青森の弁護士 自己破産 個人再生 

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2013.06.28
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カテゴリ: 破産
破産申立を受任した弁護士につき財産散逸防止義務違反が肯定された事例(東京地裁 平成25年2月6日判決)

「事案の概要」

A社代表取締役Bは、Aが多額の負債を抱えたことから、Aの整理につき弁護士に依頼しようと思い、弁護士Yに相談した。

Bは、平成23年8月25日、Yに資産、負債の事情を説明したところ、Yは破産申立を勧め、Bは、その申立を依頼したが(委任状の作成日は同月30日である)、自身の負債は自分で処理すると伝え、破産の申し立てを依頼しなかった。

その後、同年11月18日、Yは、Aの破産申立をし、同年12月7日、破産手続開始決定がされ、Xが破産管財人に選任された。

その間、同年11月、Yは、Bから個人の破産申立を受任し、破産申立を行った。

Bは、前記面談日の前後に取引先から営業保証金を回収してAの預金口座に振り込まれた後、同日後間もなくBが自己の役員報酬等として受領し、費消した。

Xは、破産管財人の財産が破産管財人に引き継がれるまでの間に散逸することのないよう措置する義務違反を主張し、Yに対して損害賠償を請求したものである。

「判旨」



本件では、平成23年8月25日にBが行った説明によって破産会社には一定の資産が存在する事実が確認できたのであるから、被告としては、上記善管注意義務として、委任契約後の破産会社の資産管理は原則として被告が行うこと等の説明を行い、また、委任契約後には財産散逸防止義務として、上記説明に加え、破産会社の預金通帳等を被告において預かること、あるいは、被告の開設にかかる破産会社の財産管理用の預かり金口座に預貯金、現金等の入金を行うこと等の具体的な指示説明を行う必要があった。

また、被告は、同日、破産会社の代表取締役であるBから、同人の給与の受領の可否について問われているところ、役員報酬権は一般の破産債権であって原則として役員報酬の受領が認められないこととなるのであるから、上記善管注意義務としてその旨の説明を行い、また、委任契約後には財産散逸防止義務として、上記説明に加え、破産会社の破産申立までの間にBが行った具体的労務の内容を把握し、労働債権性を有する部分の判定、労働債権性を有する部分の支払の可否等の判断を適切に行い、必要かつ妥当な範囲での支払いを行う等の対応をとる必要があった。

しかし、被告は、Bに対して上記のような説明を行っておらず、かつ、破産会社の財産を適切に管理するための方策もとっていない。

したがって、被告には、財産散逸防止義務違反が認められる。

判例時報2177号72頁





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Last updated  2013.06.28 17:20:30


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