話飲徒然草(S's Wine)

話飲徒然草(S's Wine)

2021年06月04日
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前回の続き。2019年2月に書いた記事です。


◆2019年を迎えて
2018年は私にとって55年の人生の中でワースト5に入るのではないかと思えるぐらい悲惨な年だった。
本業の仕事では業績の急激な悪化やトラブル、事故等が重なり、ノイローゼ一歩手前まで追い詰められた。プライベートでは8月末に転倒して右膝の内側側副靭帯を断裂。その後の回復が思わしくなくて、趣味の山歩きを続けることができなくなってしまった。結果、仕事の悩みを抱えながら、何もせず鬱々と過ごす週末が多くなり、肉体的にも精神的にもさらに疲弊するという負のスパイラルに陥ってしまった。
追い打ちをかけるように、年の瀬にはたまた仕事で大きなトラブルが発生。12月30日から三が日まで正月休み返上で出社せねばならなかった。新年を迎えて「心機一転」と思っていたところが、出鼻をくじかれるように年末年始トラブル対応に翻弄されたおかげで、どうにも悪い流れを断ち切れた気がしない。昨年にひきつづき、今年も私にとっては試練の年となるのだろうか。どこかで流れを変えるきっかけを作りたいものだ。

◆靭帯断裂その後
 さて、まずは前回の怪我の経過について報告したい。昨年8月に転倒して右膝靭帯を断裂。その後も遅々として快方に向かわず、このまま一生足をひきずった生活をしなければならないのかと悲観的になった時期もあったが、地道なリハビリや筋トレ、それにある程度長距離を歩くようになったことで、年末になってようやく調子が上向いてきた。この原稿を書いている2月初旬の時点で怪我から5か月半が経過したところだが、普通に歩く分にはさほど問題のないレベルまで回復したと思う。とはいえ、
・階段の昇降がまだギクシャクする。(特に下り)
・膝の上の筋肉が突っ張った感じが常に残っている
・石畳や坂道など、地面が不安定なところで心もとなくなる

といった具合で、怪我をする前の状態を10とすれば、回復度合いはようやく8ぐらいといったところである。週末には1時間以上のウォーキングを心掛けているが、今の段階で山歩きを再開できるかといえば、おそらく近郊の高尾山を往復すら難しいだろう。完全回復に向けて、筋トレなどを増やしていかなければと思っているところだ。

◆ワインライフへの影響と2019年のワイン計画
怪我のあとしばらくの間、とにかく歩くのが辛くて仕方なかったため、ちょっとした距離でもタクシーを利用したり、極力階段を避けてエスカレーターやエレベーターを利用したりしていた。そうした生活が運動不足を助長したのか、はたまた代謝が一気に衰えたのか、怪我をする前よりも、明らかに酔いが回るのが早くなった。
さらに年末にかけては、仕事のことを忘れたくて、毎晩毎晩、休肝日も設けずに飲み続けた。こうなるともう、ワインへの愛とか知的欲求とかそういったものとは別の、ただの「ヤケ酒」の世界である。それでいて、体は以前ほどアルコールを受け付けなくなってきているので、毎晩しこたま飲んでは夜中に頭痛に悩まされるという困った状況だった。
そんなわけで、昨年はワイン愛好家としてもまったく冴えない一年だったし、ワインを心から美味しいと感じる場面も少なかった。やはりワインは心身ともに健康かつ余裕のある時に飲みたいものだと改めて実感させられた年でもあった。

あらためて、今年のワインとの向き合い方について。まず心掛けようと思っているのは、酒量を抑えめにすることだ。晩酌をするたびに頭痛に悩まされるのは、アルコールの摂取量を控えろという体からのサインなのだと思う。老後に向けてなにかしら勉強を始めたいと思っているところでもあるで、平日シラフで過ごす夜が増えれば、そちらも捗ることになり一石二鳥だ。
想定しているのは、週末に1本、それを金、土、日など、3日に分けて飲むというペース。月間にして4本、年間消費量は48本ということになる。(まあそれでも、一般の人に比べればはるかに多いのかもしれないが。)
内訳としては、これまでどおりのブルゴーニュとシャンパーニュに加えて、当面、後述する「温故知新」銘柄の開拓が中心になるだろう。日持ちするボトルの方が好ましいので、古酒よりは新しめのビンテージ中心になってくると思う。
もうひとつの大きなテーマとして、自宅および寺田倉庫のストックの削減という長年の懸案がある。我が家には10年選手のセラーが2台あるが、中のワインたちの多くが「不動のラインアップ」化していて、晩酌用のデイリーワインを別途その都度購入するというおかしな状況が長年続いている。寺田倉庫に預けっぱなしのワインたちもそろそろ飲み頃になってきているし、保管代金もバカにならないので、なんとかしたいところなのだが、今年は前述のとおり消費ペースが落ちそうなことから、すぐに解決することは困難かもしれない。せめてセラーのワインを増やさない(=極力新たなワインを買わない)ことには留意したいと思っている。

◆「温故知新プロジェクト」進捗
そんな中、昨年末からなんとなく取り組んでいるのが「温故知新プロジェクト」だ。プロジェクトというのはシャレで、要するに、ワインに凝り始めたころに飲んだ懐かしい銘柄や、懐かしいショップのおすすめワインをあらためて飲んでみようという企画である。


*コンチャイトロ・カッシェロ・デル・ディアブロ・レゼルバ・プリパダ 2015
以前よく飲んだのは、通常の「ディアブロ」だったが、今回飲んだのはワンランク上の銘柄。価格は2千円台半ば。濃厚な見た目から想像するのとは裏腹にタンニンがよく熟していて滑らか。チリワインらしいジャミーな果実味も健在で、酸もしっかりあって、エレガントでバランスのよい味わい。ワインバーのグラスワインで出てきてもおかしくないような香味にチリワインも進化を実感した。★★★☆

