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2022年08月20日

東京音楽コンクール　二次予選

カテゴリ： OPERA

声楽部門　第2次予選

2022年8月20日 (土)
東京文化会館

第20回東京音楽コンクール
声楽部門第2次予選結果

本選出場者（第2次予選出場順）
川越未晴（ソプラノ）　KAWAKOSHI Miharu, Soprano
前川健生（テノール）　MAEKAWA Kensho, Tenor

池内響（バリトン）　IKEUCHI Hibiki, Baritone

審査員

個人的にとても残念なのが
すばらしいバッソ・プロフォンドの金子さんが本選に進めなかったこと。

＊＊＊

1.中山美紀（ソプラノ）　NAKAYAMA Miki, Soprano
J.ブラームス：『５つのオフェーリアの歌』 WoO22より第4曲「人々はあの人をむき出しの棺で運んだ」
R.シューマン：6つの歌 Op.107より第1曲「心の哀しみ」
A.トマ：オペラ『ハムレット』より「私も遊びの仲間に入れてください」
（ピアノ：横山希）

最近、アントネッロの「ジュリオ・チェーザレ」でクレオパトラを演じたリリック・コロラトゥーラ・ソプラノの逸材。勝負曲は「アムレ」のオフィーリアのアリア。High F、High Es,　High D,　High Cなどの高音を駆使し、コロラトゥーラが自在。特殊な東京文化の小ホールの残響が異常なほどで異世界に転げ落ちそうだった。しかし残念、この日はやや不調だったか？

2.岡村彬子（メゾソプラノ）　OKAMURA Akiko, Mezzo-soprano

第1曲「オルクニーズの歌」
第3曲「ヴァロニーの沼地」
第5曲「すすり泣き」
C.サン＝サーンス：オペラ『サムソンとデリラ』より「愛の神よ！私を助けにきておくれ」
（ピアノ：鴇田恵利花）

3.竹下裕美（ソプラノ）　TAKESHITA Hiromi, Soprano
R.シュトラウス：５つの歌 Op.39 TrV189より第4曲「解き放たれて」
G.ヴェルディ：オペラ『ドン・カルロ』より「この世の虚しさを知る神よ」
（ピアノ：佐藤昌仁）

リリック・ソプラノでパワフルで高貴さを感じさせる声。R.StraussのBefreitは最高だった！勝負曲は「ドン・カルロ」の「この世の虚しさを知る神よ」。この曲はドラマチック・ソプラノがはまる曲。ややFach違いか。

4.梅津碧（ソプラノ）　UMETSU Midori, Soprano
R.シュトラウス：『最後の花びら』よりの8つの歌 Op.10 TrV141より第2曲「何も」
A.トマ：オペラ『ハムレット』より「私も遊びの仲間に入れてください」
（ピアノ：石野真穂）

超高音の魔術師。ドイツ・リートも演技をつけてオペラティックに表現する。勝負曲は「アムレ」のオフィーリアのアリア。めくるめく技巧。High Fが2回とも完璧！

～休憩～

5.小林彩乃（ソプラノ）　KOBAYASHI Ayano, Soprano
G.プッチーニ：死ぬこと
G.プッチーニ：オペラ『妖精ヴィッリ』より「もしお前たちのように小さな花であったなら」
P.マスカーニ：聴きましょう！
G.ドニゼッティ：オペラ『カテリーナ・コルナーロ』より「来てください、私が呼び求めるあなた」
（ピアノ：千葉かほる）

まだ24歳。可愛らしい。若く美しくスレンダー。リリコ・レッジェーロ・ソプラノだが強靭な発声をしていた。超高音は出さないのかと思ったら、最後の最後にHigh Es。

6.川越未晴（ソプラノ）　KAWAKOSHI Miharu, Soprano
G.ドニゼッティ：オペラ『連隊の娘』より「こうして決まってしまうのね～フランス万歳」
F.アルファーノ：『3つのタゴールの詩』より第1曲「お母様、若い王子様が」
（ピアノ：田島葉子）

