色事に熱中しすぎて、退廃の生活を続けて幾星霜。

 だけど、落ちるところまで落ちた挙句、さすがのシッダールタも、「あれ、これって、自分が望んでいたことじゃないんじゃね?」って思うようになって、寄る年波でいささか色香も落ちてきたカマーラと最後の逢瀬を楽しんだ後、豪商の身分を捨て去ると。



 で、ヴァズデーヴァは、学問こそないけれど、川を唯一の友とし、川の声を聴くことで賢人となっていたんですな。で、彼に弟子入りしたシッダールタも川から多くを学ぶと。で、時間なんてものは存在しなくて、過去も現在も未来も皆同時に存在しているんじゃ、とか。そういうことを学ぶわけね。

 そのうち、かつてシッダールタも会ったことのあるゴータマが入滅することになるってんで、国中から僧侶やら信者やらがやってくる。渡し守も大忙しなんですが、そこに息子を連れたカマーラもやってくると。大分年を取ったけれど、シッダールタはすぐにカマーラを認めます。そして彼女が連れている息子(シッダールタ)が、自分の息子であることも。

 だけど、感動の再会も、あっという間に終わってしまいます。というのは、カマーラが毒蛇に噛まれて死んでしまうから。で、シッダールタはカマーラの遺児を引き取ることにする。ま、自分の息子ですからね。

 ところが、このチビ・シッダールタが我がまま放題に育てられたので、バカ息子としてシッダールタにやたらに苦労をかけるわけ。で、シッダールタはそれも全部我慢して、温顔を向け続けるのですが、苦しいことは苦しい。

 そのうち、ついにチビ・シッダールタは脱走して町に帰ってしまいます。で、シッダールタはこれを追うのですが、結局、チビにはチビの人生があるのだと悟り、ヴァズデーヴァに促されて川に戻ることにする。

 で、川に戻ったシッダールタは、自分も息子に苦労を掛けられたけど、よく考えたら、自分だって親の期待を裏切って家出したんだったよなあ、とか思うわけね。で悩みまくるんだけど、ヴァズデーヴァに「川の声を聞け」と言われ、聴いているうちに、運命に逆らうことは無駄だと悟るわけね。で、その悟りに到達したのを見て、ヴァズデーヴァは自分の役割は終わったと、シッダールタを残して後光に満ちて森へ入ってしまう。

 で、老シッダールタが一人で渡し守をやっていると、そこへ年老いたかつての親友ゴーヴィンダがたまたま通りかかる。彼は昔のまんま、まだ真理を探し求めて修行を積んでいるんですな。

 で、二人は再会を喜び、ゴーヴィンダはシッダールタに、彼が学んだ知識を授けてくれと頼むわけ。

 で、お前、まだ知識とか言っちゃってんだ、俺なんかもうそういうのは通りこしちゃったよ。知識ではない知恵は身につけたけど、知恵は知識と違って、分け与えることができない。でも、とにかく、その知恵を一言で言えば、自分も、その辺の石ころもまったく同じものだってことを悟ったよと。

 で、悟り切ってないゴーヴィンダは、シッダールタの言うことの全部が理解できたわけではないんだけど、ほとんど光輝くような存在となったシッダールタを見て、なんかありがてーなと思ったことでした。



 っていう話。

 で、思ったんだけど、この話を現代風に焼き直すと、アレになるんじゃないかと。リチャード・バックの『カモメのジョナサン』に。つまり『シッダールタ』っていう小説は、インド版の『カモメのジョナサン』なのよ。いや、逆か。『カモメのジョナサン』が、カモメ版の『シッダールタ』なのか。

 もっと簡単に言うと、悟りを求めるアウトサイダーの話。っていうことは、要するに『荒野のおおかみ』と同じだよね。だから、ヒッピーの人気が高いのだろうけれども。

 でも、物語の分かりやすさという点では『荒野のおおかみ』よりこちらの方が、よほど上。それに、なんといっても仏教ネタ・東洋ネタだから、ヒッピー受けする要素満載よ。

 ということで、ヘッセの何たるかは大体見抜いた。オッケーです。



シッダールタ (新潮文庫) [ ヘルマン・ヘッセ ]





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Last updated  October 8, 2020 01:20:05 PM
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釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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