クラウド時代とデータベース
これまで業務プロセスを中心としたシステム構築が行われてきましたが、
クラウド時代の到来で、ビッグデータを活用したデータ分析など、
データを中心としたシステムの構築が主流となりつつあります。
そして、その中でも注目されているのがデータベース。
今やOracleの 【Database Cloud】 やMicrosoftの 【Azure SQL Database】 、
Googleの 【Google Cloud SQL】 、Amazonの 【Amazon RDS for Aurora】 、IBMの 【dashDB】 などだけでなく、
Salesforce.comの 【Database.com】 の参入などにより、
データベースをめぐる覇権争いは益々激しくなっています。
クラウドとオンプレミス
クラウド上のデータベースサービスは、多くの大企業や中堅企業、
公的機関などのエンタープライズ用途で利用されています。
さらに、最近ではECサイトを初めとしたコンシューマー向けサービスにも利用されるなど、
さまざまなシステムがクラウド化されつつあります。
クラウドを利用する背景には、
インフラ部分のメンテナンスが不要になるといった、
クラウドサービスならではの利便性があります。
例えば、
Windows AzureとEC-CUBEを組み合わせれば、
インフラ部分を意識せず、デザイン面に注力してサイト構築ができ、
ネットーワーク管理者やサーバー管理者などがいなくても、
簡単にネットショッピングサイトを構築することができます。
しかしここで注意が必要なのがデータの安全性と可用性のバランスです。
仮想化や並列分散処理によるクラウドベースのデータベースであれば可用性が高くなり、
どこにいても利用できるという理想的な環境になります。
その反面、クラウドは安全と言われてはいるものの、
顧客情報やクレジットカード情報、課金情報などのデータについても可用性が高くなり、
セキュリティ面の強化などを容易に行うなどの、
安全性に対するリスクをコントロールすることが難しくなります。
さらに企業のコンプライアンス面からみても、
可用性が高いからといって、海外のデータセンターにデータを配置するとなると、
企業への信頼は揺らぎかねません。
そういった意味では、
顧客情報などの個人情報を含むデータはオンプレミスで管理し、
日々の売上などのトランザクションをクラウド上に保管するなどの
ハイブリッドクラウドの構成が極めて重要となりそうです。
SQL Server on Linux
3月7日、Microsoftは「SQL Server on Linux」に関する計画を発表しました。
現時点では、Ubuntu上で利用できるほか、Red Hatでの稼動も計画にあるようです。
開発者向けにプライベートプレビューも公開されています。
Announcing SQL Server on Linux
マイクロソフト、「SQL Server on Linux」発表--プライベートプレビュー公開
SQL Server on Linux
SQL Server on Linuxには、
SQL Server 2016で新たに実装した「Stretch Database」が含まれています。
Stretch Database は、
トランザクション データを SQL Server 2016 から Azure に動的に拡張でき、
常にデータを利用することを可能にするクラウドとオンプレミスのハイブリッドなデータベース管理です。
Stretch Database については、Ozawa さんの 【SQL Server 2016 CTP 2.0 の Stretch Database を使ってみる】 が
解りやすいので、是非参考にしてください。
Microsoft JDBC Driver for SQL Server
Preview the newest ODBC SQL Server Driver for Windows and Linux
Node TDS module for connecting to SQL Server databases.
pymssql
TinyTDS - Simple and fast FreeTDS bindings for Ruby using DB-Library.
