2013年夏、大学3年生の夏休み、
2週間もの間、大学の研修プログラムでイタリア縦断したというのは、よくこのブログの話題にもなってます。
約20名の大所帯。
フィレンツェ〜ナポリ間の片道はユーロスターを使いましたが、
あとの都市間の移動は、大型バスをチャーターしました。
イタリアは、ご存じのとおり縦長の国土。だいたい都市を移動するごとに、バスの運転手さんも、バスそのものも、バス会社も変わります。長距離移動のたびに変わります。
ころころ変わるので、あんまりはっきりと覚えてないんですよ。運転手さんとはカンタンな挨拶とお礼程度しか交わしてない。
それでも、バスの運転手さんについて印象的な出来事はいくつかあって。
イタリアに降り立って二日目、午前中はミラノでスフォルツェスコ城や「最後の晩餐」のサンタマリア・デッレ・グラツィエ教会を見学し、お昼前からヴェネツィアに移動するときのこと(途中、クレモナでヴァイオリン工房に立ち寄り、日本人の職人さんから話しを聞く)。
今、Googleマップで確認したら、ミラノからクレモナまで約1時間半、その途中でおひるごはんに45分くらい、1時間くらいクレモナでバイオリン工房を見学、そこからヴェネツィアに渡る船に乗る港まで約1時間半…
これを計算すると、所要時間はだいたい5時間くらい。
ヴェネツィアに渡る船に乗る港、メストレにはだいたい5時半にはついておかないといけない。
というのも、スーツケースをおろしてくれたり、チャーターした船のドライバーさんとのやり取りなどなどを手伝ってくれるポーターさんとホテル宿泊客専用の船着き場で約束した時間が6時ごろだという(記憶がとても曖昧)
所要時間はあくまで目安。渋滞とかその他いろいろでもっと時間がかかってもおかしくない。
そんな中、バスの運転手さんは、お昼ごはんをスーパーのイートインコーナーで食べられるよう、また大所帯でも利用できるようにお店の人に交渉してくれたり、陽気に挨拶してくれたり。そのうえこの長距離移動。感謝です
…が!
メストレの、ヴェネツィア行きのチャーター船に乗る港。
これ、なかなか広くて、入り組んでて、いろんなとこをぐるぐるいたしました。
バスの運転手さん、どこから入ればいいのかわからず、どうやら入り口を間違えて不審車両扱い!?
ちゃんと5時半くらいに到着できてたのですが、これで1時間以上のロス。
バスの運転手さんも、警備員さん(かなり屈強でマッチョでイケメン)に説明するのですが、まあ、なかなか解放してくれず。
添乗員さんも掛け合うも、まあ、状況変わらずですね。
予定の時間を30分以上回って、ヴェネツィア島で待ちぼうけくらってるポーターさんから「あと10分で来ないと帰る」と添乗員さんに電話があったそうです。やっと解放されたのがもう7時前。ポーターさん1時間待ちぼうけ…
バスから降りるときに運転手さんにお礼を言ったのですが、とても落ち込んでました。
3日後、フィレンツェ観光にて。この運転手さんから、全員分のお詫びのジェラートクーポン(自腹で、しかもトリプル!)が届いており、
フィレンツェで人気のオーガニックフレーバーが楽しめるジェラート店、ジェラテリア・エドアルドで、とってもみずみずしいレモン、濃厚なチョコレートとバニラを味わいました。
これ、すごく印象的な出来事でした。ジェラテリア・エドアルドのジェラートはほんとにおいしかったので、またレビューします。
他にも、バスの運転手さんについて印象的だった出来事が2つ。
しかも、2つとも、バスの運転手さんの労働時間・環境について。
ヴェネツィアを朝7時過ぎに出発して、そのジェラートクーポンをおごってもらう、フィレンツェまでのバスでのこと。
ヴェネツィアから途中のラヴェンナまで2時間半くらい、ラヴェンナで教会やモザイクを勉強、お昼ご飯含めて4時間半くらい、昼過ぎからフィレンツェに向かうのが約2時間半…
フィレンツェでの時間厳守な予定はなかったのですが所要時間10時間近く…
お疲れ様です。ほんとに。
その道中、高速道路でいきなりバスが停車。
なんだなんだと思ったら、 バスに警察官が!
