大西信之 著『 【送料無料】ラストフライト ~星の王子の伝説~ 』(ホビージャパン、2011年7月)を紹介していきたいと思います。
本の内容を簡単に紹介すると、第二次世界大戦中の飛行機に関する感動のエピソードを、著者の 大西 さんが 絵画と文章で綴る短編集になります 。9つのエピソードから構成され、それぞれに「 星の王子の伝説 」、「 ロシアの短い夏 」、「 シカゴで一番有名な男の話 」、「 英国の盾 」、「 マリア・マグダレーナの戦い 」、「 神風 」、「 月光 」、「 一枚の絵の物語 」、「 音速雷撃隊 」となっています。それでは、このエピソードの中からいくつか抜粋して紹介していきましょう。
まずは「 ロシアの短い夏 」ですが、このエピソードの主人公は以前にこのブログでも紹介した ブルース・マイルズ 著、 手島尚 訳『 【送料無料】出撃!魔女飛行隊 』(学研マーケティング、2009年9月)に登場したソビエトの女性エースパイロット、 リディア・リトヴァク 、愛称 リリィ のお話です。本書の冒頭にカラーで各エピソードに関する絵が掲載されているのですが、そこには 大西 さんが描いた リリィ の肖像画の横に 「 少しつり上がったエキゾチックな眼。まっすぐに通った形のよい鼻。小さいが少年のように力強く結ばれた口。夏に生まれた少女はその短い青春を駆け抜けた・・・・・・ 」と紹介しています。実際に男勝りの性格で、負けず嫌いだった女性だったそうで、そんな性格が彼女を公認撃墜12機の誇り高い空のエースになった要因だったのでしょう。ですが、白い百合の花にたとえられた彼女は、その野に咲く花と同じように短い生涯を終えてしまうのです。この本では、そんな リリィ の生き方をイラストを交えながら表現力豊かに描いています。
続いては「 英国の盾 」です。これは、1942年2月にナチスドイツの海軍が第二次世界大中に最も大胆に海軍を運用した作戦、チャネル・ダッシュ(フランス南部、ビスケー湾にいたシャルンホルストなどの大型艦船を英仏海峡を強行突破してドイツ本国、北海に回航させた作戦を言います)を英国側から見て描いたものです。当時英国は、2か月前にマレー沖海戦で最新鋭の戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦レパレスを失い、本国艦隊には戦艦はキング・ジョージ五世とレナウンしか残っていない心細い状態でした。本来なら、この2隻を出撃させてドイツ艦隊を迎撃するのが理想でしたが、ドイツ側はノルウェーのフィヨルドに戦艦テルピッツを秘匿させていて、この状態では虎の子の戦艦2隻を撃沈、若しくは大破させられたりして長期間行動不能にさせられたらイギリス本国を支えるシーレーンはドイツ水上艦艇の攻撃で大打撃を受けうることは必至でした(当時の英国はUボートの無差別攻撃でシーレーンがボロボロの状態でした)。そこで、英国海軍はドイツ艦隊を迎撃すべくわずか6機のソードフィッシュ艦上攻撃機を出撃させます。指揮官は、戦艦テルピッツに魚雷を命中させた英国海軍航空隊の英雄、 エスモンド少佐 。しかし、白昼でしかも駆逐艦などの護衛艦が輪形陣になって守っている中、複葉・羽布張りで時速210km/hの性能しかないソードフィッシュで雷撃を行うことは自殺行為に等しいものでした。しかし、英国海軍の伝統「見敵必戦」の信念のもと、 エスモンド少佐 と17名の部下は出撃します。この英国の海の護りが最も薄かった1942年2月、英国海軍の戦艦の代わりに6機のソードフィッシュで敢然と出撃した エスモンド少佐 らのエピソードの最後にはこう書かれています。「 イギリス海軍かく戦えり 」と・・・。
さて最後は、この本の副題となっている「 星の王子の伝説 」について取り上げましょう。感の良い人はお察しかと思いますが、このエピソードは『 【送料無料】星の王子さま 』(筑摩書房、2005年12月)の著者であり、冒険飛行家でもあった サン・テグジュペリ のお話です。1940年春、航空隊の大尉であった サン・テクジュペリ の部隊はナチスドイツの圧倒的な空軍力の前に壊滅してしまします。そして彼はアメリカへと亡命、大西洋の彼方からナチスドイツへの抵抗をヴィシー・フランス政府統治下のフランス人に訴え、アメリカの参戦を呼び掛けます。