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「事案の概要」
Xは、平成11年4月、ワインセラーを所有するYとの間で、収集しているワインを、寄託料月額2000円、ワインセラー内を温度14度前後、湿度を75パーセント前後に保ち、光量はワイン保管に適したものに設定し、不要な振動・臭いの防止をも図ることを保管方法として、Yに寄託する契約を締結した。
しかし、Xは、Yは、ワインを定温・定湿性能を保持して保管することが義務づけられているのに、この義務を怠ったとし、Yに対し、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償を請求した。
「判旨」
本件ワインセラー内の湿度については、低くなければ、カビは生えるものの、コルク栓がされた瓶の中のワイン自体にはそれほど影響を与えるとは考え難いものの、それでも、保管している段ボールが水気を含んで変形している状況は、湿度75パーセント前後での湿度管理を表明していることと整合するとはいえず、また、湿度については、高すぎても低すぎてもワインの熟成に影響を与え、味わいは風味が変化する可能性があると考えられることからすると、10度位まで下がった可能性がある本件では、14度前後で管理すると表明していることと整合しないのであって、上記のような本件ワインセラー内の温度や湿度、その状況が被告から原告に明示されていたとすれば、原告は、わざわざ料金を支払って本件ワインセラーの利用をすることはないといえるから、原告が本件寄託契約を途中解約等した可能性は否定できず、被告には、定温・定湿義務違反があったというべきである。
花子は、年数回本件ワインセラーを訪れていると認められるところ、平成18年6月に異常を感じた時点では、温度や湿度に異常があったと認められるところ、それ以前には、花子も異常を感じていないこと、段ボール箱の状況やカビの発生状況を総合すると、少なくとも平成18年1月以降は、本件ワインセラー内の温湿度の管理が、きちんと行われていなかったというべきである。
原告は、平成18年1月から9月までの間、本件寄託契約の保管料として平成18年6月までに20万円、同年7月から9月まで、毎月3万1500円ずつの合計30万2400円を支払ったと認められるところ、被告の上記義務違反を知っていれば、本件寄託契約を解約するなどして、原告は保管料を支払う必要はなかったと認められるから、上記額は損害と認められる。
判例タイムズ1382号200頁
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