【現代劇】マリアージュ・ブラン~嘘つき弁護士の愛の法則~全40話 40
風起隴西-SPY of Three Kingdoms-全24話 24
【現代劇】イジワルな君に恋をした~Sweet First Love~全24話 24
燕雲台-The Legend of Empress-全48話 48
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君九龄 Jun Jiu Ling最終話「因果応報の罰」太炎(タイエン)3年、北祁(ホクキ)の人質となった太上皇たちが殺されたのは楚譲(ソジョウ)が身代金を着服したせいだった。しかし楚譲は九齢(ジゥリン)たちの謀反だと訴え、衛兵を呼んで朝堂を包囲してしまう。命が惜しい朝臣たちは皇帝に従うと決めたが、その時、陸雲旗(リクウンキ)が武徳司を率いて乗り込んだ。陸雲旗はかつて九齢公主を守れなかったことを悔やみ、今日は決して同じ間違いを犯せないという。思わぬ腹心の裏切りに呆然となる楚譲、そこで断罪できるものならやってみろと開き直った。「朕は父と兄長の跡を継ぐ正当な皇帝、朕はこの国の天子であるぞ!」「…陛下はその座を得るために何をしたのかしら?」するとこれまで黙って話を聞いていた九齢が楚譲と対峙した。九齢は″太炎3年″と書かれた封じ紙を見せた。「これはあなたの不正の証し… 身代金の着服が発覚するのを恐れ、自ら先帝を手にかけて皇位を簒奪(サンダツ)したのね? 父親を犠牲にし、兄長を殺し、即位後は奸臣を重用、3郡を割譲し、税を増やして民を苦しめた! お前に皇帝の資格などない!」すると九齢は重要な証人となる先帝の侍女・氷児(ヒョウジ)を呼んだ。( ತ _ತ) <びんR!氷児は先帝の侍女で薬係だった。当時、氷児は薬を届けるため先帝の寝殿に向かっていたが、その時、楚譲が寝殿から出てくるところを目撃したという。殿内には倒れた先帝の姿があり、首に絞められた跡があった。「その日の宿直は陸大人です」すると陸雲旗は今まで真実を隠してきたと認め、全てを明かすことにした。「御書房を通りかかると助けを求める声が聞こえた…中に入ると楚譲が先帝の首を絞めていた」動揺した陸雲旗は楚譲に言われるまま、部屋を出て戸を閉めたという。陸雲旗は楚譲が先帝を殺害したと証言した。驚いた衛兵たちは皇帝を見限って剣を下ろし、袁宝(エンホウ)は人知れず逃げ出してしまう。賢(ケン)王は楚譲が本当に父と兄を殺したと知り、憤懣やるかたない。しかし往生際の悪い楚譲は陸雲旗の裏切りに憤った。「この恩知らずめ!なぜこんな女のために朕を裏切るのだ?!」「…なぜなら彼女が九齢だからだ」「そうさ、彼女は楚九齢だ」朱瓚(シュサン)は君九齢の正体を明かした。君九齢は火事で亡くなったと思われていた楚九齢だった。朝堂は呆然、成国公(セイコクコウ)、寧雲釗(ネイウンショウ)、寧炎(ネイエン)も突然の事実に目を丸くする。すると誰よりも動揺した楚譲が思わずつまずき、尻もちをついた。「皇叔、残念でしたね…あの年、父皇の死の真相を知った私は婚儀であなたを殺そうと決めた」実はあの時、楚譲は九齢にだけこっそり先帝を殺したと認めていた。「まさか私まで殺そうとするなんて…君(クン)父娘が私を救ってくれました なぜあんなことを…楚譲、こうして再び姿を現したのは父皇に代わり罰を下すためよ! 父皇に取って代わろうとし、己の権力と私欲のために実直な臣を遠ざけた 敵と戦い、多くの者が犠牲になったわ!成国公がいなければ国はとっくに滅んでいた! 想像してみて、死後に皇陵に入ったら、そこにいる先祖たちに顔向けできるの?! 良心に恥じたことはなかったの?!」楚譲はふいにあの日の夜のことを思い出した。皇兄に呼ばれて寝宮を訪ねた楚譲、実はすでに身代金を着服したことがばれていると知る。楚譲は過ちを認めたが許してもらえず、兄が背を向けた隙に腰紐を解いて首を絞めたのだった。すると抵抗する気力を失った楚譲は泣き崩れ、そのまま床に寝転んでしまう。楚譲が地味に大●洋?w九齢はついに父の敵を討ち、玉座で微笑む父の幻像を見て安堵した。朱瓚と方承宇(ホウショウウ)は九齢と中庭を歩きながら、楚譲をどうするのか尋ねる。すると九齢は極刑にすることを望まなかった。「楚譲の所業の全てを民に知らせて裁きに任せるわ、生きて蔑まれることこそ最大の罰よ」そこへ寧雲釗が玉璽(ギョクジ)を持ってやって来る。 ←( ๑≧ꇴ≦)エーッ!今?!w「皇帝の座を空けてはおけない、懐(カイ)王殿下の擁立を…」寧雲釗は九齢に頼まれ、奸臣を演じながら楚譲を近くで見張っていた。「寧公子、あなたがいなければ父皇の恨みは晴らせなかった、あなたへの恩義を心に刻むわ」しかし九齢はまだ幼い九穃(キュウヨウ)に皇帝の重責は担えないという。「玉座に座れば天下を得られるわけではない、民心を得てこそ天下の統治者と言えるの」朱瓚は九齢が賢王を推挙していると気づき、賛同した。その時、陸雲旗がやって来る。朱瓚は2人で話をさせるため、承宇と寧雲釗を連れて涼亭で待つことにした。陸雲旗はこれが九齢と話せる最後の機会だと分かっていた。「初めて皇宮に入った時の持ち場がここだった、そして思いがけず君と再会した 君が通りかかるのを見るたび夢のようで幸せだったよ 」しかしあの夜、楚譲が自分を先帝付きにしたのはこれが目的だったと気づいたという。「先帝を救おうと思えば救えたのに見逃した…」すると陸雲旗は短剣を差し出し、命を以って償いたいと訴えた。九齢は短剣を抜いて陸雲旗を刺そうとしたが、寸でのところで手を止める。「陸雲旗…これで終わりにしましょう」九齢はうっすら笑みを浮かべ、剣を捨てた。( ;∀;)ルールー…いい人だったのに…←え?w九齢堂に親しい仲間たちが集まった。すでに九齢の正体が公主だと公になったが、それでも皆との関係が変わることはない。すると寧承宇が訪ねて来た。対応に出た錦繍(キンシュウ)は中庭に誘ったが、寧雲釗は話があるので店で待つという。寧雲釗は即位の準備で遅くなったと断った。「また行ってしまうのか?」「…成国公の一家と北方へ行くわ」すると寧雲釗は最後にもう一度だけ九齢と碁を打ちたいと頼む。一方、中庭ではなかなか戻ってこない九齢を皆が心配していた。朱瓚は酔い覚ましの薬を取りに行くとみえみえの口実で席を立ったが、2人の対局を見てそっと引き上げる。「風に当たったらすっきりしたよ」朱瓚は何事もなかったように席に戻った。そこで承宇は明日、都を発つと伝える。「姐夫、九齢をお願いします」「任せてくれ」寧雲釗は九齢との大切な思い出を振り返りながら碁を打った。するとふいに手を止める。「…また私の負けだ」「楽しかったわ」「そうだな」寧雲釗は名残惜しそうに九齢の顔を見つめていたが、潔く帰って行った。北方でかくまわれていた承宇がやっと沢州に帰って来た。曹(ソウ)氏たちは無事な承宇の姿に安堵し、ようやく方家にも平穏が戻る。一方、陳七(チンシチ)は錦繍を娶ると決意していた。錦繍は相変わらず素直になれないが、夫として振る舞う陳七に悪い気はしない。そして賢王は新帝に即位した。含元(ガンゲン)殿では文武百官が新帝を迎える。「面をあげよ」おわり( ;∀;)うわ~ん!終わってしまった~!って、あれ?これで終わり?そうなんです!皆さんもお気づきですね?肝心な男主と女主のキャッキャウフフ~♪のデンディングがカットされてるんです↓それがこちらですいやこれカットする?!( ̄▽ ̄;)もしや触覚が似合わなすぎてNG出たのか?いや〜楽しかったわ〜またポンちゃんのドラマが始まることを祈りつつ…皆様、お付き合いありがとうございました
2023.05.19
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君九龄 Jun Jiu Ling第39話「勝利の後に」北祁(ホクキ)軍が天侑(テンユウ)に侵攻、ついに城楼で両兵が激しくぶつかりあった。城門はかろうじて方錦繍(ホウキンシュウ)と陳七(チンシチ)ら民の協力で死守していたが、いよいよ戦鼓を叩く君九齢(クンジゥリン)の元まで敵兵が迫ってくる。驚いた懐(カイ)王・楚九穃(ソキュウヨウ)は九齢の足にしがみついた。「九穃!恐れないで!」「怖くなんかない!」すると九穃は勇気を振り絞って兵士たちを鼓舞した。しかし懐王に気づいた敵兵が九穃めがけて走ってくる。九穃は目をつぶって覚悟を決めたが、その時、背後から飛んできた鉾(ホコ)が敵兵を退けた。一方、後方にいた北祁太子のもとに急報が舞い込んだ。「陛下が崩御しました!刺客に暗殺され、二皇子はすでに撤退を… 成国公(セイコクコウ)と清河伯(セイカハク)も迫っています!」驚いた郁遅海(イクチカイ)は撤退を決め、合図を聞いた北祁の兵士たちは潮が引くように逃げ出した。九齢と九穃の危機を救ったのは朱瓚(シュサン)だった。九齢は無我夢中で戦鼓を叩き続けていたが、朱瓚が腕をつかんで止める。実はすでに援軍が到着し、朱瓚は北祁皇帝の暗殺に成功していた。城楼にいた敵兵も投降、すると九齢は急に身体の力が抜けて朱瓚の腕の中に倒れてしまう。その夜、楚譲(ソジョウ)は都が無事だと聞いて喜んだ。しかし都を救ったのが成国公父子だと知り、朱山(シュサン)を逆賊扱いした手前、民に顔向けできないという。すると寧雲釗(ネイウンショウ)が謀反の罪を言い出したのは黄誠(コウセイ)であり、誤解した皇帝に罪はないと進言した。都合よく黄誠は逃亡して行方不明、全ての責任を押し付けることができる。しかも陸雲旗(リクウンキ)の報告では驚いたことに九齢と賢(ケン)王が皇帝をかばっていた。九齢たちは皇帝が民に苦難を与えたことを謝罪するため帝陵へ出かけていたが、思いがけず北祁が都を包囲して戻れなくなったと説明したという。「朱瓚に北祁皇帝を暗殺させ、成国公を動員したのは陛下の策だったと…」寧雲釗は即刻、都へ戻るよう嘆願、楚譲もすぐ準備するよう命じた。楚譲は陸雲旗だけを残して人払いした。確かに弟である賢王には自分をかばう理由があるが、九齢の意図が分からない。陸雲旗は成国公を許してもらうためではないかと進言したが、楚譲は九齢の自分への当てこすりだと分かった。「あの女子は団結して都を守るよう民を焚きつけた 今後も誰かを焚き付けて何か企むやもしれぬ…殺せ」「御意!」寧雲釗は楚譲が九齢を狙うと分かっていた。そこで陸雲旗を引き留め、手を組もうと持ちかける。「寧雲釗、気は確かか?」「彼女のためだけではない、私の願いは明君が治める太平の世だ」「なるほど、それで玉璽を隠したのか?」すると陸雲旗は手を下すのが褒賞のあとだと明かした。九齢が目を覚ますと朱瓚がいた。思わず朱瓚に抱きつき号泣する九齢、しかしふと我に返り、楚九黎(ソキュウレイ)と九穃の姿に気づく。すると朱瓚は姉弟で話せるよう外へ出た。九黎は楚氏を代表して都を守ってくれた九齢に感謝した。すると九齢は姉の手を握り締め、家族を守れたことが嬉しいという。「…花皇后、草皇后、石皇后、土皇后、次から次へと皇后は入れ替わる」その詩はまだ幼い九齢が作った詩で、九黎と九齢しか知らないはずだった。「九齢なのね?!」「姐姐…あの時、怒られてから虫皇后とは遊んでいないわ」「でもなぜ顔と声が違うの?」「話せば長くなる…君家の父娘が私を救ってくれた」九齢はついに真実を明かし、姉弟3人は抱き合って再会を喜んだ。「これからはどんなことも一緒に乗り越えるのよ、いいわね?」「そうね、姐姐」九齢は外で待っていた朱瓚と合流した。実は方承宇(ホウショウウ)も都へ入り、雲霄閣(ウンショウカク)がかくまっているという。朱瓚は暗殺の際に深手を負ったことを隠したが、民を守るためなら死んでも悔いはなかったと話した。すると九齢は朱瓚がいかに大切な存在か身に染みたと訴え、再会したら2度と手を離さないと決めていたと明かす。朱瓚も九齢が恋しかったと打ち明けた。「君が隣にいないと何をしても空しい…」2人は互いの想いを確認し合い、しばし熱い抱擁を交わした。天侑に平和が戻った。九齢は朱瓚、成国公、清河伯と共に参内、その功績を認められ山陽(サンヨウ)公主に封じられる。しかし九齢の顔は強張ったまま、拝跪する様子もなかった。袁宝(エンホウ)は早く感謝するよう急かしたが、その時、朱瓚が父の謀反の罪が濡れ衣だったと証明されたはずだと上奏する。そこで楚譲はこれも黄誠の讒言のせいだと話し、黄誠が和議に乗じて姿をくらましたまま見つからないと言い訳した。「すでに行方を追わせておる、捕まえたら必ずや成国公の名誉を回復しよう」すると思いがけず賢王が捕縛した黄誠を連れてやって来た。黄誠は北祁太子の友人だと触れ回っていたが、北祁軍に相手にされず、殺されそうになったところを賢王の配下が救ったという。朱山はこの場で黄誠の尋問を行うよう嘆願した。すると寧炎(ネイエン)や武官たちが賛同、楚譲は渋々、黄誠に成国公を陥れたのか追及する。黄誠は確かに世子に息子を殺され恨みがあったと認め、成国公に謝罪した。そこで楚譲は黄誠を大理寺で裁くよう命じたが、賢王は敵と通じて忠臣を陥れたのなら、慣例通り肉削ぎの極刑にすべきだと訴える。楚譲はついに腹心を見限り、黄誠を刑部に引き渡すよう決めた。「陛下…なんと冷酷な…太炎(タイエン)3年の件をお忘れか!」動揺した黄誠は思わず口を滑らせ、朝堂は騒然となった。黄誠は皇帝を恐れて口ごもった。すると死んだはずの承宇が現れ、方家に残っていた銀子を証拠として差し出す。それは北祁の人質となった太上皇と交換するはずの身代金だった。楚譲は慌てて偽物だと声を荒らげたが、朱山は確かに銀子に″太炎3年内承運庫(ダイショウウンコ)″と彫られていると確認する。「これは太炎3年に朝廷が鋳造した銀子…北祁は身代金をもらえず太上皇を殺めたのだな 銀子は沢(タク)州へ運ばれていなかったのか?!」つづく※訂正とお詫び┏○゛前回、誤りがありました北祁軍を率いているのがてっきり皇太子だと思っていましたが、将軍でした( ̄▽ ̄;)将軍のそばにいるのが皇太子・郁遅海のようですでも…何だかおかしくない?そんなわけで前回のあらすじは直さずこのまま行きます ←直さないのかーいw
2023.05.18
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君九龄 Jun Jiu Ling第38話「民を守るために」皇帝や朝臣が逃げ出す中、君九齢(クンジゥリン)と賢(ケン)王が都を守るため立ち上がった。寧炎(ネイエン)も私兵を率いて合流したが、民の不安を払拭して団結させるには先帝の長子である懐(カイ)王・楚九穃(ソキュウヨウ)が先頭に立つ必要があるという。そこで九齢は懐王府に駆けつけ、九穃に事情を説明した。「戦場は危険です…行かれますか?」「もちろんだ、皇族としての務めを果たす」すると陸雲旗(リクウンキ)が残して行った武徳司が九齢と懐王を守ると誓った。朱瓚(シュサン)は北祁(ホクキ)皇帝の暗殺に成功したものの深手を負っていた。しかし張宝塘(チョウホウトウ)と李三氷(リサンヒョウ)が北方に身を潜めていた方承宇(ホウショウウ)を頼り、一命を取り留める。一方、都では北祁の侵攻を知った民たちが避難しようと城門に押しかけていた。賢王は正直に皇帝が逃げたと知らせたが、自分たちが守ると説得する。まだ幼い懐王と九黎(キュウレイ)公主も必死に一緒に戦おうと訴えたが、やはり民の不安は拭えなかった。すると九齢が一歩前に出て、共に城門を守り、故郷を守ろうと決起を促す。「皆さん、痘瘡(トウソウ)は治せない病だと言われていました でも私が治ると鼓舞して皆で打ち勝ったのです 心を1つにすれば城門を守れる、北祁を追い払えます 将兵の命に従い力を合わせれば大丈夫、私たちの家を守ることができるわ! 勝機を作り、援軍の到着を待ちましょう!」九齢に鼓舞された天侑(テンユウ)の民は立ち上がり、一丸となって都を守ることになった。しかし正直なところ九齢も勝算があるとは言い切れない。するとその夜、北祁軍が城門の前で人質を殺して見せしめにした。九齢はその残忍なやり方に憤りながら、九穃に天侑の主としてこの犠牲を決して忘れてはならないと訴える。一方、朱瓚は無事に目を覚ましていた。承宇に助けられたと気づいて安堵したが、ふとすでに9日だと聞いて飛び起きる。「行かねば…都に九齢がいる」朱瓚はふらふらになりながら着替え始めた。すると九齢の危機を知った承宇も同行すると決める。その頃、北方では北祁軍が慌てて撤退していた。成国公(セイコクコウ)・朱山(シュサン)は朱瓚が暗殺に成功したと気づき、直ちに都へ戻ると決める。清河伯(セイカハク)は朱瓚の消息がないことが気がかりだったが、成国公は国のために犠牲になったとしても後悔はないはずだと言った。翌朝、ついに北祁軍が城門に突撃した。陳七(チンシチ)は将兵や民と一緒に城門を死守、方錦繍(ホウキンシュウ)と柳児(リュウジ)は怪我人の手当に奔走し、九黎も自ら配給を手伝う。その頃、行宮に避難した楚譲(ソジョウ)は都がまだ陥落していなことに驚いていた。聞けば九齢が賢王、懐王、寧炎と共に城門を守っているという。「誰が懐王を連れ出した?」「君九齢です」「またあの者か…」すると楚譲は玉璽(ギョクジ)が見つかったか聞いた。袁宝(エンホウ)はまだ見つからないと謝罪したが、その時、陸雲旗が探してもないのなら御書房にあるのだろうと取り繕ってくれる。寧雲釗(ネイウンショウ)は陸雲旗の協力に感謝したが、九齢のためだと分かっていた。錦繍は炊き出しに来ない陳七を心配し、差し入れを届けた。錦繍の手作りだと気づいて喜ぶ陳七、しかし錦繍は照れ隠しに買ってきたと嘘をつく。「沢(タク)州の味が出せる店なんてないさ、ふっ」「…死ぬなら一緒よ」「一緒に?!」「…あ、九齢と一緒にってことよ」錦繍は素直になれなかったが、その時、武器が到着した。「錦繍、城楼に武器を運んだら残って戦うよ…元気で」「陳七…もし死んだら許さないから!」陳七は小さくうなづいて出かけて行った。城楼に突然、九齢を迎えに懐王の師である顧(コ)先生がやってきた。実は陸雲旗から頼まれていたと話し、九齢と両殿下を脱出させる時機を見計らっていたという。「もう脱出していい頃合いです、懐王殿下の名声は十分、広まりました 敵の侵入は防げぬやも…楚家の血を残さねば」しかし九齢は決して逃げないと拒み、名声や王位のためではないと訴えた。北祁軍の攻撃が続いた。ついに敵軍が城楼に到達、激しい攻防戦の中、賢王も剣を抜き応戦する。すると合図の戦鼓を叩いていた兵士が射抜かれ、倒れた。それを見た九齢は九穃を連れて駆けつけ、必死に戦鼓を叩き続ける。「敵を倒せぇぇぇ!全員が戦士だぁぁぁ!」城門に九齢の号令が響いた。後方で見守っていた北祁太子・郁遅海(イクチカイ)はもうすぐ都が手に入ると喜んだ。隣には側近で黄誠(コウセイ)と通じていた皇太子の替え玉がいる。その頃、城楼では寧炎が敵兵に刺されていた。兵士が慌てて寧炎を避難させる中、城門では錦繍が女たちを連れて駆けつけ、陳七たちに加勢する。命懸けで都を守る天侑の民、その頃、朱瓚や援軍も都へ急いでいた。つづく( ๑≧ꇴ≦)結局、美味しいところを全部、持っていく九齢w
2023.05.17
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君九龄 Jun Jiu Ling第37話「敵軍の襲来」陸雲旗(リクウンキ)は皇帝に君九齢(クンジゥリン)が沢(タク)州へ向かったと嘘をつき、金十八(キンジュウハチ)たちに後を追わせて取り繕った。一方、成国公(セイコクコウ)・朱山(シュサン)に代わり臨時の鎮守職に就いた清河伯(セイカハク)だったが、頻繁に配置換えを行ったせいで綻びが生じ、北祁(ホクキ)の皇太子に攻め込まれてしまう。朝廷は包囲された清河伯の消息がつかめず、援軍を送るも半分は行方知れずになった。皇帝が逆賊となった成国公の切り捨てを命じ、朱山たちは自由に動けなかった。しかし北祁の動きを読んでいた朱山は朝廷が送った援軍と合流、北祁の兵糧を奪うことに成功する。郁(イク)夫人は勝手に兵を動かしたことで追及されると心配したが、配下は元はと言えば清河伯のせいだと嘆いた。「貴方様がいなければ負けていました」すると朱瓚(シュサン)は今なら北祁国内の防御がおろそかなはずだと気づき、密かに北祁に潜入して皇帝を暗殺すると決める。朱山は危険すぎると反対したが、張宝塘(チョウホウトウ)と李三氷(リサンヒョウ)がお供を申し出た。「父上、母上、どうかお元気で…行って来ます!」その頃、監禁された九齢は朱瓚の身を案じていた。…朱瓚、元気にしている?同じ頃、敵地へ向かった朱瓚も九齢のことを考えていた。…九齢、元気にしているか?今回は戻れぬ可能性もある、だが君に会うため必ず生きて戻る朱山は援軍を率いて清河伯の陣営に到着した。清河伯は成国公が援軍を奪い、双方が消耗するのを待って英雄気取りで現れたと呆れたが、兵士たちが否定する。実は朱山は清河伯が奇襲を受けることを察し、北部で攻撃をかけ、敵を挟撃(キョウゲキ)していた。むしろ進退窮まっていた清河伯たちを救出してくれたという。すると朱山が今は言い争っている場合ではないと訴えた。「都を救わねば…6万の敵軍が東の郊外にいる」「何だって!敵の真の狙いは北方ではなく都であったのか…もう終わりだ」何も知らなかった清河伯は落胆したが、朱山はすでに一部の軍を都に差し向けたと教えた。「諦めるのはまだ早い、だが急がねば、間に合えば良いが…」陸雲旗は知らせを受け、慌てて武徳司に戻った。「何事だ…?」実は金十八たちが北祁軍の待ち伏せに遭い、金十八は虫の息となって運び込まれた。「陸大人…早くお逃げください…」すると金十八は絶命してしまう。九齢は何とか縄を切ろうと奮闘していた。するといきなり陸雲旗が飛び込んでくる。「北祁が来る!官兵が買収され百芒(ハクボウ)城の門を開けた」精鋭たちは北方の前線に送られ都は手薄、陥落は時間の問題だろう。実はすでに皇帝も避難の準備を進めていた。陸雲旗は九齢の縄を解いて一緒に逃げることにしたが、九齢は拒む。「皇帝が逃げて民心が離れたら本当に終わりよ…」「だから今のうち逃げるのだ!行くぞ!」「陸雲旗!…私は国を守る、父皇はこの国と民を守ると誓ったわ、その誓いを忘れてはならない」「…九齢、ついに認めたな」陸雲旗は今度こそ九齢を救いたいと訴え、九黎(キュウレイ)公主を娶ったのも九齢の大事な家族を守るためだったと明かした。この地位にしがみついているのも大切な人を守るため、世間に悪人だと罵られようが、皇帝の犬と蔑まれようが、全ては九齢のためだったという。しかし九齢は人生には生死より是非が大事な時があると言った。「私は安穏と生きるより、父皇の理想や志を受け継ぎ、何があっても民を守る これが私の選んだ人生なの…私を思っているなら好きにさせて」すると陸雲旗は武徳司の令牌を外し、九齢に渡した。「私が間違っていた、君さえ私のそばにいて安全ならいいと思っていた 九齢、約束してくれ、必ず生き延びると…九黎と九穃(キュウヨウ)のことは任せてくれ」敵軍が都に迫っていた。九齢は急いで九齢堂に向かったが、なぜか大街は平常通り、民たちが慌てている様子はない。…何てこと?朝廷は北祁の侵攻を隠しているのね、自分さえ逃げられればどうでもいいの?…一方、宮中では袁宝(エンホウ)たちが大慌てで皇帝の荷物をまとめていた。すると寧雲釗(ネイウンショウ)が現れ、皇帝が呼んでいると嘘をついて袁宝を書斎から遠ざける。寧雲釗はその隙に玉璽(ギョクジ)を箱から盗んで袂に隠したが、その時、陸雲旗が現れた。「寧大人?…出立しますよ」九齢堂にようやく九齢が戻った。しかし再会を喜んだのも束の間、方錦繍(ホウキンシュウ)たちは北祁が攻めて来ると知る。皇帝は民を見捨ててすでに腹心たちと逃げ出し、九齢は都を仕切れるのが賢(ケン)王だけだと気づいた。「…賢王に会ってくる、錦繍、あるだけの銭で武器を買い占めて 陳七(チンシチ)は武器の分配を、それと武器の材料を買い集めて 柳児(リュウジ)は今晩中に食料を買い集めておいて、商人が値を釣り上げるのを防がなくては…」こうして九齢と九齢堂は都を守るため動き出した。九齢は賢王に直談判、十数万の民と共に戦って欲しいと嘆願した。「北の軍が戻れば勝機はあります」しかし賢王は皇帝の命でなければ兵馬司が言うことを聞かないと困惑する。すると九齢は拝跪し、身分を明かした。「かつてのお言葉を実現してください、″北祁を退け民を守る″とおっしゃったわ …皇叔、私は楚九齢です」賢王はにわかに信じられなかったが、九齢は御膳房の桂花餅(ケイカモチ)を知っていた。九齢の誕辰に必ず先帝と一緒に作った桂花餅、賢王は顔が違っても確かに九齢本人だと確信する。「九齢なのだな…そなたが男なら国を守る柱となっただろう」そこで賢王は兵馬司に掛け合い、私兵を動員することにした。「皇叔、世子爺の行き先をご存知ですか?」「それが…都を離れてからは分からぬ」翌朝、皇帝は朝議に現れなかった。すると探しに向かった太監が皇帝がどこにもいないと報告、三皇子の姿も見えないという。一方、方承宇(ホウショウウ)は三桃(サントウ)と一緒に北方で身をひそめていた。そんなある日、突然、宝塘と三氷が深手を追った朱瓚を連れて現れる。「姐夫(ジェフー)、何があったんだ?!」「北祁皇帝を暗殺した際に大怪我を…やっと逃れて来ました」朱瓚は弓が背中から貫通し、意識がなかった。賢王は九齢と一緒に城門の守りを固めていた。そこで賢王は将軍に特に北門に注意するよう頼む。「恐らく北祁はここを攻めてくるだろう、戦闘の合図は太鼓だ、鳴っている間は手を緩めるな」九齢は陳七に徳盛昌で武器を受け取って来るようたのみ、錦繍と柳児には有志を募って物資の配給を頼んだ。すると寧炎(ネイエン)が私兵を連れて合流する。つづく( ;∀;) ルールー、サイコだけど良い人やん ←違うw
2023.05.16
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君九龄 Jun Jiu Ling第36話「逆賊の烙印」黄誠(コウセイ)に弾劾された成国公(セイコクコウ)・朱山(シュサン)は自ら軍務を退きたいと嘆願した。楚譲(ソジョウ)は隠居を認めて都で療養するよう命じたが、実際のところ引責辞任なのは否めない。民の間では功を求める成国公が戦を起こそうとしたため、皇帝がやむを得ず兵権を奪って罷免したと噂になった。君九齢(クンジゥリン)は成国公府に駆けつけた。すでに使用人たちは暇を出され、朱瓚(シュサン)の話では成国公夫妻は北方へ帰るという。「あなたは?」「私がいないと君が困る」九齢は皇帝がこのまま成国公を見逃すとは思えず、両親を無事に逃すのが朱瓚の務めだと訴えた。「私なら大丈夫」そこへ成国公と郁(イク)夫人が現れた。九齢は方家を救うため自分に功を譲ってくれたことが仇になったと責任を感じていたが、朱山はもともと目の敵にされていたのだと笑う。「これで君は本望を果たせるだろう」成国公の言葉に九齢ははっとした。「声望を得てこそより多くのことができる、陛下は君が疎ましくとも民意に背けぬ」その時、皇宮から使いがやって来た。皇后が君大夫を呼んでいるため急いで参内して欲しいという。朱山と郁夫人は九齢に別れを告げて先に屋敷を出た。朱瓚は両親を送って行くと決め、九齢に2年前のような愚かな真似だけはしないで欲しいと釘を刺す。すると九齢は今や生き続けることが最優先になったと安心させ、朱瓚と抱き合って別れを惜しんだ。九齢が丹鳳(タンホウ)門に到着すると、偶然、寧雲釗(ネイウンショウ)の馬車と一緒になった。建前上は決別した2人、そこで寧雲釗は歩きながらこっそり九齢に情報を伝える。「朝議後すぐ、再び召集がかかった、きっと一大事だろう」「ついに楚譲が堂々と動き出したのね、あなたもどうか身を守って」「九齢、君は成国公と関係が深い、注意を怠るなよ」2人はそれぞれのやり方で国と民のために尽力しようとしていた。黄誠は朱山を謀反の罪で罰するよう嘆願した。これまでも成国公を糾弾する上奏文は多かったが、今回は朱山が戦を起こそうと画策している証拠が見つかったという。それは朱山が北祁(ホクキ)の皇太子に送ったという文だった。「敵国とよしみを通じ、朝廷を裏切った証拠です!」…まずい、九齢がちょうど宮中にいる、巻き添えにならねばいいが…寧雲釗は九齢の身を案じたが、その不安は的中した。皇后の診察を終えた九齢はちょうど回廊を歩いていた。すると中庭を通りかかり、かつてここで家族と楽しい時間を過ごしたことを思い出す。その時、突然、陸雲旗(リクウンキ)が現れた。「懐かしいのかい?」「…意味が分からないわ」九齢は慌てて帰ろうとしたが、陸雲旗は九齢に薬を嗅がせて眠らせてしまう。九齢は見知らぬ寝殿で目を覚ました。しかし両手両足を縛られて動けない。_(:3 」∠)_ <起きたかい?ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノその声は婚礼衣装を着て隣にいた陸雲旗だった。九齢は慌てて寝台から転がり落ち、そのまま必死に門まではって行く。「誰か!助けて!」「無駄なことはよせ、私が封鎖した…今日、婚儀を挙げよう」部屋には2年前と同じ婚礼衣装が飾ってあった。「正気じゃない…来ないで!」「…分かった、行かない」←( ๑≧ꇴ≦)ルールーw聞き分けはいいwwwすると陸雲旗は君九齢が顔を変えた九齢公主だと悟った。実はここに連れて来たのは九齢を監禁するためではなく、皇帝から守るためだという。「ここが嫌なら別の場所へ行こう、君と一緒なら地の果てでも…」「気が触れたの?!来ないで!」「私は正気だ…君を愛しすぎたせいだ!」しかしどんなに訴えても陸雲旗の想いは九齢に届かなかった。(´・_・`)、<分かった、離れるよ…ここで君を守る ←素直なのよw北方へ向かった成国公一行だったが、追っ手に行く手を阻まれた。将軍は直ちに都へ戻って裁きを受けるよう勧告、やましいことがないなら都へ戻るべきだと訴える。しかし朱山はここで命を落とすことになろうと戻らないと抵抗した。「私は天侑(テンユウ)の安寧を保つため生死を顧みず戦って来た 私が忠臣か逆賊かは天地と自らが知っている、それで十分だ 良心の呵責はない!自分が選んだ道を貫き通す!」すると将軍は自ら腕を斬って交戦したと偽装し、成国公のために道を空けた。一方、陳七(チンシチ)は丹鳳門の前で九齢を待っていた。知らせを聞いた柳(リュウ)番頭は宮中を探してみたが、誰もが君大夫はすでに南門から出たという。しかし陳七は九齢が決して連絡もなしに帰らないと分かっていた。九齢はかつて沢州で一晩戻らず、方家を心配させた経験から消息を絶つなどあり得ない。その時、寧雲釗の側仕え・小丁(ショウテイ)が現れた。寧雲釗は人目のない裏道まで柳番頭を呼び出した。すると恐れていた通り九齢が戻ってこないという。「居場所は分かる、陸雲旗の所だろう」寧雲釗は九齢との決別が芝居だと明かし、自分が陸雲旗を調べてみると言った。「何か分かれば小丁が連絡する」皇帝は成国公が逃亡したと知り激怒、ついに朱山を討てと命じた。すると退廷した寧雲釗が陸雲旗を呼び止め、九齢をさらったのかと迫る。「成国公が逃亡して謀反が確定した今、九齢が突然、姿を消した…陛下はどう思うと?」「私を脅しているのか?」「私と九齢のことに関わるなと言っているだけだ」九齢堂に寧雲釗から報告が届いた。やはり九齢は陸雲旗にさらわれたが、皇帝ではないことが唯一の救いだという。陳七は患者に九齢が休養で実家に戻っているとごまかしていたが、いつまで騙し通せるか分からなかった。すると遅れて柳児(リュウジ)が九齢堂に戻ってくる。一方、九齢は監禁されたまま途方に暮れていた。そこへ陸雲旗が九齢の好物を買って戻って来る。「空腹だろう?口を開けて…」しかし九齢は顔を背けて食べようとしなかった。「成国公が気になるんだな…謀反の罪に定められた、都に連行され次第、処刑される」「そんなバカな…」「まあ私たちには関係ない争いだ、さあ食べて」激怒した九齢は腕を振り回し、料理を吹き飛ばした。「出て行って!」「そう怒るな…九齢堂は君を守るため沢州へ戻ったと言ってる そうだ、今日は寧雲釗が君に会わせて欲しいと言って来たよ、笑えるだろう? 寧雲釗は君が好きなんだ、さすが学があるやつは違うな~中身を見抜いたんだな…」「消えて…」(´・_・`)ショボン… ←素直に出て行くルールー成国公はなかなか捕まらなかった。人望が厚い朱山、恐らく多くの者が逃亡を手助けしているのだろう。陸雲旗はどちらにしても北方を目指していると報告、早速、清河伯(セイカハク)に知らせることにした。「頼んだ件はどうなっておる?」「徳盛昌が分家したゆえ、君九齢は沢州へ、金十八(キンジュウハチ)に追わせました」すると楚譲は方家が負け、朱家が倒れ、今こそ好機だという。「2度と逃すでないぞ」「はい」つづく( ;∀;)ルールーなりに九齢を助けているのにwww ←違うw