そもそも、今日あるインターネットの実行環境の多くが LAMP を採用しています。
※LAMP: 【 Linux+Apache+MySQL+PHP/Perl/Python 】
AWSやAzureなど、クラウドベースのWEBシステムが増えているとはいえ、
まだまだLAMPの数には及びません。
しかし、データ量の肥大化、ビッグデータへの対応となると、
LAMP環境においては、HDDやメモリの増設、HDDからSSDへの切り替えなどが必要となり、
コストの増加は必死です。
しかし、自社の基幹システムや、ECサイトと連携する在庫、生産管理、経理、財務システムなどの場合、
先に述べたとおり、データをクラウド上に保管するよりも、オンプレミスで管理する方が、
安全性に対するリスクをコントロールしやすくなります。
その為、システム全体をクラウド化するよりも、
ECサイトなどの外部向けサービスや、日々増え続けるトランザクションデータのみをクラウド化し、
外部に公開する必要が無いもの、重要なデータ等はオンプレミスで管理する方が理想的です。
また、Stretch Databaseを利用することで、
重要データをLinux内のSQL Serverに、トランザクションデータはAzure SQL Databaseに保管する場合にも、
共通インスタンスに対してストレッチデータベース、テーブル設定を行っておくことで、
ローカルテーブルに格納されたデータが時間の経過と共にストレッチ先のテーブルに格納されるため、
プログラマーは共通のSQLを用いて処理を行うことが可能です。
これについては、
Stretch Database migrates your historical data transparently and securely to the Microsoft Azure cloud. をご覧ください。
を参照してください。
「Stretch warm and cold transactional data dynamically from SQL Server to Microsoft Azure with SQL Server Stretch Database.
Unlike typical cold data storage, your data is always online and available to query.
You can provide longer data retention timelines without breaking the bank for large tables like Customer Order History.
Benefit from the low cost of Azure rather than scaling expensive, on-premises storage.
You choose the pricing tier and configure settings in the Azure Portal to maintain control over price and data access speeds.
Scale up or down as needed. Visit the SQL Database Pricing for details.」
「Access your SQL Server data seamlessly regardless of whether it’s on-premises or stretched to the cloud.
You set the policy that determines where data is stored, and SQL Server handles the data movement in the background.
The entire table is always online and queryable.
And, Stretch Database doesn’t require any changes to existing queries or applications – the location of the data is completely transparent to the application. 」
Microsoft Azure への資源集中
[速報]マイクロソフト、Eclipse Foundationに参加発表。Eclipseに対応したツールやサービス強化へ
エンタープライズ向けのクラウドサービスでは5%程度のシェアであるAWSに対して、Microsoft Azureは19%と大きくシェアを占めています。
しかし、パブリッククラウドにおいては、57%がAWS、Microsoft Azureは9%と、AWSに大きく差を付けられている状況です。
これは多くの開発者がJava言語を用いてWEBアプリを開発していることが起因しており、
その開発者の大半が統合開発環境(IDE)であるEclipseを用いています。
しかし今後、Microsoftの統合開発環境(IDE)のVisual Studio とEclipseが統合されるとなると、
パブリッククラウドにおけるMicrosoft Azureのシェアは大きく伸びることとなるでしょう。
Microsoft integrates Visual Studio with open-source Eclipse IDE
まとめ
MicrosoftがSQL Server や Visual Studio などからのMicrosoft Azureへのアクセスを増やそうとしています。
このことは、WEBシステムのクラウド化が加速化していることを示しているともいえそうです。
また、LAMPなどを採用したWEBシステムの衰退が控えているともいえそうです。
Oracle、Microsoft、Google、Amazonなどが、
クラウド上にあらゆるWEBシステムを提供する時代がくるのかもしれません。
[速報]マイクロソフト、Oracleからの移行ならばSQL Serverライセンスを無償提供すると発表
とうとうOracleからの移行であればSQL Server ライセンスを無償提供されるそうです。
Oracleどうするんでしょうね?
クラウドにせよ、LAMPにせよ、はたまたC/Sにせよ、データベースは必須なので、
データベースの覇者がITを牛耳るのは間違いないです。
そういえば、昨年10月にアイデラによる買収されたエンバカデロ。
主要なデータベース製品群はアイデラ本体に取り込まれ、
エンバガデロにはDelphi / C++等の開発ツールを残すという、
いわば、儲かるものだけ頂いて、あんまり儲からないのは、サポートなんかも大変なので、
置いておくね!って感じです。
エンバカデロ、開発者ニーズに完全特化する新事業戦略を発表 アイデラ傘下後、アプリケーション開発者のサポートに集中し、Delphi / C++開発ツールの提供を推進していくことを表明
どこも必死ですね。
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