親思う心に勝る親心




まだ私の親がいたとき、親のことを考える日がどれだけあったか憶えていません。
でも晩年は毎日だったかな?親だって歳を取ると手がかかります。


私には変なこだわりがあって、嫁に出した娘にはそう干渉できないんだという思いがあります。
だから普段は何か言いたいこと、聞きたいことがあっても何もしません。
だけど今は事態が違いますね。新型コロナウイルス。

“新型コロナマーク?U”なんてオヤジギャグを飛ばしたいところですが、これは失言。

娘は病院に勤務しています。
内科ではないので、直接の心配は少ないと思います。しかし何かとしわ寄せがあるに違いありません。
さっき大丈夫かとLINEでメッセージしたら、大変だけど大丈夫と返信がきました。

子供たちとの思い出はたくさんあります。でも嫁に出してからは特に重さが増したように思います。
娘が小学校へ入学して間もなく我が家は貧乏になったため、贅沢な思いをさせてあげることがあまりできませんでした。娘も子供ながらに何となくそれを察していたのだと思います。

だからほとんど物をねだることもありませんでした。
それでも中学生のとき、珍しくiPodが欲しいと言ってきました。
きっとたくさんの同級生が持っていて、どうしても欲しかったのでしょう。

iPodすら買えないほど貧しくはなかったので、ネットで買ってあげました。
ただ、「わかった買ってやる」とも言わず、iPodが届いてもそのまま「はい」と渡すのではなく、ちょっと驚かそうとしました。

夕食はいつも家族そろってテーブルを囲んで食べていました。
娘の座るテーブル、料理の奥にAppleの包装紙に包まれたiPodを何気なく置いておきました。
絶対に目に入るようにして。

夕食を食べ始めた娘はやがてAppleの包装紙に気付きます。
そして、、、
あのときの顔は忘れませんね。(笑)

妻は母親として今でもきちんと子供のことを考えて何かと行動しています。
でも親父なんて母親と同じことはできません。というか、してはうるさいんだと思います。
だから、何か本当に困ったことがあったとき、いざというときに出ていけば良いと私は考えています。

昨夜、10時頃スーパーへウイスキーを買いに行きました。
そのとき3歳くらいの女の子が、きっとカートを戻してきてと頼まれたのでしょう。
自分より大きなカートを、並んでいるカートに戻しているところ。その戻し方は少し乱暴だと思いました。

しかし笑顔です。かわいいと同時に、私の娘にもこんなときがあったなあと重ねてしましました。
住んでいた田舎町では夏に祭があり、露店がたくさん並びました。
露店で買った物の中に、ステッキなんですけど、先に車輪が付いていて、押すと車輪が回り車輪が回ると鳥がパタパタと羽ばたくおもちゃを、白いべべを着て、心を無にして押していた娘を思い出します。

娘のバージンロードを一緒に歩いた私に残された人生のイベントは、死を迎えるだけ。
突然死なら仕方ありませんが、病死であるなら見舞いに来てくれた娘に、思い出話をたくさんしてやろうと思っています。歳を取っても楽しみはまだ残されているものです。
って、まだ早いか。












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posted by CSおじさん at 18:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 随想

2020年04月06日

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