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「事案の概要」
契約期間1年の臨時雇運転手につき,臨時雇運転手の制度創設以来,自己都合で退職する者以外は雇用を継続され,正規運転手に欠員が生じたときには正規運転手に登用されてきたところ、最初の更新時に雇い止めがなされた。
当該臨時雇運転手は、従業員たる地位の保全と賃金仮払いの仮処分を申し立てた。
「判旨」
臨時雇運転手制度の導入以降,自己都合による退職者を除いては,例外なく雇用契約が更新(再契約)されてきており,会社において契約の更新を拒絶した事例はない。正規運転手に欠員が生じたときには,臨時雇運転手で希望する者の中から適宜の者を正規運転手に登用してこれを補充してきた。本件臨時雇運転手は,雇用契約の際,会社の担当者から契約書のとおり1年限りで辞めてもらう旨の話は聞かされておらず,かえって,会社と期間1年の契約で稼動している他の運転手らは自動的に契約を更新されていると聞いていて,本件労働者の場合も,当然契約が更新されて継続して雇用されるものと思って稼動していた。
以上のような臨時雇運転手の雇用契約の実態に関する諸般の事情に照らせば,その雇用期間についての実質は,期間の定めのない雇用契約に類似するものであって,本件労働者において,契約期間満了後も雇用が継続されると期待することに合理性が認められる。
よって,従前の取り扱いを変更して,契約の更新を拒絶することが相当と認められるような特段の事情が存在しない限り,会社において更新を拒絶することは信義則に照らし許されない。
労働法律旬報1262号51頁
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