2023.05.13
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君九龄 Jun Jiu Ling第35話「動かぬ証拠」突然、方(ホウ)家に舞い込んだ承宇(ショウウ)の訃報。曹(ソウ)氏たちは絶望の中、弔問客たちの挨拶を受けていた。すると君九齢(クンジゥリン)たちが駆けつける。曹氏は跡継ぎを失った悲しみと怒りから九齢につかみかかり、葬儀は騒然となった。そこで九齢は高(コウ)執事に今日の弔問を終えるよう頼み、客人たちを帰して門を閉めてもらう。九齢は祖母たちに実は承宇が生きていると明かした。「祖母、これは承宇と考えた脱出策だったのです、どうか芝居にお付き合いください 楚譲(ソジョウ)の目を欺き、承宇の死を信じさせるのです」実は承宇は密かに朱瓚(シュサン)が北方へかくまってくれたという。こうして方家に再び笑顔が戻り、錦繍(キンシュウ)もわだかまりを解いて祖母との再会を喜んだ。その夜、曹氏は寝所に九齢を呼んだ。「世子爺はあなたを好きなのね…もしお前の伴侶になってくれるなら安心できるわ」九齢は何とも答えられず、それよりまだ方家の危機は去っていないと警告する。楚譲は取引の痕跡を隠滅しようとするはず、そこで印章以外に楚譲が残したものはないか尋ねた。曹氏は覚悟を決め、自分の寝所にある密室に九齢を案内した。実はこの部屋に来るのはこれが2度目になるという。「老爺が亡くなる前に一度、来たきり、その時に秘密を全て聞いたの、再び入る勇気はなかった…」隠し部屋には人質の太上皇を解放するため準備されたはずの官銀が残っていた。太炎3年、この銀子を溶かして馬蹄銀を作り、官銀は私財に化けたという。曹氏は道を誤った夫に憤り、この銀子で徳盛昌の富を築くと分かっていたら止めていたと嘆いた。思えば方家を襲った苦難も当然の報いだったのだろう。九齢はついに動かぬ証拠を手に入れ、感慨で胸がいっぱいになった。「…事実を白日の下にさらし、皇祖父と父皇の無念を晴らします」九齢の思いがけない誓いに曹氏は呆然、すると九齢は自らの素性を明かした。曹氏は慌ててひざまずき、これも方家が欲に目がくらんだせいだと謝罪する。しかし九齢は自分こそ借りがあると訴え、本物の君蓁蓁(クンシンシン)は自分の身代わりになって亡くなったと教えた。「祖母…方家の皆さんに守られ、ご親切を受けました、許されるなら蓁蓁のままでいさせてください」朱瓚は老夫人の寝室に密室があったと知り、なぜ秘密が漏れなかったのか合点がいった。官銀と印章があれば当時の楚譲の罪を証明できる。そこで九齢は徳盛昌の荷と一緒に官銀を運び出すと決めた。いよいよ核心に迫ってきた2人、すると朱瓚は九齢を抱き寄せ、実は両親がよくこうして話をしているという。「寄り添っていると心も近付くと言うんだ…九齢、いつまでも変わらず君を愛し続けるよ」( ゚ェ゚)・・・表向き承宇が亡くなり、九齢と方家の関係も悪化、残るは全国に数十店舗もある徳盛昌をどう処分するかだった。そこで九齢は祖母たちに分家して減らそうと提案する。「騒動を起こして3つに分けます、庶民にとって相続争いは格好の話の種だわ」朱瓚は注目されるほど安全だと言った。楚譲は袁宝(エンホウ)から方家の報告を聞いた。葬儀では方家の女たちが泣き叫び、跡取りを失った悲しみに打ちひしがれていたという。しかもその後、すぐ分家騒動が起きて役所の前で曹氏、劉氏、孫娘たちの罵り合い合戦が繰り広げられていた。「残された女たちは恐るるに足らずでしょう」「それは朗報だ」楚譲は安堵したが、すでに九齢と朱瓚は都へ出発したという。陸雲旗(リクウンキ)は成国公(セイコクコウ)が北方へ送った密書を奪い、皇帝に報告した。「…まだ北方の政策に口を出しておる」楚譲は思わず頭を抱えた。「分からなくなってきた…誰が忠臣で、誰が偽っているのか」すると楚譲は独りで考えたいと人払いした。九齢と朱瓚は途中で車列を離れ、武徳司の追っ手をまいて都に向かった。張宝塘(チョウホウトウ)と李三氷(リサンヒョウ)は茶楼にいる2人と合流、実は成国公が北方へ文を出しても返信がないという。「清河伯(セイカハク)の身に何か?」「偵察を送りましたが、すぐには戻りません」「あとは屋敷で話そう」偶然にもその様子を陸雲旗が見ていた。陸雲旗は仲睦まじい九齢と朱瓚に怒り心頭、すると江百虎(コウハクコ)が実行に移すかと尋ねる。「ギギギ…もちろん、だが今ではない!」( ゚ェ゚)・・・朱瓚は九齢を九齢堂に送り届けて成国公府に帰った。すると父が皇帝に呼び出されたまま、まだ戻っていないと知る。その頃、黄誠(コウセイ)は成国公が官兵をけしかけ、北祁(ホクキ)と対立させていると糾弾していた。朱山(シュサン)は事実だと認め、それが自分のやり方だという。「何の密書かは存じませんが、北祁への警戒を怠るなと伝えているのは事実です 北祁人の気質はよく知っている、信用できません、一寸たりとも国土は譲れない」 朱山は態度を緩めてはならないと進言し、侵攻は迎え撃つべきだと訴えた。しかし黄誠は成国公がせっかくの和議を妨げていると非難する。「北方の官吏や将校に対して上奏が寄せられています 成国公の帰京後、朝廷からの命を聞かず、清河伯も北方では身動きが取れないとか 成国公がいる限り、辺境に安寧は訪れません」黄誠は朝廷を無視した罪と職権乱用で成国公を処罰するよう嘆願した。つづく( ゚ェ゚)・・・ ←何か言えw
2023.05.12
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君九龄 Jun Jiu Ling第34話「忘れ得ぬ記念日」君九齢(クンジゥリン)と朱瓚(シュサン)は城門で方承宇(ホウショウウ)を出迎えた。朱瓚は承宇から義理の兄と呼ばれてまんざらでもないが、九齢は仮の婚約なので″世子爺″と呼べば良いという。「では私のことも承宇と呼んでください」しかし朱瓚は意地でも義兄の立場にしがみついた。( ̄꒳ ̄)<積もる話もあるだろう、内弟、姐夫は先に失礼するよ~(; ゚ェ゚)<ぁ…哥哥、お気をつけて方錦繍(ホウキンシュウ)は承宇と顔を合わせるのが気まずいのか、薬を届けに出かけて留守だった。そこで九齢は承宇にあらかじめ今回の参内が実際は危険なことだと明かす。「この機会にこちらから勅書を返してしまいましょう」「私もそうするつもりだった」翌日、九齢と承宇は皇帝に謁見した。楚譲(ソジョウ)は徳盛昌の功徳に対して褒美を与えるが、何が望みか尋ねる。すると承宇は皇帝の書を希望し、代わりにかつて徳盛昌が賜った勅書を返還したいと申し出た。楚譲は気がかりだった勅書を無事に取り戻し、その場で″福″と書いて徳盛昌への褒美とする。こうして九齢と承宇は無事に含元(ガンゲン)殿を出た。その時、前から九齢に向かって陸雲旗(リクウンキ)が歩いてくる。承宇は何事かと身構えたが、そこへ朱瓚が現れた。「…小棗(ショウソウ)、何を見ている?私の妻だ」「すぐそうではなくなる…今日は何の日だと?」九齢は今日が自分の誕辰であり陸雲旗との婚姻記念日だと分かっていたが、九齢堂の開業1周年だと答えた。しかし朱瓚は陸大人と九黎(キュウレイ)公主の婚姻1周年だと言う。「なんだ?祝って欲しいのか?」「今日は九齢の誕辰、私との婚姻から2年だ、覚えていないのか?世子爺?」「そんなわけなかろう」「ふん、てっきりお前は九齢公主を忘れたのだとばかり…」朱瓚と陸雲旗は一触即発となったが、朱瓚は急にきびすを返し、九齢たちと帰ってしまう。(  ̄꒳ ̄).oO(誕辰おめでとう@遠い目…ってルールーwww承宇は陸雲旗から自分たちを守ってくれた朱瓚の姿を見て決心がついた。そこで九齢堂に戻ると、朱瓚に九齢を一生、大切にして欲しいと頼む。「約束するよ」「姐夫!」そこへ九齢がやって来た。九齢は承宇にすぐ帰るよう勧め、勅書を返せば次の標的が祖母だと警告する。この時、承宇はようやく方家を長年、陥れて来たのが皇帝だと知った。出発前に念のため雷中蓮(ライチュウレン)に護衛を増やすよう頼んできたが、相手が皇帝となれば足りるはずがない。「私もあなたと行くわ」「駄目だ、何より君が行けば陛下に怪しまれるよ」朱瓚は自分が手配すると安心させたが、九齢はもう1つ相談があると切り出した。その夜、朱瓚は九齢堂の1周年を祝うという名目で祝宴を開いた。陳七(チンシチ)は承宇を避けている錦繍に戸締まりの確認を頼み、承宇に後を追うよう合図する。すると柳児(リュウジ)が厨房を見てくると声をかけ、陳七も手伝いに行った。朱瓚は邪魔者が張宝塘(チョウホウトウ)と李三氷(リサンヒョウ)だけになったところで2人を追い払う。こうして九齢と2人きりになった朱瓚、実は密かに誕辰祝いを準備していた。「おめでとう、九齢… 毎年、誕辰にはこの長寿菓子を食べていたな だから作り方を聞いて私が作った、まずくても食べてくれ」「昔は父がいつも準備してくれたわ…まさかまた食べられる年が来るなんて…ありがとう」「以前は先帝が君を守っていた、今後は私が守る」一方、承宇は錦繍を呼び止め、ようやく2人だけで話ができた。錦繍は立派になった承宇の姿に感激もひとしおだったが、改めて母の過ちを謝罪する。「まだそんなことを…あの件は忘れると言ったろう?」「ありがとう」朱瓚は九齢が6月18日に九齢堂を開業し、陸雲旗が婚姻の日を6月18日にした理由も分かった。「奴をどう思っていた?」「婚姻に同意したのは復讐のためだったの、特別な感情はないわ」喜んだ朱瓚は宝塘と三氷が見ているとも知らず、九齢を抱き寄せ、唇を重ねた。するとちょうど厨房から柳児と陳七が戻って来てしまう。「料理が出来ましたよ~って、ぁ…」柳児と陳七は慌てて背を向けた。( ゚ェ゚)・・・一方、陸雲旗は祖廟で独り九齢の位牌を前に誕辰を祝っていた。「ある女子と出会った、彼女は…君によく似ている、彼女に会うたび、君を思い出すんだ 今度ここに連れて来て君に会わせるよ」( ;∀;)ルールー…←って泣くところじゃないw宴がお開きになり、九齢と朱瓚は2人きりで星を眺めていた。「いつから私が好きだったの?早く言えば良かったのに…」「幼い頃から少し好きだった…子供だったからな、成長するに従い想いが募っていったんだ 時機を見て言うつもりだった、結局、北方に8年もいて、戻ったら君はいなくなっていた」「今後は何があっても離れないと約束してくれる?」すると朱瓚が小指を差し出し、2人は指切りをして愛を誓った。「あなたの前では一番好きな自分に戻れたわ」「私が君の最も強い鎧になる」( ゚ェ゚)・・・・・承宇は帰郷の途についた。方家では承宇の参内が無事に終わり安堵していたが、その夜、思わぬ知らせが舞い込む。「大変だ!少爺が!客桟の火事に巻き込まれ、お亡くなりに!」曹(ソウ)氏は呆然、すると劉(リュウ)氏は衝撃のあまり卒倒してしまう。一方、楚譲も方家の跡継ぎが火事に巻き込まれて死んだと聞いていた。方承宇は代々伝わる玉佩を常に身につけていたが、遺体からその玉佩が見つかって身元が特定されたという。しかし楚譲は念のため確認するよう命じた。九齢堂にも承宇の訃報が届いた。悲しみに暮れる錦繍たち、すると九齢は方家に帰ると決める。朱瓚と錦繍も同行することにしたが、錦繍は承宇の死が不自然だと憤った。「あまりにも偶然すぎる…なぜこんなことに!」翌朝、憔悴した曹氏は化粧箱からある印章を取り出した。まさか九齢の警告した通り、皇帝の狙いが方家の皆殺しだったとは…。つづく
2023.05.11
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君九龄 Jun Jiu Ling第33話「鴛鴦の灯籠」君九齢(クンジゥリン)と寧雲釗(ネイウンショウ)は衆目の前で袂を分った。実はこれも九齢の計画、寧雲釗が楚譲(ソジョウ)の信頼を得るためには、楚譲が警戒する人物たちと一線を画す必要があった。そのせいで嘲られ、貶められることになったが、寧雲釗は協力を惜しまなかったという。事情を聞いた朱瓚(シュサン)は危うく2人の名演技に騙されそうになったと笑ったが、九齢と寧雲釗の密談に嫉妬を隠せなかった。九齢堂に陸雲旗(リクウンキ)がやって来た。ちょうど差し入れを届けに来た朱瓚は陸雲旗の姿を見て激高したが、九齢がなだめる。すると陸雲旗は懐(カイ)王・楚九穃(ソキュウヨウ)が病だと伝えた。九齢も朱瓚も罠だと疑ったが、陸雲旗は治療するかどうか決まったら来ればいいという。その夜、楚九黎(ソキュウレイ)は懐王がもののけに取り憑かれたと聞いた。子供まで利用するのかと憤る九黎、しかし陸雲旗は黄誠(コウセイ)の案だと打ち明ける。「黄誠?…九穃を利用して成国公(セイコクコウ)を倒すつもりね? 成国公を父皇の一味だと思っているの?でももう父皇は死んだのに…何がしたいの? はっ!この機に乗じて君九齢を抑え込む気なのね?そうなんでしょう?」「…つまり公主はそれが可能だと思うのですね?(ニヤリ」陸雲旗は九黎が焦ったことで黄誠に協力する理由ができた。懐王はもののけに取り憑かれたため、皇陵に送られることになった。明日の朝議で話し合い、異論が出なければすぐ出立するという。朱瓚の話を聞いた九齢は真の目的が先帝の残党をあぶり出すことだと気づき、成国公にくれぐれも反対しないよう伝えて欲しいと頼んだ。そこで朱瓚は父と母に黄誠の策略だと報告し、明日の朝議では立場を示さず、沈黙を貫くよう訴える。しかし朱山は自分に考えがあると言った。翌朝、朱山は朱家の兵を率いて懐王府へ向かった。配下から正式な訪問状を受け取った陸雲旗は謁見を認め、これで黄誠たちの目的が達成されたという。その頃、黄誠も従者から朱山が懐王府に入ったと聞いた。「懐王を試金石に成国公の人となりを暴く」朝議で大理寺・譚松(タンショウ)が懐王を皇陵に送るよう上奏した。しかし成国公が自ら懐王を見舞ったところすこぶる元気だったと報告する。今、君大夫が診療中ゆえ、真偽のほどはすぐ分かるというのだ。譚松は巫女でもない君大夫では治せないと指摘したが、かえって成国公に揚げ足を取られてしまう。「懐王殿下がもののけに憑かれているなら皇陵に行かず、皇宮に留まるべきでは? 陛下は至高の存在、どんなもののけも退散する もちろん、もののけを殺気で制してもいい、殺気なら私の配下が最強です」すると成国公は決めるのは無論、皇帝だと言った。思いがけず選択を迫られた楚譲、仕方なく世子夫人の診断が終わるのを待ってから決めるという。その時、気まずい空気を察した寧雲釗が咄嗟に上奏した。「陛下、増員していただいたゆえ″慶都志(ケイトシ)″が完成しました、お祝い申し上げます」成国公のおかげで黄誠の悪だくみは失敗した。安堵した九齢だったが、今後も弟は何かと利用されるに違いない。しかし朱瓚はまだ姉だと名乗り出ないようなだめた。夜の街に繰り出した2人、すると朱瓚が露店の灯籠に目を留める。「鴛鴦(オシドリ)の絵はどうですか?夫婦の末長い幸せを祈ります」店主の言葉を聞いた朱瓚は喜んで灯籠を買うと言ったが、持ち合わせがない。九齢は失笑して代金を払うと、店主に実は彼は兄だと言った。朱瓚は兄だと言われ、面白くなかった。「冗談はよせ」「あなたも隠し事をしていたわ…紫英仙株(シエイセンシュ)の使い道を言わなかったでしょう?」朱瓚は実は墓前での出来事を九齢が全て見ていたと知った。九齢と朱瓚は橋の石段に腰掛け、しばし甘いひと時を過ごした。「当初はあなたを遠ざけようと試みたわ、でもいつの頃からか気づいたの どんな時も会いたくてたまらない、恋しい存在なんだって…」「私はいつからそんな大事な存在に?ならどうして準備万端整うまで正体を隠していたんだ? もし失敗したら私を逃していたかもしれないんだぞ?」朱瓚は九齢を失ったと知った時の恐怖を思い出し、涙をこぼした。「私が知っているあなたはふざけてばかりの人よ?どんな危険に面しても平気なふりをする いつもそばに寄り添い、命を救ってくれた それに私に沙樺(サカ)を見せるためだけに北方から都まで来てくれる人だわ もし最も幸せな時がいつか聞かれたら、あなたがいた時と答える、だから…」すると2人はこれからもずっとこうして寄り添い、仲睦まじく、尊敬し合おうと約束した。黄誠は懐王を利用する策が失敗、そこで成国公が連れて来た難民を支援したのが徳盛昌(トクセイショウ)だと告発した。驚いた楚譲は陸雲旗を呼び出して追及したが、陸雲旗は何とも言いようがないと困惑する。今や方家と成国公と縁家、言及するのはばかられたという。「また君九齢か…」「陛下、徳盛昌は北方で難民を救済し、兵器や甲冑の鋳造を援助しました それゆえ17軒の銭荘で銭が尽きています」「何だと?!報告が遅すぎるぞ?!」「陛下、陛下が徳盛昌は探るなと仰せでしたので…」すると楚譲はこれからは些細なことも報告するよう指示し、徳盛昌の当主を都へ呼ぶよう命じた。「褒賞を与える…君九齢め、いよいよ生かしておけぬ」朱瓚は茶楼で賢(ケン)王に九齢との縁談について相談した。しかし賢王は富豪と権力者が姻戚になろうとすれば、当然、皇帝は警戒するという。婚姻を阻む最も簡単な方法は当事者のどちらかを消すことだ。ならば標的は成国公の庇護があり武術をたしなむ朱瓚ではなく九齢だろう。賢王は皇帝が密かに陸雲旗を呼んでいたと教え、九齢をしっかり守るよう助言した。「確かに君小姐には九齢公主の面影がある…だが代替品にしてはならぬぞ?」「分かってします、安心してください、彼女は代替品などではない、唯一無二の存在です」方家では唯一の跡継ぎである承宇(ショウウ)を守るため、曹(ソウ)氏が代わりに謁見すると決めた。しかし承宇は皇帝が召したのが自分である以上、代わりは許されないという。「祖母こそ方家の屋台骨、方家から私がいなくなっても祖母や母、姉たちがいます 重要なのは私ではなく、方家の血脈と不屈の精神です」曹氏は承宇が立派に成長したと感激し、この世の荒波にもまれるべき時が来たのだと悟った。朱山は方家を守るため、朝議で九齢の功績を上奏することにした。軍功があれば皇帝も民の手前、方家を取り潰すことはできないだろう。そこで難民のために手配したのは九齢で、便宜上、自分の名を借りて動いたと説明した。黄誠は成国公が人の手柄で褒賞をもらったと非難したが、武官から成国公が命を賭して敵を防いだからこそ君小姐も大事を成せたと反論する。すると寧雲釗が全ての功績は皇帝が名君ゆえだとおだて、皇帝の信頼無くして成国公の今日はないと訴えた。皇帝におもねる朝臣たちは一斉に皇帝の功績だと絶賛、これでは楚譲も成国公と九齢の功績を認めざるを得ない。「2人は互いを補い合ったのだ…受けるべき褒美を与えねばな」こうして九齢は県主から郡主に昇格した。朱瓚は九齢が反対すると踏んで父の上奏を隠していた。九齢はこれでは成国公が窮地に陥ると心配したが、朱瓚は九齢が父を守りたいように、父も九齢を守りたいのだという。実は皇帝が方家と成国公の縁談を壊すため、九齢を消したがっていた。九齢は朱瓚が片時も離れなかったのは自分を刺客から守っていたからだと知る。しかし今回、先帝の遺児をかばった成国公も楚譲の恨みを買ったはずだ。「何か考えが?」「郡主になれたのなら公主の座も近いはず…」つづく( ゚ェ゚)男主と女主が接近すればするほど視聴意欲が落ちるという…w
2023.05.10
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君九龄 Jun Jiu Ling第32話「水面下の戦い」城門を開けるよう嘆願を続ける成国公(セイコクコウ)・朱山(シュサン)と避難民たち。三皇子は判断に困っていたが、丞相・黄誠(コウセイ)は決して開けてはならないと反対した。しかし皇帝から開門するよう勅命が届く。一方、密かに賢(ケン)王府を訪ねた朱瓚(シュサン)は、皇帝に進言してくれた賢王に拝跪して感謝した。賢王は北方の民が来なければ手詰まりだったと安堵し、やりの手の″世子夫人″に舌を巻く。「芝居も終盤なのになぜ世子夫人は現れぬのだ?」「実は君九齢(クンジゥリン)は陸雲旗(リクウンキ)を振り切るため、私と一芝居打ったのです」陸雲旗はなぜ数万もの難民に気づかなかったのか首を傾げた。江百虎(コウハクコ)の話では誰かが金銭面で支援し、難民が商人に扮して官道を通らずに来たという。「ふっ、あの者しか考えつかぬ策だ…帰って来たのだな」すると九齢は幼い頃から好んで着ていた紅い衣をまとい、市場を堂々と馬で駆けて来た。待ち構えていた陸雲旗は一瞬、楚九齢が帰って来た錯覚に陥ったが、ふと我に返る。「捕えよ」しかし武徳司が動こうとしたその時、朱瓚が張宝塘(チョウホウトウ)、李三氷(リサンヒョウ)を連れて現れた。「成国公の世子夫人に手出しは許さぬ」朱瓚は成国公が謁見中に夫人に手出しすれば皇帝の顔を潰すことになると指摘、九齢の馬に相乗りすると、わざと夫婦の仲を見せつけるように通り過ぎて行った。陸雲旗が武徳司に戻ると、金十八(キンジュウハチ)たちが制服を脱いで私物をまとめ、整列していた。「朱家に鞍替えしたのか?」金十八たちは失態を犯したと認めたが、陸雲旗は九齢を守るという命令を遂行したことには変わりないと許した。朱山は皇帝に謁見し、自ら罰を請うた。やむを得ず勅命に背き、また息子が戦のためとは言え脱走したことも弁解の余地はないという。楚譲(ソジョウ)は功により罪は償ったと許し、わざわざ玉座を降りて成国公を立たせた。そこで朱山は褒賞のための寄付も撤回するよう嘆願、将兵たちにとって皇帝の信頼こそが値千金(アタイセンキン)だという。憤懣やるかたない黄誠は思わず寧雲釗(ネイウンショウ)に八つ当たりした。成国公が凱旋したゆえ、寧炎(ネイエン)も停職したかいがあったという。しかし寧雲釗は叔父が反対したのは和議であり成国公は無関係だと訴え、今や叔父の心配も杞憂に終わったと答えた。皇帝は寧炎を朝廷に復帰させると決めた。しかし寧雲釗にはかつての清廉潔白な姿はなく、皇帝にこびへつらう姿は実直な寧炎の甥とは思えないと揶揄されている。「申し訳ないわ…」九齢は寧雲釗の噂に胸が痛んだが、その様子を見た朱瓚はこれも九齢の策なのだと分かった。すると宝塘と三氷が黄誠の密会相手が実は北祁の皇太子・郁遅海(イクチカイ)だと報告する。しかし郁遅海は替え玉を残してすでにどこかへ消えていた。都で自由に動けたのは他にも協力者がいたからだろう。その頃、朱山は皇帝に兵権を返上していた。楚譲は確かに清河伯(セイカハク)を臨時の鎮守職に任じたが、都で養生してからまた北方を守って欲しいという。しかし朱山は年老いた自分より壮年の清河伯こそ適任だと訴え、引退を申し出た。「では朕がしばらく預かることにしよう、そちが英気を養ったら再び戻す」九齢は世子夫人という肩書きのため、成国公府に滞在することになった。すると朱瓚がこれまで城外でかくまっていた先帝の侍女・氷児(ヒョウジ)を連れて来てくれる。氷児は素絹(ソケン)と名を変え、身分を伏せて生活していた。「こちらは九齢公主だ」「氷児、私は顔を変えたの」氷児は公主が無事だったと知って安堵し、実は印章の文様の件についてはまだ話していないという。当時、先帝は印章の文様について君応文(クンオウブン)神医に何か話していた。「黄誠も文様を目にしています、先帝が黄誠の前でうっかり文書を落とした際、文様を見たのです」成国公は無事に皇宮から戻った。翌朝、朱山は兵権を返したと明かし、朱瓚に九齢との婚約を解消して都を発とうという。2人の関係に気づいていた郁(イク)夫人は九齢を養女にしたいと言って時間を稼ごうとしたが、九齢は笑ってごまかした。結局、婚約の話は後回しになった。朱瓚は九齢がなぜ養女の話を断らなかったのかと不満をあらわにする。しかし九齢はともかく自分のことで成国公を煩わせたくないと言った。朱瓚と九齢は宝塘と三氷と一緒に食事に出かけた。すると運悪く同じ店に陸雲旗が現れる。牽制し合う朱瓚たちと陸雲旗、しかし九齢はこらえるよう合図し、引き上げることにした。「行きましょう」「その必要はない、ごゆっくり」陸雲旗は先に席を立った。陸雲旗が店を出ると黄誠の従者が現れた。馬車で陸雲旗を待っていた黄誠は成国公の父子という同じ敵がいると訴え、協力せずとも見て見ぬふりをしてくれれば十分だという。「見返りは?」「…君九齢が陸府を訪れるというのはどうだ?」その頃、宝塘は陸雲旗への怒りを爆発させていた。「あの時、殺しておくんだった、九齢公主のせいだ!」朱瓚は慌てて話を遮ったが、九齢は困惑した。「つまり公主が陸雲旗を助けたの?…いつの話?」実は10年前、成国公に拾われた陸雲旗は屋敷で盗んだものを売っていた。朱瓚たちは陸雲旗を屋敷の外で懲らしめたが、その時、何も知らない九齢公主が駆けつけ、陸雲旗を助けたという。…あれが陸雲旗だったとは…九齢はその時のことを思い出し、呆然となった。寧雲釗は九齢堂に九齢を訪ねた。しかし対応に出た方錦繍(ホウキンシュウ)は九齢なら会わないと追い返す。「たった半年で陛下に取り入り、侍講(ジコウ)学士に昇進したそうね~なんて口達者なのかしら?」「君小姐に会いたい」錦繍は仕方なく呼びに戻った。すると街行く人が足を止め、世子夫人となった君大夫が佞臣(ネイシン)に成り果てた寧雲釗と一線を画すのも無理はないと噂する。側仕えの小丁(ショウテイ)は憤慨したが、寧雲釗は毅然として九齢を待った。九齢は内心、申し訳なく思いながら、あえて衆目の中で寧雲釗と決別した。「寧大人、道が異なれば助け合えません、気まずいので今後は会いに来ないでください」「友人でもないと?」「目指すものが違うのよ?友人になれると思う?」すると寧雲釗は2度と訪れないと約束し、帰って行った。つづく|ω・`)ちょっとどうでもよくなって…端折りましたw
2023.05.09
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君九龄 Jun Jiu Ling第31話「輝く星空の下で」君九齢(クンジゥリン)と朱瓚(シュサン)は2人だけで都へ出発した。その夜、森の中で暖を取りながら美しい星空を眺める2人…。朱瓚の話では毎年、夏の終わりには空に無数の星が輝き、地上の蛍と一体になって天の川が人間界に流れ込むように見えるという。「来年の夏、見に来よう」「…そうね」すると頑なに″君小姐″と呼んで来た朱瓚がついに″君九齢″と呼んだ。「君九齢…ずっと君の目に答えを探そうとしてきた」←( ๑≧ꇴ≦)探さんといて!「…あの人が恋しいのね、私がその人よ」←(ノ*>∀
2023.05.06