まるで映画に出てくるような警察官。
男性はサングラスがかっこよくて、もちろん屈強。女性は筋肉隆々というわけではありませんが、それでも強そう。というかキレイ。
何事かと思ったら、実は抜き打ちの労働状況検査。
バスの運転手さんが働きすぎてないか、ちゃんと休憩時間とってるかなどの検査で、特に問題なかったので、バス全体を見回りしてからすぐ出ていきました。
私はちゃんと起きてましたが、みんな旅疲れで爆睡(笑)中には、2つ座席を使って、脚を投げ出して、寝そべっている学生も…
シートベルトしてないけど大丈夫か?と思いましたが、そこには触れられませんでした。
もう一つは、フィレンツェから移動した、ルッカという街での出来事。
今度は長距離移動ではなく、3日間ルッカに滞在し、その間ずっと同じバス、運転手が担当してくれました。
実はこの研修のたびにルッカに3日間滞在し、現地の料理学院で料理や文化について学び(もはや美食ツアー)ます。2年に1度、夏に行われるこの研修ではいつも、この料理学院、にお世話になっています。学長めっちゃ日本語うまいので、イタリア語どころか英語も怪しい学生たちとも意思疎通はお手の物。夕食は料理学院で調理実習したものを食べていました。昼食もそのパターンだったこともあれば、ルッカの街に出て伝統料理を食べ、スローフードについて学ぶ。学院の外ではバス移動。
運転手さんも、毎回同じ人だそう。ジャンカルロさんという初老の男性なのですが、料理学院の人とはもちろん、引率の先生とも仲良し。毎回日本人の女子大生を相手するので、簡単な日本語が話せました。たぶん毎回、学生が日本語を教えてあげるので、ちょっとずつ覚えていくんだろうな。数の数え方とか。調理実習のあとの夕食もいつも一緒。もちろんバスの運転があるのでワインは飲んでませんよ。「(お腹を叩きながら)デッパラー」とか「ネムイー」とか言ってました。同級生の一人が気に入られて、いつもとなりの席で水をついであげたり料理取り分けたりしてあげてました(笑)
素敵なおじちゃまなんだけど、なぜかかわいい人 ( ´艸`)本来予定になかったはずなのに、夕食後にピサの斜塔までバスを走らせてくれたり。夜のピサの斜塔、まあまあガラ悪い人いたけど、それでも素敵だった。
そんな運転手さん、ほとんど1日中フル稼働。
夕食の時間も、まだバスを会社に返してないので、労働時間内です。
朝8時くらいから、夜8〜9時くらいまで。
もちろんぜんぶバス乗ってるわけじゃないし、調理実習中はもちろん休憩だし。
そこで、夕食中、学長がジャンカルロさんの労働時間を心配し始めました。
時間オーバーしそうなら、もう移動ないから帰っていいと。
これ、日本ではないですよね。移動がないからはまだしも、「時間オーバー」って。
この2つの出来事が印象に残ってます。
イタリアをはじめヨーロッパ諸国は、労働時間の決まりがとても厳しいです。一日に定められた労働時間を超えると、次の日の労働時間をその分短縮しなきゃいけない。次の日も朝早くから移動しなきゃいけないので、それは困る。だからといって残業代を払えばいいという問題ではない。日本の「サービス残業」という概念はありません。日本の8時間労働って働きすぎらしいぞ…
特にこういう貸し切りのバスでは、走行時間、停車時間などが自動で記録されているそうです。だからごまかしができないのです。日本みたいに、仕事が終わるまで何時間も突っ走る…というのはされるべきでない。残業代支給というのでも解決できない。そう現地の方から聞きました。
日本との、仕事についての価値観の違いを実感しました。
イタリアの貸し切りバスの運転手さんの労働状況はこんな感じになってます。
ツアーでイタリアを訪れる方、ちょっと覚えておくと、運転手さんともなかよくなれるかもしれませんよ。
おまけ
料理学院ではこんなの作ってました。
ベリーたくさんのカスタードタルト。ちなみに専攻は料理ではなく美術だったので、ほとんど先生のチカラをお借りしてのクオリティですがw
とてもおいしかった!もう一度これを再現する技術は私にはありません
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