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海上自衛隊演習の時期になると、陸上部隊でも自隊警備訓練が行われます。
艦艇開発隊に勤務していた時には、船越地区の警備訓練に参加しました。
そこで味わったのは、迫りくる陸自空挺レンジャーの恐怖!!!
陸自第1空挺団の本気を見せつけられる恐怖の時間でした。
(危うく空挺団長を誤射するところだった・・・)
(前回記事):『 揚陸艦導入!陸自の要求を満たせる「みうら型」輸送艦! 』
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(1)船越地区警備隊にて、自隊警備訓練実施!
艦艇開発隊のある船越地区は、自衛艦隊司令部などが存在する重要拠点です。
そのため自隊警備訓練の時には、各部隊から人員を招集して船越地区警備隊が編成されます。
ふだん船越地区営門の警衛をしている陸警隊は、重要拠点警備のため他の地区に向かう状態でした。
(現在では、解消していればいいなあ・・・)
船越地区の陸上部隊では、艦艇開発隊が曹士および幹部の数が多いため、抽出する人員が多くなります。
私も船越地区警備隊に派出されて、自隊警備訓練を行うことになりました。
1.1 特殊事態を想定した訓練なので若手中心で!
昔の海上自衛隊の自隊警備訓練の時は、ある程度予定調和のところがありました。
しかし9・11以降の自隊警備訓練は、非常に実践的になりました。
『今回の訓練は、ゲリ・コマ対処が中核となるので若手を中心に編成する』
図1 基地警備訓練中の陸警隊
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/kuV9xIbHxMI/maxresdefault.jpg
訓練の内容が大幅に変更され、ゲリ・コマ対処が中心となります。
そのため、体力のある若手を中心に部隊編成が行われる事になりました。
1.2 作戦会議!こりゃあえらいことになるぞ!
船越地区警備隊の編成が行われ、指揮官を務める船越基地業務分遣隊長の下で作戦会議が行われました。
ここで、船越地区を警備することの難しさを痛感します。
図2 海上自衛隊横須賀基地の風景
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/about/img/enkaku2.jpg
横須賀基地全体が広い上に、いくつもの区画に分かれています。
さらに海からの侵入をも考慮する必要があり、かなり難度の高い作戦になることが予想されました。
とどめに、ゲリ・コマ対処を演練するための仮想敵役部隊についての情報が!
1.3 仮想敵役は、陸自第1空挺団!
隊長から訓練命令指達の後に仮想敵役が、陸自第1空挺団であることが示されました。
ぎょえええ〜!なんじゃそりゃ!!
陸自との共同訓練ということもあり、陸自部隊の一部が仮想敵役であることは聞いていたのですが、まさか第1空挺団かい!
しかも空挺レンジャーのみで編成した、仮想敵役が来るとのこと!
陸自側も、めったにできない重要施設襲撃訓練ができると張り切っているとの話です。
これはえらいことになった・・・
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(2)自隊警備で戦闘続発!思わぬ事態も発生!
自隊警備訓練がスタートして、次々と訓練演目が発生します。
連続した基地侵入やら戦闘が続く中で、思わぬ失敗も発生!
2.1 夜間に基地侵入!どこから浸透された?!
警備訓練が始まり、最初の夜に戦闘が突然開始されます。
(味方OP:監視拠点)
『本部!本部!侵入者あり!攻撃を受けている!』
夜間に突然、味方OPから攻撃を受けているとの連絡があり、部隊を展開・何とか(想定)侵入者を捕縛しました。
図3 侵入者を捕縛する状況(イメージ)
引用URL:http://www.city.misawa.lg.jp/images/content/27764/IMG_8949.JPG
捕縛を完了して本部に連行したところで、訓練の審判を行う統裁官付(陸自)から状況終了を告げられます。
(海部隊)
『どっから侵入されたんだ?外柵の部分は監視していたはずなのに?』
(陸審判)
『すべての訓練終了後に、侵入要領を展示するよ。』
とにかく態勢を立て直して、訓練が続行されます。
2.2 危うく空挺団長戦死?公用車による営門突破想定!