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君九龄 Jun Jiu Ling第30話「撹乱作戦」天侑(テンユウ)は北祁(ホクキ)と正式に和議を結び、北方からの撤退を命じた。しかし成国公(セイコクコウ)・朱山(シュサン)は勅命を無視、民を避難させる時間を稼ぐため留まり、そのせいで敵軍に包囲されてしまう。そこで君九齢(クンジゥリン)はこのまま北上して成国公を助けようと決めた。雷中蓮(ライチュウレン)は自分たちのわずかな兵では何もできないと言ったが、九齢が奇策を思いつく。一方、南東へ向かった郁(イク)夫人は難民を連れて無事に百芒(ヒャクボウ)城へ戻った。しかし西に行った九齢が戻っていないと知り、恐らく易(エキ)州に向かったと気づく。その頃、朱瓚(シュサン)たちも保州を出て父がいる易州を目指していた。( ゚ェ゚)え?姜成たちはどこ行ったの?援軍じゃなくてただの挨拶?w易州では成国公が惨敗を喫していた。残った兵はわずか120名、兵糧もわずかとなり、朱山は1日休んでから突破すると決める。しかしその夜、思いがけず好機が訪れた。「成国公!北祁軍に痘瘡(トウソウ)が発生し、混乱しています!」実は九齢は成国公を逃すため、敵軍陣営に痘瘡を広めてかく乱させていた。…腹心の者を選び、痘瘡に似た症状が出る薬を飲ませるわ…その者を敵軍に送り込み、痘瘡が出たと思わせるの( ̄▽ ̄;)イヤイヤイヤ~生物兵器は違反でしょう?@北祁人w都では講談師が成国公を蔑む出まかせを広めていた。「成国公が撤退しないのは自分のためだ!和議を結んでしまったら成国公は北方で威張れない!」しかしちょうど都へ辿り着いた難民たちが激怒、成国公は危険を顧みず民を助け、夫人たちは難民の受け入れに尽力してくれたと訴えた。その時、成国公が危機を脱して勝利したと知らせる早馬が駆け抜けて行く。講談師は民から嘘つきと猛反発され、すごすご引き上げて行った。朱瓚は父の無事を知り、百芒城府衙(ガ)に駆けつけた。そこで早速、噂の″世子夫人″に会いに行ったが、実はその正体が君九齢だと知る。「なぜ君が…」「私で嬉しいかしら?」「ああ…とても」2人は互いの無事を喜び安堵したが、朱瓚は急ぎ父の様子を見に行った。朱山は負傷していたが軽傷で済んだ。再会を喜び、今日は久しぶりに父子で飲み明かすことにした2人、すると朱瓚は飲まずに献杯する。「この1杯は旅立った兵士たちに捧げます…」「ウム…そうすべきだな」(; ゚ェ゚)_v ←すでに飲んでしまった父wすると朱山はお尋ね者になった息子を責めることなく、都でも戦場でも立派に戦ったと称賛した。朱瓚は父と共に戦えなかったことを謝罪し、今後は両親を心配させないと誓う。「瓚児よ…成長したのだな」都では黄誠(コウセイ)がこの機に北の鎮守職を清河伯(セイカハク)に代えるよう上奏してした。楚譲(ソジョウ)は陸雲旗(リクウンキ)に意見を聞いたが、陸雲旗は良い策だと進言する。すると楚譲は成国公父子の帰京については黄誠に一任すると決めた。その夜、泥酔した朱瓚はまた九齢の部屋に押しかけた。「なぜそうも似ているんだ?」すると朱瓚はもう寝ると言って寝台に向かってしまう。九齢は必死に止めようとしたが、そのまま朱瓚に押し倒された。その時、菓子を差し入れに来た郁夫人が何も知らずに部屋に入ってしまう。(꒪ꇴ꒪〣)<わ、私は何も見ていないわ!じゃあね!( ๑≧ꇴ≦)<夫人!あ、違うんです!夫人!思わぬ誤解を受けてしまった九齢、しかし無邪気に酔い潰れた朱瓚の顔を眺めながら、思わず頬に口づけした。翌朝、目を覚ました朱瓚はまた九齢に迷惑をかけたと気づいた。「その~酔っている間に既成事実ができたのか?偽りの世子夫人の身分が誠になったとか?」「残念ね」九齢は笑いながら酔い覚ましを渡したが、実は郁夫人に昨夜の失態を見られたと教えた。(´゚ω゚)..:;*.’:;. ブハッ!一方、楚九黎(ソキュウレイ)も民を守った世子夫人の正体が九大夫だと聞いた。「君大夫と世子はお似合いだわ」それとなく九齢をあきらめさせようとする九黎、しかし陸雲旗は世子夫人の身分が真実だろうが嘘だろうが自分に関係ないという。「私の生きる意味は美しいと思う物を全て手にれることです」成国公は褒賞を受けるため都へ戻るよう命じられた。しかし黄誠の企みなのは明らか、朱瓚はたとえ父でも軍と一緒でなければ危険だと反対する。九齢はならば自分と朱瓚がひと足先に都へ戻り、準備してはどうかと提案した。確かに黄誠の陰謀が先に分かれば対処もできる。すると九齢は成国公には3州の難民を連れて都に入って欲しいと訴えた。「北方の民の苦しみを朝廷と都の民に見せたいのです、兵士たちが命懸けで民を救ったことも…」郁夫人は朱瓚を呼んだ。息子が九齢公主への思いをずっと心に秘めていたのを知っていたが、今やあの世とこの世に引き離されてしまったという。郁夫人は過去に縛られず前に進んで欲しいと訴え、君大夫を大切にするよう助言した。すると朱瓚は実は相談があるという。「君小姐の名誉に関わります、このまま世子夫人のままにしては? 私から真実を明かし、君小姐の名誉を回復します」つづく( ๑≧ꇴ≦)ちょw金十八がしれっと九齢の戦術会議に参加してるんですけどwww
2023.05.05
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君九龄 Jun Jiu Ling第29話「世子夫人の活躍」成国公(セイコクコウ)夫人を助け、大名府へ同行することにした君九齢(クンジゥリン)たち。郁(イク)夫人は道中で自分を助けてくれた度胸のある娘が種痘で名を馳せたあの君九齢だと知った。夫人の話では成国公・朱山(シュサン)が前線を離れられず、かと言って朝廷の補給を待つ余裕がないため、大名府の清河伯(セイカハク)に援助を頼みたいという。一方、朱瓚(シュサン)と李三氷(リサンヒョウ)は張宝塘(チョウホウトウ)と合流、すでに開徳(カイトク)府に潜入した仲間と呼応して夜襲をかけた。翌朝、朝廷に開徳府での大勝が伝わった。楚譲(ソジョウ)は上機嫌だったが、実は成国公が配下を派兵して守り抜いたと知り、眉をひそめる。すると黄誠(コウセイ)はこの機会に北祁(ホクキ)と和議を結ぶよう上奏、実はちょうど北祁の使者が謁見したいと礼部尚書に申し出たという。黄誠は開徳府を救ったのが朱瓚だと察した。そこで配下に計画を邪魔した朱瓚を何としてでも見つけ出して殺せと命じる。一方、九齢たちは途中の村で難民たちを見かけ、しばらく留まって施しを始めた。郁夫人は無償で自分を護衛し、寄付までしてくれる理由が分からなかったが、九齢は夫人と同じ志だという。「微力ながら民を助けたいのです」寧炎(ネイエン)は皇帝に諫言して停職になった。すると寧雲釗(ネイウンショウ)が駆けつけ、皇帝が和議のため北祁の使者と謁見したと知らせる。しかし北祁は信じがたい条件を出していた。「互市(ゴシ/貿易)を開き、保(ホ)州・雄(ユウ)州・覇(ハ)州を返還することです」寧炎は机を叩いて激怒したが、雲釗はいずれ皇帝は条件をのむと肩を落とす。実は使者は拒めば5万の兵で南下すると脅していた。郁夫人は九齢と息子が都で懇意にしていたと知り、思わぬ縁を喜んだ。「世子爺は用心深く聡明です、必ず無事に戻られると信じています」「皆にはドラ息子とか魔王と言われているけれど、親しい者は本質が分かるのね」すると柳児(リュウジ)が徳盛昌(トクセイショウ)から急報だと知らせた。文には皇帝が和議を結んで3州を譲り渡すとあった。…あの時、殺せなかったのが悔やまれる…九齢は父を殺して簒奪した上、あっさり和議を結ぼうとする楚譲に憤まんやるかたないが、それは郁夫人も雷中蓮(ライチュウレン)も同じだった。その時、九齢はもはや大名府へ向かう意味がなくなったと気づき、ならば割譲される土地に住む民を避難させようと思いつく。郁夫人は九齢の案に賛同し、成国公を旗印に成功させようと約束した。北を目指していた朱瓚たちも道中で和議の知らせを聞いた。大名府へ向かった母も恐らく報告を聞いて身を守ってくれるだろう。朱瓚は九齢の行方を心配していたが、辺境の民を守るため北上をやめることはできなかった。沢(タク)州の方(ホウ)家では曹(ソウ)氏が帳簿を見て困惑していた。九齢は城を買えるほどの額を一体、何に使ったのだろうか。するとちょうど玉繡(ギョクシュウ)が九齢からの文を持ってやって来た。文を見た曹氏は実は九齢が3州の民を領内へ移すため、銭を使ったと分かる。商人として利益を優先すべきと教えて来た曹氏、しかし銭より貴いこともあると納得し、徳盛昌の余剰利益を全て河北西路(カホクセイロ)に送るよう指示した。九齢たちは百芒(ヒャクボウ)城府衙(ガ)に到着した。すると郁夫人が九齢を息子の許嫁だと紹介し、3州の民を領内に移すよう河間の駐留軍に命じて欲しいと頼む。「割譲するのは土地であって民ではない、移送は当然の務めよ?」田尭(デンギョウ)は同胞を助けたいという熱意に共感し、寛大にも難民の受け入れを認めてくれた。↓嫁?①交渉は上手くいったが、郁夫人は難民に斥候が紛れ込むことを危惧した。そこで九齢はまず難民を隔離場所に入れ、素性を確かめようと提案する。「そうね…そうだ、君小姐、さっきはごめんなさい、勝手に許嫁だと紹介して 役人たちに怪しまれないよう嫁だと言うしかなかったの だけど北方では″世子夫人″の身分が大いに役に立つはずよ 本当に嫁いでくれたら嬉しいのに…」「…夫人、恐縮です」一方、朱瓚たちは立ち寄った酒楼で思いがけず″世子夫人″の存在を知った。客たちの話では勇敢にも世子夫人が難民を救い、北方の民を領内に移すと誓ったという。何でも北祁が入った覇州ですでに数万人を救ったとか。朱瓚は″世子夫人″を語る不届き者が誰なのか想像もつかなかったが、恐らく九齢の耳にも入ったはずだと心配になった。…私を誤解しないでくれよ…↓嫁?②陸雲旗(リクウンキ)は金十八(キンジュウハチ)からの連絡が途絶え、九齢の動向が分からなかった。腹心の江百虎(コウハクコ)は九齢と朱瓚がすでに合流したのではと心配したが、陸雲旗は開徳府を守ったのが朱瓚なら無理だという。ともかく何があったのかすぐ調べるよう命じ、必要なら九齢を連れ戻せと指示した。朱瓚は道中で雲霄閣(ウンショウカク)からの報告を受け取った。母が河間へ向かったと分かったが、世子夫人も同行したとある。「郁夫人公認の嫁?!」宝塘は驚いたが、朱瓚は母が騙されていやしないかと不安になり、先を急いだ。九齢と郁夫人は民の救出を急ぐため二手に分かれることになった。2人はそれぞれ難民を城内へ送るが、留め置かずに南下させれば負担も減ると助言する。すると西へ向かった九齢たちはちょうど北祁軍の捕虜となった民たちを見つけ、全員を逃した。九齢を守らねばならない武徳司は図らずも手助けすることになったが、金十八は九齢が″世子夫人″と呼ばれていると知る。↓嫁?③一方、朱瓚は兵を率いる世子夫人が向かうところ敵なし、数万の民を逃したと知った。しかも捕虜になった民まで全て取り戻したという。朱瓚はそれより行方のわからない九齢が心配だった。…無事だろうか、まさか陸雲旗の手中に?…ともかく保州にいる父の弟子・姜成(キョウセイ)を頼り、兵馬を借りて父の元へ急ぐと決めた。楚譲は北祁が和議を申し出ながらまだ戦を止めないことに憤った。袁宝(エンホウ)の話では成国公が撤兵を拒んだ上、妻と嫁を覇州に遣わして民を領内に移送したせいだという。しかし陸雲旗はどちらにしても皇帝に利があると進言した。民の移送が成功すれば慈悲深い皇帝だと讃えられ、失敗すれば成国公の責任になるという。すると武徳司に戻った陸雲旗は保州で朱瓚を見つけたと聞いた。「それで捕らえますか?」「…いいや、殺せ」保州では姜成がすでに軍を率いて朱瓚たちを待っていた。「我々は世子と共に北上し、民を領内に護送します」姜成はお尋ね者の世子が現れたことは朝廷に知らせるが、この非常時では伝令兵が道中で不幸に遭うこともあるという。すると朱瓚は父に代わって感謝し、自分たちに国の存亡が懸かっていると鼓舞した。その頃、九齢は朱瓚の無事を祈りながら涙していた。…あなたが恋しい、どうか無事に戻って、待っているわ…一方、前線の成国公は敗北したと見せかけ、敵の左翼を突いていた。敵は左翼を率いる太子を守るため、撤退を余儀なくされてしまう。九齢たちは成国公のおかげで難を逃れ、残兵なら自分たちで対応できると安堵した。すると雷中蓮が駆けつけ、世子の消息が分かったと知らせる。「父君の元へ向かっています!」しかし河間府によれば和議が正式に成立し、北祁の兵馬が3州へ入るという。「北方を撤退せよとの命に背けば謀反とみなすと…」つづく( ๑≧ꇴ≦)嫁③段落ちそれにしても地理がさっぱり分からないw
2023.05.04
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君九龄 Jun Jiu Ling第28話「不穏な戦況」陸雲旗(リクウンキ)は太医・江友樹(コウユウジュ)を詔獄(ショウゴク)に閉じ込めた。宮中から所在を聞かれた時は難病を患った罪人の診察を頼んだと説明すればいいという。「住み込みで治療に励んだのだ、続きは分かるな?」「治療の最中、病を移され亡くなったと…」陸雲旗は独りになると思わずつぶやいた。「私の女を陥れようとするからだ」朱瓚(シュサン)は北祁(ホクキ)が開戦準備を始めたと知り、皇帝に謁見した。「どうか私を北方にお戻しください!」しかし楚譲(ソジョウ)は成国公(セイコクコウ)を弾劾する上奏文を投げつけ、また戦をして私腹を肥やすのかと激高した。朱瓚は全て讒言(ザンゲン)だと否定したが、結局、司牧監(シボクカン)に追い返されてしまう。一方、君九齢(クンジゥリン)は痘苗(トウビョウ)の問題を解決するため、柳児(リュウジ)と陳七(チンシチ)をお供に北方へ向かっていた。すると警護の雷中蓮(ライチュウレン)が武徳司の追っ手が現れたと馬車に知らせる。しかし見たところ武徳司が動く様子はなく、九齢はそのまま北へ急いだ。都の九齢堂は薬鋪として忙しい毎日を送っていた。するとようやく九齢から文が届き、方錦繍(ホウキンシュウ)は痘苗問題が解決したと分かって安堵する。実は種痘(シュトウ)の方法を学んだ医者が欲を出し、無断で痘苗を作ったことが原因だった。司牧監に戻った朱瓚は張宝塘(チョウホウトウ)、李三氷(リサンヒョウ)と接触した。九齢は痘苗問題を解決したが、その後、行方が分からないという。朱瓚は恐らく武徳司から身を隠したと気づいたが、離れているだけに心配は尽きなかった。その頃、陸府では楚九黎(ソキュウレイ)が風邪で寝込んでいた。太医は養生すれば治ると安心させ、薬を煎じに向かう。「公主、お身体を大切になさいませ、懐(カイ)王のためにも…」「分かってる…九齢から私たちの世話を頼まれたのね?」「いいえ、九齢は何も…」「ではあなたに感謝しなくては」陸雲旗は回廊で独り物思いにふけった。…九齢、九黎公主に感謝された、君の頼みかと聞かれたよ、全ては君のためだと知ったら君は感激してくれるだろうか、いずれにせよ君を愛している、君に少しでも似ている者なら何が何でも捕まえて絶対に離さない…↓( ̄ー ̄ )フッ…ってどうした?w黄誠(コウセイ)は復讐のため北祁と通じていた。郁遅海(イクチカイ)は黄誠の策のお陰で真定(シンテイ)の3郡が手に入ると喜んだが、黄誠は機嫌が悪い。成国公は北祁に葬られるどころか、怒涛の速さで駆けつけ、河間(カカン)府を奪還していた。しかし郁遅海は北祁王の命令で和議を結びたいと申し出る。黄誠は和議を結んだら息子の敵を誰が討つのかと憤り、しかも成国公の功績になってしまうと焦った。そこで一度、死に物狂いで戦ってみろと煽る。「即断即決が肝心だぞ?」北祁が宣戦布告、国境に迫った。しかし成国公の猛攻で雄(ユウ)州では惨敗を喫し、こう着状態となる。郁遅海は玉璽(ギョクジ)を手土産に黄誠を訪ね、策を授けて欲しいと頼んだ。すると黄誠は天侑(テンユウ)の泣き所である開徳(カイトク)府を襲撃するよう指示、必ず皇帝は成国公を呼び戻すという。「知略に長けた黄大人こそ天侑の君主にふさわしい」「都督、忘れるな、必ず朱山(シュサン)と息子を殺すのだ」朝廷に開徳府が襲撃されたと一報が届いた。かつて開徳府に侵攻した北祁は都まで南下し、太上皇が捕らわれて殺された苦い過去がある。仕官した寧雲釗(ネイウンショウ)は今回も進軍経路と戦術が同じだと知り、そんな偶然があるはずないと怪しんだ。黄誠は直ちに成国公を呼び戻すよう嘆願したが、寧炎(ネイエン)は北方が取られてしまうと反対する。一方、戦況を知った朱瓚は開徳府への襲撃が罠だと気づいた。目的は父の軍のかく乱だろう。もはや一刻の猶予もないと悟った朱瓚は馬を全て逃し、どさくさに紛れに脱出した。楚譲は自分の命を惜しみ、成国公を呼び戻すよう命じた。その最中、朱瓚が逃げたと急報が舞い込む。楚譲は朱瓚の逮捕を命じたが、陸雲旗は配下に武徳司が必ず先に捕らえるよう指示した。九齢は北祁が宣戦布告したと知っても引き返さず、種痘を広める旅を続けていた。村人たちには成国公が民を思って自分を遣わしたと説明、安心して接種するよう訴える。すると次の村へ移動中、武徳司が再び九齢を見つけて後を追って来た。その時、偶然、賊たちに追われる成国公夫人を目撃する。九齢は武徳司を利用しようと思いつき、雷中蓮たちを連れて馬で現場へ駆けつけた。雷中蓮たちも加勢して賊に応戦した。すると九齢を追っている武徳司が現れる。賊たちは援軍が来たと誤解、慌てて撤収した。九齢は足をくじいた朱瓚の母を介抱した。聞けば郁(イク)夫人は大名府へ行く途中だという。雷中蓮は賊ではなく北祁人だと報告、すると九齢は納得し、行き先を大名府にすると伝えた。「急ぎ出発しましょう…夫人、お送りします」そこで九齢はこれを機に武徳司と接触した。「陸大人はいつ私を捕まえるつもり?」「そんなつもりはない」「おお?じゃあ護送が目的なの?…それならよろしく頼むわね」金十八(キンジュウハチ)は統領からの命のため、ただ黙って九齢についていくしかなかった。開徳府を目指していた朱瓚は敵兵の部隊が占拠した村を見つけた。そこで人質になった女たちを解放し敵兵に応戦、すると三氷が現れ加勢し、敵兵を一掃する。「宝塘は仲間と開徳府に向かった、君小姐の続報はない」朱瓚は九齢が心配だったが、ともかく急いで開徳府に向かった。成国公は皇帝の勅命を無視した。これを重く見た黄誠は反逆罪だと弾劾したが、寧炎は息子の危機より北方の侵攻を優先した成国公の忠誠心を訴える。しかしこれが皇帝の逆鱗に触れ、寧炎は停職処分、3ヶ月の軟禁を言い渡された。つづく( ゚ェ゚)そう言えばいつの間にか陳七が側近?w
2023.05.03
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君九龄 Jun Jiu Ling第27話「縁談の行方」君九齢(クンジゥリン)と行き違いになった方承宇(ホウショウウ)だったが、客桟で無事に再会した。嬉しさのあまり思わず九齢を抱きしめてしまう承宇、しかし九齢はまるで弟をあやすように背中を叩いて笑う。すると承宇は九齢が帰郷することを沢(タク)州中に知らせてしまったと明かした。「まったく大げさなんだから~」こうして九齢は懐かしい方家に到着、曹(ソウ)氏たちからも歓迎される。九齢は早速、錦繍(キンシュウ)から預かった土産物も渡し、今は錦繍もすっかり立ち直ったと安心させた。一方、ひと足先に実家に戻った寧雲釗(ネイウンショウ)は九齢が帰郷したと聞いて驚いた。なぜ急に気が変わったのだろうか。すると父・寧異(ネイイ)が駆けつけ、この機会に雲釗と九齢の縁談話を進めたいという。「種痘で名を上げた君小姐が嫁いでくれたらどれだけ名誉なことか」「…そういうことですか」雲釗は正直に自分の想いを告げたことがあったが、きっぱり断られたと明かした。その頃、朱瓚(シュサン)は黄誠(コウセイ)一派ばかりの司牧監(シボクカン)で大人しく馬の世話をしていた。すると張宝塘(チョウホウトウ)と李三氷(リサンヒョウ)が潜入、馬屋にいる朱瓚と接触する。実は黄誠が通っている書店を調べたところ、店主の張思明(チョウシメイ)は北祁(ホクキ)が送り込んだ密偵の可能性があるという。驚いた朱瓚はすぐ父に知らせ、書店の動きを見張るよう頼んだ。「二哥、それから君小姐は無事に沢州に到着しましたよ」「うん、陸雲旗(リクウンキ)から守ってやってくれ」寧雲釗は方家に九齢を訪ねた。急に戻った理由を聞かれた九齢は陸雲旗の件だと認めたが、本当は朱瓚のためだと明かせない。そこへ徳盛昌の仕事を片付けた方承宇が土産を持って帰って来た。雲釗は九齢に一緒に都へ戻らないかと誘ったが、嫉妬した承宇は具合の悪い母親を置いて戻れば親不孝だと牽制する。すると九齢も一理あると賛同し、こうして自分たちが会うことも迷惑をかけると言った。「婚約の話は偽りだと話した方がいいわ」「いや、それこそ母が具合が悪いのに親不孝と言われ兼ねない」九齢は自分を助けてくれた寧雲釗に改めて感謝し、見送った。寧公子の来訪が面白くない方承宇、すると九齢からなぜ寧雲釗に意地の悪いことを言ったのかと叱られてしまう。「あいつは嫌いだ、寧家には恨みがあるし…」「もう済んだことよ?それに婚約のことは私を助けるためにしたことなの」「…分かったよ、もうしない」しかし雲釗は方承宇も九齢を好きなのだと分かった。その夜、都の錦繍から知らせが届いた。朱瓚が無事に詔獄(ショウゴク)を出て司牧監へ送られたという。しかし思いがけず河北西路(カホクセイロ)で子供が種痘で死んでいると知った。九齢はすぐ現地へ行くと決めたが、ちょうど増兵を始めた北祁に近く、承宇は危険だと反対する。「だからこそ種痘のことで心配をかけられない、原因を確かめなくては」すると柳児(リュウジ)がやって来た。何でも寧家の老爺が婚姻について明日、話し合いたいと言ってきたという。寧異は息子が止めるのも聞かず、方家を順徳(ジュントク)楼へ招いた。雲釗と九齢はひとまず別室で待つことになり、寧異は曹氏たちと縁談を進めることにする。しかし曹氏は今や山陽(サンヨウ)県主に封じられた九齢の縁談を勝手に決めることはできないと難色を示した。するとのけ者にされたと知った寧夫人が押しかけて来る。寧夫人の態度は相変わらず、九齢が状元(ジョウゲン)になった息子にまとわりついていると嫌味を言った。曹氏は当主の顔を立てて来てみたが、やはり九齢が縁談を破棄した時点で寧家との縁は切れたと実感する。「せっかくお招き頂きましたが、この話はなかったことに… いくら良い婿殿でも、姑がこの調子ではあの子の両親に顔向けできません このような態度では婚姻など無理です」寧異は妻を制したがもはや手遅れ、曹氏たち取りつく島もなく帰ってしまう。一方、寧雲釗は九齢が危険を承知で河北西路へ向かうと聞いていた。「痘苗(トウビョウ)の件を調べに行くわ、民心と軍が安定してこそ国を救える」雲釗は九齢の志に感服し、無事を祈って献杯した。「私は母の具合が良くなったら都へ戻るよ…だが朝廷で自らを保つのは難しいようだ 学問を修めて役人になっても堕落する者ばかりだ」「官たる者、民を思う心を礎とすべきよ、それがあってこそ事が成せる 時に回り道になっても礎さえ堅固であれば大丈夫」「九齢…君が男ならきっと名宰相になっただろう」すると雲釗はもう一度だけ九齢への想いを告白した。孤独だった雲釗にとって九齢との出会いはかけがえのない縁、しかし九齢はやるせなくなって話を遮ってしまう。「許して、でも希望を持たせぬようきっぱり断る方がいい、それが相手のためだと思うから」「大丈夫だ…思う人ができたのは苦痛ではなく天の恩恵、君小姐、安心して」雲釗は九齢が大変な時には是非、手伝いたいと申し出た。↓寧公子を泣かせちゃう9ちゃんェェェ…その頃、宝塘と三氷の報告を聞いた朱瓚も北祁が開戦準備を始めたと気づいていた。先の皇帝なら一歩も譲らなかったが、楚譲(ソジョウ)のこと命を惜しむだろう。何より密偵と通じている黄誠が和議を言い出す可能性もあった。「陛下に会う、らちが明かぬなら北方に戻る」寧異は良縁が夫人のせいで台無しにされ、落胆して屋敷に戻った。しかし雲釗はそもそも九齢にその気がなかったと話し、結局、縁談は流れてしまう。一方、承宇は九齢の出発準備を手伝いながら、縁談がどうなったのか聞いた。「子供がそんなこと気にしないの」「子供扱いして」承宇は九齢への想いを伝えたかったが、肝心の九齢は自分を弟としか見ていないと分かった。九齢は雷中蓮(ライチュウレン)率いる警護隊に守れ旅立った。今やすっかり腕も治った雷中蓮、実はこの防御陣型はあの時、令九(レイキュウ)から学んだものだという。九齢はふと空を見上げ、朱瓚も北方の状況を聞けば帰りたがるはずだと思いを馳せた。方玉繡(ホウギョクシュウ)は弟が結局、九齢に告白できなかったと知った。しかし承宇は恋心を封じ、良き弟として一生、九齢を守れればいいという。「気持ちを尋ねたら、その幸せも失ってしまうから…」太医院にも内密に痘苗で十数人が死んだと報告が舞い込んだ。馮(フウ)大夫は調査をしてから報告するつもりだったが、太医たちは隠すつもりだと勘繰る。江友樹(コウユウジュ)は君九齢を追及する好機を逃すまいと、早速、武徳司(ブトクシ)に駆けつけた。「明日、朝議の場で上奏してください」事情を聞いた陸雲旗は承知したが、江太医に頼みがあるという。江太医と弟子は詔獄に案内された。すると牢へ入るよう促され、いきなり閉じ込められてしまう。「陸雲旗!勝手に投獄するとはどういう事だ?!」しかし鬼手(キシュ)は無駄に体力を使わない方が良いと不気味に笑った。つづく( ๑≧ꇴ≦)えー!ルールーどうするつもりだ?!
2023.05.02
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君九龄 Jun Jiu Ling第26話「再び沢州へ」君九齢(クンジゥリン)は賢(ケン)王府へ往診に出かけた。方錦繍(ホウキンシュウ)と陳七(チンシチ)は九齢を見送りながら、賢王が何か思惑があって九齢堂を訪ねたのだと察する。当然、九齢も気づいてついて行ったのだろう。2人はこれが朱瓚(シュサン)世子を助ける糸口になることを期待し、仕事に戻った。診察を終えた九齢は賢王も王妃も健康だと太鼓判を押した。賢王は相変わらず自堕落な生活を送っている様子だが、九齢はそれが安全でいるための唯一の道だと知っている。かつては勉学に励み、大志を抱いていた叔父。今ではもぬけの殻のようで、これが懐(カイ)王・楚九穃(ソキュウヨウ)の将来の姿だと思うと虚しくなった。「恐れながら王爺(ワンイェ)が九齢堂へお越しになったのは世子の頼みで?」陸雲旗(リクウンキ)の嫌がらせで九齢堂から人々の足が遠のく中、賢王は自分を助けるために訪ねてくれたのだろう。「まさか、評判を聞いたからだ」賢王は詔獄(ショウゴク)にいる朱瓚が頼めるはずないと否定したが、朱瓚に九齢のような賢い友人がいるのは幸いだという。すると賢王は懐王を救ってくれたことを感謝した。九齢は叔父が姉弟を気遣ってくれていると知って安堵したが、実は都を離れると報告する。「どうしてだ?…誰かが害そうとするなら私が守ってやる」「ありがとうございます、王爺…でも去るしか方法がないのです」九齢は必ず戻って来ると約束し、陰ながら朱瓚を守って欲しいと嘆願した。賢王府を出た九齢は陸雲旗に直談判することにした。すると慌てふためく様子で武徳司へ向かう張宝塘(チョウホウトウ)と李三氷(リサンヒョウ)と出くわす。実は朱瓚が拷問されたと知り、これから殴り込みに行くというのだ。驚いた九齢は返り討ちに遭うだけだと反対し、自分が話をつけるという。陸雲旗は九齢が来ると分かっていた。「来たか…」「予期していたようね…世子に会わせて、治療するわ」「他の男にご執心とは腹立たしい、だが…」↓(  ̄꒳ ̄)<来たから許す九齢は改めて自分は九齢公主ではないと否定し、公主の代替品になるつもりはないと訴えた。そこで私憤を晴らすため世子を殺せば皇帝が許さないと警告したが、陸雲旗は聞く耳を持たない。「だったら私が都を離れるのはどう?」↓( ゚д゚)<都を離れる…「それが私の条件よ」すると陸雲旗は九齢を詔獄へ案内するよう命じた。朱瓚は牢に入ってきたのが九齢だと気づいて愕然とした。「誰の許しで入れた?!私は会わぬぞ?!」「陸雲旗の許しよ」朱瓚は武徳司が出て行くと、なぜ万軽(バンケイ)を見殺しにしたのか聞いた。しかし実は九齢が万軽を城外へ脱出させてくれたと知る。九齢は思わず目を背けたくなるような傷に胸を痛めた。これも自分を守るためだったと思うと、無念で涙があふれて止まらない。「さっき怒鳴ったのは君に累を及ばさぬためだ、黄誠(コウセイ)は私の仲間に必ず報復する」「陸雲旗と話したわ、私は都を離れる」「取引したのか?…私を守るため犠牲に?!ダメだ!」朱瓚は九齢が城外に出たら陸雲旗の思い通りにされてしまうと心配した。「朱瓚、約束よ?身を守ってちょうだい、あなたが無事なら私は生き延びられる…」その時、話が全て終わる前に武徳司が迎えにきてしまう。賢王は参内し、朱瓚を助けて欲しいと上奏した。できれば遊び相手として自分のそばに置きたいという。しかし楚譲(ソジョウ)は利害がからんでいるので関わるなと追い返した。「誰が朱瓚の命乞いをするか楽しみにしていた、だが結果はこれだ… 陸雲旗に殺さぬよう告げろ」袁宝(エンホウ)は拝命し、異論が噴出しているものの、丞相を恐れて誰も声を上げないのだという。どうやら朝臣は腰抜けばかり、これは喜ぶべきか憂うべきか。楚譲は思わずため息を漏らした。九齢は直ちに都を離れると決めた。陳七は女だけの旅を心配して同行を決め、早速、荷造りに向かう。そこで九齢は九齢堂を錦繍に任せ、診療をやめて薬の卸しに専念させることにした。錦繍は九齢が自分を都に呼んで帳簿係にしたのは、始めから九齢堂を任せるつもりだったと気づく。「あなたはいつも一歩先を考えてる」「錦繍、問題が起きたら肩ひじを張ってはダメよ?困った時は賢王を頼って 忘れないで、人を除けば捨てられないものはない」「分かってるわ」すると錦繍はしんみりするのが嫌で、今ごろ沢州では寧夫人が怒り心頭のはずだと笑った。九齢は柳児たちと沢州へ旅立った。しかし丸一日経っても武徳司が追って来る様子はない。恐らく誰かが追い払ってくれたのだろう。…私の文を読んだ陸雲旗は約束通り黄誠を説得して朱瓚の命を守ってくれるはず…その頃、陸雲旗は金十八(キンジュウハチ)が宝塘と三氷に妨害され、九齢一行を見失ったと聞いた。「また世子の配下か…今は焦るな、九齢を生かせてやれ、家族に会えるのも最後だ」黄誠は陸雲旗に説得され、皇帝に朱瓚の釈放を嘆願した。今になって思えばあれはただの事故で、息子の命を奪ったのは確かに暴馬だったという。「息子の死などささいな私事、国事を優先してください 辺境で重責を担う成国公に影響を与えるわけにはいきません 今回のことで朝臣からも批判が出ており、迅速に処理すべきかと…」朱瓚の牢に袁宝と陸雲旗がやって来た。朱瓚は九齢の助言に従い、殊勝なふりをして今後は何事にも関わらないと約束する。皇帝は朱瓚を司牧監(シボクカン)に左遷、馬の世話をさせて反省させることになった。すると朱瓚は独りで起き上がり、歩いて牢を出てしまう。その様子を見ていた鬼手(キシュ)は驚愕した。「寝床を離れられるとは…九大夫の薬は大したものだ」一方、方承宇(ホウショウウ)は九齢の到着を待ちきれず、高(コウ)執事たちと一緒に迎えに出かけた。祖母には客桟で九齢を待つと伝えたが、一刻も早く九齢に会いたい承宇はひたすら馬をかけて行く。するとついに陳七の馬車と合流した。しかし九齢の姿がない。実は九齢は独りでの君応文(クンオウブン)の墓参りに来ていた。…師父、会いに来ました…この一年、幾多の困難に遭いましたが負けませんでしたよ…ご心配なく、必ず楚譲に復讐します九齢は沢州の事案に方家が関わっていたと報告し、これから楚譲の罪を示す証拠を集めるという。「どうかご加護を…復讐を果たしたらまた参ります」承宇は九齢が別行動で墓参りに向かい、今頃は沢州へ着いた頃だと聞いた。しかも陳七たちと郊外の客桟で合流する約束だという。承宇は本来、待つはずだった場所だと悔しがり、ともかく急いで引き返すことになった。その頃、帰郷した寧雲釗(ネイウンショウ)は縁談の件で母と妹・雲燕(ウンエン)に問い詰められていた。しかし父・寧異(ネイイ)が事情を説明し、急場しのぎの偽りだっと釈明してくれる。寧夫人は安堵し、偽りだと公表するのはいつかと聞いた。すると雲釗は安易に婚約を破棄しては状元(ジョウゲン)の名に傷をつけてしまうと歯切れが悪い。雲燕は実直な兄らしくないと気づき、君蓁蓁(クンシンシン)のことが好きなのだと分かった。動揺した雲釗は言葉に詰まったが、正直に自分の気持ちを認めてしまう。「そうだ…彼女が好きだ!」寧夫人は激怒、息子の話も聞かずに席を立った。つづく( ๑≧ꇴ≦)ルールーwww ←こればっかりw
