一時、「津波てんでんこ」という言葉が命を守るためには重要といわれたが、この言葉、他人を助ける暇があれば見捨てて逃げなさいという意味でもあり、被災地の外からはなかなか使いがたいところがあった。
この本においては、もっと進んで「家族であってもてんでんこ」−家族であってもそれぞれが動く。津波が来たら親や兄弟にもかまわず、自分の命は自分で守るためにとにかく逃げろ、そうでもしないと逃げ切れないという言い伝えとの解説があり、これを「津波てんでんこ」とも言う、ということのようで、「津波てんでんこ」は「家族であってもてんでんこ」と同じことだということである。もっと進んでと思ったのは私の間違いで、そもそもイコールだった。
「家族であってもてんでんこ」、そうしたことからも、消防団員自身も津波からは自らの命を守ることを優先すべきという意見も書かれている。
自助というには冷たいように聞こえるかもしれないが、これが現実。それはそうで、津波に無防備に立ち向かっても負けは決まっている。その中で同じく無防備な人が寄り添っても共倒れするだけ、生存の可能性をトータルでできるだけあげるためには、それぞれでできる限りのことをして、一人でも多く生存するというのが津波のような災害については、究極の選択なのだろう。
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