笑ったり怒ったり・・・

笑ったり怒ったり・・・

2024年05月21日
XML
カテゴリ: 文楽
2024年5月19日(日)その2


さて余談はさておき、文楽にお話を戻します。


木曽義仲の館には、義仲と御台の「山吹御前」と子の「駒若君」それに腰元の「お筆」
そこに義仲の愛妾「巴御前」が馬に乗って現れ、宇治川の戦いで義仲軍が敗れたことを告げる。
義仲は巴御前と戦場へ。

腰元のお筆は、山吹御前と駒若君を自分の実家にかくまう。
しかしそこに鎌倉方の手がのびるが、何とか落ち延びる。

山吹御前の一行が、大津の宿「清水屋」に泊っている。
隣室に船頭の「権四郎」とその娘「およし」と孫の「槌松」が巡礼姿で宿泊。

大人が寝静まった夜中、子ども同士仲良く遊んでいる時に追手が迫り、暗闇の中で槌松は駒若君に間違われて首を切られてしまう。
そこに外出していたお筆が戻り、首を切られたのは槌松であることに気づき、駒若君は無事で有ろうと山吹御前に告げるが、山吹御前はあまりの動揺でそこで息絶える。

舞台は変わって摂津の国・福島の船頭・権四郎の家。
権四郎とおよしは、入れ替わってしまった駒若君を連れてほうほうの体で大津から戻っている。
追手の恐ろしさから、わが孫が気になりながらも大津に引き返すことができなかった権四郎とおよしは、我が子同様に駒若君を育てた。
いつか槌松に再び会える日が来ると信じて。

そこにお筆が槌松の身に着けていた巡礼の衣装を頼りに、訪れる・・・・。
この後もストーリーは大きく動き、戦記物でありながらの人情物語が繰り広げられる。

そしてすごかったのは、およしの再婚相手・船頭「松右衛門」、実は義仲の家来「樋口次郎兼光」を演じた人間国宝「吉田玉男」さんの人形遣いのスペクタルなこと!!!!
文楽では見たこともない激しい立ち回り。
隆隆たる体格のお人形が、髪をふりみだし息を荒げての大立ち回り。

観ていて思わずハラハラドキドキ。

なんといっても大夫さんの語りや唸りが大スペクタルを盛り上げ、太棹のベンベンたる響が劇場に満ちてますますの迫力。

大夫さん、体を揺らしながら口を大きく天に向かって開けての語り。
高い床から転げ落ちてしまわないかと案ずるほどの、熱演。
私の席からは、舞台も大夫さんの座る「床」も近くって、入れ代わり立ち代わりの大夫さん方の名演に心が震えました。


文楽や歌舞伎が人気だった江戸時代の価値観で観ないと、いけないのよね。

江戸時代において最も美徳とされたのが、「忠義」です。
藩に対する忠義、主君に対する忠義。
そのためにはわが子を身代わりに差し出すのも、美徳。
親を差し出すのも、美徳。
殉死も、美徳。

だから現代に生きる我々には到底納得できかねるストーリーも、時にあります。
また、そういう忠義で子を失う場面などが、文楽や歌舞伎では演目になるんですね。
そして文楽においては、大夫さんの「ええ~~~、えええ~~~~」っと泣きの唸りがますますやるせなさを深め、太棹も一緒に泣くように歌い上げるので、観客も涙涙になります。

それともう一つ、十数年前初めて文楽を劇場で観たときに、あ、これは日本人のDNAにしっかり受け継がれ流れ続いているものだと感じました。
大夫さんの語り、それは耳で聞いていただけではなかなか理解しがたい言葉であるのに(それもそのはず、江戸時代の浪速言葉ですから)不思議と納得できてしまう。
三味線ではなく太棹という耳なじみのない楽器なのに、体にすう~~っと受け入れられてします音とリズムとメロディ。

自分は聞いたことがなくても、ご先祖さんは聞いていたのよね。
だから、体が自然と受け入れて咀嚼する。

午前11時の開演で、終演が15時50分!!!
途中25分と15分の休憩をはさんだとはいえ、なかなかの長丁場。
それを飽きることなく食いついて鑑賞できたのは、技芸員さんだけではなく、大道具・小道具などの裏方さんの力も大きい。

写真不可なのでお見せできないのですが、画面展開のハッとするほどの演出。
お見せできないのが残念至極。

今回はmamatamさんにチケットをプレゼントしていただいて、ぜいたくな時間を過ごしました。
磨きあげられた伝統芸能、すごいぞ!!!!