2023.04.29
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君九龄 Jun Jiu Ling第25話「孫娘の敵討ち」沢(タク)州の方(ホウ)家。玉繡(ギョクシュウ)は寧雲釗(ネイウンショウ)が君九齢(クンジゥリン)との婚約を宣言したと知り、弟の複雑な気持ちをおもんばかった。恐らく寧雲釗は好意があるからこそ咄嗟に九齢を助けたのだろう。すると承宇(ショウウ)は自分でなくとも九齢を守ってくれたのならそれでいいと寛大だった。「私たちの承宇は立派な大人になったのね」一方、寧家には殿試の結果が届き、雲釗の母も妹も大喜びだった。しかし祝いに来た知人から思いがけず君九齢との縁談話を蒸し返され、2人は困惑する。「誤解よ、婚約はすでに取り消したの」「まあ奥様~寧公子が合格発表の翌日、君小姐との婚約を宣言したのでしょう? 近く婚礼を挙げるとか…」寝耳に水だった寧夫人は動揺を隠せず、思わず頭を抱えてしまう。科挙が終わり、大街で合格者のお披露目行列があった。九齢は柳児(リュウジ)と一緒に寧公子の晴れ姿を見ようと駆けつけたが、柳児は皆に気づかれたら騒ぎになると心配する。「大事になるほど陸雲旗は自粛するわ」その時、寧雲釗が九齢の姿を見つけた。九齢は拝礼して見送ったが、頭を上げると通りの向かいにいる朱瓚(シュサン)たちの冷たい視線が突き刺さる。( ̄▽ ̄;)ぁ…朱瓚は婚約者の祝いに来ていた九齢を見て落胆した。しかし張宝塘(チョウホウトウ)と李三氷(リサンヒョウ)は九齢が好きなのは朱瓚だと励ましてくれる。一方、陸雲旗(リクウンキ)は公主の前でもあからさまに不機嫌だった。楚九黎(ソキュウレイ)は世子夫人になろうと状元(ジョウゲン)夫人になろうと君大夫の好きなようにさせてはどうかという。すると陸雲旗は不気味な笑みを浮かべた。「公主にそっくりなら公主のように暮らすべきです、それが嫌ながら生かしておく理由はない」陸雲旗は九齢が往診に出かけるたび、その屋敷に武徳司(ブトクシ)を送り込んで嫌がらせした。すると自分の意図に気づいた九齢が自ら会いに来る。「何が目的ですか?私の婚約はご存知でしょう?」「それが何だ?君が好きで心から娶りたい」「…あなたには嫁ぎません、私は医者で病人を救うのが職責、他人を巻き込まぬように」しかし陸雲旗は馬鹿馬鹿しいと言わんばかりに大笑いして取り合わなかった。そんなある日、九齢と柳児は大街で高貴な男が練り歩く姿を見かけた。柳児はもの珍しさでついて行こうとしたが、九齢が止める。「黄誠(コウセイ)の息子・黄子清(コウシセイ)よ、あの男に近づいてはだめ 武徳司が殺した役人のうち半数以上が黄子清の指示よ」その時、花売りの娘が九齢とぶつかった。九齢はその娘が万大春(バンタイシュン)の孫娘・万軽(バンケイ)だと気づいたが、どこか様子がおかしい。「後をつけましょう」その先には黄府があった。黄府の前は宴に来る高官を見ようと人だかりができていた。すると唐(トウ)官吏がちょうど門前に到着した黄子清を呼び止め、聞こえよがしに丞相への取り次ぎを頼み込む。実は成国公(セイコクコウ)を弾劾する上奏文をまた何(カ)御史に却下されてしまったというのだ。黄子清は了承したが、実は箱の中には上奏文と一緒に官銀を忍ばせてあった。万軽は黄子清が屋敷へ入ってしまう前に慌てて人混みから飛び出し、大袈裟に転んだ。驚いて振り返った黄子清は娘の美しさに目を留め、近くで顔を見ることにする。万軽は黄子清が接近するぎりぎりのところまで待つと、そこですかさずそでに隠していた短剣を出して黄子清の胸を突き刺した。陸雲旗が遅れて黄府に到着すると、屋敷の前は騒然となっていた。捕らわれた万軽は暴行され血だらけ、そこへ息子の一大事を知った黄誠が客人たちと慌てて飛び出して来る。太医・江友樹(コウユウジュ)はさすがに心臓をひと突きされては手の施しようがなかった。しかしその時、群衆のなかに君九齢の姿を見つけ、罠にはめようと企む。「黄大人…少爺を治せる者がいます、どんな傷も治せるという君大夫です」すると黄誠は人生で初めてひざをついた。「君大夫、どうか息子を助けてくれ!」朱瓚たちが黄府に駆けつけた時にはすでに手遅れだった。しかし驚いたことに現場に九齢がいる。「なぜここにいるんだ?!」九齢は医者として選択を迫られていた。万軽と黄誠との板挟みで苦しむ九齢、その様子を見ていた朱瓚はもし黄子清を救えば民衆を敵に回し、また大勢が殺されることになると憤る。李三氷は成国公を目の敵にしている黄誠に関わってはならないとなだめたが、その時、朱瓚はちょうど荷車が止まっていることに気づいた。九齢は医者の本分として黄子清を救うことにした。しかし黄子清の腕に鍼を打とうとした時、突然、暴走した馬がやって来る。陸雲旗は慌てて手綱をつかもうとしたが失敗、すると朱瓚が咄嗟に九齢を抱えて避難した。結局、黄子清は馬に踏みつけられ死亡し、万軽も敵の死を見届けて息絶えてしまう。朱瓚は馬を止めてから黄誠にお悔やみを伝えた。しかし黄誠は朱瓚が企んだと気づき激怒、そこへ騒ぎを知った袁宝(エンホウ)が駆けつけ、朱瓚を捕らえるよう命じる。憤懣やるかたない黄誠は成国公と世子2人の命で償わせると息巻いたが、朱瓚は父には関係ないと言い返した。李三氷が九齢堂に駆けつけた。九齢に頼まれた通り宝塘が万軽を城外へ脱出させたという。実は九齢は黄子清が馬に踏まれた後、騒ぎの最中、密かに万軽へ薬を渡していた。『万軽、黄子清が死んだ今、命はないわ、これを飲んで…』そこで李三氷と宝塘に黄家の使用人たちが引き上げてから仮死した万軽を城外へ出すよう頼んでいた。しかし詔獄に捕まった朱瓚を救うのは容易ではない。九齢は三氷に暴挙に出ないよう釘を刺し、まずは朱瓚の様子を調べるよう頼んだ。現場にいた陸雲旗は暴れ馬が突進して来て黄子清を死に至らしめたと説明した。確かに馬を追いかけて制したのは朱瓚だという。黄誠は朱瓚が馬を刺激したに違いないと訴えたが、楚譲(ソジョウ)は必ず公平に処理すると約束した。ここは悪名高き武徳司の詔獄。拷問で罪人の悲鳴が響き渡る中、鬼手(キシュ)は大物の棒叩きの罰が終わるのを今か今かと待っていた。その罪人は屈強で100回たたかれても死なず、時折、声を上げるだけで乗り越えたという。「こりゃ楽しみだ~!わはははは~!」はりつけにされた朱瓚は鬼手の声で目を開けた。「世子爺、傷の手当てをして差し上げましょう」「断っても?」「ダメです」その頃、九齢堂に珍客が現れた。…皇叔?!何の用かしら?…賢(ケン)王は気分がすぐれないが太医が原因を突き止められず、君大夫に診て欲しいという。九齢は早速、脈診したが、賢王はいたって健康だった。すると賢王は良ければこれから屋敷へ来て家族を診て欲しいという。…病人がいれば太医が診るはず、朱瓚の件で来たのね…九齢は朱瓚が賢王と懇意だったことを思い出した。陸雲旗は朱瓚の哀れな姿を見て得意になった。「黄子清を殺すとはとんだ愚挙に出たな 例え皇帝に上奏が届いたとしても、弾劾を聞き入れるとは限らないのに…ふっ みんな力を尽くせ、世子に武徳司を甘く見られては困る」しかし鬼手がまずは自分の新しい薬を試すと言った。つづく( ๑≧ꇴ≦)どんどんオカルトへw
2023.04.28
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君九龄 Jun Jiu Ling第24話「名声と醜聞」九齢堂(キュウレイドウ)に武徳司(ブトクシ)の金十八(キンジュウハチ)が君九齢(クンジゥリン)を迎えにやって来た。昨夜から懐(カイ)王・楚九穃(ソキュウヨウ)の熱が下がらないという。しかし懐王府で九齢を待っていたのは陸雲旗(リクウンキ)だった。「聡明な君なら察したはずだ、自分を呼ぶ口実だとな」九齢は医者の本分で来たとごまかしたが、陸雲旗は全てお見通しだった。「本分ねえ~君は顔と名を変え、王族や貴族を診て太医院と張り合った ここに来るの目的だろう?君が来たいなら歓迎する、いやずっとここにいてくれて構わない」「何ですって?」「懐王は裏庭にいるぞ」楚九穃は君大夫に怒りを爆発させた。「帰れ!姐夫を誘惑して姐姐をいじめたな!帰れ!」九齢はどんなに九穃に責められても我慢していたが、ついにこらえ切れず九穃を抱き寄せてしまう。すると九穃はふと二姉の温もりを感じ、思わず抱きついた。「二姐(Rジェ)なの?」九齢はハッとして九穃の手を自分から引き剥がし、九齢公主とは親友だったと伝えた。「私は永遠に懐王と九黎(キュウレイ)公主の味方です」都ではまことしやかに九齢と陸雲旗の噂が広まった。実は九大夫が青山(セイザン)から無事に戻れたのは陸統領の情があったからだという。誰かが故意に流したことは明らかだったが、九齢は相手にしなかった。しかし思わぬ事件が起こる。「小姐、大変です!成国公(セイコクコウ)世子が武徳司と殴り合いに…」陸雲旗は再び九齢堂に結納品を送ろうとしていた。しかし朱瓚(シュサン)が邪魔し、結納品を壊して武徳司ともみ合いになってしまう。武徳司の前はすでに人だかりができていた。陸雲旗と朱瓚は公衆の面前で激しく殴り合いになったが、知らせを聞いた袁宝(エンホウ)が駆けつける。「やめんか!…皇宮の近くでなんたる体たらく!陛下の耳に入らぬとでも?!」聞けばもめ事の原因は君九齢だった。朱瓚は断られても結納品を送った陸雲旗を恥知らずだと非難、しかし陸雲旗は自分と九大夫との問題になぜ口を出すのかと迫る。その様子を九齢たちも見ていた。民衆は確かに世子も答えようがないだろうと揶揄した。爵位を継ぐ身で勝手に婚姻を決めることはできず、もし自ら娶ると言って成国公に反対されれば九大夫は笑い物になる。「それは私が…」追い詰められた朱瓚はついに口を開いたが、その時、偶然、通りかかった寧雲釗(ネイウンショウ)が現れた。「…私が君小姐の許嫁だからです、陸大人にはとんだ誤解を与えてしまったようだ 世子は事情を知って助けてくださっただけなのです」寧雲釗は騒ぎを収めるため、九齢とは幼い頃から婚約していたと明かし、近く婚姻すると嘘をついた。袁宝は事の顛末を報告、皇帝にとって都合が良いと進言した。今や君大夫は男3人を争わせたことで名声が地に落ち、立派な功績を残しても民が広めるのは醜聞だという。「方家(ホウ)に朱家、寧家まで加わったか…陸雲旗に言っておけ、朕をがっかりさせるなとな」その夜、朱瓚はひどく酔っ払った。( ;∀;)<もう北方に帰りたい…ぅ…泣いてる…(;´・ω・)(・ω・`;)…泣いてる張宝塘(チョウホウトウ)と李三氷(リサンヒョウ)は朱瓚の傷心の原因が寧雲釗の告白だと察し、気が晴れるまで飲ませるしかなかった。一方、寧雲釗は九齢堂を訪ね、事態を収めるためには他に策がなかったと釈明した。「婚約話を蒸し返すつもりはない」そこで寧雲釗はほとぼりが冷めるまで沢(タク)州に戻るよう勧める。九齢はむしろ寧雲釗に迷惑がかかると心配したが、寧雲釗は借りを返す時だと言った。九齢が寝支度をしていると突然、泥酔した朱瓚が酒を持って入って来た。朱瓚は九齢に夫が何人いるのかとからみ、答えるまで帰らないと勝手に寝台で寝てしまう。翌朝、朱瓚が目を覚ますと九齢がいた。「なぜ私の部屋に?」「よく見て?」朱瓚はようやく自分が九齢の部屋に泊まったと気づいたが、自分の醜態は記憶にない。「あなたは真夜中に来て、″夫が何人いるのか″と私を問い詰めたの あなたには思い人がいるから好きになるなと忠告されたわ」九齢は朱瓚の慌てふためく様子を見て面白がった。「昨日はどうもありがとう」「礼を言うなら窮地を救った状元(ジョウゲン)の夫に…」「もう言ったわ」「え?!昨日の今日でもう会ったのか?!」「あなたにも会ったけど…」すると朱瓚は何も言い返せず、居たたまれなくなって帰って行った。宝塘と三氷は朱瓚が人の寝台で寝るまでになったとからかった。しかし真面目な話、実は雲霄閣(ウンショウカク)から万(バン)家の孫娘が南苑(ナンエン)鎮に現れたと知らせがあったという。「武徳司に捕まったか?もしくは危険を承知で都に入り復讐するつもりか?」朱瓚は念のため宝塘に詔獄(ショウゴク)を、三氷には黄誠(コウセイ)親子を見張るよう頼んだ。「復讐する前に止めないと無駄死にさせるだけだ」寧雲釗の思わぬ行動に寧炎(ネイエン)は頭を悩ませた。九齢は兄嫁の話と違って良い娘だと分かったが、夫人は兄嫁が絶対に許さないという。ともかく寧炎は殿試の結果だけを伝え、雲釗が婚約を持ち出した件はできる限り隠し通すと決めた。一方、方家にはすでにこの騒ぎが伝わっていた。承宇(ショウウ)は最後の手段として自分が都へ出向き、夫だと訴えるつもりだったが、思いがけず寧雲釗が助け舟を出してくれたと知って安堵する。しかし曹(ソウ)氏は寧家の思惑が分からず、何か裏があるはずだと疑った。つづく( ๑≧ꇴ≦)九齢と世子の顔の大きさw
2023.04.27
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君九龄 Jun Jiu Ling第23話「面影を探して」平穏が戻った九齢堂(キュウレイドウ)に武徳司(ブトクシ)の統領・陸雲旗(リクウンキ)が現れた。何事かと身構える君九齢(クンジゥリン)と視聴者、すると陸雲旗は回復した懐(カイ)王・楚九穃(ソキュウヨウ)の種痘に来て欲しいという。こうして九齢は懐王府で再び姉弟と再会し、無事に弟の種痘を済ませた。楚九黎(ソキュウレイ)は弟を治してくれた君大夫に改めて感謝した。まじまじと君大夫を見つめる九黎、確かに陸雲旗の言う通り君大夫にはどこか妹の雰囲気があり、何より弟を心から案じている。九黎は親しみを感じて君大夫の手を握りしめたが、九齢は困惑した。…姐姐は何か勘付いたの?できれば打ち明けたい、でも今はまだその時じゃない…「薬を煎じて参ります」九齢は思わず手を引き抜き、逃げるように部屋を飛び出してしまう。一方、九齢の敵討ちに協力すると決意した成国公(セイコクコウ)世子・朱瓚(シュサン)は朝廷に″清廉な民の味方″がいないか考えていた。しかも皇帝の意に反しても被害を受けない貴い身分でなければならない。「1人、心当たりがある、官職につかず気ままに暮らしている人物が…」すると張宝塘(チョウホウトウ)は賢(ケン)王だと気づいた。その夜は陸雲旗の勧めで九黎と九齢がそのまま懐王府で九穃に付き添うことになった。やがて九穃は身体の発疹から毒が出て熱も下がり、九黎は九大夫から順調だと聞いて安堵する。「そういえば今回は世子が危険を犯して手伝ったとか…以前から知り合いなの?」「都へ来てからです」「そう…妹が生前、世子と親しかったの」九黎は急に涙があふれそうになり、必死にこらえた。「青山(セイザン)では陸大人があなたを困らせたでしょうね」「…重要な任務なので厳しくなさるのは当然です」「思った通りね」「扁額を壊されそうになったことを思えばまだマシです」「ふふっ」九黎は九齢の戯言に笑顔を見せると、着替えのない君大夫に妹の服を貸すことにした。九齢は思いがけず自分の部屋に舞い戻った。…まだ取っておいてくれたのね…衣桁には姉が刺繍してくれた懐かしい衣が飾ってある。…これを着ろだなんて、故意なのかしら?それとも偶然?…九齢は顔が変わっているため問題ないと考え、自分の衣を着て戻った。すると九黎はその立ち姿があまりに妹にそっくりで言葉を失ってしまう。その時、九穃がふと目を覚まし、姉が帰ってきたと喜んで九齢に抱きついた。「殿下、二姐姐ではありません」九穃は君大夫だと気づくと憤慨し、思わず九齢を突き飛ばしてしまう。「これは二姐姐の唯一の形見なのに…」九齢はすぐ着替えてくると言ったが、九黎は君大夫の姿に妹を懐かしみ、構わないと止めた。「帰る時に返してくれれば良いわ」懐王府の様子を見に来た陸雲旗は偶然、回廊を歩く九齢の姿を見た。…九齢、戻ってきたのか?!…そこで腹心の金十八(キンジュウハチ)に例の件を明日の朝に実行するよう命じた。翌日、九齢が戻ると九齢堂に陸府から結納品が届いていた。方錦繍(ホウキンシュウ)たちはやはり九齢が何も知らなかったと分かったが、もはや無関係だと言っても世間は信用しないだろう。「本当に娶るつもりなんてないのよ、私を貶めたいだけ…とにかく返しましょう」結納品を堂々と返せばそれこそ武徳司と完全に敵対してしまうが、九齢にはある妙策があった。「あの8千両も返しましょう」その頃、朱瓚は楚譲の弟・賢王と街を散策していた。民の生活がいかに苦しいか説明していた朱瓚、しかし丞相・黄誠(コウセイ)の屋敷が見えると足を止める。「黄誠は父上と不仲ゆえ通りたくありません …黄誠の父上への態度は息子として見過ごせないのです」「これは内密にな…何日か前に織物を取りに皇宮に行ったら黄誠が陛下に話していた 成国公が皇帝を差し置き、北方でのさばっているとな…」朱瓚は皇帝に嫌われている自分が嘆願しても無駄だと訴え、賢王に税制について上奏して欲しいと頼んだ。すると賢王は大事につき、しばらく考えたいという。そこへ慌てて宝塘が現れた。「君九齢が側室に…陸大人が結納を届けて…」寝耳に水だった朱瓚は驚愕し、叔父を置いて飛び出していった。朱瓚は慌てて九齢堂に駆けつけた。しかしすでに九齢が結納品を送り返したと知る。その頃、ちょうど陳七(チンシチ)が陸府に結納品を届けていた。「陸大人、そのままお返しいたします、それから先日の8千両も一緒に… 今後はこのようなご冗談はおやめください」陸雲旗は陳七の手に楚譲の勅書がある以上、黙って受け入れるしかなかった。「また機会はあると伝えよ」その夜、朱瓚たち3兄弟は勅書を盾に結納品を返した九齢の度胸を称賛した。「やる時はやるな~」すると宝塘が黄誠の息子がまた問題を起こしたと報告する。万(バン)大人は黄子清(コウシセイ)の汚職を上奏しようとしたが返り討ちに遭い、賄賂を受け取ったのは万大人だと濡れ衣を着せられてしまったという。結局、万家は皆殺しとなったが、幸いにも外出中だった孫娘が難を逃れていた。九黎が寝支度をしていると、珍しく陸雲旗がやって来た。実は君九齢との縁談を皇帝に上奏して欲しいという。「私が推薦すれば君大夫の顔が立つとでも?」「一介の女子にとっては身に余る光栄でしょう」「拒んだら?」「できません…殿下も九齢公主に会いたいのでは?」「いいえ」「私は会いたい…女問題など無関心なのに君大夫は別なようですね? それはそうでしょう、彼女は良く似ていますから」「でも別人よ、諦めたら?」「諦めるものか…絶対に!」つづく( ๑≧ꇴ≦)ルールー、いよいよ本格的に壊れて来たかw
2023.04.26
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君九龄 Jun Jiu Ling第22話「蛍の舞う月夜」朱瓚(シュサン)が青山(セイザン)の別荘を抜け出した。陸雲旗(リクウンキ)は君九齢(クンジゥリン)が何か隠していると疑ったが、九齢は知らないという。「かばうなら勅命に背いたと見なし、死罪にする」その時、朱瓚が幼い兄弟を連れて戻ってきた。陸雲旗は罪臣・周本堂(シュウホンドウ)の孫だと気づいて驚いたが、皇帝の勅書で釈放されたのなら手出しできない。仕方なく陸雲旗は退散、すると朱瓚は九齢に兄弟で種痘を試すよう伝えた。周本堂と言えば敵と通じた売国奴だった。医師たちは困惑したが、兄弟は祖父の無実を訴える。実は朱瓚も周本堂が陥れられたと知っていた。今回、種痘を口実に何とか兄弟だけを救い出せたという。幼いながらも自分たちの立場を理解している兄・周京(シュウケイ)と弟・毛毛(モウモウ)、2人は自ら種痘を試したいと望んだ。「ありがとう、必ず2人の命を守って見せるわ」九齢は兄弟に弟の姿が重なり、胸が締め付けられる思いだった。朱瓚は陳七(チンシチ)から九齢が一晩中、苦しむ自分に付き添っていたと聞いた。そこで徹夜続きの九齢を労おうと手作りの汁物を差し入れる。「どうだ?」「…今まで飲んだ人参湯の中で一番、まずいわ」九齢はいたずらっぽく笑いながら、それでも汁物を離さなかった。「朱瓚…どうもありがとう」朱瓚は九齢の憂いを帯びたまなざしに困惑し、思わず席を立ってしまう。「なあ、私に妙な気を起こすなよ?」すると九齢は思わず失笑した。(´゚艸゚)∴ブッ子供への種痘が成功、九齢たちは元気になった患者たちを見送り帰路についた。しかし方承宇(ホウショウウ)が盛大な宣伝を手配したと知り、多くの民が城門に駆けつけることを予想して他の医者たちとは別行動で帰宅する。一方、太医たちはまたも君九齢にしてやられたと歯ぎしりして悔しがっていた。しかし江友樹(コウユウジュ)は手柄を横取りしようと思いつく。「種痘は天下の民に関わる重大な事案、小さな医館には担いきれまい 太医院が引き継ぐと陛下に申し出よう」実は皇帝が数日後に君大夫を参内させることになっていた。普通の女子なら謁見で恐れおののくはず、その機に乗じて上奏すれば君九齢と言えども拒否する度胸はないだろう。九齢と陳七の元気な様子に方錦繍(ホウキンシュウ)たちは安堵の涙を流した。しかし九齢は承宇の宣伝が格好の口実になりかねないと心配する。「万が一、この件を利用されたら方家が人心を惑わしたと非難されるやも…」九齢は急ぎ承宇に文を書くと決めたが、明日の参内を思うと身が引き締まる思いだった。…参内すればようやく楚譲(ソジョウ)に会える… その夜、朱瓚は九齢を誘って郊外まで遠乗りした。しかし九齢はずっと浮かない顔をしている。朱瓚はなかなか本音を明かさない九齢に寂しさを感じたが、九齢も後ろめたさに苛まれていた。そこで九齢は実は九齢公主と父の復讐がしたいと打ち明ける。「やっと心を開いたな」朱瓚は安堵し、九齢が動く時は理由など聞かず寄り添うと約束した。その時、夜空に蛍が飛んで来る。(  ̄꒳ ̄)<蛍はいい薬材にもなるのよね~( ̄▽ ̄;)<はあ?…普通は(๑´ω`๑)キィャ~カワイイ~!って言うもんだろう?(; O_O) ←フリーズする視聴者九齢は馮(フウ)大夫を伴い参内した。急なことに緊張する馮大夫、しかし九齢はまるで家に戻ったかのように落ち着いて見える。すると皇帝は九齢の功績を戦に大勝したも同然と賞賛し、褒美を与えると言った。九齢は自分一人の手柄ではなく運も良かったと辞退したが、その時、江友樹が早速、種痘を太医院に任せて欲しいと嘆願する。…くずどもめ、手柄を横取りするつもりだな…楚譲は腹黒い江友樹に呆れていたが、九齢の対応を見ることにした。「君大夫はどう思う?」「…お答えします、陛下、民女は反対です」一方、朱瓚たち3兄弟も太医院が九齢堂の手柄を横取りするだろうと推察していた。後ろ盾のない九齢が拒むのは難しい。しかし朱瓚はそれでも九齢なら承諾しないと分かっていた。九齢は喜んで種痘法を公開するつもりだと言った。ただし青山に行った医者を通じてでなければ認められないという。種痘法は実践により習得する必要があり、現場の経験がない太医院には任せられないと説明した。そこで九齢は馮大夫を推挙し、種痘法の指導を一任するよう嘆願する。「年若い私が重責を担えば皆は納得しません、それに馮大夫の方が経験が豊富です」楚譲は九齢が全くひるむ様子もなく、矛先を避ける術まで心得ていると感心した。「いいだろう、だがそなたが監督するように」「はい、陛下」すると楚譲は功を誇ろうとしない九齢を大物だと褒めた。九齢は疑り深い楚譲のこと、何も要求しなければかえって不審に思われると気づく。「陛下、実はささやかな願いがございます… 富は望みませんが封号を下賜して頂けるのなら、医道を貫いた祖先が喜びましょう」大臣たちは封号を望むなど大胆だと憤慨したが、皇帝は君大夫の請願を至極、真っ当だと笑った。「そなたを県主にしよう、封号は…山陽だ」「民女君九齢 謝陛下隆恩」←試験に出ます…嘘ですw「君大夫、あなたはもう民女ではありませんよ?」袁宝(エンホウ)の言葉に九齢はハッとして顔を上げ、改めて平伏した。「臣女の山陽県主が陛下の御恩に感謝申し上げます」九齢が丹鳳門を出ると朱瓚が周京と毛毛を連れて待っていた。2人は落ち着き先が決まり、都を離れるという。兄弟との別れを惜しむ九齢、すると張宝塘(チョウホウトウ)が2人を子供にしたらどうかと勧めた。すると周京と毛毛は九齢を義母、朱瓚を義父と呼んで喜ぶ。「干娘!干爹!」宝塘は照れる2人を見て思わず失笑したが、そろそろ出発の時間になった。兄弟の馬車を寂しそうに見送る九齢、その顔を見た朱瓚は心配そうに声をかける。「どうかしたか?」「…何だか急に泣きたくなったの」「私に言いたいことは?」「いいえ」九齢は喉まででかかった言葉を飲み込んだ。↓手つなぎエピ、カットなw楚譲は君九齢が噂とかなり様子が違うと首をかしげ、今日の様子が真実なのか聞いた。すると陸雲旗は偽りだと答える。「普段の君九齢はもっと遠慮がありません」「今日の言動からは権勢への憧れが垣間見えたな」「朝堂で大胆不敵にも請願した姿こそ真実かと…」一方、寧雲釗(ネイウンショウ)は科挙で第一甲の3人に入った。叔父の寧炎(ネイエン)は会試に合格しても殿試が終わるまで気を抜かぬよう釘を刺したが、黙って肩を叩き労ってくれる。ようやく一息ついた雲釗、そこで小丁(ショウテイ)に九齢の様子を聞いた。小丁は君大夫なら種痘に成功して帰京し、山陽県主に封じられたと報告する。しかし寧大人もその場にいたことを思い出し、うっかり口を滑らせたと焦った。雲釗は黙っているから大丈夫だと安心させたが、その時、及第祝いが届く。箱には″君九齢″と名前があった。…包み隠しなく誠実だ、私は到底、及ばぬ…こうして雲釗は殿試に臨み、皇帝はその類いまれなる文才を称賛して寧雲釗を首席である状元(ジョウゲン)に封じた。九齢堂に平穏が戻った。陳七と錦繍は相変わらず仲睦まじいが、陳七は散歩へ行く時まで錦繍の許可をもらう。それを見た柳児(リュウジ)は思わず尻に敷かれていると失笑した。「何をするにも頼りないからよ」「あら、青山では手抜かりなかったわ?」焦った錦繍は親しい仲ではないので分からないと御茶を濁したが、その時、出かけたはずの陳七が慌てて戻ってきた。「小姐!小姐!陸大人が来たぞ?!」つづく( ๑≧ꇴ≦)ルールーだ〜!…って、つづくか~い!w
2023.04.25
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君九龄 Jun Jiu Ling第21話「危険な挑戦」都を襲った疫病。青山(セイザン)の別荘に隔離できたのは100人余りで、郊外では依然、感染が広がり、無数の死者が出ていた。そんな中、武徳司(ブトクシ)から青山に牛が運び込まれたと報告が届く。袁宝(エンホウ)は皇帝に君九齢(クンジゥリン)が種痘(シュトウ)を試みるようだと上奏した。「治療が始まって半月、種痘に失敗すれば後がなくなります、都は死の街に…」楚譲(ソジョウ)は頭を抱え、結局、刻限を7日後に早めた。陸雲旗(リクウンキ)は皇帝から密旨を受け取った。…7日以内に治療法が見つからなければ全員、焼却して埋めよ…一方、九齢も医者たちの理解を得られず追い詰められていた。考えあぐねた末に自分の身体で種痘を試すと決意したが、思いがけず朱瓚(シュサン)が志願する。「成国公(セイコクコウ)の世子が率先して受ければ民も恐れず種痘を受け入れる」するとそこへ陸雲旗が罪人を連れてやって来た。男は見張りの立場を利用して死者の遺品を盗み、街で売ろうとしたところを捕らえたという。陸雲旗は罪人で種痘を試せと言ったが、男は焦って命乞いした。「陸大人、志願する者でなければ種痘はできないわ、帰って」仕方なく陸雲旗は罪人を下げさせ、朱瓚が試せばいいと挑発する。しかし朱瓚が本気で自分が試すつもりだと知り、さすがに煽ることもできず退散した。九齢はなかなか決断できなかった。すると朱瓚は父のように民のために働くことが望みだと訴え、九齢も同じ選択をするはずだという。九齢はついに薬を手にし、朱瓚は鼻から毒を吸い込んだ。その志に深く感銘した九齢はこらえ切れず泣き出したが、朱瓚はその涙を拭って笑顔を見せる。しかし翌朝には青山に応援の兵士たちが駆けつけ、火をつける準備を始めた。沢(タク)州では方承宇(ホウショウウ)が、都では寧雲釗(ネイウンショウ)が九齢の無事を祈っていた。朱瓚は発病し身体に発疹が現れ、九齢は患者と朱瓚の世話に追われて休む暇もない。明日はいよいよ約束の7日目、しかしその夜、朱瓚の容体が急変した。九齢は朱瓚の発疹から膿が出ていないと気づき、毒素が排出できず熱を出したと分かった。もはや耐えられるかは本人次第、そこで九齢は面紗(メンシャ)も手袋も外し、朱瓚の手を握りしめる。「しっかり、私がいる、私と一緒に闘うと約束したわ、必ず守って」その様子を外から陸雲旗が見ていた。朱瓚はうなされながら九齢の名を呼んだ。真実を明かせず苦しい九齢、しかし朱瓚を救うため、自分はここにいると応えてしまう。「令九(レイキュウ)、分かる?私はここにいる… 一度は死の淵に立ったからもう何も怖くない、だけど今はとても怖いの あなたに2度と会えないことが怖い、目を開けてくれたら何でも望みを聞くわ… 令九、早く目を覚まして、話したいことがたくさんあるの ごめんなさい、長いこと待たせて…目を覚ましたら全て打ち明けるわ」九齢は悲しみに暮れていたが、ふと気がつくと朱瓚がうっすら目を開けている。「朱瓚?目が覚めたの?!」驚いた九齢は朱瓚の胸をはだけて確認してみると、膿が出ていた。九齢は天幕を出て薬を煎じていた。そこへ陸雲旗が現れる。「楚九齢、ごまかしてもだめだ、生きていたんだな? 朦朧とした朱瓚が九齢と呼んだ時、返事をしただろう?」九齢は陸雲旗に聞かれていたと知り動揺したが、自分の名を呼ばれたので答えたに過ぎないとしらばくれる。しかし九齢の行動を見て来た陸雲旗は確信があった。「改名も断った、筆跡もそっくりだ、懐(カイ)王を診る姿は九黎(キュウレイ)公主より親身だった もう芝居はよせ、真実を話してくれ…他の者は騙せても私は騙せぬ」「公主は死んだの、仮に生きていたとしても、今のあなたを見たくないはずよ?現実を見て」「…人を愛したことがあるか?」すると陸雲旗は肩を落として戻って行った。その夜、陸雲旗から九大夫が痘瘡の抑制に成功し、治療法を発見したと急報が届いた。しかも朱瓚が種痘を試して回復したという。楚譲は朱瓚に褒美を与えたら成国公がどう出るか考えた。「武将だと見くびってはいかん、あの者は朝廷の中で珍しく聡い男だ 古今を通じて並外れた戦功と清廉さで評判の武将はそうそうおらぬ ああいう者は恐ろしいぞ…」朱瓚はすっかり元気になった。しかし九齢は子供への効果が分からず、まだ成功とは言えないという。「もう少し辛抱してくれる?」九齢は医者たちを集め、完治した朱瓚の傷跡から毒を採取するよう伝えた。朱瓚は急ぎ都へ戻り、謁見を願い出た。楚譲は朱瓚を勝手に都へ入れたことに激怒したが、本人いわく病毒はないという。「何でも罪臣・周本堂(シュウホンドウ)について相談があるとか…」すると朱瓚は肌を見せて安全を示してから御前に進んだ。実は子供の種痘を試すため、売国の罪で死罪が決まった周家の孫を預かりたいと嘆願する。君大夫によれば10歳以下が条件であり、該当する罪人は周本堂の孫だけだった。その頃、青山の別荘で朱瓚の姿が見えなくなった。陸雲旗は九齢が何か隠していると疑い、すぐ呼ぶよう命じたが、九齢は知らないという。…子供を探しに街へ行ったのかしら…「呼びたくないのか?かばうなら勅命に背いたと見なし、死罪にする」つづく( ๑≧ꇴ≦)ルールー、やってんな__w
