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夕方、新函館北斗駅から特急に乗って札幌に向かった。僕がまだ子供だった頃、仙台から札幌に帰る時には、夕方4時半頃に函館駅を発ち、夜8時半頃に札幌駅に着く特急北斗に乗ることが定番だった。朝7時に仙台発の急行くりこまに乗って、青森まで約5時間。ぞろぞろと桟橋を歩いて青函連絡船に乗り込んで、函館まで約4時間。そして函館から特急北斗に乗って、その日のうちに札幌に到着。今思うと大旅行だけど、当時は子供心に「早い、速い、かっこいい!」と感じる帰省旅だった。北海道から内地に引っ越した頃、僕は内地の方言に余り馴染めなかったし、湿度の高いモヤッとした空気と輪郭のはっきりしない風景にもスッキリしないものを感じていた。一言でいうと、北海道に戻りたかった。だから、特急北斗の車窓から見える夕方の北海道の風景と、故郷に向かってひた走るディーゼル特急のエンジン音は、強烈なワクワク感と共に記憶に残っている。この日、当時とほぼ同じ時間に同じ路線を走る列車に乗ることができた。車窓に広がる夕景は、太陽光パネルとか建設中の北海道新幹線の高架とか、当時と違うところもありながら、いろんなことを思い出させてくれた。そして僕が大好きなディーゼルエンジンの加速音は列車の形は変わっても健在だった。うろ覚えだけど、特急でも長万部で駅弁を買えたこととか、貨物列車に追い抜かれるための停車時間があったこととか、昔のことを少しだけ思い出した。
July 30, 2025
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南材木町(みなみざいもくちょう)藩政時代の町名、南材木町は戦後の住居表示の波を免れ、今も正式な住所として使われている。仙台大空襲の被害エリアの外にあるため、今なお残る旧奥州街道の道筋からも、そしてその道沿いに建つ建物からも、歴史的な雰囲気をいくつか感じることができた。旧奥州街道の両側に建つ歴史的建造物たち奥州街道は南材木町と穀町の境でS字に大きく曲がっている。敵の軍隊が街道を攻め込んできた時、その勢いを落とすため工夫がこのクランク、と聞いたことがある。辻標五十六番「竹屋横丁/南材木町」には読み方を「みなみざいもくまち」として次のように記載している。【南材木町】(みなみざいもくまち)・寛永初期に城下を南方へ拡張する際に用材供給のため割り出され、当初は若林材木町と称した。・城下町方二十四町のひとつで、材木のほか煙草の専売権も与えられ、江戸道中南口、後の国道沿いの商人町として栄えた。・戦災を免れたため今も土蔵建築や町内神などが残り、昔日の面影を伝えている。辻標と旧奥州街道
July 25, 2025
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楽天✕ソフトバンクを観戦。シーズン半ばに登場したルーク・ボイトとオスカー・ゴンザレスをこの目で見たい!が今回の一番の目的。二人とも試合に出てくれた。4番指名打者・ボイト5番レフト・ゴンザレス残念ながら夜の試合の写真はどれもこれもブレブレ…。楽天の球場は照明が暗い…とか言いたいわけではなくて、これはおそらくカメラの性能のせい。分かりにくいけど、この画像はフルスイングしているゴンザレス選手。この日は結果が出なかったものの、これだけ強く振るバッターがボイトの後に控えていたら、相手バッテリーとしてはボイトとの勝負は避けにくいだろうな、ボイトが歩かされることもあまりないだろうな、と思った。そうは思ったものの、この日のボイトは2回も四球で出塁した。ソフトバンクの先発モイネロは明らかにボイトには投げにくそうで、静かに打席に立つ彼の威圧感は、確かに凄かった。結果として1回目の四球は決勝点につながって、モイネロはこの回、わずか被安打1で2点を失った。ボイトの存在感が勝負の流れを呼び込んだように見えた。試合前にウォーミングアップをしている姿を見ても、デカい…という感じ。そして腕が太い…。打順の前後がさらに充実してボイトだけが警戒される状況がなくなれば、持ち前のパワーを発揮してくれそうな気がした。この二人に加え、この日はセンター辰巳の華麗な守備と、先発古謝のきれいな球筋、そしてショート入江の喰らいつくようなタイムリーヒット、そして盤石の投手リレーも観ることができた。楽天ベンチとしても会心の試合だったに違いないと感じた。入江選手。外角球に食らいついて打球は一塁手の頭上を越えた。四球で出塁したボイトが二塁から生還し先制点。先発の古謝投手。独特でありつつも流れるような投球フォーム。この日の座席は三塁側カウンターシート。テーブルがあって、シートには肘掛けもあって、快適だった。
July 20, 2025
