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November 21, 2021
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カテゴリ: 教授の読書日記
中山裕木子さんという方が書いた『シンプルな英語』という本を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。

 シンプルな英語。一口にそう言っても、考え方は色々でございます。

 例えば、使う動詞の数を12個に限定し、英文を作る時に動詞の選択に悩まない、という形で、英語発話をシンプルにしよう、という考え方もある。イギリスの研究者C・K・オグデンが考えた「ベーシック・イングリッシュ」がその代表で、その考え方に基づきつつ、さらに日本人英語学習者に特化したのが『裏ワザ流』ね。こちらの考え方では、英語では動詞なんてあまり重要ではないから12個に限定してよし、あとは名詞を活用すればいい、ということになる。

これこれ!
 ↓

基本12動詞で何でも言える裏ワザ流英語術 [ 尾崎俊介 ]


 ところが、中山裕木子さんが提唱する「シンプルな英語」というのは、使う動詞の数を極端に減らすベーシック・イングリッシュの考え方とは真逆で、とにかく動詞重視。自分の言いたいことを言うのに最もふさわしい動詞を使って、「主語+動詞(+ケース・バイ・ケースで必要なものを足す)」で発話する、というもの。

 つまり、場にふさわしい動詞を際限なくたーーーくさん知っていなければならない必要があるわけで、私が思うに、それはシンプルな英語じゃないじゃん、ということになるのですが・・・しかし、中山さんがおっしゃっている事にも、実は一理あります。



 で、この「まず主語を決めろ、その次に動詞を決めろ、それでもう英語発話の大半は終わったようなもんだ」という発想は、確かに有効です。言われてみれば、その通りなんだよね。

 例えば「弊社は空調機器を扱っている会社です」と言いたい場合、日本人だったら

We are a company that deals with air conditioners.

 などとしてしまいがち。日本語をそのまま英語に直した感じですな。

 ところが中山さん曰く、これはシンプルじゃないと。シンプルな英語だったら、主語を「弊社」にし、動詞を「提供する」にして、そこでSVを固めてしまう。後は成行きで、

Our company offers air conditioning solutuions.

 とする。「うちの会社は→提供する」と主語・動詞を決めてしまえば、後は「エアコン機器を」と言えばいいのだから、上のようになると。

 それから日本人は「It-- for-- to」構文が好きだから、「あなたの質問に答えるのは難しい」と言いたい場合、

It is difficult for me to answer your question.

 などとしてしまいがちですが、これをシンプルな英語に直すと、主語を「I」にして、動詞を「答えられない」にして、後は成行きで

I cannot answer your question.



 で、オグデン流(つまり裏ワザ流)のシンプルな英語であれば、誰もが知っているシンプルな動詞を活用するので、「アンケートにより出席者からの疑問点が明らかになった」という場合、

The questionnaire makes clear the questions raised by the attendees.

 というのですが、中山さん流のシンプル英語では、「アンケート」を主語に、「ハッキリさせた」を動詞にしてそこでSVを固めるので、

The questionnaire clarifies the questions raised by the attendees.

 とする。オグデン流(裏ワザ流)では、誰でも知っている「make」という動詞と、誰でも知っている「clear」という形容詞を組み合わせて、「make clear」で「ハッキリさせる」という動詞表現を作り出しているのに対し、中山さん流ではそれとは別に「clarify」という特別な動詞を覚えておかなければならないわけですが、中山さん的にはそっちの方がシンプルだ、ということになる。この辺が、オグデン的(裏ワザ流的)ベーシック・イングリッシュと、中山流シンプル・イングリッシュとの決定的な違いですな。



 例えば、「日本では40代で結婚する人は多い」と言いたい場合、普通の日本人ならば

Many people in Japan get married in their 40s.

 などとしがちですが、中山さんは名詞を活用して、

Marriage in their 40s is common in Japan.  

とするのがシンプルだ、と主張しておられます。「40代で結婚する」という動詞的表現を、「40代での結婚」という形で名詞にしてしまって、それをまず主語として設定し、次にbe動詞を持ってきて、後は成行きで「普通だ」としたわけ。これなど、「英語では名詞の上手な使い方がキモだ」ということを主張するベーシック流(裏ワザ流)シンプル・イングリッシュと中山流シンプル・イングリッシュが交叉するところと言えましょう。

 というわけで、中山さんのこの本、裏ワザ流を唱導する私の目から見ても、敵乍らあっぱれ、なかなか面白く書けているなあと感心してしまったのでした。いい本です。英語という言語の持つシンプルなロジックのキモはこれだ! ということを理解する助けになると思います。私も大いに勉強させられました。


これこれ!
 ↓

シンプルな英語 (講談社現代新書) [ 中山 裕木子 ]


 でもやっぱり、こっちの本もいいよ!


基本12動詞で何でも言える裏ワザ流英語術 [ 尾崎俊介 ]





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Last updated  November 21, 2021 05:19:27 PM
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釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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