2023.04.23
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君九龄 Jun Jiu Ling第20話「決死の治療」太医院でも多くの町医者が君九齢(クンジゥリン)に同行したと話題だった。面白くない江友樹(コウユウジュ)だったが噯にも出さず、1ヶ月後には結果がわかると余裕を見せる。一方、九齢たちは青山(セイザン)の別荘に到着、すでに各地から痘瘡(トウソウ)の患者が集まっていた。「陛下は宮中で皆さんのために祈っています! 武徳司(ブトクシ)と私たちがここで皆さんと共に疫病と闘います!」すると九齢はまだ小さな子供の患者を抱き上げ、力が続く限り最後まで誰も見捨てないと誓った。朝廷では寧炎(ネイエン)が皇家の慈悲を示すため、皇子か親王を青山の慰問に派遣するよう上奏した。文官と武官の意見は割れたが、その時、丞相の黄誠(コウセイ)が成国公(セイコクコウ)世子・朱瓚(シュサン)がふさわしいと推挙する。寧炎は反対したが楚譲(ソジョウ)は成国公を牽制するためにもこれを了承、朝廷の代表として朱瓚を派遣すると命じた。実は朱瓚は青山へ行くため、寧雲釗(ネイウンショウ)に協力を頼んでいた。「寧公子と寧大人に感謝するよ」「言われた通り推挙ではなく逆に反対した、狙い通りになったな で、世子爺、君小姐とは親しいのでは?」「…別に」「変だと思って、ずっと他人行儀に″君小姐″と呼んでいるから でも親しくないなら陸統領を敵に回してまで助けようとしないだろう?」「たかが呼び方で考え過ぎだ…行くよ」「彼女のことをよろしく」九齢は他の医者たちと力を合わせ、患者の治療にあたった。夜になれば医者たちを集め、今後の治療方針について話し合う。しかし症状が落ち着いても一時的なこと、九齢は深夜になっても独りで薬を煎じていた。すると陸雲旗がやって来る。「九穃(キュウヨウ)は瘰癧(ルイレキ)ではなかったのだな?…答えよ」九齢は黙っていたが、そこへ突然、朱瓚が現れた。「君小姐は忙しい、邪魔するな」驚いたことに朱瓚は皇帝から朝廷の代表に任命され、聖旨を持っていた。九齢たちは患者の症状に合わせて薬を処方し凌いでいたが、体力のない高齢者は持ちこたえられなかった。死者が出るたび絶望する患者たち。九齢はあきらめないよう励ますが特効薬がなく、限界が近づいていた。そこで九齢は患者に正直に打ち明け、処方を見つけるまでもう少し時間が欲しいと訴える。朱瓚も疫病が収まるまで皆と共にいると約束、力を合わせて立ち向かおうと九齢をかばった。一方、沢(タク)州の方家では承宇(ショウウ)が勅書の件は自分の勇足だったと知った。しかし文が行き来する間に状況が変わってしまったと分かり動揺する。ともかく柳(リュウ)番頭には九齢の希望通り薬材と銀子、痘瘡にかかった牛を送るよう頼んだ。その夜、九齢は医者を集めて処方を検討していたが、策は思い浮かばなかった。さすがにさじを投げる医者も現れ、九齢は追い詰められてしまう。すると武徳司が駆けつけ、驚いた医者たちは思わず口をつぐんだ。自分なりの方法で九齢を守る陸雲旗、しかし朱瓚が現れ、医者たちを懸命に説得する。「治療したくなければしなくてもいい、だがしばらくはここに留まってくれないか 病が収まれば家へ送るし、このことは口外しない」そこで九齢は同行してくれた医師たちに心から感謝し、例え1人でも救えるのなら意味があると訴えた。「父が言いました、善行をためらうことなかれと…どうか残ってください」九齢はその場で膝をつき拝礼すると、感銘を受けた医者たちは治療を続けようと決めた。九齢が待ちに待った荷物が徳盛昌から届いた。なぜ牛が必要なのか皆目見当もつかなかったが、実は痘瘡にかかった牛のかさぶたを使って治療するという。岭南(レイナン)でかつて痘瘡が大流行した時、痘瘡の経験者だけは助かっていた。九齢はこの病にかかると抗体ができると気づき、すでに痘瘡から回復した牛のかさぶたから毒を吸い込むという。「毒性が弱ければ死に至る心配はありません」しかし医者たちは突拍子もない話に呆れ、解散してしまう。つづく( ;∀;)ウッシーのかさぶたェェェそれにしても髪の毛しばろうぜ ←そこ?w
2023.04.22
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君九龄 Jun Jiu Ling第19話「恐怖を呼ぶ病」都に現れたある母子。2人は顔を布で覆い隠し医館を訪ねたが、門前払いされてしまう。「診察に来た2人が痘瘡(トウソウ)だった!」「閉め切って蒼朮(ソウジュツ)と蓬(ヨモギ)をいぶせ!」一方、寧雲釗(ネイウンショウ)は君九齢(クンジゥリン)と距離を置くと決め、試験準備のため国子監(コクシカン)へ戻ることにした。そんな時に限って大街でちょうど買い物に来ていた九齢と鉢合わせになる。「あ、今回は本当に奇遇なんだ…懐(カイ)王の治療が成功してよかった」「安堵しているわ…では科挙、頑張って」雲釗は九齢とすぐ別れたが、わずかに言葉を交わせただけでも十分、満足だった。その夜、九齢が勅書を手に入れたと知った朱瓚(シュサン)が九齢堂に駆けつけた。「君とって害になるぞ?」「私が頼んだわけじゃないの」「…とにかく用心しろ」すると朱瓚は御膳房の桂花餅を差し入れ、照れ隠しに懐王を治したお礼だと言った。「これで済ませるつもり?」「…銀子か?」「違うわ」「紫英仙株(シエイセンシュ)?」「あるの?」「いいや」「ではつけに」翌朝、九齢堂に母子が現れた。すると2人の顔の発疹を見た九齢は驚愕、陳七(チンシチ)に直ちに去毒湯(キョドクトウ)を作るよう頼む。九齢は他の医館のように母子を追い返すことはなかったが、方錦繍(ホウキンシュウ)は初めて見る九齢の焦る姿に困惑した。九齢堂では皆が面紗(メンシャ)で鼻と口を隠し、手袋をはめた。そしてすぐ母子を隔離し、着替えさせてから衣を全て焼却する。母子の村では大勢が発病し、死者が出ていた。そこで母親は娘を助けるため都を目指したが、道中、どの村でも同じ病が流行っていたという。「役所は知っている?」「分かりません、ですが他の病人も都に向かっているはずです」すると続々と感染者が都に押し寄せ、街は混乱に陥った。楚譲(ソジョウ)は疫病のまん延に頭を悩ませた。痘瘡は過去の王朝においてもたびたび感染が爆発、手を尽くしても感染を止められず、大勢の死者を出している。すると太医院の江友樹(コウユウジュ)がかつて地方志の中に嵐(ラン)県で痘瘡を根絶させた記述があったと上奏した。しかしそれは全ての患者を一カ所に集め、焼いて埋めてしまうことだという。「バカもの!何を言い出す!」都の痘瘡患者はすでに数百人に上った。九齢堂を心配した朱瓚は急いで駆けつけたが、実はすでに九齢が患者を受け入れていると知る。「瘰癧(ルイレキ)と違って危険な病なんだぞ?!」「瘰癧は太医院の責任逃れの嘘だったの」「何?!…太医院は痘瘡の治療も君に押し付けるつもりやも、関われば取り返しがつかないぞ?」「退路はないわ」すると朱瓚の懸念が現実のものとなった。江太医の残酷な手段に楚譲は激高した。しかし丞相・黄誠(コウセイ)は確かに最小の犠牲で済ませるにはやむを得ないと諫言する。寧炎(ネイエン)は反対したが、その時、江太医が九齢堂の君大夫に試させてはどうかと進言した。楚譲は九齢堂に痘瘡の治療を任せると決めた。そこで武徳司に全ての患者を青山(セイザン)の別荘に収容させ、逃亡させないよう厳しく管理するよう命じる。「1ヶ月後、治療の効果が見られなければ別荘に火をつけて君九齢もろとも葬り去れ」楚譲は苦渋の決断だと釘を刺したが、陸雲旗(リクウンキ)は複雑だった。朱瓚が懸念した通り、太医院は九齢堂に痘瘡を押し付けた。九齢は医者として患者のために命をかけると腹をくくり、まず協力してくれる医者を探すことにする。しかし治療法がなく致命率の高い病に立ち向かおうという医者はそうそう見つからなかった。太医院はそんな九大夫の状況を知り、高笑いが止まらない。すると一度は断った馮(フウ)大夫が九齢を追いかけて来た。「″まだ治した者がいない″では言外の意味が伝わってしまう、″1人では無理だ″と言ったほうが…」「ご忠告に感謝します、しかし協力を求めるからには真実を話します」九齢は先人たちがたゆまぬ努力で良薬を見つけ出したように、危険だとしてもやり遂げなければならないと訴えた。「たとえ治療法が見つけられなくても、後世に糸口を残したいのです、では…」青山への出発が明日に迫り、陳七はすでに城外へ準備を整えに出かけていた。結局、1人の協力者も見つけられなかった九齢。その夜、中庭で落胆していると、朱瓚が酒を手土産にやって来た。「弦は引っ張りすぎると切れてしまうぞ」朱瓚は天下のために戦う九齢について行くという。すると九齢は酒を一気に飲み干し、協力者を得られないと予想していたが、現実になると受け入れ難いと悔しさをにじませた。「父が言っていたの、″医術で人を救い、医道で天下を救う″と…誰かに同行して欲しかった」「君ならできるさ」翌朝、武徳司が九齢堂に九齢を迎えにやって来た。陸雲旗は死に急ぐも同然だと警告したが、九齢は覚悟の上、錦繍や柳児に別れを告げる。「泣いてはダメ、あとを頼むわ」九齢は名残惜しそうに扁額を眺めると出発すると決めた。「行きましょう」「君大夫!お待たせ~!」その時、馮大夫が仲間の医者たちを連れてやって来た。昨夜、馮大夫は劉(リュウ)大夫を訪ね、共に痘瘡に挑まないかと誘った。劉大夫は志だけでは実現できないと困惑したが、馮大夫は主人公について行けば必ず成功するという。すると劉大夫は失敗しても医館を閉じればいいだけだと開き直り、馮大夫と一緒に他の医者の説得に向かった。つづく(  ̄꒳ ̄)世子のさわやかな笑顔を確保してみました…え?( ̄◇ ̄;)それにしても最後の先生たちが走って来るシーン…ちょっと吹き出してしまったw
2023.04.22
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君九龄 Jun Jiu Ling第18話「こらえた涙」君九齢(クンジゥリン)の治療で懐(カイ)王・楚九穃(ソキュウヨウ)は好転した。安堵した九齢は薬の準備へ、すると陸雲旗(リクウンキ)は公主に君大夫の医館が″九齢堂″という名で、自身の名も″九齢″だと教える。一方、沢(タク)州では方承宇(ホウショウウ)が祖母に勅書を九齢に渡すよう迫っていた。承宇は九齢がこの名のためにいかに力を尽くしたかを熱弁、家族は承宇が九齢を心から愛しているのだと気づく。実は承宇は九齢が沢州へ戻ったら本当の夫婦になりたいと考えていた。「もちろん九齢が望めばの話ですが…」「勅書を九齢堂に送っていいわ」曹(ソウ)氏は方家を救ってくれた九齢と一連托生だと腹をくくった。九齢は懐王を介抱しながら、久しぶりに姉と会話を交わした。その様子を密かに回廊から陸雲旗が見ている。「あなたは一人っ子?」「はい、殿下」「医館は受け継いだの?」「…九齢堂は先祖伝来です」「九齢堂…いい名ね」「長寿を意味するゆえ屋号に選びました」するとようやく九穃が目を覚まし、2人の姉が夢に出てきたという。九齢は顔を上げて必死に涙をこらえていたが、外へ出ると物陰に隠れ、号泣した。「穃R、父皇は救えなかったけれど、あなたを助けに来たわ…姐姐を待っていて、必ず戻ってくる」楚九黎(ソキュウレイ)は弟のために麺を作って食べさせた。すると九穃は姉が婚儀の朝にも作ってくれたことを思い出し、嫁いで欲しくなかったと吐露する。九黎は胸が痛んだが、弟の命を守るため苦渋の決断だった。「黙って食べなさい…冷めてしまうわ」九齢はまだ幼い弟の孤独を思うと居たたまれなくなり、薬を準備してくると言って出て行ってしまう。陸雲旗は皇帝に君大夫が懐王の病を治したと報告した。まさか瘰癧(ルイレキ)を治せるとは予想外、流しのような医者に任せたことがかえって裏目に出てしまう。楚譲は面倒を増やしたと憤慨したが、陸雲旗は民が先帝の遺児に慈悲深い皇帝を称賛するはずだと進言した。「どちらにしても懐王は大病を患い、さらに身体が弱くなりました 夭逝しても不思議ではないかと…」街では君大夫が瘰癧を治したと評判になった。朱瓚(シュサン)は皇帝が見逃すとは思えなかったが、驚いたことにあの陸雲旗が取り成したという。医館名を理由にあれほど九齢を恨んでいた陸雲旗、一体どういう風の吹き回しなのか。「九齢堂でどんな話しをしたんだ?」懐王が回復し、九黎は陸府に戻ることになった。そこで君大夫に弟の世話を頼んで懐王府を後にしたが、ふと陸雲旗が九齢の面影を重ねている相手が君大夫だと気づく。翌朝、目を覚ました九穃は姉が帰ったと分かった。しかし君大夫が現れ、天気が良いので散歩に行こうという。「本当にいいの?」「もちろんです」九穃は久しぶりに秋千(ブランコ)に乗って遊んだ。秋千を押してくれる君大夫はまるで生前の二姐のように見える。「昔はよくブランコで遊んでいた…でも皆に大人のように落ち着いて振る舞うよう言われて…」「殿下、いずれ嫌でも大人になるのです、今は存分に遊ばれませんと…」すると九穃は以前、二姐と一緒に秋千の下に宝物を隠したと教えた。九齢は2人だけの秘密を思い出し胸が熱くなったが、そこへ陸雲旗が現れる。人見知りの九穃まで手なずけるとはさすがは九齢だ。陸雲旗はまるで旧知の仲のようだと牽制したが、九齢は気に入られたようだと笑った。「そうなのか?」「ええ」陳七(チンシチ)は沢州に戻ることになった。3月3日は縉雲(シンウン)楼が年に一度、解放される日、陳家にとっては正月より大事な日だという。すると方錦繍(ホウキンシュウ)は方家からの報酬は幾らかと聞いた。陳七は話をそらそうとしたが、錦繍は気づいていたという。「あ…少爺は1万両と…」「もったいない、承宇には商才がないわね」「そんなことない!君にはもっと価値がある!」皇帝は懐王府に江友樹(コウユウジュ)を遣わした。江太医は懐王が快方に向かっていると確認、君大夫から引き継ぐという。「あとはお任せください」「″瘰癧″は治しました、今後、問題が起きても私に責任転嫁せず太医院で対応してください」「不届き者!殿下を呪うつもりか?!」「滅相もない、病を患う原因はやぶ医者が適切に治療せぬことかと…」江友樹は憤慨したが、せいぜい自分の立場を守るよう釘を刺して帰って行った。九齢堂に九齢が戻った。すると沢州の承宇から勅書が届いたと聞いて困惑する。勅書があれば陸雲旗の嫌がらせから九齢堂を守れると思ったのだろう。しかし九穃を治して機嫌を損ねた上に勅書まで持っているとなれば楚譲の怒りは増すはずだ。楚譲は方家が君九齢に勅書を渡したと知った。あの勅書は方家にとって護符も同然、それを手放すとはどういう了見なのか。楚譲は未だに例の印が存在するなら厄介だと顔をしかめた。しかし袁宝(エンホウ)は先帝さえ探し出せなかったのなら、とっくに失われたはずだと安心させる。それにしても当主である曹氏は方家の外孫に過ぎない君九齢をなぜ後継者より大切にしているのだろうか。九齢堂を開業し、名を九齢と改め、懐王の病を治して勅書まで手にした君九齢。名声を博した今、今後も手を焼くことになりそうだ。寧炎(ネイエン)は君九齢の評判にいささか驚いていた。義姉の文には君九齢が口達者で浅ましいと書いてあったという。寧雲釗(ネイウンショウ)は叔父に誤解だったと釈明し、婚約は事実だったが解消したと説明した。「もうすぐ科挙だ、一族の子弟でそなたは誰より有望株だ、老いた私に代わり、寧家を担ってくれ」こうして雲釗は試験準備のため、叔父の屋敷から国子監(コクシカン)へ戻ることになった。そんなある日、都にとある母子がたどり着いた。2人は顔を隠して医館へ向かったが…。つづく( ゚ェ゚)キモルー物語…ではありませんw
2023.04.21
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君九龄 Jun Jiu Ling第17話「手放せない想い」陸雲旗(リクウンキ)は九齢堂(キュウレイドウ)の扁額を外し、君九齢(クンジゥリン)に改名を迫った。しかし譲る気がないと知るや配下に扁額を割れと命じる。「やれるものならやってごらん?」「ギギギ…いい度胸だ」激高した陸雲旗は剣に手をかけたが、そこへ朱瓚(シュサン)たちが駆けつけた。朱瓚と陸雲旗は私怨から手合わせになった。しかし陸雲旗が扁額を蹴り飛ばすのを見た九齢は思わず飛び出し、身を挺して扁額を守る。驚いた朱瓚は慌てて扁額と肩を強打した九齢を支えた。「バカなことを!」「命に代えても扁額は守るわ!」すると武徳司が剣を抜き、じりじりと九齢堂に迫った。そこで九齢は陸雲旗に2人だけで話し合いたいと提案する。「話せば気が変わるかもしれないわ…もしそれでも扁額を壊したければどうぞ」九齢は陸雲旗に凶兆が出ていると切り出した。「彼女は…夢に現れないでしょう? あの人はあなたを恨んでる、いいえ、骨の髄まで憎いの」陸雲旗は珍しく動揺し、そんなでたらめなど信じないと凄んだ。そこで九齢は処方箋を書くので試しに自分の薬を飲むよう勧める。すると処方箋を見た陸雲旗は筆跡が九齢公主と同じだと気づいて呆然、おとなしく撤収した。陸雲旗は青ざめた顔で帰って行った。朱瓚は九齢が何を言ったのか気になったが、九齢は処方箋を書いて渡しただけだという。どちらにしても九齢堂はこれでしばらく平和だろう。「腕は大丈夫か?」「もう平気よ」そんな中、沢(タク)州の方承宇(ホウショウウ)から気になる文が届いた。ある太医が徳盛昌(トクセイショウ)の都支店で全家財を換金したと報告が来たという。調べてみると懐(カイ)王を治せず、罪に問われることを恐れた太医たちが逃げ出す準備をしていた。承宇はかつて九齢が懐王を気にかけていたことから注視していたが、どうやら懐王は病を繰り返すうち重症化、今や命の危機にさらされているという。一方、陸府でも楚九黎(ソキュウレイ)が寝たきりになった弟を案じて眠れぬ夜を過ごしていた。陸雲旗は必ず術があると励ましたが、ふいに転生を信じるかと尋ねる。「どうかしら?」「私は信じたい、以前なら信じなかったが…」「九齢が戻ると言いたいの?」「そうです」「でも無理よ…確かに広い世の中、似ている者はいるでしょう、だけど似ているだけで本物ではない」九黎はてっきり陸雲旗が私邸で囲っている妾のことだと思っていた。寧雲釗(ネイウンショウ)は九齢堂で騒ぎがあったと聞いた。名の件で陸統領に因縁をつけられたことは容易に想像がついたが、そこにまた朱瓚がいたと知る。しかし九齢にはっきり断られた手前、静観しているほかなかった。翌朝、太医院の江友樹(コウユウジュ)は神医と評判の君大夫に懐王の治療を任せてはどうかと上奏した。ちょうどそこへ陸雲旗が駆けつけ、君大夫が自ら懐王の治療を買って出たという。「陛下、君大夫はあの方家の外孫でもあります」実はあの時、方家を救った君蓁蓁(シンシン)は屋号にちなんで名前を″九齢″に改めたという。すると楚譲(ソジョウ)は九齢が楚九穃(ソキュウヨウ)を治せなければ縁座にできると気づき、治療を任せると決めた。太医は懐王の病が瘰癧(ルイレキ)だと診断していた。そこで方錦繍(ホウキンシュウ)や柳児(リュウジ)たちは民に瘰癧が不治の病だと広め、もし九齢が治療に失敗しても退路を残せるようにする。一方、懐王府へ向かった九齢の前に突然、朱瓚が現た。朱瓚は懐王を治せば皇帝に命を狙われ、治せなくても九族皆殺しになるが、いずれにしても自分が九齢を守るという。「だから全力で九穃を治してくれ…九齢の肉親は私の家族だ」その言葉を聞いた九齢は真実を明かせない代わりに朱瓚に抱きつき、感謝する。「行くわね」朱瓚は九齢の大胆な行動に驚いたが、悪い気はしなかった。懐王府の正門で陸雲旗が待ち構えていた。「来たな…」「これが勤めだもの」こうして九齢は念願が叶って姉弟と対面を果たした。苦しそうに床に伏す弟の姿、九齢はあふれ出す涙を見られぬよう必死にぬぐい、治療を始める。すると九穃の身体には瘰癧特有のただれや腫れが見られず、九齢は瘰癧ではないと分かった。…太医院が責任逃れのため、でっち上げたのね…しかし九齢はあえて否定せず、難しい病だが任せて欲しいと自信を見せた。九齢は薬材の下準備から全て1人で行い、薬を煎じる時には誰も厨房に入れなかった。もはや薬を飲み込むことも難しかった九穃だったが、九齢と九黎が協力して何とか飲ませることに成功する。「公主殿下、今晩が峠です、熱が下がれば助かります、そろそろお休みになっては…」しかし九黎は首を横に振り、そのまま付き添うことにした。一方、方家でも承宇が九齢のため尽力していた。「祖母、勅書を九齢堂に送ってください!お願いします!」曹(ソウ)氏は九齢に何かあったと分かった。聞けば陸統領が九齢堂の看板を下ろせと迫っており、勅書があれば助けられるという。翌朝、懐王は熱が下がった。九齢は安堵して薬を煎じに行くことにしたが、陸雲旗が現れ、侍女にやらせればいいという。「信用できません、私の失敗を望む者が多いのです 私の道具に触れる者がいたら、殿下に万一のことがあった場合、責任はその者にあります …あ、陸大人もご注意ください」つづく( ๑≧ꇴ≦)ルールーの芸風www
2023.04.21
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君九龄 Jun Jiu Ling第16話「秘められた執念」九齢(キュウレイ)堂に突然、やけに高圧的な一行が現れた。半ば脅される形で往診に出かけることになった君九齢(クンジゥリン)。方錦繍(ホウキンシュウ)は1刻ほど待っても戻らなければ朱瓚(シュサン)を頼ろうと決めた。君九齢は声が枯れてしまったという三娘子(サンジョウシ)の治療を任された。何でも主のお気に入りの声ため、すぐ治して欲しいという。九齢は即効性のある薬を飲ませて声が出るようにしたが、驚いたことに三娘子の声は自分の本来の声に良く似ていた。その時、三娘子が主に気づいて嬉しそうに出迎える。「ゆんちー!来てくれたのね!」九齢は三娘子が陸雲旗(リクウンキ)の妾と知り呆然となった。「治ったか?…聞かせてみよ」「ゆんちー」「…違う、もう一度」「ゆんちー?…ゆんちぃぃ~」「違う!こびるのではなくもっと自然に…」九齢は自分の声で陸雲旗にしなだれかかる三娘子の様子に何とも言いようのない不快感を覚えた。…あれは九齢と陸雲旗の婚礼が決まった頃のこと陸雲旗は愛しい九齢公主のため、好物の菓子を届けたことがあった『…大人のお気遣いに感謝します』『もうすぐ夫婦になるのです、堅苦しい礼儀は不要だ、雲旗と呼んでくれないか?』『…ゆんちー』(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン↓嬉しそうなゆってぃー…違うゆんチーw三娘子はのどを治してくれた君大夫を紹介した。仕方なく九齢は挨拶したが、″君″と聞いた陸雲旗はすぐあの君九齢だと気づく。三娘子は乳母に診察料と薬代2千両を持って来るよう声をかけたが、陸雲旗は1万両払えと命じた。「残りは医館の名を変えるための金だ」「陸大人、九齢堂は100年続く老舗、今、名を変えては…」「知ったことか、この金で改名しろ…それからそなたの名もだ」すると陸雲旗は有無を言わせず出て行った。九齢は帰り道、急に気分が悪くなり、慌てて物陰に隠れて嘔吐した。…陸雲旗は私邸に女を囲っていた…まさか姐姐がこんな屈辱的なことを知っているはずないわ…いいえ、知っていても誰にも相談できないのかも…ゥッ、陸雲旗はどうかしてるしかし九齢はふと気づいた。陸雲旗はてっきり楚譲(ソジョウ)の命でやむなく婚姻したと思っていたが、もしや本当に自分を好いていたのだろうか。どちらにしてもあんな男に好かれても気味が悪いだけだ。翌朝、寧雲釗(ネイウンショウ)が九齢堂に現れた。方錦繍(ホウキンシュウ)の姿に驚く雲釗、実は九齢に話があるという。2人は茶楼の個室に落ち着いた。すると雲釗は照れくさそうに明後日の灯籠節に一緒に行かないかと誘う。九齢はあっさり了承し、皆で一緒に食事をしてから見に行こうと答えた。「そうではなくて…2人で出かけないか?」「寧公子…梨を渡した時にはっきりお伝えしたはずです」「梨の意味は分かっていた、あの時は方家に嫁ぐと知って諦めたよ だが婚姻がかりそめだと知り、再会してから自分の気持ちを確認した だから君の気持ちをはっきり聞こうと決めたのだ」雲釗は明後日まで考えて欲しいと頼んだが、九齢に迷いはなかった。「寧公子、お誘いには感謝しますがお断りします…今は考えたくないの」寧雲釗は潔くあきらめて九齢と部屋を出た。すると偶然にも別の部屋にいる朱瓚を見つける。朱瓚は九齢が寧雲釗と一緒にいると知って動揺を隠せなかったが、雲釗は正直に灯籠節に誘ったが断られたと教えて先に帰った。そこで九齢は太医の件に進展があったか尋ねてみる。しかしちょうど張宝塘(チョウホウトウ)と李三氷(リサンヒョウ)が到着し、話が中断した。その時、陳七(チンシチ)が慌てて駆けつける。「小姐!大変です!先日、馮(フウ)先生を推薦した患者がもめ事を起こして居座ってるとか…」九齢は足を折った患者に接骨なら馮大夫が一番だと百草堂(ヒャクソウドウ)を紹介していた。しかし患者は足が治るどころか痛みがぶり返し、怒った兄が怒鳴り込んだらしい。駆けつけた九齢は自ら患者の足を診てみると、馮大夫に接骨の手順を見せてもらうことにした。「次はここを曲げるのですね?」馮大夫は九齢の指示のおかげで治療後に骨がまた裂けてしまったと気づいた。原因を突き止めたおかげで馮大夫は再び接骨し、患者は痛みが治って引き上げた。今回ばかりは馮大夫も九齢に感謝して医館に戻ったが、全てを見ていた朱瓚が拍手を送る。「お見事だな?」「暇なのかしら?」すると朱瓚は太医院の話の続きを始めた。「担当の江友樹(コウユウジュ)を替えるのは思ったより難しい、皇帝が指名したからな 江太医は時局に敏感だ、陛下が望むことも分かっているだろう もう1つ奇妙なことが…なぜか陸雲旗も懐(カイ)王の太医を変えようとしたらしい 結局、陛下の意思に従い諦めたが、なぜ事情を知っている奴がそんなことを?」「…九齢公主のためでは?」「あり得ぬ、外で女を囲っている奴だぞ…あいつの好き勝手にはさせん!」実は朱瓚は李三氷に陸雲旗を探らせているという。九齢は頼もしい朱瓚の姿に思わずみとれたが、その時、露店の母子が税の取り立てに来た役人に虐げられていた。朱瓚は役人の腕をひねり上げた。すると世子の姿に驚いた役人は逃げ帰ってしまう。しかし九齢は露店の税なら安いはずだと訝しんだ。店主の話では新帝になって制度が変わり、税率は下がったが新しい税が増え、実際は以前の2倍になったという。朱瓚は民から搾取する制度を野放しにできないと憤った。「上奏する!」「朱瓚、冷静になって…陛下の顔を潰せばあなたが罰せられてしまう」「公正なはずの君が保身に走れとは…怖いなら私とは関わらないほうがいい」「朱瓚、先帝亡き後も民のために作った制度は深く人々の間に根付いている 先帝は記憶され続けるのよ?」楚九穃(ソキュウヨウ)の持病が悪化、この数日が山となった。楚譲は表向き懐王が完治しないのは太医院の怠慢のせいだと叱責する。「懐王は先帝の唯一の後継だ、最善を尽くせ、万一のことがあれば先帝に申し訳が立たぬ」太医院では太医たちが頭を抱えた。懐王を治すも地獄、治さぬも地獄、自分たちが巻き込まれないためには懐王の病をうまく処理しなくてはならない。「そう言えば最近、九齢堂が調子づいている、この機会に九齢堂も潰せれば願ってもないことだ」九齢堂は今や医館と言うよりさながら医学堂のようだった。九齢の指導のおかげで難しい病を治せると評判になり、都の多くの医者が九齢堂を訪ねて教えを請うている。一方、柳児は陳七が何でも錦繍の言いなりだと気づき、2人の特別なつながりを察していた。そんなある日、ついに九齢堂に武徳司が現れる。痺れを切らした陸雲旗が自ら片をつけに来たのだ。九齢は避けられないことだと覚悟を決めて店を出た。するとすでに九齢堂の扁額を外した陸雲旗が待ち構えている。「金を受け取りながら約束を反故にしたな?」「受け取らざるを得なかったからです」「もう一度だけ聞く、名を改めるか?」つづく( ๑≧ꇴ≦)ルー大人がヤバすぎるwww
2023.04.15
