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そういえば、彼は、学生時代のあのころから「モーツァルトを聴く人」やったな。 で、この詩にであいました。 詩人 の 谷川俊太郎 の死が報じられて数日後の夜のことです。
コーダ 十年ほど前に脳内での出血で倒れた 彼 を自宅に見舞ったことがあります。
君は死にかけていてぼくはぴんぴんしている
ぴんぴんしているだけでぼくは君に対して残酷だが
もし君が死んで墓に入ってしまえば
今度は残酷なのは君のほうだ
君はもう利口ぶった他人に吐き気をもよおすこともないし
利口ぶった自分に愛想をつかすこともない
君の時間はゆったりと渦巻き
もうどこへも君を追い立てたりしない
だが君が安らかだということがぼくを苦しめるのだ
もう君にしてやれることは何もないのに
なぐることもあやまることも出来ないのに
君はそんなにも超然としていてつけこむ隙もない
死後に残る悔いと懐かしさは君のもではなくぼくだけのもの
君が死んでしまえばぼくが何を思ってもひとりよがりになってしまう
しかしだからと言って君に死なないでくれと言えるだろうか
病院のベッドに無数の管でくくりつけられている君に
モーツァルトのぼくの大好きなコーダの一節のように
君はもうすぐ大気に消え去る
手でつかめるものは何ひとつ残さずに
もどかしい魂だけを形見に
「レコードとかは?」 彼 は、50年前にであった頃から愛し続けていた 「音楽」 を聴く耳の機能と、 「ことば」 と、 体の半分の運動機能 とを失ってしまった暮らしを生きていました。
「好きだったはずの音楽をかけると、頭が痛いって。」
追記
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