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2019.04.20
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​​ ​伊藤比呂美「あのころ、先生がいた」(よりみちパンセ:イーストプレス・新曜社) ​​
​​
​​​​ 風変りで、不思議で、恐ろしい詩を書く詩人がいます。 伊藤比呂美​さん です。まず彼女の代表的な詩について紹介すべきところなのですが、しかし、それは容易ではありません。​​​
父は老いて死にかけです
母も死にかけて寝たきりです
​​夫や王子様には、もう頼れません​​
​ ​そんな言葉で始まる彼女の評判の詩集は 「とげ抜き新巣鴨地蔵縁起」(講談社文庫) といいます。みなさんがお読みになれば、まあ、ぼくもそうでしたが、小説だと思うでしょうね。何しろ文庫本で300ページを超える長編詩なのです。ぼくには、異様に面白かったのですが、今ここで、どう紹介していいのかわからないのです。​​​​
そのかわり、というのもなんだけれど、 ​「よりみちパン!セ」(イーストプレス・最近では新曜社)​ という中学生から高校生向きのシリーズがあるのですが、その中に彼女が書いた 「あのころ、先生がいた」(よりみちパンセ:イーストプレス・新曜社) というエッセイ集があります。
 その一節を紹介しましょう。      

 組替えの後、しばらくして、みんなの友人関係が落ち着いたとき、あたしはアベさんに、気がつきました。キムラさん以上に何もできない、ウラタさん以上にしゃべらない子で、まったくひとりぼっちだということ。
 なぜあたしがそれに気がついたか。
 それは、あたし自身、他に組む相手がいなかったからです。だからウラタさんとだってキムラさんとだって、ほいほい組んでいられたんです。
 しつこく言いますが、あたしは肥満児でした。 他の女の子たちと群れるより、マンガや本を読むのが好きでした。組のリーダーだったけど、とくべつ仲のいい子はいませんでした。つまり、あたしもじゅうぶんにふうがわりで、じゅうぶんにひとりぼっちでした。
 アベさんは、からだが飛びぬけて小さく、勉強も体育もできず、ただ黙ってすわっているだけの存在でした。あのなんとなく聞こえるシミズ先生の「伊藤、たのむな」に背中を押されて、行動をいっしょにするようになったら、気が合いました。
 ウラタさんみたいに「口をきかない」と決めているわけではなかったから、隣にすわって、あたしからいろいろ話しかけ、おたがいがおたがいに慣れてくると、いろんなことを、あたしに話すようになりました。
 そうして、しばらくは、何をするのもいっしょでした。アベちゃんはなにもできないから、あたしがひっぱっていくかたちで。
あたしが「アベちゃん」と呼ぶので、みんなも、先生も、そう呼ぶようになりました。
 授業参観にあたしの父が来て、アベちゃんを見て、びっくりしていました。アベちゃんのことは、うちでもよく話してたんですが、父としては、ここまで何もできない子とは思っていなかったようです。
 「だいじょうぶなの、あんたの勉強は?」と何度も父に聞かれました。そういう心配する父を、初めて「つまらない」と思いました。
 夏休み前のある日曜日、とつぜん、アベちゃんが、予告もなしに、あたしの家に遊びにきました。アベちゃんちとうちとは、校区の端と端にあって、とても遠かったので、そんなことは初めてでした。
 あたしはアベちゃんを、近くの公園に連れて行きました。そこにはちょうど白い花が満開で、あたしは図鑑をさんざん調べて、やっとその名前をつきとめたところでした。あたしはその花を、ひみつの宝物のように、アベちゃんに見せました。公園で、夕方までいっしょに遊んで、アベちゃんは帰りました。そして、次の日、アベちゃんは、学校に来ませんでした。
「アベちゃんは、なんとかヨウゴ学校というところへ転向しました」とシミズ先生がみんなに言いました。
「えっ」
​​ あたしは息をのんで、おどろいて、ことばが出なかったんです。​​​
​ それから彼女が何を考えたのか、知りたい人は本を手に入れて、続きを読んでください。小学生の頃から高校生時代まで。先生との出会いの思い出が描かれています。エッセイのスタイルで書かれている文章ですが、伊藤さんらしい、ある純粋なこころが表現されていると思います。彼女は、まあ、こんな詩人なのです。(S)

2018/06/07


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最終更新日  2020.12.06 00:37:47
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