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君九龄 Jun Jiu Ling第15話「医者の本分」沢(タク)州の大街に飴売りがすっかり板に付いた方錦繍(ホウキンシュウ)の姿があった。すると妹の玉繡(ギョクシュウ)が現れ、2人は再会を喜ぶ。「よかったら別の商いを紹介するわ、経理の知識を生かせるわよ」玉繡は都の君九齢(クンジゥリン)から届いた文を姉に渡して別れた。九齢堂が軌道に乗り始めた九齢は錦繍に都へ来るよう勧めた。…方家で習得した技術を無駄にしないで、都には機会がたくさんあるわ…九齢とは不仲だった錦繍、しかし新天地を求めて都へ行くと決めた。周(シュウ)夫人を治してから九齢の評判は鰻上り、あれから半月ですっかり有名になった。そんなある日、ついに周夫人の勧めで皇族の親戚である定遠(テイエン)侯府からお声がかかる。すると太医院で最も優秀な江友樹(コウユウジュ)が一月かけても治せなかった林夫人が3日で回復した。江太医は林夫人が高貴な生まれゆえ慎重に時間をかけて治療を続けて来たが、あと一歩というところで九齢が劇薬を使い、治してしまう。この話はわずか数日で都中に広まり、江太医の診療を受けていた朝臣の多くが九齢堂に流れた。当然、面白くない太医院、しかし張(チョウ)太医は周(シュウ)太医からその流しの医者の名前を聞いて妙案を思いつく。「我らが手を下すまでもない…九齢という名前を使わせたくない者がいるではないか」陸雲旗(リクウンキ)は一月前に方家の外孫が都に九齢堂という医館を開業し、自らも九齢と名乗っていると聞いた。「君九齢だと?…なぜ報告が遅れた!」腹心・金十八(キンジュウハチ)は婚儀の準備を妨げないためだったと釈明し、太医院が意図的に知らせて来たという。すると陸雲旗は江友樹が勝手に動くはずだと考え、その時は見て見ぬふりをするよう命じた。九齢は林夫人の治療で定遠侯府に出入りするうち、懐(カイ)王・楚九穃(ソキュウヨウ)の噂話を耳にした。「懐王殿下の病が癒えないとか…」「公主が嫁いだあと、気にかけけてくれる人がいなくなったのね ないがしろにされて病を患うのは当然よ」「お可哀想に…」一方、陸府では陸雲旗が公主の好物である小豆餅を差し入れた。「優しいのね、美味しいのよ、食べて見て」「…苦手です」すると陸雲旗は夕食を断り出かけてしまう。実は屋敷では統領と公主が本当の夫婦ではないことが公然の秘密となっていた。侍女は陸雲旗が妾の元へ通うことを心配して公主の態度を諌めたが、楚九黎は我関せず聞く耳を持たない。その頃、九齢は定遠侯府からの帰り道、露店で姉の好物の小豆餅を買っていた。柳児は美味しいと喜んだが、九齢は好きではない。…これを好んで食べていた姐姐は味覚が変だわ…昔は勧められても断っていたのに、姐姐と離れた今では自分で買っているなんてその時、ふいに朱瓚(シュサン)が現れ、九齢が持ってた包みから小豆餅を取った。「まずいな~」九齢は朱瓚に定遠侯府で聞いた話を伝え、懐王を助けたいと訴えた。しかし朱瓚は皇帝や陸雲旗が流しの医者に懐王を診せるとは思えないという。九齢はならば朱瓚と親しい太医を遣わせて欲しいと頼んだ。「力は尽くそう」そこで朱瓚は自分の診察を口実にして太医院に出向いた。ちょうど江太医が留守だったことから帰りを待つ間に懐王の記録を調べていたが、その時、偶然にも太医が九齢堂に嫌がらせをした話を聞いてしまう。九齢が予想した通り、錦繍は陳七と一緒に九齢堂へやって来た。素直に感謝できない錦繍だったが、九齢はこれから新たな人生を歩もうと励ます。「その気になれば錦繍姐姐ならどこでも成功できるわ」「そう思う?」「もちろん」喜んだ錦繍は早速、帳簿を見たいと頼んだが、その時、使用人が慌てて駆けつけた。「一大事です!ごろつきが押しかけて来ました!」九齢堂の前にはすでに人だかりができていた。すると足を怪我して動けない男が担架に横たわっている。「お前さんが大夫か?」「そうです、何か問題でも?」実はその老師は都でも名医として知られる馮(フウ)大夫だった。聞けばごろつきたちが怪我人を九齢堂に運び込んだところ、重病ではないので馮大夫の所へ行けと言われたのだという。馮大夫は病人を選ぶのかと怒り心頭、しかし九齢は男と会ったこともないと否定した。そこへ朱瓚が現れ、担架の男の足をわざと踏みつける。「私は成国公世子だ、文句があるなら五城兵馬司を動員しようか?」驚いたごろつきたちは慌てて逃げて行ったが、担架の男の逃げ足の速さは格別だった。九齢は自分への嫌がらせに馮大夫を巻き込んだことを謝罪した。しかし誤解だと分かっても馮大夫は謝らずに帰ってしまう。すると朱瓚は話があると九齢を茶楼へ誘った。今回の騒ぎは太医院の仕業だった。朱瓚は恐らく九齢が林夫人を治したせいで江友樹の怒りを買ったのだと教える。「だいたい九齢堂の扁額を掲げて目をつけられないはずないだろう?」「その話は後よ、それで書庫に入れたの?」「懐王を診察しているのも江太医だった」懐王の診療録には虚弱体質としか書かれておらず、九穃は効果のない薬を与えられていた。確かに九穃は楚譲(ソジョウ)にとって目の上のたんこぶ、もし成人して皇太子に封じられていれば今頃は九穃が帝位についていただろう。朱瓚は江友樹を外し、父と懇意の孫(ソン)太医に変えると約束した。すると九齢は弟のため、無意識に拝礼して感謝してしまう。「ここまで真剣になるとは、まるで本当の姉のようだな?」「…友人の弟は私の弟も同然よ」錦繍は帳簿を全て確認した。しかし患者が少なく、給金や備品代、食費がかかり、儲けは少ない。番頭に抜擢された陳七は珍しい薬材に目を輝かせたが、錦繍は面倒を起こさぬよう釘を刺した。そこへ九齢に主を見て欲しいという夫人がやって来る。対応に出て来た九齢はこれまでの処方箋を確認、これで治ると断った。すると夫人は用心棒に命じ、強引に九齢を連れて行こうとする。つづく(  ̄꒳ ̄)b<口が悪くても善良でないとは限らないのよ〜って言ってたのが生きてるね〜そのまま受け取ってしまうタイプ@管理人…( ̄▽ ̄;)オホホホ〜見る目なくてw
2023.04.14
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君九龄 Jun Jiu Ling第14話「起死回生の一手」その夜、朱瓚(シュサン)は張宝塘(チョウホウトウ)、李三氷(リサンヒョウ)と連れ立って焼肉屋に来た。そこで偶然にも酔っ払った君九齢(クンジゥリン)を見つける。九齢は朱瓚がどこにでも現れるとからんで来たが、朱瓚は独りで親の敵討ちに挑もうとしている九齢に同情した。「悩みがあるなら聞くぞ?…試しに話してみろ、思わぬ助言が得られるやも」「私…教えない!」すると九齢は以前の自分は毎日が幸せで酒を飲む必要がなかったと吐露した。しかし朱瓚は嬉しい時に飲む酒も良いものだという。「辛い時も独りで飲むな、友と飲むのだ、皆で騒いで嫌な事を忘れられる」「なるほど!」九齢は朱瓚たちと一緒に酒を飲もうと決め、三兄弟の大兄・李三氷を紹介してもらった。そこへ酒を買いに行った柳児(リュウジ)が戻ってくる。九齢は気がつけば笑顔を取り戻し、夜は更けていった。沢(タク)州の方家に徳盛昌(トクセイショウ)の柳(リュウ)番頭から思わぬ苦情が届いた。九齢堂は開業したものの君小姐は初日から店を閉めて街を歩いて患者を募り、昨夜は酔い潰れて昼まで寝ていたという。しかし方承宇(ホウショウウ)は従姉なりの理由があるはずだとかばい、九齢に従うよう返信した。一方、方家を出た方錦繍(ホウキンシュウ)は陳七(チンシチ)の飴売りを手伝うことになった。陳七が型と材料を提供する代わりに錦繍が飴を売り、助手は雇わない。しかし陳七は不慣れな錦繍が心配で物陰から見ていた。錦繍はなかなか呼び込みできずに立ちすくんでいたが、偶然、飴細工が欲しい子供が現れる。初めて飴を売った錦繍は何とも言えない充実感を感じ、これをきっかけに積極的に飴を売り始めた。九齢は九齢堂の宣伝がてら、通りで遊んでいる子供たちに砂糖漬けを配っていた。しかし付近に住む貴人たちから苦情が絶えず、このまま続けるなら役所に訴えると言われてしまう。柳番頭は少爺から君小姐に従うよう命じられた手前、口を出せずにいたが、確かに九齢堂の名が有名になったのは事実だと気づいた。すると偶然にも周(シュウ)府から夫人が現れ、子供たちに囲まれる九齢の元へやって来る。「おちびちゃんたち!一緒に遊びましょう~!」子供たちは一風変わった夫人に驚いて蜘蛛の子を散らすように逃げて行くと、夫人は寂しそうに自分の縫いぐるみを抱きしめた。九齢は周夫人に挨拶し、九齢堂という医館を開業したと話した。「他の医者が治せない病も私なら治せます、例えば…夫人に凶兆が見えます」夫人は縁起でもないと憤慨したが、九齢はその様子では眠れていないのだろうと指摘した。「でたらめよ!」すると夫人は怒って屋敷に戻ってしまう。一方、寧雲釗(ネイウンショウ)も九齢が流しの医者のように街を歩いていると聞いていた。そこで知り合いにそれとなく汝南(ジョナン)での九齢堂の噂を吹き込み、陰ながら九齢を助けることにする。すると予想通り噂を聞いた王曹(オウソウ)氏が九齢を呼び止めた。しかし九齢は物陰から見ている寧雲釗の側仕え・小丁(ショウテイ)の姿に気づく。「夫人、あなた様は健康です、私の患者には値しません」すげなく断られた王曹氏は激怒、都には九齢が心ない銭の亡者だという悪評が広まってしまう。小丁から話を聞いた雲釗は九齢に何か計略があるのかもしれないと気づき、やはり手を出さずに様子を見ると決めた。朱瓚たちも九齢の悪評を耳にしていた。まさかこの数日で都中に九齢堂の名が知れ渡ることになろうとは…。「悪名とは言え、無名よりはましだ」全く手が読めない九齢、さすがの朱瓚も舌を巻いた。周夫人はその夜もなかなか眠れなかった。すると汁物を運んできた使用人から偶然、九齢堂の噂を聞く。「″凶兆がなく患者に値しない″と王曹氏を断ったそうです」驚いた夫人は侍女にあの医者が自分に言った事を漏らしたか聞いたが、侍女は首を横に振った。「…つまり、選ばれた者だけが救われるということかしら?」その時、夫人は急に赤子の泣き声が聞こえる言い出し、怯えてしまう。侍女は何も聞こえないと困惑したが、夫人は取り乱し、すぐあの医者を呼べと叫んだ。九齢は深夜にもかかわらず周夫人の治療に出かけた。夫人が心の病だと見抜いた九齢は机にある赤子用の縫いぐるみで察しがつく。「お薬を用意します、半月ほど飲めば完治します」「まさか!もう何年も患っているの、太医でも治せなかったのに…」そこで九齢は失礼ながら子供はどうしたのか尋ねた。夫人は呆然となったが、実はやむを得ず子供をあきらめたと告白する。「当時、夫は喪中だった、子を産めば夫の前途は閉ざれたわ… あの子に伝えて、捨てたのではないと…本当にやむを得なかったの」「あの子は夫人が恋しいだけです」「どうかあの子を去らせて、お願いします」夫人は思わずひざまずいて泣きつくと、九齢は夫人をなだめて丸薬と香を渡した。「ぐっすり眠れば良くなりますよ」翌朝、柳番頭は九齢堂を訪ね、初の診療代を喜んだ。しかし聞けばまだ治療費をもらっていないという。その時、周府の侍女が治療費を届けて帰って行った。「きっちり5千両です」柳児が確認すると柳番頭は目を丸くした。「5千両?!そんなに頂くのですか?」「小姐は患者を選ぶの、誰でも診てもらえるわけじゃないのよ?」朱瓚は九齢堂に興味はないと強がりながら、結局、九齢がいる西側へ出かけた。すると今日も街を歩いていた九齢が不自然に立ち止まっている朱瓚たち3兄弟を見つける。「またあなたなの?」「そうだ、宝塘の腕の傷を診てやってくれ」「はあ?治りました!」「じゃあ俺を診てくれ」李三氷はほんの冗談のつもりだったが、九齢はいきなり三氷の腕をつかんで脈を診た。度胆を抜かれた三氷はもてあそばれていると動揺、朱瓚と宝塘は爆笑してしまう。「お前もまごつくとは~ぶははは~」朱瓚はうっかり口をすべらせ、三氷から″お前も″とはどういう意味かと突っ込まれた。「分かった!朱瓚ももてあそばれたのか?!」「私は医者です、身体を触るのも仕事ですよ?」「恥じらいがないだけだ(ボソ」朱瓚は照れ隠しに思わず憎まれ口をたたいたが、柳児に反撃された。「小姐と少爺の婚礼の晩に寝室に押しかけたのはどこのどなたでしたっけ? 恥知らずはどちらでしょう?」面目丸潰れの朱瓚は咄嗟に九齢を食事に誘って茶を濁そうとしたが、九齢は忙しいと断った。九齢と柳児はまた歩き始めた。そこへある夫人が現れ、周夫人を治したと聞いて来たという。「屋敷に来てちょうだい!」…こうして私を訪ねる″客″が増えれば名家の間で評判が高まっていくわ…そのうち懐(カイ)王府に迎えられたら、姉と弟にも再会できるはずよ つづく(」゚ロ゚)」<じぅりんた~ん! ←言いたかっただけ九齢、まさかの炎上商法w
2023.04.13
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君九龄 Jun Jiu Ling第13話「九齢堂の開業」君九齢(クンジゥリン)が客桟へ戻ると、待ちくたびれて眠っていた柳児(リュウジ)が目を覚ました。九齢は外で朝食にしようと誘い、その帰りに地所を探すことにする。一方、参内した朱瓚(シュサン)は皇帝から護送中になぜ逃げたのか聞かれていた。朱瓚は北方から来た賊が都近くにも現れたと耳にし、矢も盾もたまらず追跡して討ち取ったという。その頃、賊を片付けた李三氷(リサンヒョウ)も都へ駆けつけ、張宝塘(チョウホウトウ)と合流していた。「大哥、どうしますか?」「なるほど…今日のことを見越して俺に賊を始末させたのか」宝塘は二兄が戻るまで安心できないと言ったが、三氷は朱瓚なら大丈夫だと自信を見せた。朱瓚は父を巻き添えにしないよう、独断で行動したと訴えた。何を聞いても上手くかわされてしまう楚譲(ソジョウ)、そこで大理寺・譚松(タンショウ)と兵部・韓烽(カンホウ)、武徳司・陸雲旗(リクウンキ)を召集し、合同審判で申し開きするよう命じる。一方、九齢は立地の良い空き家を見つけていた。しかし皇宮近くで高貴な屋敷ばかり、柳児はここでは医館など必要ないと訝しむ。「もっと人通りの多い所にしましょうよ」「都で生き抜くなら上流階級とも付き合わないとね」九齢は本当の理由を明かせないまま、今度は徳盛昌(トクセイショウ)を訪ねた。徳盛昌都支店の柳(リュウ)番頭は九齢を暖かく迎えた。そこで早速、方承宇(ホウショウウ)から届いた″九齢堂″の扁額を見せる。汝南(ジョナン)で取り返した扁額は修復され、文字は金で塗り直してあった。しかし九齢が都で九齢堂を開こうと決めたのは道中でのことだったという。柳児は承宇の感の鋭さに感心すると、番頭は九齢に承宇からの文を渡した。…九齢へ、いつも九齢と共に…九齢堂の開業は18日と決めていた。番頭はあと5日しかないと焦ったが、九齢は掃除して扁額を掛け、卓を並べるだけだという。「そんな地味では…ここは名医があふれる都ですよ?!」「そうね、でも何事も楽な道はない、安心して、自分の力は心得てる」朱瓚の合同審判が始まった。すると朱瓚はあっさり自分が朝京里程図(チョウキョウリテイズ)を作ったと認め、地図の売上が兵部の経費の足しになっていると訴える。そもそも地図にあるのは遊興の場所だけで防衛に関わることは一切もらしておらず、北祁(ホクキ)で流通しても問題はなかった。「地図には都の栄華と富が描かれている 確かに北祁人が見ればさぞうらやむことだろう…頭に血が昇るほどに」「…つまり餌をまいて犬をおびきよせるのか?」陸雲旗が失笑すると、朱瓚はまさに北祁人の考え方だと揶揄した。「良い物を見ればすぐに奪いたがる」挑発された陸雲旗が不快感をあらわにすると武徳司が一斉に剣を抜いた。しかし兵部が対抗、長刀を構えて一触即発の様相となってしまう。譚松は双方をなだめ、北祁を刺激すると分かっていながらなぜ地図を売ったのか尋ねた。すると朱瓚は遠く離れた辺境では一生、都を見られずに終わる兵士が多いと訴える。自分たちが享受する繁栄は前線を守る兵士たちのおかげ、兵士たちはこの地図を通して自分たちが守る都の繁栄ぶりを知ることができるのだ。「こんな物で北祁に侵略されると?!前線を守る兵士を何だとお思いか?! 兵部は?皇帝の権威とは?一体、何なのです?! 攻めてくるなら来ればいい!その時は生きては帰さぬ!」結局、譚松は裁決を皇帝に差し戻した。袁宝(エンホウ)は兵部の支持を得た朱瓚を不問に付すよう進言し、ただし自由にするべきではないという。成国公(セイコクコウ)朱(シュ)家は北方の大勢力、牽制するためにも世子を都に留めておくべきだ。一方、寧雲釗(ネイウンショウ)も叔父・寧炎(ネイエン)から朱瓚の話を聞いていた。すると叔母の張(チョウ)氏が現れ、陸雲旗への祝いの目録を確認して欲しいという。雲釗は目録から婚姻が6月18日だと知り驚愕、日も暮れたというのに慌てて出かけてしまう。寧雲釗は客桟の九齢を訪ねた。城門近くだと聞いて1軒ずつ当たったという。九齢は無下に追い返せず、部屋に入れて話を聞くことにした。すると雲釗は医館の名前を変えるよう説得し、開業日も陸統領の婚姻の日と重なっていると心配する。しかし九齢は頑なに拒み、もう決めたことだと譲らなかった。「最初は大変でも君なら何とかするのだろな…もう遅い、失礼するよ」6月18日、九齢堂が開業した。一方、収監されていた朱瓚も無事に解放され、婚礼行列を見るため懐(カイ)王府へ向かう。すると驚いたことに物陰から楚九黎(ソキュウレイ)の輿を見送る九齢の姿があった。なぜか公主の花嫁姿に涙ぐむ九齢、その時、嫁ぐ姉を追いかけて懐王・楚九穃(ソキュウヨウ)が現れる。懐王は従者に止められながら、2人の姉を奪われた悲しみと怒りに震えていた。「大姐姐の所へ行かせてくれ!うわーん!」…可哀想な穃R、一刻も早く復讐を果たして戻るから待っていて…その時、九齢の前に朱瓚が現れた。朱瓚は公主や懐王を見て感傷的になっている九齢を怪しんだ。しかし九齢は公主と懇意だったため、家族も身内同然だと言い退ける。「それが何か?」「では袁宝はどうだ?なぜ太監を知っていた?」「父と皇宮に行ったことがあるの、その時に見たことがあるわ」すると九齢は今日が開業のため朱瓚の相手をしている暇はないと帰ってしまう。朱瓚が成国公府に戻って数日後、宝塘は九齢堂が開業したもののずっと閉まっていると報告した。そもそもあの一帯は上流階級ばかり、太医がいるのに患者など来ないだろう。「九齢という名は亡くなった公主の名です…目をつけられたら大変なことに…」「わざと目を引こうとしているんだ」朱瓚は九齢が商売のためではく、父の復讐に来たのだと考えていた。九齢は柳児と一緒に付近を歩きながら患者を探していた。実は目的は周(シュウ)府、周夫人は定遠(テイエン)侯と親しく、治療を通じて近づくことができれば姉や弟の情報を探れるかもしれない。一方、寧雲釗は九齢堂に開業祝いを届けたものの、何の音沙汰もなく落ち着かなかった。そこで直接、祝いを伝えることにしたが、九齢堂は閉まったままだと知る。「何か理由があるのだろう、出直せば良い」その夜、九齢は初めて酒を飲んだ。「もうないわ…柳児、お酒を買ってきて」柳児の前では明るく振る舞っていた九齢、しかし独りになると途端に涙があふれてしまう。その頃、陸雲旗は祝宴を終えてようやく九黎が待つ奥殿に現れた。夫婦の杯を注いだものの九黎とは交わさず、床にまいて九齢に献杯してしまう陸雲旗。九黎は九齢が飲んでくれなかったのだと気づき、独りで杯を空けた。すると陸雲旗は何杯か酒を飲み、やがて拝礼して帰ってしまう。「早くお休みください」つづく( ゚ェ゚)え?料理屋に酒はないの? ←まあどうでもいいことだけどw
2023.04.12
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君九龄 Jun Jiu Ling第12話「墓前の誓い」沢(タク)州では君九齢(クンジゥリン)の方(ホウ)家を救った武勇伝が講談師によって広まった。この物語を書いたのは方承宇(ホウショウウ)。承宇は自分を治療するため九齢が厄落としを口実に偽装結婚したことを公表し、官銀の一件を隠したまま方家が官商であることを明かした。一方、令九(レイキュウ)こと朱瓚(シュサン)は本来の目的を果たすため都へ戻ると決めた。そこでこっそり九齢に会いに方家へ忍び込んだが、承宇に見つかってしまう。実は承宇は九齢から令九宛ての文を預かっていた。…私が突き止めた秘密を教えるわ祖母の話では太炎3年の官銀は楚譲(ソジョウ)から方家に渡り、家業の資金となった方家は楚譲を支援していたの、今やこの件を知るのは祖母だけ、約束通り方家を見逃してくださいどうかお元気で故人のことは早く忘れるべきよ、自分のために生きて欲しい、君九齢…九齢はすでに出立したあとだった。承宇も行き先を知らないという。「もしかして…彼女が好きなのか?」しかし朱瓚はしばらく考え込んだ末、笑って帰ってしまう。九齢にとっていつしか沢州は思い出深い地になっていた。…沢州で家族を得て、事件の秘密も突き止め、朱瓚とも再会できたわ都へ戻るのは宿願を果たすため、どんなに危険でも息絶えるまであきらめずに突き進むわ姐姐、九R、待っていて、私が必ず2人を守る…一方、方家を出た錦繍(キンシュウ)は世間の風が冷たいことを実感していた。しかし思いがけず飴売りの陳七(チンシチ)と知り合い、生き延びるためには手に職が必要だと教えられる。「いい考えがある、飴細工を教えるよ」九齢が都へ到着した頃、茶楼にいた寧雲釗(ネイウンショウ)は従者から文を受け取った。ひとまず席を立ち、店先に出て文を読んだ雲釗。沢州から届いた知らせには君小姐の婚姻が計略だったと書いてあった。…君は今どこにいるんだ?また会いたい…その時、偶然にも店の前を九齢が歩いていたが、雲釗は全く気づかなかった。袁宝(エンホウ)は方家の若夫人に翻弄され、結局、方家を始末できずに戻った。確かに官商と明かされてはもう手を出せない。楚譲は怒り心頭だったが、袁宝は賊と結託した李長宏(リチョウコウ)が糾弾されただけだと安心させた。「私はめったに皇宮を出ないため顔は知られておりません、それゆえ陛下に疑いは及ばぬかと…」楚譲は仕方なく今回は方家を見逃すと決め、成り行きを見守ることにした。九齢は柳児(リュウジ)を客桟で待たせ、独りで懐(カイ)王府を見に行った。父が逝去し、姉と2人でまだよちよち歩きだった弟の手を取り入った王府。今も姉弟3人で慎ましく暮らしていた頃が昨日のことのように思い出される。…姐姐、九R、九齢が戻ったわ…日が暮れる頃、九齢は客桟に戻ることにした。すると武徳司が朱瓚が戻ったと話しながら慌ただしく移動している様子を見かける。驚いた九齢は街を探し回っていたが、やがて夜も更けた。その時、露店で食事をしている朱瓚と張宝塘(チョウホウトウ)を見つける。どうやら朱瓚は宝塘と別れて出かけるようだった。「大事な用を済ませたら参内する…お前は帰れ、無茶はしない」九齢は朱瓚がどこへ行くのか気になり、後を追うことにした。夜が明けた頃、朱瓚は九齢公主の墓にやって来た。物陰から見ていた九齢は自分の墓だと知って呆然、まさか楚九齢が陸(リク)家の祖廟に葬られていたとは思いもよらなかった。…生前も死後も束縛から逃れられないのね…朱瓚はひとしきり泣いた後、枯れた花を供えた。「約束した北方の沙樺(サカ)だ」そこで九齢から譲ってもらった紫英仙株(シエイセンシュ)の花を粉々にして沙樺に振りかけると、驚いたことに沙樺は再び綺麗な花を咲かせる。九齢は辺境へ発つ朱瓚に沙樺を1株ほど持って帰って欲しいと頼んだことを思い出した。「本当は君の髪に挿したかった、九齢、秘密を教えよう 君が今度、令九と呼んでくれた時に言うはずだった…君が好きだ、だが手遅れだった!」朱瓚が千里を駆け、役人から逃れ、姓名を偽り、人目を忍んで都に入ったのは九齢の墓前に沙樺を供えるためだった。「君にそっくりな娘に会ったよ、でも君ではなかった…どうすればいい?」すると沙樺は枯れ果て、風で消散してしまう。朱瓚の気持ちを知った九齢はこらえ切れず飛び出そうとした。しかしその時、陸雲旗(リクウンキ)が武徳司を引き連れてやって来る。「ここは陸家の祖廟、勝手に入られては困る…九齢は私の亡き妻だ」「…小棗(ショウソウ)、答えろ、九齢の死因は?」「急病だった…だがお前には関係ない」「しらを切る気か?…力で決着をつけるしかないな」陸雲旗は配下に手出ししないよう目配せし、幼い頃からの宿敵と剣を交わせることになった。↓どっちが男主か一瞬、迷うw実は陸雲旗は幼い頃、死にそうなところを朱瓚の父に拾われていた。しかし手癖が悪く、盗みがばれては朱瓚たちに折檻されてしまう。当時、小さくて色黒だった陸雲旗は棗のようだと揶揄され、朱瓚たちから″小棗″と呼ばれていた。朱瓚への深い憎しみに駆られる陸雲旗、その時、袁宝が駆けつけ2人の因縁の戦いは中断してしまう。気がつけば祖廟の前には人だかりができていた。朱瓚は参内するため祖廟を出たが、その様子を偶然にも寧雲釗が見かける。一方、九齢は朱瓚が騒ぎを承知で姿を見せたのだと気づいていた。恐らく自ら参内して危機を脱するつもりなのだろう。…どうか無事に戻って…すると九齢はばったり寧雲釗と再会した。雲釗は方家への尽力に感服したと伝えたが、九齢は困惑してしまう。「都には用事があって…でも家族以外は誰も知らないの」「分かった、秘密は守るよ、助けが必要なら叔父の屋敷に来てくれ」「ありがとう…まもなく科挙だったわね」九齢は実直な寧公子に不向きだと思ったが、ともかく合格を祈っていると伝えて別れた。つづく(๑´ω`๑)癒しの寧公子が戻って良かったわ~衣装の淡い色味も目に優しくていいわ~でも若干、似合わない人がいるわ…( ̄▽ ̄;)
2023.04.11
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君九龄 Jun Jiu Ling第11話「事件の真相」黒幕を突き止めようと牢に向かった君九齢(クンジゥリン)たち。しかし一足遅く、証人となる宋運平(ソウウンヘイ)は殺されていた。屋敷への帰り道、方承宇(ホウショウウ)はぐるだった県令・李長宏(リチョウコウ)がなぜただの商家を狙ったのか首を傾げたが、曹(ソウ)氏はそれとなく話をそらしてしまう。「そう言えばどうして改名したの?…親しかった公主を忘れないためね」すると何やら考え事をしていた九齢は用事を思い出したと話し、独りで馬車を降りた。九齢は街で偶然、皇帝の側仕えである太監・袁宝(エンホウ)を見かけた。太監が宮中を出るとすれば勅命があるはず、そこで九齢はあとを追うことにする。その姿を偶然、朱瓚(シュサン)が目撃していた。「ここで待っていろ」朱瓚は張宝塘(チョウホウトウ)と別れ、九齢をつけた。一方、久しぶりに屋敷に戻った承宇は錦繍(キンシュウ)が禁足になったと知った。玉繡(ギョクシュウ)は姉を許して欲しいと訴えたが、祖母はこれも高慢な錦繍が外で非難を浴びて傷つかないよう配慮したという。すると承宇が自分に考えがあると訴え、錦繍の部屋を訪ねた。錦繍は元気な承宇の姿に感激もひとしおだった。しかし土産物をもらうと急に悲しくなってしまう。「私はあなたの姉でいる資格がないの…」承宇は母娘でも別の人間だと話し、姉には何の責任もないとなだめた。「姐姐は優秀だ、読み書きができて帳簿もつけられる、これからも私の自慢の姐姐だよ!」すると承宇は時が解決してくれると励ました。錦繍は何か吹っ切れたのか、方家を出て行こうと決意する。「方家の小姐ではなく方錦繍として新しい人生を始めるわ」曹氏と劉(リュウ)氏は黙って錦繍が出ていくのを見守った。「世の中を知るのも良い、気が済むまでやらせてみよう」その時、柳児(リュウジ)が息急き切って戻ってきた。「小姐の行方が分かりません!」その頃、九齢は郊外の客桟に忍び込み、下働きのふりをして袁宝の部屋に聞き耳を立てていた。すると袁宝が方家を一族皆殺しにするよう命じているのを聞いてしまう。回廊で驚愕する九齢、しかし運悪く袁宝が窓紗に映る影に気づいた。袁宝は話を聞かれたと焦って戸を開けようとしたが、その時、客の怒号が響き渡る。「おい!湯はまだか?!」その声は朱瓚だった。回廊にいたのは湯を運んでいた下働きの娘だった。しかし念のため店主に確認するよう配下に命じたが、若い下女などいないと分かる。「やられた!」袁宝たちは慌てて湯を運び込んだ部屋に乗り込んだが、すでに客の男も下働きの女も消えていた。九齢は危ないところを再び朱瓚に助けられた。朱瓚は九齢がなぜ袁宝を知っているのか気になったが、今は話している時間がない。「袁宝はするどい、ごまかせないぞ」そこで朱瓚は二手に別れようと提案、九齢だけ沢州に帰した。一晩、探しても九齢は見つからなかった。役所にも捜索を頼んではみたが、大袈裟だと真剣に取り合ってくれない。そこで曹氏は沢州県衙に乗り込み、多大な恩がある九齢を救うため伝家の宝刀を抜いた。「″この勅書を聖旨とみなし指示に従え″…」曹氏が持っていたのは即位前の楚譲(ソジョウ)が方家に授けた勅書だった。慌てふためいた県令は直ちに拝命、兵を動員して君九齢を探すことにする。しかしその騒ぎの最中、元気な九齢が帰ってきた。九齢は曹氏が自分のために勅書を使ったと知った。そこで人払いし、沢州の街で宮中の宦官を見かけたと明かす。宦官の話によれば皇帝の狙いは方家皆殺し、すると九齢がついに核心をついた。「祖母の箱の中の印に見覚えがあります、太炎3年の官銀と関係がありますね?」当時、身代金の官銀は楚譲が治めていたここ沢州を経て北祁(ホクキ)人に送られるはずだった。恐らく楚譲は官銀を方家に隠し、方家はそれを元手に栄えたのだろう。そして方家は引き換えに楚譲の兵力増強のため資金提供していたのだ。「楚譲は人質となった父や兄弟を見殺しにしたのですね…玉座を得るために」曹氏が持っていた勅書こそ方家が太炎3年の事件で楚譲に協力した証しだった。激しく動揺した曹氏は確かにあの年、方家は血迷って大罪を犯したが、天罰も受けたと訴える。「承宇の祖父も父も天罰で死んだわ!まだ私たちに苦しめと言うの?!」曹氏はあの勅書がある限り方家は無事だと信じて疑わなかったが、九齢はもはや何の保障にもならないと言った。どちらにしても方家が勅書を持っていると公にしてしまった以上、楚譲も方家に疑心を抱くだろう。そこで九齢は官銀の件を隠したまま、方家が官商だと明かそうと提案した。そうすれば楚譲も手を出せなくなるという。「私に任せてください…事は重大です、真実を知るのは祖母と私だけ」「九齢、お前は方家に現れた救いの神だわ」一方、劉氏は何かと九齢を気遣う息子を心配し、実はこの結婚は偽装だと明かした。全ては秘密裏に承宇を治療するため、九齢が考えた策だという。「てっきり私は脚が治れば九齢と共に歩んでいけると思っていました…」承宇は深く傷ついたが、九齢が自分のために名節まで失ったと気づき、世間に真実を明かして離縁しようと決めた。九齢は都へ戻ることになった。そこで承宇は九齢に離縁状を渡し、長旅の無事を祈る。「何かあれば都の徳盛昌を頼ると良い、連絡しておくよ」「はお」「ひとつ聞いても良い?…また戻ってくる?」「ふふふ、もちろん、私の家だもの」翌朝、九齢と柳児は沢州を発った。ちょうど同じ頃、街では講談師が君小姐が方家を救った武勇伝を語り始める。つづく( ๑≧ꇴ≦)シーズン1が終わったわ~ ←何の?w
2023.04.08
