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「事案の概要」
Xは、Aの代表取締役であるBから、その所有する工場を賃借し、同工場でブナシメジを生産していたところ、Bは、賃貸借契約の解除等をめぐる紛争に関連して同工場を実力で占拠し、その間、AはYとの間でブナシメジの販売委託契約を締結した。
Aは、Xの所有する同工場内のブナシメジをYに出荷し、Yは、本件販売委託契約に基づき、そのブナシメジを第三者に売却して代金を受領した。
Xは、Yに対し、XとYとの間に本件販売委託契約に基づく債権債務を発生させる趣旨で、本件販売委託契約を追認した上で、Yに対し、販売代金の引渡請求権が自己に帰属すると主張して、その支払いを請求した。
「判旨」
無権利者を委託者とする物の販売委託契約が締結された場合に、当該物の所有者が、自己と同契約の受託者との間に同契約に基づく債権債務を発生させる趣旨でこれを追認したとしても、その所有者が同契約に基づく販売代金の引渡請求権を取得すると解することはできない。
なぜならば、この場合においても、販売委託契約は、無権利者と受託者との間に有効に成立しているのであり、当該者の所有者が同契約を事後的に追認したとしても、同契約に基づく契約当事者の地位が所有者に移転し、同契約に基づく債権債務が所有者に帰属するに至ると解する理由はないからである。
仮に、上記の追認により、同契約に基づく債権債務が所有者に帰属するに至ると解するならば、上記受託者が無権利者に対して有していた抗弁を主張することができなくなるなど、受託者に不測の不利益を与えることになり、相当ではない。
判例タイムズ1360号93頁
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