曲順を予定と変えて歌った。リリコ・レッジェーロ・ソプラノで、すばらしい声。美しくパワフルでスケールが大きく聴いていて爽快。HighEs,　HighD。

7.一條翠葉（メゾソプラノ）　ICHIJO Aoha, Mezzo-soprano
F.P.トスティ：『アマランタの4つの歌』より第4曲「賢者の言葉は何を語っているのか」
G.ロッシーニ：オペラ『タンクレディ』より「この胸の高鳴りは」
G.ロッシーニ：オペラ『チェネレントラ』より「悲しみと涙のうちに生まれ」
（ピアノ：木下志寿子）

やはり曲順を予定と変えて歌った。ぶ厚い声のパワフルなメゾ。コロラトゥーラもよかった。

8.今井実希（ソプラノ）　IMAI Miki, Soprano
R.シュトラウス：6つの歌 Op.68 TrV235より第5曲「アモール」
O.レスピーギ：『トスカーナ地方の4つの恋歌』 P103より第4曲「鶏は麦打場で引っ掻く」
L.ドリーブ：オペラ『ラクメ』より「どこへ行く若いインドの女よ」
（ピアノ：渡邊啓介）

リリコ・レッジェーロ・ソプラノ。表現力がすごい。技巧もすばらしい。High Es　3回。

（昼休憩）　

9.前川健生（テノール）　MAEKAWA Kensho, Tenor
V.ベッリーニ：オペラ『清教徒』より「いとしい乙女よ、あなたに愛を」
F.P.トスティ：『アマランタの4つの歌』より第3曲「無駄な祈り」
G.マイアベーア：オペラ『悪魔のロベール』より「おお母の面影は何と優しく」
（ピアノ：藤川志保）

A te o caraのHigh Cis　完璧に大成功！勇気あるなあ～こっちのほうが心臓止まりそうだったわ。しかも最後はオプショナルのHigh Dを聴かせた？すごいパフォーマンス。マイアベーアもB音、2回を強靭に聴かせて最後は完璧なHigh C！見事でした。

10.田井友香（ソプラノ）　TAI Yuuka, Soprano
R.シュトラウス：『3つの古いドイツの詩』 Op.43 TrV196より第2曲「母の戯言」
C.ドビュッシー：アリエルのロマンス
M.I.グリンカ：オペラ『ルスランとリュドミラ』より「悲しくてたまらないのです、愛するお父様」
（ピアノ：大貫瑞季）

リリコに近いリリコ・レッジェーロ。超高音はなし。

11.黒田祐貴（バリトン）　KURODA Yuki, Baritone
中田喜直：木兎
F.シューベルト：『冬の旅』 Op.89 D911より第21曲「宿屋」
G.ロッシーニ：オペラ『セビリアの理髪師』より「私は街の何でも屋」
（ピアノ：大貫瑞季）

甘いリリック・バリトン。Das Wirthaus　ではファルセットの甘い高音。すべてにおいて演技的なパフォーマンス。しもて側の上の方を見やるその目線がまるで彫像のよう。彼には独特の不思議な魅力があります。周囲の期待という大変な十字架を背負っている中でのこの落ち着いたパフォーマンスは見事。

12.池内響（バリトン）　IKEUCHI Hibiki, Baritone
G.ドニゼッティ：オペラ『ドン・パスクワーレ』より「天使のように美しい娘」
O.レスピーギ：4つの抒情詩 P125より第4曲「古い歌に寄せて」
W.A.モーツァルト：オペラ『フィガロの結婚』より「訴訟に勝っただと」
（ピアノ：矢野雄太）

カヴァリエ・バリトン。すばらしい声です。声量、響きも申し分なく。会場を魅惑します。Bella siccome un angelo　もう、うっとり～～。Hai già vinta la causa! Cosa sento!も圧倒的。本選も彼の声を楽しんで聴きたいと思います。

13.金子慧一（バス）　KANEKO Keiichi, Bass
L.v.ベートーヴェン：この暗い墓の中で WoO133
G.ヴェルディ：オペラ『シモン・ボッカネグラ』より「引き裂かれた心」
P.I.チャイコフスキー：オペラ『イオランタ』より「罪もなくなぜ苦しむ、この運命」
（ピアノ：平塚洋子）

すばらしいバッソ・プロフォンドの逸材。このような声は日本人でほぼいません。Il lacerato spirto　がこんなにも合う歌手は日本人にいません。超難しい最低音も完璧に入って、きっちり長くキープ。どうして本選に進めなかったのか！個人的にはとてもとても残念です。

お疲れ様でした！

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