青森の弁護士 自己破産 個人再生 

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2006.12.22
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カテゴリ: 損害賠償
東京高裁平成18年7月19日判決

抵当証券購入者である原告らが抵当不動産が被担保債権額(抵当証券発行額)よりはるかに低い

価額しか有していないため債務者の破綻により損害を受けたが、その原因は抵当証券交付申請書

に添付された担保十分性証書(抵当証券法施行細則21条の2)としての不動産鑑定書の鑑定評

価額192億円が著しく過大であったことによるとして、鑑定をした不動産鑑定士に対して損害

賠償を請求した事案の控訴審である。

一審では二人の不動産鑑定士が被告となり、一審判決は二人に対する請求をいずれも一部認容し

た。

被告のうち一人については控訴審で和解が成立したようであり、残る一人についての判決が本判



本判決は原判決を取り消して請求を全部棄却した。

一審判決も本判決も、不動産鑑定士は、通常は鑑定の委託者(本件では抵当証券の発行者がこれ

に当たる)に対してだけ注意義務を負うものであって、一般的に第三者に対して注意義務を負う

ものではないが、抵当不動産発行のための担保十分性証書としての不動産鑑定においては委託者

以外の抵当証券購入者に対しても注意義務を負うと判断した。本件においては抵当不動産の鑑定

評価が原価法だけに依拠するものであることが問題となった。

一審判決は本件鑑定においては供給者側の都合により算出された原価法による試算価格が需要者

側をも納得させることができることの論拠が示されておらず、鑑定評価額が市場では通用しない

(競売でも買主が出現しない)価格であることも不動産鑑定士に容易に判明したとして、注意義

務違反を認めた。

これに対して本判決は、当時の不動産鑑定評価基準や社団法人日本不動産鑑定協会の「抵当証券



に依拠することもこれらの基準等の文言から外れるものではないとして、不動産鑑定士に裁量権

の逸脱はないと判断している。

この判断の相違の背景には、収益還元法による場合の価格が1審では5億円ないし10億円と判断し

たが、控訴審では平成10年度の売り上げ7億6000万円を前提に収益還元法を適用した場合の評価

額を94億円という試算も可能として、原価法の192億円との間に原告の主張するほどの乖離がな



上告されている。               判例時報1945号22頁  頭注






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Last updated  2006.12.28 20:46:43


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