これに対して、祖国フランスの芸術家・文学者は戦争に反対し、ナチス監視下の平和を受け入れていました。また、アメリカもヨーロッパの戦争に介入することに対し世論は消極的でした。実際に当の祖国フランスでは、ナチス監視下であっても一応平和であり、この状態「フランス一国の平和主義」をインテリ、芸術家、ジャーナリストは受け入れていたのです。そして、好戦的な サン・テクジュペリ を公然と非難しました。しかし、1941年12月8日に日本海軍が真珠湾を奇襲攻撃し状況は一変、アメリカはドイツなどの枢軸国に対し宣戦を布告します。アメリカの参戦という サン・テクジュペリ の願いはかない、彼はアメリカ軍に参加して偵察隊のパイロットとして戦闘に出撃します。彼が命を懸けてまで示したかったものとは何か?本書では「 彼が憎んだのは芸術家やインテリに特有のずるがしこい保身。おためごかし。大義名分(反戦平和のような)にかこつけて自分たちだけが利益を得るために、最も弱い立場の人間が無残に殺されていっても(この場合はユダヤ人)まったくそれに無頓着な、あるは気がつかない人間としての救いのない愚鈍さと卑劣さ」これに対して サン・テクジュペリ はたった一人で戦っていた 」と書いています。「 世界と。そして、人間が持つ弱さや卑しさと 。」どうでしょう、日本人がイメージする サン・テクジュペリ 像とはかなり異なった印象を受けたのではないでしょうか。と同時に、私たちの周辺にもこのような似非平和主義者や似非環境保護者など、高尚なお題目を唱えて社会的な地位と名誉、そして金銭にありついている人がいるのではないでしょうか?本書では サン・テクジュペリ の言葉を次のように引用しています。「 宣伝とはすべて、非道徳的な怪物であり、友好であることをめざして、高貴な感情にも俗悪な感情にも何にでもかまわず呼びかける 」と。このように サン・テクジュペリ について、本書は本質的なことを抜き出して書いてあるように思います。
こんなところで今回は紹介というか何というかわからない駄文を終わりにしますが、本書では他にも第二次世界大戦の日本の飛行機とパイロットのエピソードも書いてあります。しかし、それを取り上げると個人的感情が怒涛のようにあふれ出たただでさえ偏った紹介が、もっと凄まじきものとなりますので今回は止めておきます。詳しくは本書をお読みください。
で、最後に蛇足ついでに今の私の状況について書いておきます。勤めている高校の方は中間試験の前で、図書室は放課後に自習する生徒で大入り満員な状態です。そして、 中間試験が終われば学校図書館、というかすべての図書館共通のビッグイベント、 読書週間 の始まりです 。これに備えて、今のうちにセッセと準備している次第です。ですので、中間試験期間中に読書週間の準備、貸出冊数に応じた素敵な景品があたる抽選会や、ポップ、図書館の飾りつけなどやることが多くて大変です。さらに、試験の科目の関係で図書館で2時間目が待機という生徒の監督もしなければいけませんし・・・。いろいろ大変です。
駄文ついでにもう一言。私が大学時代から視聴しているあるTV番組ついて。この番組は月に一回・アメリカ・ワシントンのハドソン研究所の客員首席研究員で国際政治ジャーナリストの 日高義樹 先生が アメリカの現状を追い、共和党政権寄りの論客メンバーを招き毎月のテーマに沿って対談方式で放送されている番組 、『 日高義樹のワシントン・リポート 』が今年の3月で終了し、30分で祝日しか放送されないの『 ワシントンの日高義樹です 』という番組に改変されたことです。今日、10日の正午からこの番組を放送していたのですが、これまで1時間15分だった番組が改変で30分に短縮されたことに私は強い憤りと不安を感じています。この番組は、 ワシントンのアメリカの政治や軍事に影響ある各方面の議員や高官、その周辺の人物の生の声を新聞やTVなどの二次情報を通さずに直接日本の視聴者に届ける貴重な機会を与えてくれていました 。この番組が短縮されたといっても、内容が貴重な一次情報であることは変わりありませんが、 この短縮の内容がどのような経緯でなったのか。それに、ふと一抹の不安を感じている次第であります 。
といった感じで、今日はこの位にしておきます。
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