これは、わさびの有効成分が高齢者の記憶機能にとって有益なことを初めて証明したものだと、研究者らは述べている。
スパイスやハーブには健康上の利点があることが複数の研究で実証されているようだが、例えばショウガとニンニクの摂取は、認知症の有無にかかわらず高齢者の認知機能を改善するという。
今回の研究では、東北大学スマート・エイジング・カレッジの野中類准教授らは、わさび特有の辛みから抽出された成分で実験を行った。
その結果、わさびサプリを毎日摂取した人はワーキングメモリとエピソード記憶のテストで優れた成績を示したという。
エピソード記憶とは、自分が経験した出来事に関する記憶のことで、測定には論理的記憶を求めるテストと、物忘れでよく問題になる人の顔と名前を覚えるテストが行われたが、いずれもわさびを摂取した人の方が結果が良好だったという。
わさびに含まれる成分には、抗酸化機能と抗炎症機能があることが知られており、この作用が記憶力の発揮に重要な海馬内の炎症を抑え、酸化物質を減らして損傷から保護することで認知機能を改善してくれているのではないかと、研究者らは考えているようだ。
医学雑誌・Nutrientsに掲載された論文の中で研究者らは、「本研究は、ワサビの成分が高齢者のワーキングメモリとエピソード記憶を増強する可能性があるという科学的証拠を初めて示しました。」と述べている。
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