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すぐに読みましたが、なかなか、思うように感想が書けないまま放っていました。
この作品は、 広島
で育ち、隣町の 呉
の 北条周作
のもとに嫁いだ 浦野すず
という主人公の、戦時下の日々の暮らしを描いた物語でした。ぼくが知らなかっただけで、アニメ映画として評判になり、単行本のマンガもよく読まれている作品であるらしいですね。誰でも知っている物語のようなので、ここでは筋書きの紹介はしませんね。 「そういえば、あのマンガの主人公も漫画を描きたかったんだよな・・・」 と思い出したのが、このマンガの主人公 すず のことでした。
「ほいでも周作さんもみんなも楽しみしとってのに子供が出来んとわかったらがっかりしてじゃ」 すず は、子どもができないことで、嫁ぎ先に居場所がないことを不安に思い、子どもを産めない女性が実家に帰されるということを、素直に信じる女性でもありました。
「周作さん?」
「あ 夫です」
「あんたも楽しみなんかね?」
「はあ まあ・・・」
「うちの母ちゃんはお産のたびに歯が減ったよ しまいにゃお産で死んだよ それでも楽しみなもんかね?」
「そりゃあまあ・・・怖いこた怖いけど ほいでも世の男の人はみな戦地で命懸けじゃけえこっちもギムは果たさんと」
「ギム?」
「出来のええアトトリを残さんと それがヨメのギムじゃろう」
「男が生まれるとは限らんが」
「男が生まれるまで産むんじゃろう」
「出来がええとも限らんが」
「予備に何人か産むんじゃろう」

「ああ、でも子供が居ったら居ったで支えんなるよね」 ここに、このマンガの読みどころの一つがあると思いました。 白木リン がどんな人間にも
「ほっ ほう! ほう!! 可愛いし‼」
「困りゃ売れるしね!女の方が高いけえ、アトトリが少のうても大丈夫じゃ 世の中、巧うできとるわ」
「なんか悩むんがあほらしいうなってきた・・・・」
「誰でも何か足らんぐらいで、この世界に居場所はそうそう無うなりゃあせんよ すずさん」
「有難うリンさん」
この世界の片隅に 「生きる場所」
「居場所はそうそう無うなりゃあせんよ!」 と励ましてくれた、 白木リン を探しますが、 彼女 は居場所だった 遊郭 ごと、 「この世界の片隅」 から消えていました。

ああ、暴力で従えとったいうことか
じゃけえ暴力に屈するいう事かね
それがこの国の正体かね
うちも知らんまま死にたかったなあ・・・
この世界
に取り残されたことを、もだえ苦しむ すず
の頭を、天から降りてきたのでしょうか、やさしく、頭を撫でてくれる
「右手」 が描かれます。
失われた 「世界」 が、次々と想起される中で、幻の 「右手」 が彼女の居場所がまだあることを教えるかのようです。

「マンガを描きたかった!」 浦野すず という設定と、あくまでも小さな日常にこだわった筋運びに、戦後70年たって書かれている 戦争マンガ の新しさを感じました。
「シン・ゴジラ」 と 「君の名は」 は見ごたえはたっぷりあるが、観客も涙を流すような感動はなかった。
ところが、 「この世界の片隅に」 は見応えがたっぷりあるとともに深く心を揺さぶられた。 こうの史代 の同名のコミック作品に基づく、 片渕須直監督 の作品だ。そこですぐ原作を買って読んだ。 2006 年から 09 年にかけて発表された作品だが、予想にたがわずため息をつきながら読みふけった。
そして、それは悲嘆が身近に感じられる 21 世紀の現代という時代と深い関わりがあるように感じた。
ぼくが、気になるのは、このマンガが、なぜ、今、みんなに受け入れられたのかということですが、 島薗さん
は、始まったばかりの 「21世紀という社会」
には、 「悲嘆」
の方向に動きやすいの空気が漂っていて、そのことと、このマンガの描く 「世界」
が繋がっていると論じておられますが、そうなんでしょうか。
そういえば、お葬式の作法とか、そっち方面の話が映画になったりしたのは今世紀に入ってからですね。 島薗さん
の御意見は、そのうち 「案内」
するかもしれませんが、とりあえず、そちらの本のほうで直接ご確認いただきたいと思います。
追記2021・08・06
コロナの感染者数が日々新記録を刻んでいますが、大運動会の報道に夢中にみえる NHK
という 「公共放送(?)」
は大運動会の報道に夢中で、この世界で本当に起こっていることからはかけ離れた 「公共(?)」
ぶりです。
そのうえ、例年、 8月6日
に放送していた 「原爆」特集番組
を、こっそり、取り止めにしたりしているようです。
なんだか。恐ろしい時代の始まりを演出して、いい気になっている夜郎自大なものを感じます。本当に気味の悪いことですね。
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