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君九龄 Jun Jiu Ling第10話「執拗な敵の影」宋運平(ソウウンヘイ)は東にある方(ホウ)家の旧宅に承宇(ショウウ)がかくまわれていると知り、その夜、屋敷に火を放った。しかし中にいると思っていた方曹(ソウ)氏と方劉(リュウ)氏が現れ、護衛に包囲されてしまう。観念した宋運平は承宇に毒を盛ったのも、蘇綺(ソキ)を送り込んだのも自分の計画だったと認めたが、あくまで銭のためだったとしらばくれた。一方、汝南(ジョナン)で歩けるようになった承宇は自然と意欲も戻ってきた。今まではただ死ぬのを待つだけだったが、これからは商売を学んで方家の役に立ちたいという。また奇病で動けなくなっていた海平(カイヘイ)も君九齢(クンジゥリン)の治療で回復、九齢堂の名声は一気に広まった。そんな中、沢(タク)州の祖母から急報から届く。「宋運平が投獄された…これで沢州に戻れるわ」九齢は早速、雷中蓮(ライチュウレン)に帰り支度を頼み、承宇には道中で詳しく説明することにした。帰途についた九齢たち、しかし山賊たちが現れ道をふさがれた。令九(レイキュウ)こと朱瓚(シュサン)と張宝塘(チョウホウトウ)が追い払ってくれたが、朱瓚は腕を切られてしまう。九齢はすぐ朱瓚を手当てしたが、朱瓚は九齢と距離を置くようになっていた。すると令九を毛嫌いしていたはずの承宇が自分たちを守ってくれた朱瓚に心を開き始める。「″哥哥″…怪我をしたなら一緒に馬車に乗って行きなよ」「私なら大丈夫だ」朱瓚は嬉しかったが、九齢にはよそよそしかった。一方、方家では錦繍(キンシュウ)が自暴自棄になっていた。玉繡(ギョクシュウ)は祖母に黙って禁足の姉に好物を差し入れていたが、錦繍は手をつけようとしない。側室の子とは言え長子として方家を誇りに思い、家を支えたいと力を尽くしてきたが、まさか方家を害していた張本人が生母だったとは。錦繡は天地が崩れ落ちたような絶望感に苛まれ、ただ泣いて暮らすしかなかった。九齢一行は迎えに来てくれた高(コウ)執事たちと合流した。自分の足で立っている承宇を取り囲み喜ぶ高執事たち、その間に九齢は一行から離れた朱瓚のもとへ向かう。「傷はどう?」「死にはしないさ」「…いつまで同行するの?」「任務は最後まで全うする、それだけのことだ」「朱瓚…」九齢は思わず名前を呼んだが、朱瓚は行ってしまう。…運命は無常ね、昔に戻れたらいいのに…県令・李長宏(リチョウコウ)が方家を訪ね、宋運平の件を結審するよう勧めた。そこで被害者である承宇本人の同席が必要だと話し、戻り次第一報が欲しいと頼んで引き上げる。しかし実は李長宏と宋運平はぐるだった。李長宏は獄中の宋運平と面会、承宇がなかなか戻らないと焦っていた。実は慎重な朱瓚が危険な谷や逃げ場のない道を避けて迂回しているため、想像以上に時間がかかっている。李長宏は老夫人からも何も聞き出せなかったとぼやいたが、どちらにせよ自分たちの手からは逃げられないと自信を見せた。すると収監された宋運平がひどく咳き込み始める。「耐えられそうか?」「もちろんだ、あと少しのところまで来たんだ」朱瓚のおかげで危険を回避してきた九齢一行。やがて最後の難所に差し掛かり、朱瓚は護衛たちに馬車を囲ませて進むことにした。すると山賊たちが現れ、朱瓚と宝塘が応戦する。雷中蓮はまさに14年前と全く同じだと気づいたが、仲間の敵を打ちたくても腕が動かず憤った。その時、馬車から顔を出した九齢が一時的に腕が治ったら戦えるかと尋ねる。雷中蓮は迷わず腕を差し出し、戦って死ねるなら本望だと言った。「少夫人、私を連れてきたのはこのためだったのですか?」「いいえ、ただ14年も諦めない人は頼りになると思っただけ」九齢は雷中蓮の腕に鍼を刺すと、滞っていた血が流れ出し、感覚が戻った。朱瓚と宝塘に雷中蓮が加勢、山賊たちは劣勢を強いられ慌てて退散した。これを機に再び戦えるようになった雷中蓮、すると朱瓚は刺客たちが賊ではなく変装した官兵だと教える。雷中蓮も昔と同様、ただの賊ではないと納得した。そこへ懐慶(カイケイ)府の軍が現れ、知らせを聞いて助けに来たという。しかし朱瓚に偽物だと見抜かれ、態度を一変させた。「この辺りは山賊が横行し、略奪を働いている!今日はまた方氏一行十数名が襲われ死んだ!」すると偽の軍は一斉に剣を抜いた。「…かかったぞ!捕えろ!」朱瓚が号令をかけると、河南路(カナンロ)郡の巡検司が駆けつけ、偽の軍は包囲されてしまう。…祖母との計画は成功ね、これでようやく黒幕を暴けるわ…九齢と曹氏は宋運平の後ろに黒幕がいると考え、罠を仕掛けていた。皇帝楚譲(ソジョウ)は宋運平が捕らわれ、道中の暗殺も失敗したと報告を受けた。すぐ決着がつくと思いきや方家に阻止されるとは予想外、そこで側仕えの袁宝(エンホウ)を沢州へ行かせることにする。「お任せを、方家をひとまとめに始末いたしましょう」その頃、李長宏はてっきり方氏を片付けたと信じ、浮かれていた。しかし突然、官兵が現れ、知府の命により捕まってしまう。九齢は元気になった承宇を連れて沢州へ戻った。曹氏と劉氏は自分の足で歩く承宇の姿に感激、しかし今は急いで黒幕を聞き出さなくてはならない。すると朱瓚と宝塘はそこで一行に別れを告げた。知府の特別の配慮で九齢たちは牢獄での面会を許された。しかし一足遅く、大事な証人だった宋運平と李長宏が殺されてしまう。つづく( ゚ェ゚)ん?イマイチ良く分からなかったわ@官兵編w
2023.04.07
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君九龄 Jun Jiu Ling第9話「取り戻した名前」君蓁蓁(クンシンシン)こと楚九齢(ソジゥリン)は山で希少な紫英仙株(シエイセンシュ)を手に入れた。しかし崖から転落、危ないところで蓁蓁を探しに来た令九(レイキュウ)こと朱瓚(シュサン)がツタをつかみ助けてくれる。九齢は足を痛めたが、朱瓚が黙って背負ってくれた。すると九齢はふと幼い頃の朱瓚を思い出し、懐かしさが込み上げる。一方、宋運平(ソウウンヘイ)は方承宇(ホウショウウ)の行方を見つけられず苛立っていた。配下は沢(タク)州を離れた可能性を示唆したが、宋運平は死にかけの承宇に長旅は無理だという。朱瓚は蓁蓁に九齢から自分の話を聞いたことがあるか尋ねた。「もちろんよ…″いつも甘やかされていた、最高の哥哥だった″と…」朱瓚は九齢に頼まれると断れず、いつも″ここまで甘やかしてくれるのは私しかいない″と言っていた。しかし朱瓚は甘やかしてはいないという。「九齢は自分を貫く娘だった、そんな彼女を見ていると幸せだったよ」九齢と朱瓚は途中で少し休憩を取った。九齢が大事そうに花を確認していると、朱瓚は不思議そうにそんな雑草に命をかけたのかという。「紫英仙株よ?とても貴重な薬材なの」「それが紫英仙株?!」驚いた朱瓚は蓁蓁から紫英仙株を奪い取り、唐突に譲って欲しいという。九齢は朱瓚が何に使いたいのか分からなかったが、諦めることにした。「あげるわ…行きましょう、もう歩ける」その夜、方曹(ソウ)氏と方劉(リュウ)氏は側室の部屋を見張っていた。やがて蘇綺(ソキ)の部屋から娘の錦繍(キンシュウ)が帰って行くと、その後すぐ侍女の木槿(モクキン)がどこかへ出かけて行く。「蓁蓁の策が功を奏したわ…女狐が尻尾を出した」実は曹氏は芍薬(シャクヤク)に承宇の衣を持たせ、東へ向かわせていた。おしゃべりな錦繍のこと、恐らく母親に報告したに違いない。調査に出かけていた張宝塘(チョウホウトウ)が駆けつけ朱瓚に合流、九齢一行は無事、君家の故郷である汝南(ジョナン)に到着した。…師父、蓁蓁、戻って来ましたよ…しかし君家の医館である″九齢堂″はいつのまにか人手に渡り、見る影もなく荒れ果てていた。柳児(リュウジ)は祖先伝来の扁額が外されていると憤ったが、九齢は自分と同じ名前に縁を感じ、天意に従って店を再開すると決める。そこへ胡貴(コキ)という男が現れ、君家の地所なら自分が買ったと教えた。柳児は土地の権利書を持っているのは小姐だと言い返したが、胡貴は君家の門衛から買い取った言い張る。すると騒ぎに気づいて人々が集まって来た。九齢はひとまず地所を諦めたが、その代わり扁額は返してもらうと言った。「今日から再び開業します、私は君家の後継者、君九齢よ 九齢堂はどんな難病も治すと約束しましょう、できなければ扁額を壊しても構わない それから初月は無料で治療します」朱瓚は驚いた。茶のいれ方も投壺の技も同じだったが、まさか名前まで変えるとは…。もしや蓁蓁こそ九齢ではないのか。一方、宋運平は老夫人が変装してこっそり東の郊外へ出かけたと報告を聞いた。木槿からの情報はどうやら本当だったらしい。宋運平は人手を集めるよう命じ、今夜にも承宇を始末すると決めた。「20年経った…すべて終わらせよう」胡貴は九齢堂に難病に苦しむ海平(カイヘイ)を送り込むことにした。治療に失敗し後継者を汝南から追い出せば、占拠した地所は安泰だろう。一方、名実ともに″九齢″に戻った九齢は簡素な家屋を借りて九齢堂を再開した。承宇は汝南一の薬鋪を買うと言ったが、どちらにしても沢州に戻るため、ひとまず雨風をしのげれば問題ない。すると無料と聞いて早速、患者がやって来た。胡貴は寝ついて久しい兄弟分の海平を九齢堂に運び込んだ。九齢は治す方法があると言ったが、居合わせた患者もさすがに信じられない。一方、朱瓚は蓁蓁を探るため、君家に仕えていた使用人に会っていた。かつては栄えていた君家、しかし屋敷を失って離散したという。「小姐は長年、異郷にいたが、立派に成長してお戻りになった 幼い頃と少しも変わっておらぬ、昔から優しい子だった、再会できて安心しておる」結局、朱瓚が期待するような情報は得られなかった。…やはり別人なのか…朱瓚は落胆し、この世に2人目の九齢がいるはずないと自分に言い聞かせるしかなかった。海平は15歳の頃、重量挙げの名手として名を馳せた。しかし3年前に奇病を患ってから全身の力が抜けて歩けなくなったという。柳児は中庭で九齢の仕事を手伝いながら、本当に治せるのか不安になった。「私は信じる」その声は三桃(サントウ)の介添えで歩いて来た承宇だった。九齢は承宇を連れて買い物に出かけた。何もかもが新鮮で喜びにあふれている承宇、いつも土産物をもらうばかりだったが、今回は祖母や母たちに土産を買って帰れるという。すると九齢は承宇に手作りの靴を贈った。「ずっと前から準備していたの、これを履いて望む場所へ行ってね」「うん、大切にするよ」朱瓚が医館に戻って来た。「どこへ行っていたの?」「私は護衛だ、余計なことは聞くな」実は九齢は朱瓚が自分を疑っていると気づいていた。「私が公主ではなくてがっかりした?」朱瓚は不意を突かれ言葉を失ったが、何とか平静を装った。「…他に言いたいことは?」「公主はあなたのそんな姿を見たくはないはずよ」「ふっ…では君に名を使われて喜ぶか?」「私は君九齢、屋号を自ら名乗るのは普通のことよ、公主に生きていて欲しいのね?でも…」「言うな、分かっている」九齢は忘れることも学ぶべきだと諌めたが、朱瓚は九齢こそ忘れられるのかと迫った。「九齢は早逝した、皆が九齢を忘れて存在を消そうとする 私まで忘れたらどんなに寂しがるか…」すると朱瓚は居たたまれなくなって出て行ってしまう。その夜、曹氏は蘇氏の部屋に乗り込んだ。これまで大事にしてきた蘇綺の裏切りに怒りが爆発、思わず手を挙げてしまう。「私の息子・念君(ネンクン)も殺したのかい?!」「まさか!私ではありません!」蘇綺は釈明しようとしたが、その時、何者かが放った暗器が首に命中した。「どうか…錦繍だけは…ゥッ…」蘇綺の口を封じたのは侍女の木槿だった。使用人は逃げ出そうとした木槿を捕らえたが、木槿は歯に仕込んでいた毒をかんで自害してしまう。騒ぎに気づいた錦繍は母の骸の前で泣き崩れた。しかし曹氏は錦繍も拘束してしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)クララが立った〜!からの歩いた〜が早過ぎw
2023.04.06
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君九龄 Jun Jiu Ling第8話「新婚の旅」楚九齢(ソジゥリン)は君蓁蓁(クンシンシン)の従弟・方承宇(ホウショウウ)と婚儀を挙げた。すると蓁蓁を気遣う曹(ソウ)氏は虚礼など必要ないと言って天や祖先への拝礼を飛ばし、夫婦の拝礼だけで済ませてくれる。九齢は婚儀のあと、早速、承宇の薬湯治療に入った。「これでよしっと…表弟!」「もう表弟って呼ばないでくれ」「そうね、じゃあ承宇って呼ぶわ」九齢は承宇の衣に手をかけようとしたが、承宇は驚いた。「まさか…その…本当に…」「やだ、勘違いしないで、薬湯に浸かるのよ」しかし解毒は想像以上に痛みを伴い、やがて承宇は失神してしまう。( ̄▽ ̄;)あ…下ネタ?w九齢は承宇を寝台まで運び、鍼を打つことにした。そこへ突然、令九(レイキュウ)こと朱瓚(シュサン)が現れる。「婚儀の日に解毒とは一興だな…」朱瓚は実は婚姻が治療のためだと知り、なぜかほっとしている自分がいた。九齢が鍼を打ち終わるまで静かに見守る朱瓚、すると蓁蓁は何の用かと訝しんだ。すると朱瓚は改めて例の文様を描いた紙を渡す。「太炎3年に北祁(ホクキ)人が裏切った件には裏がある 恐らく身代金は渡されておらず、何者かが隠したんだろう」「つまりこの印と行方知れずの官銀に関係があると?」しかし当時、沢(タク)州を納めていた藩王は今上皇帝・楚譲(ソジョウ)だった。九齢は真相を明かしたところで無駄だと言ったが、朱瓚は″千里の堤も蟻の穴から″だという。「君は方家でこの印のでどころを調べてくれないか?私は方家を狙う黒幕を見つける 若君の病状も伏せるよ」「いいわ」九齢はただし万が一の時には方家を見逃して欲しいと条件を出した。翌日、九齢は曹(ソウ)氏と劉(リュウ)氏に承宇の沐浴治療について説明した。すると侍女が駆けつけ、宋運平(ソウウンヘイ)が孫(ソン)という太医を連れて来ると報告する。承宇はちょうど治療疲れで弱っており好都合だったが、九齢は念のため目くらましに部屋で薬を煎じておいた。太医は承宇を脈診したが、もはや神医でも治せないと匙を投げた。そこで劉氏は大袈裟に息子を助けて欲しいと訴える。宋運平は婚儀では確かに元気だったと訝しんだが、太医は精力をつける薬を飲ませたはずだと見抜き、無理がたたったのだと言った。九齢は悲しみに暮れる曹氏と劉氏を連れて母屋へ戻った。しかし侍女が下がると、演技をやめた曹氏と劉氏は宋番頭の裏切りに怒りが込み上げて来る。「蓁蓁、これからどうするつもり?先ほどはごまかせたけれど…」「宋運平が単独で長年にわたり謀を巡らせたとは思えません」九齢は本当の黒幕を誘き出すため、承宇を連れて旅に出たいと言った。九齢は客桟の朱瓚を訪ね、承宇と汝南(ジョナン)へ行くと伝えた。すると朱瓚は護衛としてついていくという。「私を信頼するか?」「だから手を組んだのよ」「この私を護衛にできるなんて君くらいだ、1万両でどうだ?(ふっ」実は朱瓚はこの旅に乗じて蓁蓁の正体を暴こうと企んでいた。翌日、九齢一行は朱瓚の護衛で沢州を出た。雷中蓮(ライチュウレン)はなぜ自分に御者を任せたのか不思議だったが、九齢は灯籠節での働きを買ったという。やがて車で承宇と柳児(リュウジ)が眠ると、九齢は雷中蓮に声をかけた。「雷師父?御者になって何年ですか?」「14年です」「右腕を痛めたのは?」「はるか昔のことです、腕のことを聞いたのは少夫人が初めてです」雷中蓮は当時、義友行(ギユウコウ)の用心棒だった。しかし方家の荷を運ぶ途中に山賊に襲われ、仲間を全て失ったという。「生存者は私だけでした」九齢はその時に承宇の父親が死んだのだと分かった。一方、宋運平は知らぬ間に承宇が方家を出立したと知って焦っていた。何でも老夫人は太医の診断をきっかけに大空(タイクウ)寺の念智(ネンチ)大師に導きを求め、この土地を離れれば承宇の呪いがとけるかもしれないと言われたという。宋運平は承宇を案じているふりをして行き先を聞き出そうとしたが、曹氏は何も知らないと言った。「承宇には世話役がいるから大丈夫、大師に言われたの、家族にも行き先を知らせるなと」仕方なく宋運平は引き下がったが、すぐ配下に捜索を命じた。承宇は味気ない山の景色でも見飽きないと喜び、初めての旅を楽しんだ。「ありがとう、私が想像していたより世界は広がった」すると九齢はいずれ乗馬にも挑戦できると教えた。そこで休憩中、準備していた松葉杖を出し、早速、歩く練習をしようと誘う。承宇は力を出して何とか立ち上がると、慎重に足を出した。「まさか歩けるようになるなんて思いもしなかった!」期待に胸を膨らませ目を輝かせる承宇、その姿に九齢はふと幼い弟・九穃(キュウヨウ)が重った。…懐(カイ)王府に幽閉されているけれど、あの子も広い天地を見たいはずよ…いつになれば幸運に恵まれるかしら朱瓚は九齢たちに食事を差し入れた。しかし承宇は蓁蓁に馴れ馴れしい令九の存在が面白くない。するとしばらくして九齢は柳児に薬草を取りに行くと伝えて出かけた。何も知らなかった朱瓚は山奥に独りでは危ないと驚き、慌てて探しに向かう。一方、九齢は岩肌に生えた希少な紫英仙株(シエイセンシュ)を発見していた。そこで丈夫そうなツタを伝って崖から降り、何とか手を伸ばして紫英仙株を手に入れる。その時、ツタがちぎれ、九齢は谷底へ落下した。「うわあぁぁぁぁぁ~!」つづく( ̄▽ ̄;)師匠の教訓を全く活かせない九齢
2023.04.05
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君九龄 Jun Jiu Ling第7話「愛しい面影」投壺の勝負で寧雲燕(ネイウンエン)と決着をつけることにした君蓁蓁(クンシンシン)こと楚九齢(ソジゥリン)。しかし思いがけず無関係の兄・雲釗(ウンショウ)と対戦することになり、勝つ必要はなくなった。そこで九齢は1局目で手を抜いたが、雲釗も2局目で手加減して負け、結局、勝負は3局目に持ち越される。「君小姐、最後は本気でやりませんか?」「ではそのように…」先行の雲釗は見事に12本の矢を命中させ、大喝采を浴びた。次はいよいよ蓁蓁の出番、すると九齢は握りしめた12本の矢を一度に投げ、鮮やかに命中させる。それは幻の技・天女散花(テンニョサンカ)。場内は割れんばかりの拍手と歓声に包まれたが、誰より驚いていたのは″令九(レイキュウ)″こと朱瓚(シュサン)だった。あれは幼い頃、九齢が得意としていた投壺の技のはず、いくら親交が深いとは言え誰でも簡単に習得できるはずがない。投壺対決は君蓁蓁が勝利した。ひとまず九齢は個室に戻ったが、柳児(リュウジ)は念のため賭け金を見張りに行ってしまう。すると見慣れない給仕が現れ、蓁蓁に茶を勧めた。そこへ朱瓚がやって来る。「君蓁蓁…君は一体…」「ちょっと待って」九齢は咄嗟に窓を閉めた。すると向かいの部屋にいる雲燕は中の様子が分からず苛立ちを隠せない。しかし朋友・林瑾児(リンキンジ)が手なら打ってあると安心させた。「あの給仕には銭を渡しておいた、あの茶は媚薬なの 例の男には先に解毒薬を飲ませておいたわ…どうなるか見ものね」その頃、宋運平(ソウウンヘイ)は君蓁蓁が縉雲(シンウン)楼に出かけたと知り、刺客を放っていた。給仕は蓁蓁に怪しまれ、慌てて逃げようとした。しかし朱瓚が咄嗟に首を打って眠らせる。「話は後よ…」しばらくすると林瑾児が3号室の様子を見に来た。やけに静かな部屋に困惑しながら中に入った林瑾児、そこへ男が現れ部屋の戸を閉めてしまう。「キャアーッ!」3号室から悲鳴が聞こえた。雲燕はてっきり蓁蓁が襲われたと思ったが、蓁蓁はいつの間にか賭け金を受け取って1階にいる。すると林瑾児と男が争いながら出て来た。「寧小姐!この君という女は誰だ?!急に襲って来たぞ!」男は話が違うと激怒、片や醜態をさらしてしまった林瑾児は号泣し、雲燕に恨み言をぶつけ帰ってしまう。雲燕は自分とは無関係だと言い訳したが、客たちから責められ立場がなかった。その時、君蓁蓁めがけて剣が飛んでくる。剣が風を切る音に真っ先に気づいた朱瓚は咄嗟に杯を投げ、危ないところで剣を止めた。驚いた客たちが逃げ惑い会場は騒然、朱瓚は刺客を捕まえようとしたが、逃げられてしまう。雲釗はこれも妹の仕業だと誤解し、蓁蓁に謝罪して妹の個室へ駆けつけた。九齢は助けてくれた朱瓚に感謝した。しかし朱瓚から投壺の腕前を褒められてしまう。朱瓚が見ていたと知った九齢は何と言ってごまかすか考えたが、今度は武徳司が乗り込んで来た。張宝塘(チョウホウトウ)は朱瓚を連れて急いで2階へ避難、その様子を見ていた陳七(チンシチ)も身を隠す。すると朱瓚を追っている江百虎(コウハクコ)が客を1人ずつ調べると言い出した。九齢は朱瓚が逃がすため、咄嗟に賭け金が入った箱を落とし、騒ぎを起こす。客は銭に群がり大混乱となったが、朱瓚は外へ逃げても無駄だと覚悟を決めた。その時、ひょっこり陳七が現れ、2人をかくまってくれる。陳七は縉雲楼の部屋が全て抜け道でつながっていると知っていた。実は陳七、この縉雲楼を売却したあの陳氏の末裔だという。こうして朱瓚たちは思わぬ縁で危機を脱した。その夜、寧雲釗は妹の件を片付けてから方家を訪ねた。しかしどうしても声をかけられず困っていると、偶然、店から戻った錦繍(キンシュウ)と出くわす。錦繍は蓁蓁に伝えることにしたが、出て来るかどうかは本人次第だと断った。雲釗が待っていると蓁蓁が現れた。そこで改めて妹の代わりに謝罪し、婚約破棄の件で恨んでいるようだという。九齢はこれで終わりにしたいと伝言を頼み、雲釗も灸を据えておくと約束した。すると雲釗はなぜ自分の誕辰を知っていたのか尋ねる。九齢は婚約書に書いてあったと答えたが、あの時、自分が灯籠を贈ったせいで誤解させてしまったと気づいた。「灯籠節での出会いはもしや…」「ぁ…考え過ぎです、出会いを仕組んだわけではありません」九齢は軽率だったと謝罪し、別れの印に梨を渡した。雲釗は帰り道、蓁蓁からもらった梨を食べながら歩いた。一縷の望みをかけたが、これでもう君蓁蓁と関わることもないだろう。(´ ・_・)_🍐″.oO(もう関係ナシよ、ってか? ←違うw 九齢が居所に戻ると朱瓚が梨を食べながら待っていた。「″梨(リ)を送る″は″離(リ)を送る″、つまり別れを告げる意味がある」「…聞いていたの?」「通りかかっただけだ」すると朱瓚は宝塘に刺客を調べさせていると話し、おそらく方家に潜む黒幕だという。九齢も察しがついていたが、それより武徳司に追われているなら沢(タク)州を離れるよう勧めた。しかし朱瓚は蓁蓁が茶の飲み方だけでなく投壺まで九齢とそっくりなことに気づき、正体を探ろうとする。「九齢公主から教わったの、他にも数えきれないほど色々と教わったわ…」「他には何がある?…君は誰なんだ」朱瓚は思わず蓁蓁の腕をつかんだが、九齢は真実を明かすことができなかった。「私は君蓁蓁よ」「…はお、明日の午後、帳場へ行く」翌朝、家族の食卓の話題は寧家の令嬢の縁談話だった。錦繍の話では昨夜、寧雲釗の提案で急に雲燕が嫁に出されることになり、今夜にも縁談がまとまるという。九齢はふと雲釗が言っていた″灸を据える″とは雲燕を嫁がせることだと分かった。すると曹(ソウ)氏が今日は医者が来ると話し、婚礼前に承宇(ショウウ)を診せるという。そこで家族に同席するよう命じたが、九齢は午後から用事があると断った。しかしふと蘇綺(ソキ)の様子が気になり、わざと精力増強の薬を処方してもらって欲しいと頼む。その時、何を思ったのか錦繍が蓁蓁を恥知らずだと罵った。「承宇はあんな身体なのよ?それなのに初夜の心配なんて…」「姐姐、誤解です、儀式をやり遂げられるよう力をつけたいだけです では祖母、そろそろ出かけます」蓁蓁が先に食卓を離れると、曹氏は錦繍に苦言を呈した。朱瓚は蓁蓁のおかげで徳盛昌(トクセイショウ)の帳簿を調べることができた。しかしなぜか売上が増えた3年の分がない。九齢は各支店の運送記録も含め全てここにあると説明し、隠滅された可能性もあると疑った。確かにまるであの年の歴史が消し去られたように見える。すると朱瓚は例の文様を思い出し、蓁蓁に見せた。「君小姐、この文様を見たことは?」九齢は驚いた。朱瓚がなぜこの文様を探しているのだろうか。九齢は咄嗟に知らないふりをして誤魔化し、徳盛昌の印とは違うと言った。「分かってる、だが方家…太炎3年…関わりが薄く見えるほど安全に隠せるはずだ」そこで朱瓚は文様を見つけたら教えて欲しいと頼んだ。「昨夜はすまなかった」「…気にしないで」方承宇と君蓁蓁の婚礼当日、九齢は複雑な思いを抱えながら儀式に臨んだ。…わずか十数年の人生で3度も婚約を結んだ…1度目の陸雲旗(リクウンキ)とのことは忘却の彼方へ…2度目は寧雲釗と思わぬ誤解で…そして今度は絶望の淵にある従弟に嫁ぐ…全ては私の預かり知らぬ婚約…でもいつか私が心から望む人と一緒になれる日が来るだろうかつづく|ω・`)朱瓚が真剣になればなるほど…ウザいw
2023.04.04
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君九龄 Jun Jiu Ling第6話「仕掛けられた罠」宋運平(ソウウンヘイ)は蘇綺(ソキ)を呼び出し、君蓁蓁(クンシンシン)を始末するよう命じた。流石に蘇綺は躊躇したが、これも娘・錦繍(キンシュウ)の安泰のためだという。一方、曹(ソウ)氏は蘇氏が慎重に顔を隠して馬車に乗り、尾行をまいたと報告を受けた。蘇氏の裏切りに腸が煮えくり返る曹氏と劉(リュウ)氏。かつて蘇綺は従兄の宋運平を頼って沢(タク)州に来たが、宋運平が賊に襲われた老爺を救った恩から蘇氏を側室に迎えていた。すると楚九齢(ソジゥリン)が恐らく2人は結託していると怪しむ。「焦るほど馬脚をあらわしやすいものです」一方、朱瓚(シュサン)は例の5千両で君蓁蓁を誘き出し、取り引きに成功した。これで方家の顧客名簿が手に入るだろう。しかし張宝塘(チョウホウトウ)が思いがけない知らせを持って来た。実は陸雲旗(リクウンキ)が九齢の誕辰の日に姉・九黎(キュウレイ)と婚姻するという。その頃、陸雲旗は今日もまた九齢の墓参りに来ていた。わざわざ料理を習い、九齢の好物の菓子を作って来たという。「初めて会った時、君は私があの子だと気づかなかった…そしてこれからも…」幼い頃、いじめられていた陸雲旗は紅い衣を着た美しい娘に助けられた。それ以来、毎日のように九齢を思い続け、ついに待ちわびた婚姻の日を迎える。「やっとありがとうと伝えられると思ったのに… 九齢や、私を恨まないでくれ、私は君の姉と結婚するよ」陸雲旗は九齢を救えなかったことを悔やみ、せめて九齢が愛した姉弟を守りたいと涙した。九齢と柳児(リュウジ)は街に出て婚礼の品を買い揃えた。しかしその帰り道、何者かが馬に針を放ち、驚いた馬が暴走してしまう。馬を引いていた御者は突き飛ばされ、九齢は車から出て何とか手綱をつかんだ。朱瓚と宝塘は酒楼の2階にいた。沢州の運送業者と商家を調べたが何も見つからず、残るは徳盛昌(トクセイショウ)だけとなる。すると悲鳴と共に暴走する馬車がやって来た。朱瓚は馬車にいるのが蓁蓁だと気づき、屋根伝いに先回りして、危機一髪のところで蓁蓁を救うことに成功する。馬が止まっても見つめ合う蓁蓁と朱瓚。そんな2人の姿を目の当たりにした柳児は方家に戻ると、あの男に気があるのか聞いた。「…気があるんじゃなくて気に入っているだけよ」九齢は例えば寧家のことは嫌いだが、実は偶然、寧公子と出会ってその人柄を見直したという。「これが気に入るということよ」九齢は客桟の朱瓚を訪ね、改めて感謝した。朱瓚は馬に針が刺さっていたと教え、恨みを買ったのかと心配する。「やっぱりね…誰かが婚礼を邪魔したがっているの」「少爺に毒を盛っている奴らか?」「いかにも…」すると朱瓚は間もなく出立するため、徳盛昌の名簿が早く欲しいと頼んだ。実は陸雲旗が九齢の誕辰に九黎公主を娶ることになり、その前に都へ行くという。…陸雲旗、なんて奴なの…方家に戻った九齢はその夜、曹氏と劉氏になるべく早く承宇と婚姻したいと頼んだ。3月3日は縉雲(シンウン)楼が店を開放し、誰でも入れる日だった。九齢は寧雲釗の文が偽物と見抜きながら出かけてみると、早速、侍女が現れ個室へ案内される。雲燕(ウンエン)と朋友の林瑾児(リンキンジ)は自分たちの向かいの部屋に入る君蓁蓁の姿を眺めていた。すると侍女が計画通り蓁蓁に薬入りの茶を勧めて出て行く様子が見える。その時、蓁蓁がふいに窓の外を見た。雲燕たちは慌てて隠れたが、九齢は2人に気づいて警戒を強める。「…薬が入っているわ」九齢は茶の匂いがおかしいことに気づき、柳児に侍女を探るよう指示した。侍女は男に銭を渡し、3号室の娘を襲うよう頼んでいた。驚いた柳児はすぐ帰ろうと言ったが、九齢は逃げてもまた狙われるという。するとちょうど店主が余興として投壺(トウコ)で賭けをすると発表、挑戦者を募った。九齢はこの機に決着をつけようと考え、雲燕と自分の名前で申し込んでしまう。「小姐、いくら稼げますかねえ~」「5千よ…まさか子供の頃の遊びが役に立つとはね」最初の挑戦者として寧雲燕と君蓁蓁の名が呼ばれた。ちょうど友だちと遊びに来ていた雲釗(ウンショウ)は妹と元許嫁の名に困惑していたが、実は君蓁蓁が灯籠節で見初めた小姐だったと知る。すると雲燕から自分の代わりに出て欲しいと泣きつかれ、友だちにまで煽られ舞台へ上がる羽目になった。一方、朱瓚も賭けで儲けたいという宝塘に連れられ、店にいた。朱瓚は興味なさそうに帰ろうとしたが、蓁蓁の名を聞いて足を止める。こうして投壺対決は思いがけず元許嫁同士の戦いとなった。しかし雲釗は素直に蓁蓁と再会できた縁を喜ぶ。「すまない、君小姐、あなたを面倒に巻き込んで…」「噂はお気になさらず」「何を言われようと関係ありません」投壺では勝者が全ての賭け金を手に入れ、敗者は賭け金の2倍を返還する決まりだった。そこへちょうど飴売りの陳七(チンシチ)も見学にやって来る。「君小姐、どのやり方にしますか?」「有初(ユウショ)で…」有初は全部で3局、壺は12で最初の2局は1人6本の矢を投げる。そして最後の1局は1人12本、多く入った方が勝ちで2局先取した方が勝利だ。賭け金は雲釗に集中、すると期待通り雲釗は6本すべて命中する。しかし九齢は最後の1矢を外し、1局を落としてした。2局目、先行の九齢は全ての矢を命中させた。雲釗は難なく命中させていたが、最後の1本を外してしまう。これで1対1となったが、九齢は雲釗が手加減したことに気づいて負けを認めた。すると雲釗も蓁蓁が手を抜いたことを知っていたという。「最後は本気でやりませんか?」「ではそのように…」その時、朱瓚の指示で宝塘が君蓁蓁に千両をかけた。面白くない雲燕は兄に2千両も追加、そこで宝塘はさらに千両を上乗せして賭け金を釣り上げる。雲燕は煽られるまま5千両を賭け、陳七は思わず寧家はいつも5千両だと揶揄した。その時、九齢が自ら自分に5千両かけるという。「君小姐?今なんと?」雲釗は驚いたが、店主は君蓁蓁が5千両を賭けたと宣言した。最後の1局、先行は雲釗だった。雲釗は見事に12本の矢を命中させ、大喝采を浴びる。次はいよいよ九齢の出番、すると九齢は12本の矢を握り締め、集中した。つづく( ๑≧ꇴ≦)キィャアァァァァァ~!ここで″つづく″か!
