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一審手続で成立した交通事故の損害額の一部に関する自白について、控訴審においてその撤回が認められた事例(名古屋高裁 平成23年7月14日判決)
「事案の概要」
Yが自動車を運転していたところ、前方で停車したXが所有する外国製高級スポーツカーに追突する交通事故を起こしたことについて、XがYに対して損害賠償を求める事案である。
Xの請求額は、<1>貸与契約を締結していた自動車展示会に本件自動車を貸し出すことができなくなって貸出料を得られなかったことによる損害(休車損)450万円、<2>本件車両を第三者に売却して引渡すまでの代車費用525万円、<3>評価損600万円の合計1575万円である。
Yらは、原審の訴訟手続において、本件車両の修理金額についてX主張の金額を認めていたほか、代車費用について120万円の限度、評価損について110万円の限度でそれぞれ認めており、これらの部分について自白が成立していた。
「判旨」
<1>休車損について、X主張に係る自動車展示会において貸出料を支払う例はないこと等の事実にかんがみ、本件事故により貸出料が得られなくなったとのXの主張は採用することができない。
<2>代車費用について、Xは、稀少性の高い本件車両を販売促進のために日常的に使用していたほか、X所有の別の車両のレンタル予約を取り消す等した上で、同車両を本件車両の代車として使用していた旨主張していたが、そのいずれの事実も認められないので、代車費用としての損害が発生したとはいえない。原審における代車費用についてのYの自白は、代車の必要性等に関し、真実と異なるXの主張を錯誤に基づいて事実と誤信した結果であるとして、撤回が許されるものとした。
<3>評価損について、信用性の認められるY提出に係る私的鑑定書によれば修理上の評価損があるとは認められず、また、本件見積書に記載された修理内容を踏まえても、社団法人自動車公正取引協議会の定める事故歴の表示を要する修理事項はリアフレームの交換だけであり、取引上の評価損を認定することはできないとした。
判例時報2139号12頁
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