*ロバート・モンダヴィ・プライベートセレクション・カベルネソーヴィニヨン2016
フワッとしていてコアに乏しく、なめらかというよりは薄められたようなネガティブな印象が先に立つ。工業製品的大量生産ワインという趣の味わいで、無難ではあるが、飲んでいて楽しいと思わせてくれる要素が希薄。かつて感動したリザーブなどの上位銘柄をまた飲んでみたいところだ。★★☆

*Ch.シトラン2015


*カテナ・アラモス・マルベック2017
「温故知新」としたのは、マルベックという品種を飲むのが久しぶりだったから。ジューシーな果実味、酒質は濃厚、タンニンはよく熟していて、酸は伸びやか。フィニッシュにはビターチョコっぽいフレーバー。千円台半ばとしては十分なクォリティで、食わず嫌いはよくないと再認識させられた。★★★☆

*コノスル・ピノノワール・20バレル・リミテッドエディション2016
非常に彫りの深いニューワルド的なピノ・ノワールだが、これが2k台前半〜半ばで買えるならかなりイイのでは、と思う。フランスのピノの味筋をイメージして飲むとその「ドギツさ」にやや辟易とさせられるかもしれないが、別物だと思えば、これはこれでありだろう。
★★★★

*クローズエルミタージュ2013(ギガル)
ワインにハマり始めたころはギガルのネゴスものをよく飲んでいた。皮革や土っぽいニュアンスがあり、酸がひっぱるバランス。タンニンがやや荒削りで、もう少し時間が必要だったかもしれない。2千円台前半の価格を思えば悪くはないが、あえてチョイスするほどの説得力は感じないか。★★★

*Ch.シャススプリーン2002
「憂いを払う」という意味のシャトー。ワインにハマり始めたころによく飲んだ。少し火を通した黒い果実、丁子、ナツメグ、墨、スーボワ。凝縮感は乏しく、酸はじんわりとした印象で、果実味に対してタンニンが支配的。単体ではやや厳しく、肉料理が欲しくなる。
★★★

*ソアーヴェ・クラシコ2014(ピエロパン)
薄めながらも輝きのある金色がかったイエローの色調。柑橘、白桃、ミネラル、それにナッティなニュアンス。口に含むと、酸がキリリとしていて、ミネラリーで淡麗辛口の味わいながら、ビミョーにブショネっぽいニュアンス(特に味わいのほうに)が感じられたのが残念。★★★?

上記のラインアップは(星こそ辛めだが)、比較的印象のよかったものを選りすぐったものだ。他にもかなりのアイテムを飲んだのだが、実のところインパクトに欠けるものや、ガッカリさせられたものの方が多かった。
「温故知新」プロジェクト、ここまでのところ、総じてやや消化不良気味である。
ひとつには、本当の意味でストライクど真ん中というべき「温故知新」銘柄をまだあまり試せていないことがある。たとえば、チリであれば「カルメン」とか「タラパカ」、スペインなら「トーレス」、「ハロコ」、カリフォルニアなら「フェッツアー」、「アケイシア」、他地域では「シト・モレスコ」、「R&R」、「トレヴァロン」、「ルーインエステート」など。買い集めようにも、なかなか一か所のショップでは揃わないし、今となっては正規の扱いがない銘柄もあったりして、集めるのが結構面倒なのだ。
もうひとつは、特に千円台などの安価な価格帯において、「当たり外れ」の振幅が大きく、正直、意欲を削がれている面がある。千円台ならよいじゃないかと言われそうだが、貧乏性なのでいったん開けたボトルを途中で捨てるのがしのびなくて、結局2~3日にわたって冴えないワインと付き合わねばならなくなる。それが思いのほか苦痛だったりする。
まあ考えてみれば、ワインに嵌り始めたころから20年以上が経過して、自分自身の経験値も上がっているし、加齢に伴って好みが変わってきたということもあるだろう。単に懐かしいからというだけで、安価な銘柄に過大な期待をしすぎること自体、無理があるのかもしれない。
次回にむけては、もう少し上位の価格帯の銘柄や、より本当の意味で「懐かしい」銘柄を選りすぐって試してみようと思う。





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Last updated  2021年06月04日 18時40分05秒
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shuz@ Re[1]:今になって新型コロナ感染(8日目)1週間ぶり出社(04/25) うまいーちさんへ お久しぶりです。コメ…
うまいーち @ Re:今になって新型コロナ感染(8日目)1週間ぶり出社(04/25) コロナですか。お大事に。 私もなりました…
shuz1127 @ Re[1]:【竹橋ランチ】マンマ・ミーヤ再び(娼婦風)(02/09) maki5417さんへ コメントありがとうござ…
maki5417 @ Re:【竹橋ランチ】マンマ・ミーヤ再び(娼婦風)(02/09) スパゲッティーは、材料費が安くお店にと…
shuz1127 @ Re[1]:【悲報】東京アスリート食堂ランチ値上げ(02/08) Henryさんへ なんと、そうだったんですか…
Henry@ Re:【悲報】東京アスリート食堂ランチ値上げ(02/08) アスリート食堂は、昨年8月に親会社(バル…
shuz@ Re[1]:2024年あけましておめでとうございます(01/01) Sugar7さんへ 本年もよろしくお願いしま…
成山裕治@ Re[1]:柴又帝釈天~その2(12/30) ダイアパレスさんへ

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