2023.04.01
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君九龄 Jun Jiu Ling第5話「謎解きの灯籠」方(ホウ)家では蘇綺(ソキ)が君蓁蓁(クンシンシン)を警戒し始めていた。黒幕の存在を感じながらも承宇(ショウウ)のため懸命に治療を続ける楚九齢(ソジゥリン)。一方、朱瓚(シュサン)と張宝塘(チョウホウトウ)は文様を頼りに手がかりを探していた。そんな慌ただしい毎日が過ぎ、やがて灯籠節がやって来る。九齢は約束通り承宇を夜の街へ連れ出し、方家も久しぶりに賑わう街を楽しんだ。九齢は承宇の車椅子を押していたが、やがて自分が作った灯籠が気になって一行から離れた。すると道すがら対局を囲む人だかりを見つける。九齢は木の実を買いに行った柳児(リュウジ)を待つ間、囲碁対決をのぞいてみたが、偶然にもそこに寧雲釗(ネイウンショウ)がいた。「違う」「違う」挑戦者の一手を見た九齢と雲釗は同時に声を出し、顔を見合わせた。2人は軽く会釈してまた観戦に戻ったが、驚いたことに次の一手も同時に同じ場所を言い当てる。九齢と雲釗は自然と人の輪から出ると、互いの頭の中にある碁盤で対局が始まった。九齢は眉目秀麗で聡明な公子との対決に勝った。「最後に攻め切らなかったのは私への情けですか?」「いいえ、勝負がついていたからです」「私は寧雲釗です、どちらの小姐で?是非ともまた手合わせを…」実は対戦した公子は蓁蓁の許嫁だった。まさか君蓁蓁だと名乗ることもできず、九齢は咄嗟に自分が持っていた灯籠を贈る。「誕辰祝いです」雲釗は困惑したが、九齢はそんな雲釗をよそに足早に去った。…蓁蓁が生きていたら喜んで嫁いだはず、灯籠は蓁蓁からの贈り物よ…九齢は柳児と合流、すでに君蓁蓁の灯籠の前には人だかりができていた。碁盤を模倣した大きな灯籠には九齢が考えた局面が再現され、あと一手で黒石が勝つという。正解を打てば明かりがともり、賞金は婚約書の5千両だった。しかし挑戦料が10両とあって、なかなか挑戦者が現れない。「見ているだけか?!10両で5千両を得られるかもしれないんだぞ?!」方家が頼んでくれた露天商なのか、雷中蓮(ライチュウレン)の口上はなかなか上手かった。すると金持ちの商人が名乗りをあげ、10両を払って挑戦したが明かりはつかない。これを皮切りに次々と挑戦者が現れたが、正解できる者はいなかった。そこへ寧雲釗が友人たちとやって来る。友人は神童と呼ばれた雲釗なら分かるはずと期待したが、雲釗は首を横に振った。九齢は5千両を出汁にして大儲けできた。しかしふいに飴売り・陳七(チンシチ)が現れ、ついに灯籠に明かりがついてしまう。最後の最後で賞金5千両と銀子を全て奪われてしまった九齢、そこで翌朝、高(コウ)執事に雷中蓮を呼んでもらった。実は雷中蓮は銭荘の車番で方家に長く仕えているという。「あの後、何か怪しい動きに気づかなかった?」雷中蓮は報酬外だと銭を要求、仕方なく九齢は銀子を払った。すると昨夜、あれから陳七が男2人組と合流したのを見たという。陳七は答えを教えてくれた男に約束通り賞金を渡し、銀子だけを持ち帰っていた。一方、屋敷に戻った寧雲釗は部屋にこもって解けなかった局面を読んでいた。すると妹・雲燕(ウンエン)が現れ、兄の部屋にある可愛い灯籠を見つける。「哥!綺麗な灯籠ね?私の部屋に飾ろうっと!」しかし珍しく雲釗は動揺し、灯籠を取り返した。「駄目だ!…同じ物を買ってやろう」承宇は蓁蓁が灯籠を見に行ったまま戻らなかったせいですねていた。すると三桃(サントウ)に話を聞いた蓁蓁が現れ、素直に謝罪する。「賭けに負けたのか?…ざまあみろ(ボソ」九齢は弟のような承宇の憎まれ口に顔を綻ばせ、早速、脈診した。治療は順調、すぐに沐浴できると言ったが、承宇は三桃に任せるという。「夫婦になるのよ?照れないで」「それは…」承宇は何とも照れくさそうにうつむいた。朱瓚の読み通り客桟に君蓁蓁が訪ねて来た。九齢は一晩も費やして呼び出すとはご苦労なことだと呆れ、なぜ勝ちの一手が分かったのかと尋ねる。すると朱瓚は自分の質問に答えるなら教えると条件を出した。しかし徳盛昌(トクセイショウ)の件だと分かると九齢は帰ってしまう。その夜、宝塘は君蓁蓁の購入した薬材を調べて戻って来た。どうやら難病を治す処方で排毒作用が強いという。そこで翌日、朱瓚はちょうど薬材を購入して帰るところだった蓁蓁につきまとった。「その薬は何に使う?」「私は医者よ、研究のために使うの」「私の仮説を聞きたいか?方家には3代にわたり男子1人という呪いがある 少爺も16歳までの命と聞いた、長年、毒に冒されていたからだ 1代なら事故、2代続けば偶然、3代目も短命なら何か裏がある…」「何の話かしら?」「君も仕組まれたものだと考えているのでは?少爺の病は毒を盛られたからだろう?」しかし九齢は鼻で笑った。「公子、さすが聡明だこと、承宇の治療は私の役目、あなたには関係ないわ」すると朱瓚は口外しない代わりに、これまでの方家の顧客を調べて欲しいと頼み込んだ。方家の君蓁蓁宛に寧雲釗から文が届いた。…君小姐、方家との間に誤解がありました、3月3日に縉雲(シンウン)楼でお会いしたい…実はその文を送ったのは雲燕だった。雲燕は蓁蓁に仕返しするため兄の名前で呼び出し、男に襲わせて純潔と名声を傷つけようと企む。しかし聡明な九齢は文を書いたのが必ずしも寧雲釗とは限らないと気づいていた。いくら内密の話があるとしても、寧公子のような知識人で心の清い人が縉雲楼のような場所に女子を誘うとは思えない。一方、宋運平(ソウウンヘイ)は蘇綺(ソキ)を呼び出していた。灯籠節の際に観察したところ承宇の病状に変化はなく、厄落としの結婚も効果はなさそうだという。ただ唯一の心配は君蓁蓁が方家の後継を身ごもることだった。「君蓁蓁さえいなくなれば方家に嫁ぐ女子など見つかるまい」「殺すつもり?!」「めいよ〜運悪く事故に遭うだけだ」つづく(O_O)うわっ!朱瓚がウザい!顔がデカ過ぎる! ←関係ないw
2023.03.31
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君九龄 Jun Jiu Ling第4話君蓁蓁(クンシンシン)こと楚九齢(ソジゥリン)の治療が功を奏し、方(ホウ)家の嫡男・承宇(ショウウ)の病状は好転した。そんなある日、徳盛昌(トクセイショウ)で商売を学ぶ九齢は帳簿に不審な点があると気づく。実は細かい項目は古株の使用人が計算し、錦繍(キンシュウ)と玉繡(ギョクシュウ)は総額しか見ていなかった。2人は蓁蓁に指摘されて初めて購入した馬が1頭200両で計上されていると知る。馬の平均的な値段は70~80両、錦繍は馬の項目だけで千両以上の損害だと驚いた。九齢は話が漏れないようひとまず部屋の戸を閉めることにしたが、その時、去って行く人影を見る。…まさか黒幕の手は徳盛昌にまで?…九齢は事前に改ざんされないよう、帳簿の点検と称して各支店の帳簿を全て集めようと提案した。しかも創業以来の帳簿から全て集め、長年、徳盛昌に巣食う虫を見つけ、正直な者を抜擢するという。一方、九齢たちの話を立ち聞きしていた番頭・宋運平(ソウウンヘイ)は従妹・蘇綺(ソキ)の侍女に接触し、急ぎ警告した。「君蓁蓁に気をつけるよう伝えてくれ」方府に戻った九齢は承宇に馬の人形を贈った。承宇は子供の玩具だと怒ったが、九齢はその姿に弟・九穃(キュウヨウ)が重なり感傷的になってしまう。しかしふと我に帰り、承宇の病状を確かめることにした。「感覚はある?」「やめろ!」承宇は急に足を触られ動揺したのか、また不機嫌になった。「私は医者だし従姉なのよ?」「従姉でも控えるべきだ!」九齢は承宇が自分を身内だと認めていると笑ったが、今の治療に限界が来たと分かった。九齢は偶然、側室の蘇綺が承宇に薬膳を届けるのを見た。劉(リュウ)氏の話では3~4日おきに差し入れしてくれるが、薬膳に問題はないという。「もしや薬膳を届けて様子を見ているのかも…」曹(ソウ)氏は蓁蓁が蘇綺を怪しんでいると分かったが、九齢は刺激しないよう泳がせることにした。そこで祖母たちにそろそろ承宇に薬湯の沐浴で解毒させる時が来たと報告、当初の計画通り承宇と自分の婚姻を発表してほしいと頼む。婚姻で病が治るという迷信を利用し、黒幕に知られず治療するためだ。何より承宇は倫理を重んじて女子を遠ざけるため、夫婦にならねば治療が難しい。しかし真相はすぐ明らかになるだろう。曹氏は蓁蓁が恥をかくことになると心配したが、九齢は承宇を治すことが何より大切だという。すると感激した曹氏は方家に尽くしてくれる蓁蓁の真心に全身全霊で報いると約束した。その頃、都の陸雲旗(リクウンキ)は懐(カイ)王府に九齢の姉・九黎(キュウレイ)を訪ねていた。ちょうど姉と一緒に中庭にいた九穃だったが、陸統領の姿を見ると部屋に戻ってしまう。陸雲旗は公主との婚礼を願い出たと伝え、皇帝も同意したと報告した。「吉日は6月18日だそうです、いかがでしょうか?」「6月18日は九齢の誕辰、もちろん吉日だわ」九黎は了承したが、全て楚譲(ソジョウ)の差し金だと分かった。しかしまだ幼く病弱な弟を守るためには仕方がない。まさか陸雲旗が愛する九齢のために自分たちを守るつもりでいるとは、九黎には知る由もなかった。朱瓚(シュサン)は九齢の死を受け入れられず、雲霄閣(ウンショウカク)に調査を任せた。すると幸運にも武徳司より先に先帝の侍女を見つけたと報告が届く。朱瓚は楚譲が陸雲旗の協力で皇位簒奪したと知り驚愕、しかも侍女はこの事実を九齢にも伝えていた。「そうだ、これは侍女が覚えていた文様だそうです」張宝塘(チョウホウトウ)は小さな紙切れを渡し、侍女の話によると先帝が崩御した日、この文様を見ていたという。曹氏は会議で支店の責任者たちが集まる明日、承宇と蓁蓁の婚姻を発表すると決めた。そこで蘇綺は娘の錦繍を使い、承宇と蓁蓁の婚姻を反対させる。曹氏と劉氏は婚姻で厄を落とすためだと説明したが、錦繍は激しく抗議した。「祖母!蓁蓁は方家を乗っ取る気です!…この家をあの子の好きにさせてたまるもんですか!」すると曹氏は卓を叩いて激怒、口出しは許さないと追い返した。しかしこの婚礼がはた目から見れば財産目当てだと揶揄されるのも仕方がない。曹氏は寝所で独り、化粧箱から古びた封じ紙を出した。そこには″勅命司礼監本 封じる″とある。…この呪いが天災なら、私は天地をねじ曲げてでも家を守る…人災ならたとえ相手がどんな権力者でも徹底的に闘おう九齢は父の死の真相を探るためにも承宇との結婚を決意した。月を眺めながら物思いにふける九齢、すると承宇がやって来る。承宇は死ぬ前に一度、外へ出たいと考えていたことを明かした。最後に出かけたのは5歳の時、灯籠節だったという。「灯籠節を見たいなら今年は行けばいいじゃない?」「なぜ外へ出なくなったか分かるか?」ある時、承宇は使い走りがうっかり菓子を落とすのを見た。食事を厳しく制限されていた承宇は床から出て回廊をはいずり、その菓子を拾って食べたという。しかし運悪くその姿を劉氏が見ていた。劉氏は息子の哀れな姿に嘆き悲しみ、そのまま3日3晩、寝ついてしまったという。「それ以来、自分の願いを封じた…だがこの苦しみももう終わる ただ最近、外に出たいという思いが強くなったんだ、最期の時が近いのかも…」「灯籠節に行きましょう、私がついてるわ」翌朝、九齢は朝の食卓で承宇を連れて灯籠節に行きたいと頼んだ。曹氏は蓁蓁が言うならと了承したが、錦繍が早速、かみつく。「君蓁蓁!一体、祖母に何を吹き込んだの?!承宇の外出を認めさせるなんて…」九齢は相手にしなかったが、ふと思い立って祖母に灯籠を作りたいと頼んだ。「沢州の灯籠節は賞金がでるとか?」「ただの賑やかしだから高額ではないけれど、縉雲(シンウン)楼の賞金は別格よ?」「私も灯籠を作ります」すると曹氏は方家では毎年、ひとつの通りを灯籠で飾るため、そこに1つ足せば良いと認めた。一方、朱瓚と宝塘は露店で朝食を取っていた。その時、通りかかった荷車を見た朱瓚は例の文様が運送の封じ紙ではないかと気づく。「皇家の貨物運送だ…」「あ!太炎3年、あの身代金はここで受け渡されたのか」朱瓚は太上皇殺害事件を思い出し、もしこの文様が身代金の封じ紙なら何か裏があると疑った。「宝塘、沢州の有力な商家を調べてみてくれ」すると店に来た客が方家の噂話を始めた。何でも方家の少爺が祖母を頼ってきた従姉と婚姻するという。九齢は高執事の案内で早速、職人を訪ねた。灯籠の図を見た親方は美しくないと困惑したが、九齢はともかくこのまま作って欲しいと頼む。高執事が仕事に戻ると、九齢は眠そうな柳児(リュウジ)を馬車で待たせ、久しぶりに灯籠を編むことにした。しかし突然、裏庭に朱瓚がやって来る。「入り口で方家の馬車を見たんだ」すると朱瓚は蓁蓁の机にある朝京里程図(チョウキョウリテイズ)に気づいて驚いた。「これは宿駅でしか買えないが…」「執事がくれたの、知っているの?」実はその地図は朱瓚が作ったものだった。この地図が話題となれば楚譲が自分を都に招喚するはず、そうすれば九齢と会える。朱瓚は蓁蓁が竹を編む姿を見ながら、かつて九齢と一緒に灯籠を作ったと話した。「会う度に赤い衣を着ていて美しかった…好きな人のことは不思議と覚えているものだな だが…もう遅い」「どうして気持ちを伝えなかったの?」「成人したら言おうと思ったんだ、会えなくなるとは思わなくて…」九齢は平静を装っていたが、うっかり指を切った。朱瓚は傷薬を渡して徳盛昌について尋ねようとしたが、九齢は話を遮り、店のことは何も知らないという。「他にご用がなければお帰りを…」朱瓚は仕方なく客桟にいると伝え、何か思い出したら教えて欲しいと頼んで帰って行った。…朱瓚、まさかあなたも徳盛昌を調べているの?…つづく( ゚ェ゚)え?中庭にいた灯籠職人が急に1人もいなくなった…w
2023.03.30
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君九龄 Jun Jiu Ling第3話「不可解な呪い」柳児(リュウジ)が方玉繡(ホウギョクシュウ)からの注意を伝え忘れたせいで、君蓁蓁(クンシンシン)こと楚九齢(ソジゥリン)は方家の嫡男・承宇(ホウショウウ)の中庭に入っていた。「君が噂の表小姐・君蓁蓁か?…ここは私以外、立ち入ってはならぬ」「景色を楽しんでいるうち迷い込んでしまったの…怒らないで」「私に関わらない方がいい」すると承宇は三桃(サントウ)に車椅子を押してもらい、部屋に戻ってしまう。承宇は15歳の今に至るまで外へ出たことがなかった。柳児の聞いた話では病を患っており、長く生きられないという。そこで九齢は柳児に承宇の病と医者を調べるよう頼んだ。すると思わぬ事実が判明する。実は先代は突然死、老爺は殺害され、唯一の跡継ぎである少爺は極端に体が弱かった。承宇は5歳の時に大病を患い、16歳まで生きられないという。「16歳?あと1年もないわね…」「だから方家の男は呪われていると言われているんです」翌朝、九齢は承宇の警告を無視してまた中庭を訪ねた。困惑する承宇をよそに強引に脈診する九齢。そこで自分が治療したいと申し出たが、承宇は激しく動揺し、逃げるように部屋に戻ってしまう。一方、朱瓚(シュサン)と張宝塘(チョウホウトウ)は方家の前の露店に居座り、蓁蓁が出てくるのをひたすら待っていた。九齢は承宇が病ではなく毒に冒されていると分かった。すると老夫人・曹(ソウ)氏と承宇の母である劉(リュウ)氏に呼び出され、承宇に近づかないよう警告されてしまう。九齢は承宇を治療したいと申し出たが、驚いたことに毒を飲ませていたのは2人だった。劉氏の話では5歳で大病を患ってから、病を中和する毒薬を飲ませているという。「飲まなければ今日まで生きて来られなかったわ…」すでに処方箋を出してくれた名医は亡くなり、他に治せる医者もなく、曹氏と劉氏はこれが承宇を生かせる唯一の方法と信じていた。「違います、誰かが皆さんを誤導していたのです」九齢は承宇は毒薬のせいで弱り切っているだけで大病など患っていないと訴えた。恐らく目的は後継の承宇を弱らせるため、黒幕は身近な者のはず、内部にいるだろう。曹氏は蓁蓁に治療を任せると決め、当時の処方箋を出してくれた。その時、九齢は化粧箱の中にある印章に気づいて目を見張る。…なぜ老夫人があの印章を?…それは例の師匠が残した″封じ紙″と同じ印章だった。…方家と印章と封じ紙にはどんな関連が?…九齢は考え事をしながら中庭を歩いていると、偶然、高(コウ)執事に出くわした。そこで都の様子を聞きながら、それとなく姉弟の様子を探ろうとする。「皇宮の話は何かある?懐(カイ)王府は…」しかし侍女・芍薬(シャクヤク)が高執事を呼びに来たため、話はそこで終わった。老夫人に呼ばれた高執事は君蓁蓁が皇族のことを知りたがったと報告した。「皇族を軽々しく話題にしてはなりません、″あのお方″が決して許さないでしょう それに懐王について質問したのです」驚いた曹氏はすぐ蓁蓁を呼んだ。九齢は高執事への質問の件だと気づき、実は九齢公主と交流があったと説明する。しかし曹氏は旧友でも二度と触れてはならないと釘を刺した。「お怒りなきよう…ご教示を心に刻みます」九齢は足りない薬材を買うため玉繡と買い物に出かけた。これなら黒幕も女子のただの街歩きだと思うだろう。そこで玉繡はまず沢州の女子たちに人気のある老舗の宝飾店へ行こうと誘った。2人はかんざしを買うことにしたが、運悪く蓁蓁を恨む寧(ネイ)家の娘・雲燕(ウンエン)が取り巻きと一緒に現れる。すると雲燕は蓁蓁が買おうとするかんざしをことごとく横取りして邪魔をした。「寧小姐、何がしたいのかしら?」「私も同じものが気に入っただけよ、そうだ、高値をつけた方が買うのはどう?」九齢は雲燕の挑発に乗った振りをして値をあげ、頃合いを見計らって下りた。雲燕は君蓁蓁をやり込めたと上機嫌だった。しかし友人が5両のかんざしを150両で買ったと気づき、まんまと騙されたと知る。一方、九齢は本当の目的地である隆昌(リュウショウ)薬鋪に到着した。そこで玉繡には祖母の心臓の薬を買うと話し、承宇のための薬材を集めることにする。店主はあいにく処方の中の数種類しかないと言ったが、九齢はあるだけで良いと答えた。九齢たちが店を出ると再び雲燕たちが現れ、いきなり薬の袋を奪って足で踏みつけた。柳児は激怒したが、九齢は騒ぎにならないよう止める。「君蓁蓁、私から銀子を騙し取った報いよ!」「…150両では少なかったようね、もっとつり上げれば良かったかしら?例えば5千両…」すると騒ぎに集まってきた野次馬が5千両と言えば寧公子と同額だと笑った。激高した雲燕は蓁蓁を詐欺師だと訴え、寧家から5千両もせしめた張本人だという。「寧雲燕、忘れないで、寧家が進んで婚約書を買い戻したのよ?」「嘘よ!脅迫して値をつり上げたくせに!」「都で一番人気の呉瀟瀟(ゴショウショウ)が3千両だから寧家の公子が5千両なのは相当では?」九齢が引き合いに出したのは妓楼の女子、これには野次馬たちが大笑いし、面目を潰された雲燕は逃げるように帰ってしまう。その様子を蓁蓁をつけていた朱瓚と宝塘が見ていた。「二哥、なかなか面白い娘ですね」その夜、承宇も三桃から蓁蓁の大立ち回りを聞いた。「本当か?」「寧家の小姐は笑い者にされ激怒していました」「痛快だな、そんな面白い女子だったとは…」「ではどんな女子だと思っていたの?」突然、蓁蓁が現れ、承宇は何とも気恥ずかしくなった。九齢は早速、承宇の治療を始めることにしたが、承宇は短命な人生に絶望し、心を開こうとしない。すると九齢は人生に長さは関係ないと諭し、今回は承宇もおとなしく脈診に応じた。寧府に雲釗(ウンショウ)が帰ってきた。ちょうど授業がなく、家族と祝日を過ごすため都から戻ったという。雲燕は婚約書の一件を報告、仕返しして欲しいと泣きついたが、雲釗は相手にしないようなだめた。「蒸し返せばかえって噂は消えぬ」一方、朱瓚は宝塘に蓁蓁が薬鋪で何を買ったのか調べさせた。宝塘の話では薬材がふぞろいで効能までは分からず、珍しい処方箋だったという。そこで朱瓚は詳しい調査を雲霄閣(ウンショウカク)に任せ、蓁蓁を待ち伏せすることにした。「明日もまた薬材を買いに行くはずだ」朱瓚は沢州で品ぞろえが良い薬鋪に狙いを定め、一芝居打つことにした。翌日、九齢が福祥(フクショウ)薬鋪から出ると″令九(レイキュウ)″が現れた。令九は先日の無礼な男を引っ立て、蓁蓁に謝らせるという。2人の三文芝居に呆れた九齢は無視して帰ることにしたが、朱瓚は話がしたいと引き止めた。「例の件ですか?…真実を教えたら二度とつきまとわないと約束を?」「もちろんだ」九齢と朱瓚は順徳楼の個室に入った。朱瓚は九齢公主とは懇意で危害など加えないどころか、命懸けで守りたいと訴える。「行方を教えてくれ、あとのことは私に任せろ…君たちが救ったのだろう?」「そうだったらどんなに良かったか…」九齢は手遅れだったと明かした。駆けつけた時には牢房が火に包まれ、公主は焼死したという。しかし朱瓚はどうしても信じられず、九齢は生きていると言い張った。そこで九齢は東門を出て北西に50理ほど行くと崖があり、その下に君応文(クンオウブン)の墓があると教える。「公主を助け損なって逃げた後、追われた父は崖から転落しました 信じられないなら見てくるといいわ」すると朱瓚は肩を振るわせながら部屋を出て行ってしまう。「令九…ごめんなさい」客桟に戻った朱瓚は悲しみを紛らそうと酒に溺れた。いつしか九齢への想いが恋だと気づいた朱瓚。しかし北方に来て8年、久しぶりに届いた文で九齢の婚姻を知ることになる。宝塘は公主の死を受け入れるよう説得したが、朱瓚はどうしても納得できなかった。「宝塘、信じてくれ、九齢は必ず生きている、どこかで私を待っているはずだ 九齢…君がどこにいようと私が必ず探し出してみせる!」つづく( ;∀;)و✧<この朱瓚が探し出してみせる! (・_・ `)お、おぅ…@視聴者
2023.03.29
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君九龄 Jun Jiu Ling第2話「幼き日の約束」師匠・君応文(クンオウブン)の遺言に従い、沢(タク)州の方(ホウ)家に身を寄せることになった楚九齢(ソジゥリン)。すると思いがけず君蓁蓁(クンシンシン)に寧(ネイ)家との縁談があると知る。九齢に嫁ぐ気などさらさらなかったが、老夫人・方曹(ソウ)氏が寧夫人に煮湯を飲まされたとあっては見過ごせない。そこで九齢は寧夫人に破断にするなら婚約書を2千両で買い取るよう迫った。寧夫人は散々、悪態をついてから侍女に2千両を用意しろと命じたが、九齢は急に制止する。「値段が変わりました、今は5千両です」九齢は利息として3千両を上乗せし、2千両は祖母への償いにすると言った。方家は蓁蓁が自らせっかくの良縁を破断にしたと聞いて驚いた。しかも相応の報いとして銭まで払わせたという。九齢は祖父と祖母を侮辱され許せなかったと訴え、寧家に頭を下げるつもりはないと断言した。するとその夜、曹氏は蓁蓁を寝所に呼び、自分の翡翠の腕輪を贈る。「今後は安心して方家で暮らしなさい」辺境を守る成国公(セイコクコウ)の屋敷。この日、世子・朱瓚(シュサン)は皇帝から召喚され、都へ発つことになった。成国公は何かあれば配下の雲霄閣(ウンショウカク)に対応させるよう助言する。すると郁(イク)夫人が息子から頼まれた化粧箱を渡した。「九齢は婚姻を賜ったのよ?なぜ今さらこれを…」「これは婚姻を祝う品ですよ、もめ事は起こしません」朱瓚は万が一のことも覚悟し、両親に三拝して別れの挨拶とした。朱瓚は弟分の宝塘(ホウトウ)を帯同して武徳司の護送で都へ向かった。一行は福来客桟で食事を取ることにしたが実は給仕が雲霄閣、すると武徳司の目を盗んで給仕は朱瓚たちの卓に密書を忍ばせる。実はその文は九齢公主の訃報を知らせるものだった。「九齢が…死んだ?」朱瓚は全身が凍りつくほどの衝撃を受け、思わず外へ飛び出した。朱瓚と九齢は幼なじみだった。『九齢、今度、辺境に行ったら、いつ戻れるか分からない…』『いつまでも帰りを待っているわ!』朱瓚はあの時の九齢の笑顔を思い出し、涙に暮れる。しかし宝塘は骸の顔が判別できなかったのなら公主と断定できないと励ました。密書によれば当日は君応文と娘が牢に潜入したとある。君応文は行方知れずだが、娘は祖母を訪ねて沢州へ向かったとか。すると朱瓚は居ても立ってもいられず、宝塘と2人で客桟を飛び出してしまう。皇帝・楚譲(ソジョウ)は朱瓚が逃げたと聞いた。武徳司の統領・陸雲旗(リクウンキ)は朝京里程図(チョウキョウリテイズ)の件で処罰されるのを恐れたのだろうと推察する。皇帝は直ちに連行するよう命じると、ふと九齢の姉・楚九黎(ソキュウレイ)の様子を聞いた。「2人目の九齢になる可能性は?」「九黎公主は何もご存知なかったかと…」しかし皇帝は人心ほど測り難いものはないと警戒する。驚いた陸雲旗は九黎を娶りたいと嘆願、すると皇帝は九齢の百箇日を迎えるまで待つよう言った。陸雲旗は陸家の祖廟に立ち寄った。そこには妻として埋葬した九齢の墓もある。…九齢や、なぜ死んだ?君を止めたのは命を救うためだったのに…あの時、陸雲旗は頃合いを見て愛する九齢を救うつもりだったが、思いがけず火事になり間に合わなかった。今や皇帝は九齢の姉弟を警戒し始めている。陸雲旗はせめて九齢が大切にしてきた姉弟を守りたいと願い、墓前で九黎を娶ると報告した。一方、老夫人に受け入れられた九齢は太上皇殺害について調べることにした。師匠が残した封じ紙には″太炎3年″とある。九齢は幼い頃、北祁(ホクキ)人に連れ去られた祖父を受け戻すため鋳造された官銀を見たことがあった。官銀には確かに″太炎3年 内承運庫(ナイショウウンコ)″と刻まれていたと記憶している。しかし北祁人は交渉を拒み、人質となった太上皇と数人の皇叔たちが殺された。その官銀は結局、父にとって大いなる恥辱の産物となってしまう。九齢は父の話を思い出しながら、この封じ紙が官銀に付いていたものではないかと考えた。…方家で商いを学べば調査できるやも…朱瓚と宝塘は沢州の方家に到着した。そこで偽名を使い君蓁蓁に会いたいと頼む。しかし待っている間に官兵が現れ、咄嗟に物陰に隠れたせいで九齢と会えずに終わった。朱瓚と宝塘は仕方なく露店で次の作戦を考えた。その時、偶然、客の噂話が聞こえてくる。「徳盛昌(トクセイショウ)に血族を名乗る娘が現れたらしいな」「お前、方家に婿入りしたいのか?」「まさか!方家の男は呪われているんだぞ?」一方、九齢は祖母の勧めで徳盛昌の見学にやって来た。しかし見たいのは太炎3年の帳簿、今月の帳簿を眺めてもいても意味がない。すると二小姐・玉繡(ギョクシュウ)が蓁蓁を気遣い、初日なので早めに帰るよう勧めた。九齢はありがたく引き上げたが、大小姐・錦繍(キンシュウ)はやる気のない蓁蓁の態度に呆れてしまう。九齢は帰り道で壊れた荷車に道をふさがれ、仕方なく馬車を降りて歩くことになった。すると菓子店を見つけた柳児(リュウジ)が食べてみたいと訴える。九齢は銭を渡してその場で待つことにしたが、その時、見知らぬ男が急にからんできた。しかし目の前の酒楼の2階から颯爽と男が登場し、九齢を救ってくれる。「小姐、助けてやったんだ、手を貸してくれないか?」視聴者もポカーンw朱瓚は君蓁蓁に恩を着せ、代金の肩代わりを頼んで酒楼に誘い込んだ。「お名前は?明日、屋敷まで返済に行くよ」「必要ありません、助けてくれたお礼ですから」実は九齢は朱瓚と宝塘が仲間だと見抜き、壊れた荷車も手配したのだと気づいた。朱瓚はならばなぜ銭を払ったのか不思議だったが、蓁蓁は目的が知りたかったという。そこで朱瓚は思い切って楚九齢公主を探していると打ち明けることにした。「私の名は号令の″令″に数字の″九″で″令九(レイキュウ)″だ」九齢は驚いた。″令九″とは辺境へ戻る朱瓚に九齢が授けた名前…。あの時、朱瓚は長い間、離ればなれになって再会した時、九齢が自分の顔を分からないかもしれないと心配した。『私の名をかたる者がいても騙されるなよ?』『じゃああなたに名前を贈るわ、私が九齢だから令九はどう?』『九齢と令九か…うん!気に入った』…あなたなのね、朱瓚…九齢は動揺を悟られまいと、咄嗟に茶の中に花弁を潰して入れた。すると朱瓚は九齢がいつも茶に薔薇の花弁を入れてくれたことを思い出し、君蓁蓁と九齢が親しいと知る。しかし九齢は父と公主の行方なら知らないの一点張り、他の人に聞いてほしいと言って出て行った。九齢は朱瓚との再会に感激しながらも決して正体を明かすことはできなかった。…朱瓚、自由奔放な楚九齢はもう死んだの…あなたまで復讐に巻き込めない、しくじれば成国公府まで潰されてしまうわ…父皇と蓁蓁、師父のため、もう後には引けない、だけどあなたは違う…九齢公主は死んだけどあなたは生きなくては、どうか許してねその夜、九齢は別れ際に見た朱瓚の笑顔を思い出し、独り涙に暮れた。朱瓚は君蓁蓁が恐らく九齢の行方を知っていると疑った。確かに君主を欺いて公主を救出したのなら大罪、見知らぬ男に真実を明かせるはずがない。朱瓚は君応文と九齢が身を隠しているなら、おそらく世話をしているのは君蓁蓁だと考えた。屋敷に戻った九齢は中庭で初めて方家の嫡男・承宇(ショウウ)を見かけた。しかし車椅子で髪も結わず、独りで紙を折っている。九齢は遠慮して足早に去ろうとしたが、突然、承宇が口を開いた。「君が噂の表小姐・君蓁蓁か?」つづく( ๑≧ꇴ≦)水卜ちゃん結婚おめでとう!…あ、柳児だったw
2023.03.28
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君九龄 Jun Jiu Ling第1話「炎に焼かれて」天侑(テンユウ)の志宗(シソウ)皇帝が崩御した後、弟・楚譲(ソジョウ)が帝位を継承した。しばらくして志宗の次女・楚九齢(ソジゥリン)は皇帝の勅命により武徳司の統領・陸雲旗(リクウンキ)に降嫁したが、婚儀で思わぬ事件が起こる。九齢は祝宴の場で皇帝が父を殺したと断罪、真相をぶちまけた。「父皇が亡くなった日、御書房へ行ったわね? あなたが立ち去った後、父は持病が再発してこの世を去った でもなぜ父の首に絞められた痕があったの?!」宴席は騒然、すると九齢はしらを切る皇帝の目の前までやって来た。「…父皇を殺したの?」「そうだ」逆上した九齢は隠し持っていた短刀を出したが、あと一歩というところで陸雲旗に阻止されてしまう。皇帝は誰が九齢に密告したのか調べさせた。九齢は拷問にかけられても白状しなかったが、調査の結果、氷児(ヒョウジ)という侍女が逃亡していると分かる。非常に聡明で兄に最も可愛がられた娘・九齢。皇帝はそんな九齢を恐れ、万一に備えて陸雲旗に九齢を娶らせたが無駄だった。「白状せぬならもう尋問せずともよい…」その夜、牢獄に神医の君応文(クンオウブン)とその娘・蓁蓁(シンシン)が潜入した。2人は門番を襲って鍵を奪い、意識不明となった九齢を連れて逃げ出すことにする。しかし蓁蓁は脱獄が武徳司に知られれば逃げ切れないと気づき、九齢の身代わりになると決意した。そこで急いで九齢の婚礼衣装をまとい、父に別れの挨拶をする。「親不孝をお許しください、来世でも娘に…」蓁蓁は監房に戻ると、自ら火を放った。…君家は先帝に恩義がある、報いる機会を得られて光栄だわ、私の分まで生きて…公主の極刑が決まったと聞いた陸雲旗は牢に駆けつけた。しかし九齢の牢はすでに火に巻かれ、近づくこともできない。一方、君応文は意識不明の公主を車に乗せ、娘の犠牲に涙しながら馬を駆けていた。皇帝は陸雲旗から九齢が自害したと聞いた。「九齢は朕が最も気に入っていた姪だった… 幼い頃から利口だったが、ここ数年の市井(シセイ)暮らしで身勝手になったのだな こともあろうに朕の暗殺を企てるとは…」すると皇帝は罪人の死で決着がついたとし、九齢の姉弟に累が及ぶことはないと言った。九齢が目を覚ますと自分の顔が蓁蓁に変わっていた。君応文は九齢を洞窟にかくまい、秘薬を使って顔と声を変えたという。「蓁蓁は身代わりになって死んだ…九齢や、私たち君家は望んで恩返ししたのだ」驚愕した九齢は妹のように可愛がっていた蓁蓁のため宮中へ引き返そうとした。しかし君応文が興奮する九齢を引き止め、蓁蓁の思いを無駄にしないで欲しいという。楚譲は先帝が崩御すると九齢たち姉弟を警戒した。そこで警戒を解くため九齢は降嫁を承諾し、暗殺に踏み切ったという。もし失敗しても姉と弟の命は守れると思ったからだ。確かに九齢が死んだ場合、皇帝は世論を鑑みて九黎(キュウレイ)と九穃(キュウヨウ)に手を出せくなる。「師父、ご存知でしたか?父皇の侍女から聞いたのです、父皇は楚譲の手で殺されたと…」あれは九齢が独りで霊廟にいた時だった。突然、氷児が現れ、実は先帝の崩御の前に楚譲が陸統領を伴って参内、先帝と口論になったという。『原因は分かりません、ですが先帝の首に絞められた痕が…持病の再発ではないはずです!』九齢はこのまま楚譲を見過ごすことはできなかった。しかし君応分は天が必ず報いを与えるとなだめ、そのためには生き延びなければならないという。九齢は娘を失った師匠の無念を思い、これからは蓁蓁の代わりに生きると約束した。「生きてこそ正義を取り戻せます」「いい子だ…」翌朝、目を覚ました九齢は師匠の姿を探して外へ出た。すると崖下で倒れている君応文を発見する。実は薬草を採りに出かけた際、希少な紫英仙株(シエイセンシュ)を発見、喜び勇んで花を採ったまでは良かったが、うっかり足を滑らせ崖から転落していた。「師父!分かりますか?!九齢です!」君応文は意識が戻ったが、もはやこれまでの命と覚悟し、九齢に君家に伝わる玉佩を託した。「いいか…これからお前は楚九齢ではない…君蓁蓁だ…どうしてもお前に伝えておかねば… 私の草紙に先帝から生前、預かった封じ紙がある」太炎3年、北祁(ホクキ)人が先帝の父・太上皇を殺めた。先帝は楚譲の関与を疑い、実は君応文に内偵を命じていたという。しかし程なく先帝が崩御、恐らくこれが志宗皇帝暗殺の原因であり、楚譲の泣き所だろう。そこで都には戻らず、ひとまず沢(タク)州にある蓁蓁の生母の実家に身を寄せるよう勧めた。九齢は師匠を埋葬して洞窟に戻り、草紙の間に挟まっていた封じ紙を見つけた。「楚譲…父皇の代わりに借りを返す、真相を世に知らしめるわ」翌朝、九齢は師匠が手配してくれた通り10里先の碧雲坡(ヘキウンハ)客桟へ向かった。そこで汝南(ジョナン)の君家の侍女・柳児(リュウジ)が待っているという。すると銭を失くして1ヶ月も無銭飲食した柳児がちょうど店主に追い出されるところだった。「宿代なら私が払うわ」柳児はようやく蓁蓁と再会、安堵の涙を流した。「ますます美人になられましたね!それが…他の者たちが待ちくたびれて銭を持って逃げたんです」蓁蓁は苦労した柳児をねぎらい、これから方家に身を寄せるつもりだと話した。すると柳児はもちろん蓁蓁について行くという。蓁蓁の外祖である方(ホウ)家は沢州の一大勢力だった。行き来がなかった蓁蓁の突然の来訪に慌てる方家の人々、しかし殿内にはなぜか女人しかいない。九齢は身分を証明する物として君家に伝わる玉佩しか持っていなかった。老夫人・方曹(ソウ)氏もその娘に玉賢(ギョクケン)の面影がなく、にわかに信じられない。実は娘の玉賢は汝南に嫁いでから二度と実家に戻らぬまま亡くなっていた。蓁蓁も母を亡くしたのが3才のため、はっきりした母の記憶もないという。そこで曹氏は汝南に問い合わせる間、その娘を泊めることにした。曹氏は娘と2人だけで話したいと家族を下げた。「玉賢が嫁ぐ際、持って行ったのは私から譲り受けた腕輪だけ…あなたに腕輪をあげたはずよ?」「…父は腕輪も埋葬しました」「どんな腕輪か覚えている?」九齢は老夫人の装飾を見て翡翠が好きだと気づき、咄嗟に緑色の翡翠の腕輪だと答えた。九齢は方家を追い出されずに済んだ。…まだ第一関門を突破しただけ、足場を固めるのは簡単ではない…何とかして方家の信頼を得なければ…蓁蓁、沢州で真相を突き止められるよう力を与えてね九齢は殺風景な西閣(セイカク)に落ち着いた。様子を見に来た大小姐・錦繍(キンシュウ)は敵意むき出しだが、二小姐・玉繡(ギョクシュウ)は穏やかで優しい。すると柳児が自分たちを偽物と疑ってかかる錦繍と喧嘩になった。玉繡が姉をなだめて連れ帰ってくれたが、九齢は言動を慎むよう叱る。「口が悪くても善良でないとは限らず、口がうまくても邪悪かもしれないわ」「…小姐、よく分かりません」九齢は思わず失笑したが、柳児も色々な経験をしながらいずれ悟るだろう。その時、柳児が君応文から頼まれて汝南から持ってきたという包みを渡した。「何なの?」「知りません」九齢が包みを開けてみると、驚いたことに寧(ネイ)家と君家の婚約書が入っていた。…蓁蓁が生きていればさぞ良縁だったでしょうに、でも私は嫁ぐわけにいかない…九齢は夕食に招かれた。錦繍は咳き込む祖母に料理を取り分けると、すかさず九齢が油物を控えるべきだと助言する。憤慨した錦繍は自分への当てつけかとぼやいたが、曹氏は蓁蓁が神医である父から医術を習ったのだと分かった。「技術があるのはいいことだわ、でも今後は医術ではなく商いを学びなさい」すると柳児が方家ではどうして殿方や若君ではなく女子に商いをさせるのかと聞いた。「よそ者が口出ししないで!」よほど気に障ったのか錦繍は箸を机に叩きつけて立ち上がり、この礼儀知らずたちを直ちに追い出すべきだと訴える。柳児は売り言葉に買い言葉でうっかり婚約書があると口を滑らせ、九齢は仕方なく祖母に見せることにした。婚約書のおかげで曹氏は九齢が本当に玉賢の娘だと信じた。「最初から見せてくれたら誤解せずに済んだわ…」「君家は落ちぶれました、かつて取り決めた縁談ゆえ、未だ有効かは分かりません」しかし曹氏は寧家の若君なら評判が高く、信頼のおける人だと安心させた。両家の年長者が取り決めたなら婚約は今も有効なはず、曹氏は早速、寧家を訪ねるという。曹氏は縁談の話で寧符へ出かけたが、家に戻るなり倒れた。錦繍はこれも蓁蓁のせいだと激怒、何でも寧家の母娘に嘲られたことが原因だという。医者は老夫人が苛立って心の臓を痛めたようだと説明していた。「心の臓に効く薬が必要ね…」九齢は寧府を訪ね、夫人に直接、婚約書を見せた。しかし寧夫人は亡き義父から息子の縁談話など聞いていないと突っぱね、手練手管を弄しても願いは叶わないと蔑む。そこで九齢は命を救われたことくらい聞いているはずだとやり返した。「貧しい者から治療費を求めないのは医者の本分です、ですが銭がある患者は払うべきでは?」「確かに治療費のやり取りは当然だわ、でも縁談を取り引きにしてはだめ、一生を左右するもの」「でも大旦那様は払っていません」その時、回廊で立ち聞きしていた娘の雲燕(ウンエン)が部屋に飛び込んで来た。「お祖父様はそんな人じゃないわ!」「大旦那様は手持ちがなく、祖父も要らぬと言ったそうです ですが大旦那様は恩義を感じて縁談を取り決めました 寧夫人、あなたが縁談を認めればこれは婚約書となり、認めなければ借用書となります 治療費を払って婚約を撤回するならご破算です」激怒した雲燕はすぐ銭を払って追い出してくれと叫んだが、母に叱られ退散した。「心血を注いで育てた大切な息子が悪い犬に食われるとはね… 卑しい出自で成り上がろうと思わないで!」すると九齢は寧家こそ賂をばら撒いて高官の地位を買い、卑しい出自を脱したとはずだと指摘した。「どうしてそれを…」「この婚約書を買い取るのも同じ道理では?たった2千両です」「なんて計算高いのかしら」「恐縮です」寧夫人は仕方なく2千両を用意するよう命じた。しかし急に九齢が止める。「値段が変わりました、今は5千両です」つづく(* ̄0 ̄)θ~♪じょりーんじょりーんじょりーんじょりぃぃぃぃんという歌があってだな ←どうでもいい?w
2023.03.25
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