他の警備区でも、次々と訓練想定が起きているのが無線から流れて来ました。
別地区では公用車に偽装した仮想敵役に営門を突破され、大損害が出ているとの情報が流れます。
指揮官の公用車については、訓練項目でも車両検査を行ってから通過させることになっていました。
車両の動向を監視する味方OPに、指揮官車両についても乗っ取りによる突破があるため確認をするよう指示を出します。
その後、総監部地区から船越に戻る指揮官車の情報が伝えられます。
(味方OP)
『本部!帰投する指揮官車に異変あり!ゲリ・コマが乗っている!』
ついにきたか・・・!
(当直士官)
『隊長!射撃準備態勢をとります!突破される前に抑えます!』
(警備隊長)
『了解。所定の措置を行え!』
図4 警備訓練の状況
引用URL:http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/katudou/h29/18-2.jpg
警備隊が応戦の態勢を整えて、当該車両が営門に入ってくるのを待ちます。
車止めの位置まで進ませて、対応しようとしたときに!
(陸審判)
『状況中止!状況中止〜!!統裁部への誤射だ〜(怒)!!』
陸自の審判団(統裁官付)が、慌てて状況中止の号令をかけて来ました。
何事か?と訝しがる海自側に対して、陸自審判団から怒号が飛びます。
(陸審判)
『馬鹿野郎!空挺団長を誤射するところだったぞ!』
車両から降りて来たのはなんと第1空挺団長!
(訓練統裁官:識別マークも装着済)
(総員)
『やっべ!やらかした〜!!』
・・・その後、船越基地業務分遣隊長が平謝りの状態となりました。
第1空挺団長からは、『厳正な警備実施をしている事が分かったので、以後識別を確実にするように』とのお言葉がありました。
海上自衛隊に入隊して、やらかしたことがまた増えてしまいました・・・
2.3 空挺団激怒!怒りの猛攻撃!ペンギンも想定戦死!
空挺団長の1件は、敵味方識別不十分による課題事項との統裁部からの指導が入りました。
その後このことを知った空挺団の仮想的役部隊が激怒して、船越地区への猛攻撃が始まりました。
次々と、攻撃を受けて損害が増大します。
ペンギンも、不意を突かれてナイフによる想定戦死判定になりました。
図5 ナイフによる襲撃(イメージ)
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/FdCvrDjJoqo/maxresdefault.jpg
結果として、船越地区警備隊は大損害の判定となりました・・・
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(3)やっぱり空挺レンジャーってすげええ!
自隊警備訓練終了後、陸自側からの訓練講評ではいろんな指摘が出されました。
・『歩哨による周辺監視が不十分』
・『指揮官の、迅速な命令ができていない』
・『動哨の動きが、時間でパターン化されて察知しやすくなっている』
・『幹部の肩章により、夜間でも容易に察知されている』
など、多くの教訓が示されました。
3.1 外柵の乗り越え方の展示
また、外柵を乗り越えて容易に侵入する事例について、動作付きで展示されました。
図6 空挺レンジャー
さすが空挺レンジャーだけあって、乗り越えできないと思っていた外柵をあっさり侵入されました。
『空挺レンジャーってやっぱりすげえ・・・』
感嘆の言葉しか出ない状況でした。
3.2 指揮官は最初に狙う目標
陸自空挺レンジャーからの指摘で、海自側の問題点が判明した部分もありました。
『幹部(士官)は指揮系統寸断の為に最初に狙う。海自側は認識が甘い』
まさに言葉が出ない正論でした。
海自の気質として、幹部も前に出てしまうところがあります。
基地警備訓練で海自幹部自衛官の損害が多発する要因である、と指摘されました。
やはり陸自の中で最強といわれる、第1空挺団の指摘は適格で実践的でした。
その後基地警備器材や服装などが見直されるきっかけにもなりました。
やはり、第1空挺団は最強だぜ!
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