2010年05月10日投稿。
ふと、外を見る。
雲が流れて、木々の枝葉はそよそよと快さそうに揺れている。
その下。その下に視線を落とす。
目に入る。
墓。
あぁ、この下には何百という命だったものが埋まっているのか。
そこで脳をトリップさせてみる。
多くの墓の中に、ぽつりとある一角。無縁仏たち。
たぶん、この周辺で、彼、もしくは彼女は死んだんだ。
どうして?
どうしてだろう。考えてみる。
あぁ、そうか、殺されたのか。
いつもそこに思考は落ち着く。
じゃあ何で殺されたのか。
あぁ、そうか。ここは山が近いから、たぶん夜討ちにあったんだ。
山の中の深い木々。
連れ込まれて、穿たれて。
要らなくなったら、はい終わり。
打ち捨てられて、そのまま朽ちる。
誰か縁者がいればよかったのに、彼、もしくは彼女には、そんな人もいなくて。
だから、捨てられて、異臭を放つまで、気にもとめられなかった。
またか。
寺の住職が顔をしかめる。
そして煩わしそうに、同じ列に並べるんだ。
と、チャイムが鳴る。
教室の中を見る。授業はいつの間にやら終わってしまったようだ。
淀んだ空気、そよぐこともない心。
その中で、あぁ、自分自身も独りぼっちで。
いつかあの列に加えられるのかな、なんてね。
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