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4月6日に「10の奇妙な話」についてのレビューを書いているのですが、その本のあとがきに2作品ほど映像化されていると紹介されていたので見てみました。「ピアース姉妹」「蝶の修理屋」どちらも少し原作と違うところがありましたが、なかなか面白かったです。「蝶の修理屋」は原作にあったラストの毒がなく、なんだか感動モノになってしまっていたので、そこは残念。最後までちょっと毒のある不思議な世界を展開してほしかったです。
2016/04/27
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幹事のアッコちゃん 柚木麻子 双葉社 表題作の他、「アンチ・アッコちゃん」「ケイコのアッコちゃん」「祭りとアッコちゃん」収録。最初、装丁の派手さに驚いた。ピンク?それにアッコちゃんの飾り巻き寿司? 最初の二作を読んでいるときは、正直言ってアッコちゃんシリーズもそろそろ飽きたなと思っていた。特に「アンチ・アッコちゃん」はアッコちゃんは風邪をひいているので、読者の私もなんだか元気が出ない。しかしどんどん読み進め、「祭りのアッコちゃん」にまでページを進めると、アッコちゃんの作る焼きそばが無性に食べたくなってきた。よくよく考えてみれば、アッコちゃんの隣にいるのが笹山(澤田)三智子の時が読みやすい。アッコちゃんの深層心理が読むこちら側に伝わってきているのだろうか。 TV番組のインタビューで、「グローバル化時代のビジネス成功の秘訣は?」と聞かれた彼女はこう答える。 「ランチです」 そうなのだ。食べることは、そのまま命を紡ぐこと。自分の身体をいたわること。そこから全てが始まるのだ。 合理化や経済発展だけを求めていてはいけない。それよりも大切なものがある。丁寧に生きること。 読了後、装丁の派手さが心地良く心を照らし、アッコちゃんはいつも通り読者の私を元気にしてくれた。
2016/04/26
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30000このすいか あきびんご くもん出版 はたけにはよく熟れた30000このすいかがいました。見ていたカラスが言います。「かわいそうに、この子たちは食べられてしまうよ」と。それを聞いたすいかたちは慌てて畑から逃げ出します。逃げ出した先は......。 すいかたちが脱げ出すまでは予想範囲内。しかしそれから先は奇想天外なストーリーに驚きっぱなし。こういう絵本、大人だって読んで楽しみたい!
2016/04/20
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まく子 西加奈子 福音館 小学5年生というのはほんとうに微妙な年齢なのだ。自分の時もそうだが、近い過去で言えば、私の子どもたちが小学5年生の時。学校にいたのは、小菅先生のような大人ではなくて、もっと違う人種だった。子どもたちは苦い思い出を抱えたまま6年生になった。 では「まく子」に登場する慧たち小学5年生たちはどうか?年に一度の「祭」で子どもたちは学年ごとに神輿を作る。そのデザインを決める時、担任の小菅先生は言うのだ。「多数決で決めてはいけない」と。何かをある程度の時間で決めてしまう時、多数決は有効である。多数の意見を取り入れて決めるから。しかしそれは民主的ではない。何故なら少数派の意見が入っていないからだ。本当に民主的に物事を決めるのなら、多数派だけでなく少数派の意見も取り入れて話し合わねばならない。そう先生は言うのだ。 謎の転校生コズエは美少女で、クラス中だけでなく、集落中の注目を集める。彼女が「オカアサン」と一緒に住み始めたのは、慧の両親が経営する旅館の従業員用宿舎「いろは荘」だった。コズエと慧は様々なものを撒き始める。特にコズエは撒くことが大好きだった。なぜなら彼女は.....。 深い、深くて心に沁みて、愛おしくなる小説。いや哲学書と言った方がいいかもしれない。この小説を読むことが出来て良かった。
2016/04/15
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職業としての小説家 村上春樹 スイッチ・パブリッシング まるで村上春樹の講演会を聞いているような気分にさせるエッセイ。一言でエッセイと言ったが、日常的散文と言うより、村上春樹の小説家としてのスタンスを明確に表現している思想集とでも言おうか。小説家について、文学賞について、学校についてなどなど、小説家としての村上春樹を詳しく知ることが出来る。推敲に推敲を重ねるプロセスや登場人物の肉付けや名付けなど、興味深いエピソードがどっさり。特に「学校について」と「誰のために書くのか?」の内容が心にストンと落ちた。 「小説というものは、物語というものは、男女間や世代間の対立や、その他様々なステレオタイプな対立を宥め、その切っ先を緩和する機能を有しているものだと、僕は常々考えているからです。それは言うまでもなく素晴らしい機能です。自分の書く小説がこの世界の中で、たとえ少しでもいいからそういうポジティブな役割を担ってくれることを、僕はひそかに願っているのです」
2016/04/13
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10の奇妙な話 ミック・ジャクソン 東京創元社 読むほどに、なんとも奇妙な異界にはまり込んでゆく。起承転結があり、大団円の話は多くない。それでも登場人物が納得しているのだから、部外者である読者は口出しできない。ストーリー展開の意外さと座りの悪い着地点に、次第にはまり込んでいく。 「蝶の修理屋」の蝶の蘇生液がハッカで代用できるとは!読んだ途端、喉からハッカの香りがしたよう。 「宇宙人にさらわれた」はヒステリー状態に陥った集団の斬新な落ち着け方が面白い。ああ、こうきたか、とうならされた。理詰めで考えていた私はまだまだ未熟者だ。 「骨集めの娘」「もはや跡形もなく」は哲学的な話だと感じた。 どれも魅力的な10の話に、しばし浮世の憂さを晴らしてみるのもいいかもしれない。
2016/04/06
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