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2024年05月21日 04時59分00秒
コメント(5) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ

利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:文楽「ひらがな盛衰記」その2。(05/21)  
 おはようございます。昭和記念公園、798人が一斉にジンギスカン料理を作り、同じ会場で同時に鉄板焼きをした人数のギネス世界記録を更新(従来の記録277人)。
 5時間近い文楽も、興味津々と物語が進み面白く見られたのですね。
  今日も、良い一日をお過ごし下さい。 (2024年05月21日 05時36分50秒)

Re:文楽「ひらがな盛衰記」その2。(05/21)  
naominさんこんにちは!
いつもありがとうございます!!

文楽「ひらがな盛衰記」はすごい演出と
長丁場のすごい迫力の文楽だったんですね。
コンサートよりすごく長い公演でしたね。

mamatamさんからチケットをプレゼントしていただいて
楽しめて良かったですね!! (2024年05月21日 10時08分10秒)

Re:文楽「ひらがな盛衰記」その2。(05/21)  
kororin912  さん
youtubeに、短いですが文楽の動画があがっていたので、見てみました。
昭和60年の「ひらかな盛衰記」逆櫓の段。文楽竹本座の動画です。

短い動画ですが、雰囲気は伝わってきましたよ。

https://www.youtube.com/watch?v=jE961zrXp0Q


令和6年5月の「ひらかな盛衰記」逆櫓の段の動画は、3分間の短い物が出ていました。

https://www.youtube.com/watch?v=Rn2_9qU85cc

こちらは、国立劇場の出している動画で、語りと三味線だけですが、なかなかの迫力でした。

(2024年05月21日 10時08分43秒)

Re:文楽「ひらがな盛衰記」その2。(05/21)  
teapotto  さん
(○´∀`)ノ゙こんにちゎ★

文楽はテレビでしか拝見したことがなくて
実際に目の前で見ると違うのでしょうね・・
田舎に済んでいるとそういう機会にも出会えません

(2024年05月21日 17時32分48秒)

Re:文楽「ひらがな盛衰記」その2。(05/21)  
文字を読んでいるだけでも
動きや迫力が伝わってきます。
ずいぶんと長時間でしたね~(*゚∀゚)
(2024年05月22日 00時32分24秒)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

naomin0203

naomin0203

カレンダー

お気に入りブログ

鉢で咲く蓮の花~銀… New! ダニエルandキティさん

法事でした New! mamatamさん

それでもやっぱり New! あみ3008さん

吉野川市鴨島町「ご… New! すえドンさん

ジュリオ、トリミン… New! ちゃげきさん

コメント新着

ただのデブ0208 @ Re:「昭和とは どんな眺めぞ 花遍路」(06/30) New!  おはようございます。公立校教職員、業…
ダニエルandキティ @ Re:ドラマ「おみやさん」は「金福寺」が舞台だった。(06/29) New! 旅行の思い出もきちんと整理していらっし…
mamatam @ Re:ドラマ「おみやさん」は「金福寺」が舞台だった。(06/29) New! へえ、ドラマの違う楽しみでしたね。 金福…
いしけい5915 @ Re:ドラマ「おみやさん」は「金福寺」が舞台だった。(06/29) New! 私のブログにコメントありがとうございま…
さえママ1107 @ Re:ドラマ「おみやさん」は「金福寺」が舞台だった。(06/29) New! naominさんこんにちは! いつもありがとう…

フリーページ


© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: