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サハラの薔薇【電子書籍】[ 下村 敦史 ] 下村は、昭和56年生というから、東野のちょうど子の世代ということになる。 乱歩賞の闇に香る嘘も読んでいたが、記憶の片隅にもその話は残っていない。 前読コープス・ハントそして本作を読むと、下村がただならぬ作家だということに気づく。 ミステリーとして読むと、サハラ砂漠におけるシーンがあまりにも長くて、これじゃあ飽きてしまうよ、なんて思いながら読了したけれど、話の冒頭に張った伏線が後に実に巧妙に真実に迫るという仕掛けなのだった。 私は、ミステリーリーダーなので、本は内容がミステリーであるとうい前提で読んでしまうのだ。 その結果発見したのは棺に入っていたのはミイラじゃなくて死体じゃないのかなどと推理していたら、それは大当たりでしたな。 結局この死体は、エジプトの然るべき役所から盗まれてしまってそれっきり。 そこからミステリーに発展することはなかった。 結局我々が追い求めているミステリーよりはもっと大きな天下国家の問題になるのであった。 私のような文系人間には全く理解不能な天然原子炉という概念が飛び出し、それが今サハラにあるんじゃないかという話になって、でもその天然原子炉は、ウランの半減期から考えると、存在するわけがないという論理、つまり地球が太陽の周りを回っているのと同じ事実だと指摘されることにより、読み手ははっと目を覚まさせられる。 こんな話は、理系人間には全部みろっとめろっとお見通し状態だったろうな。 解説では、本作は冒険小説に分類され、5作に1作はどうか冒険小説を書いてください、なんて書いてあった。 あたしゃあ、ミステリーリーダーとしてやっぱり下村のミステリーが読みたいな。 まあ、彼という存在に気づいたのはつい最近の話だから、あまり気の利いたことはかけないけれど、どうかKindleUnlimitedにたくさん所収してほしいものだ。(12/24記)
2024.03.13
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コープス・ハント【電子書籍】[ 下村 敦史 ] 最近女性刑事めいている。 読む本読む本の主人公が女刑事だ。 本作もそう。 彼女は暴力刑事で、休職中。 この女、警察学校に入り、警察官になった、そうな。 つまりほかの警察官とは別のルートをたどったらしい。 先に読んだ、藤堂比奈子、が他の仲間に支えられながらだんだんだんだん一丁前になって行くのが見えるのに対し、本作のなんたら望美は一人で行動し、普通であれば殉職するような目に遭う。 被害者の夫とジェンダーについて口角泡を飛ばして議論までする。 実はここのところが本作の味噌だ。 作者は、この議論の解を最終盤に持ってくる。 うむ、みごとだ。 本作は、現代の様相を見事に写し出している。 30年後、令和という時代は、こういう時代だったんだろうなといわれるに違いない。 YouTube全盛の令和、30年後、YouTubeっていったい何?なんて言われかねないけれどもね。 前読があまりにもひどすぎて、本作が際立ってしまった。 思わずカテゴライズしてしまった。 なお本作家は、江戸川乱歩賞受賞作家だ(闇に香る嘘夕顔絵夢二郎の江戸ハブ日記 180925)。 5年も前に読んでいたんだね。 あのころは、江戸川乱歩賞を一生懸命読んでいたものな。(12/21記)
2024.03.10
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