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近頃、アメリカのトランプ政権が関税の引き上げを世界中に宣言していて、アメリカの労働者階級は自分たちの雇用を守ってくれるスーパーヒーローが現れたかのように喜んでいる。そんな報道に日々接している。アメリカで少しでも暮らしたことがある人なら、トランプ政権に熱狂しそうなタイプの人たちを以前から良く見かけていたのではないだろうか。悪い人には見えないけど、ものごとを絶対的な善と絶対的な悪に分けて単純に語ることが大好きな人たち。そして白人の自分やアメリカ人の自分が大好きな人たち。報道を通すと首をかしげるようなトランプ政権の主張も、アメリカで出会ったあの人たちをイメージすると何となく合点がいく。だけど少し心配なのは、トランプ政権が特効薬のように言う関税の最終的な負担者が、アメリカにいる自分たちだということをあの人たちは理解できているのか、ということ。もうひとつ心配なのは、ブチ上げた政策が思い通りにいかなくなると突然他人のせいにし始める現政権の癖がまた出ないだろうか、責任逃れに走ったりはしないだろうか、ということ。そんなこんなで、このところSNSで流れる雑なコメントを目にするのが少し嫌になり、紙の本に心を浸す時間が増えてきている。今は、なぜかモンゴルに興味を持っていて、読みたい本を探しているうちに司馬遼太郎さんの「街道をゆく」に行き当たった。「街道をゆく5 モンゴル紀行」久しぶりに司馬遼太郎の名に触れたことがまず嬉しかった。1973年8月に司馬さんは、新潟からハバロフスク→イルクーツクを経てウランバートルに入り、その後ゴビまで旅をしている。民主化前のモンゴルに行くためにはソ連を通る必要があり、本書にはそれ故の苦労も綴られている。司馬遼太郎さんの文章は盛んに横道に逸れ、しばらくするとスッと本論に戻る。「モンゴル紀行」でもその筆致はそのままだった。司馬さんは疑問にぶつかると調べずにはおけない性分なのだろう。そして「横道」に含まれる豊かな情報の量にはいつものことながら感服した。「司馬史観」と言われるように、彼独自の歴史認識を随所に織り込んでいることも読んでいて心地よかった。何よりも、主張がありながらも読者を煽らない穏やかな文体には何度も何度も心が救われる思いがした。ボリュームのある作品ながら、無心に読むことができた。
July 15, 2025
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札幌を朝8時に出て、洞爺湖と昭和新山、そして支笏湖を周り、夕方、札幌に戻った。5月上旬、北海道は本格的な観光シーズンにはまだ少し早く、車で走っていて渋滞に出会うことはなかった。赤信号で止められることも、と言うより信号を見かけることも余りなく、車の流れに乗ってひたすら走り続けた結果、カーナビが予想する到着時間よりも前に目的地に着くことができた。この日3カ所目の目的地が支笏湖。着いた時、静かな湖面に向かって雲間からの陽の光が放射状に注いでいた。もしも眠りから覚めた時にこの風景が目に入ったら、言い方は変だけど、自分は今ちゃんと生きてるか?もしかするとここは天国か?などと思いかねないくらい、息を呑むような美しさだった。車を停めたところは支笏湖ビジターセンター近くの有料駐車場。料金は500円。駐車場から湖の間には飲食店がいくつもあり、その中の一軒、碧水というお店で「いももち」を買って食べた。もっちりと温かくて、気持ちがほっこりした。
July 10, 2025
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なんとなく落ち着かない毎日を一旦落ち着かせてみよう。そう思いながら静かに家に籠もって「ABC殺人事件」を読みふけった。結果、いつの間にか引き込まれるようにグイグイと読み進んでいた。日常から離れる試みは大成功。アガサ・クリスティーに大感謝。僕自身、イギリスの経験は、ヒースロー空港に乗り継ぎで2〜3時間留まったことがあるだけで、事実上ない。だけど、読みながら事件の舞台の光景が次々と頭に浮かんできた。アガサ・クリスティー、面白い…。今さらながらそんなことを呟きながら、今回は彼女の代表作と言われる「そして誰もいなくなった」を手に取った。ストーリーは、離れ小島に建つ屋敷を舞台に進んでいく。読み始めて間もなく、大きな劇場の観客席に座って舞台上の演劇を観ているような、そんな気分になった。テレビドラマで言えば古畑任三郎をリビングのソファに身を沈めながら観ているような気分、と言えなくもない。主役となる10人は、それぞれ違う理由でお屋敷に招かれる。誘い文句に釈然としない思いは持ちながらも招待に応じた10人はお互いに初対面。そして、この10人すべての過去を知る誰かによって、彼らは1人ずつ殺されていく。恐ろしい、と思ったのは、殺される理由が裁く側の理屈でしかないこと。殺される側にしてみたら、言いたいことは山ほどあるだろうに…と思いつつ、それと同時に、こんなことは今でもよくあることなのだろうけどね、とも思った。昔は写真週刊誌、今は◯◯砲とかが発するゴシップネタを、いつもウンザリしながら聞き流しているけれど、ゴシップ雑誌の出版社とか編集部の人たちにしてみれば、彼らは彼らなりの良心に従っているのかもしれない(思い浮かばないけど)。もしかすると世直しに貢献しているつもりなのかもしれない(そうはなっていない気がするけど)。正義の衣をまとっている人たちは始末が悪い。そんなことを思いながら読んでいた。
July 5, 2025
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