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昨日の夕刻のことだ。近くで洗濯物をたたんでいた嫁さんの手がハタと止まった。どうかしたのかなと僕が顔を覗き込むと、嫁さんは何かの啓示でも受けたかのように口をポカンと開けたまま数秒宙を見つめて「そうか、そうやったんか、荷物やなかったんかぁ~」と、そう呟いた。そして、事態がイマイチ把握できず、何事なの?と思っている僕をしり目に、さらに嫁さんは言葉を続けた「カァー荷物と違うかったかぁ~、なるほど、そうか、二物かぁ~」嫁さんはそこまで言って初めて僕に向き合い、「なあなあおとーちゃん、男前やけど成績はからっきしとか、金持ちやけどブサイクとかそんな人のことをよく、天は二物を与えずって言うやんかぁ、あれ『二物』やってんなぁ、今、なんか急に閃いてさぁ、私長いこと荷物を与えずって思っててん、何で荷物?って疑問でしか方なかったんよ、神様リュックでも渡しよるんか!ってさ、荷物、やなくて二物・・・おとーちゃんは知ってた?」「・・・・」HO マイハニー、できればもっと早くに尋ねてくれればよかったのに、いっそ結婚直後にでも・・・されどアラフィフにして、このド天然、まったくもってなんて可愛いんだハニー、惚れなおしちまったじゃないの。ちなみに、おとーちゃんは、知ってマスカット。 今日の一曲 天才バンド 『 君が誰かの彼女になりくさっても 』
2018.08.19
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我が家の扇風機の震えが止まった。我が家の扇風機は、家電量販店の出で、国産とは程遠いあちゃらか方面の聞いたことないメーカーの産である。ある夏、先代の扇風機が天寿を全うしたので、家族で後継機を求め電器屋へ行ったらこの子が、子供の頃に隣街のおもちゃ屋の店じまい半額セールで勢いで買ってしまった昭和レトロ扇風機のプラモデル(黒・マブチモーターと電池別売り)よりも安価で売られていた。驚く安さだった。かくして我が家にやって来た大陸生まれの扇風機は、作りの粗さは目立ったものの、それなりに僕たちに尽くしてれた。しかし楽しい日々はそうそう続かないもので。いつの頃からだろう、特に暑がりな長女への扇風機の従属がはじまった。そして気が付けば、いつも扇風機は子供部屋に拉致されていた。あの部屋の中で、暴行とまではいかないが粗雑に扱われ、いつしか一段伸び縮み可能だった彼の首は伸びっぱなしで元にはもどらなくなり、カバーは常に歪んで取れかけ、とどめは首振り機能を停止してもカクカクとビートたけしよろしく首を小刻みに痙攣させては、いつも悲しげに視線を泳がせていた。それでもたまに風呂上がりに、僕が彼を解放してこちらへ連れてきた時などは、具体的ないじめを報告するでもなく、やや伏し目がちにカクカクと首を震わせながら、粗雑な乱暴者をかばうのである。はてさて、口止めされていたのか、妙な信頼関係が存在したのか・・・そんな扇風機の震えが止まったのは先週末のことだ。彼のストレスの根元であるウチの長女が、女子大生にありがちなアメリカ6ヶ月間のインターンシップとやらに旅立ったのだ。彼をいじめる者はもう日本にはいない。首のカクカクも何処へやらで、穏やかな顔で彼は今日もプロペラを回す。ただし心配事が一つだけ、この先6ヵ月間、遠くアメリカの地で、突然の長女の襲来によって抑圧され逃げ惑うアメリカの家電品が出ぬことだけ。僕はそれだけを、心から祈るのだった。 今日の一曲 ベタだけど・・・ あいみょん 「 マリーゴールド 」
2018.08.16
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