幹部中級課程の図上演習にて、作戦部隊の大方針は決定しました。
次はわが方の部隊TG21.1の作戦戦闘準備に入りましたが、敵分析をすればするほどかなり厳しい!
襲い来る敵対艦ミサイルの波状攻撃に対して、わが方の対空ミサイル不足が露呈!
作戦と補給、不足する弾薬補など同時並行の大作戦になるぞ!
(前回記事):『 【図演準備?B】戦闘準備と立ちはだかる国内法の壁! 』
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(1)敵部隊攻撃をORで試算!やべえぞこれは!
当時、仮想目標としていたSU-30MK2戦闘機について空対艦ミサイルがどれだけ詰めるか不明でした。
そのためF-2と同等の4発搭載で、 YJ-82(C-802K)を搭載してくるという設定です。
図1 YJ-82(C-802K)
引用URL:https://vcdns.valka.cz//files/yj8k1_220.jpg
1.1 YJ-82(C-802K)の基本性能
日本のサイトではあまり記載されていないのがYJ-82(C802K)の性能です。
?@全長:6.392m(ブースター部分1.24m)
?A直径:36cm
?B全幅:1.22m
?C重量:715kg
?D速度:マッハ0.9
?E推進方式:ターボジェットエンジン
?F射程:約150〜160km(80〜85nm)
図2 YJ-82(C802K)線図
引用URL:http://www.admiraltytrilogy.com/pdf/CW2013_Eagle_Strike_8.pdf
わが方のハープーンミサイルや90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)より重量があります。
コイツが何発も飛んでくるのは、かなりの脅威出です。
1.2 戦闘シナリオをORで解析!
TG21.1については、他TGへの対艦攻撃を阻止するために防空に専念します。
そのため、まずは敵の対艦ミサイル撃墜が目標となります。
OR分析にて、戦闘シナリオを分析することにより作戦立案の資料とします。
(OR分析での要件)
?@敵航空機:6機編隊による時間差2回の対艦攻撃(敵空母搭載機は12機)
?Aわが方(TG21.1):DDH(従来型)、DDG1(イージス艦)、DDG2(はたかぜ型)、DD×5(きり・あめ型)
?Bミサイル・砲弾は満載状態で開始
?C弾薬補給は、母校のみで可能
?D対艦ミサイル撃墜を確実にするため、敵ミサイルに対して2発ずつ発射する。
イージス艦とはたかぜ型護衛艦での防空体制となり、けっこう不安が出ます。
OR結果としてはかなりまずいものでした。
?@第1回対艦攻撃にて、対艦ミサイル1〜2発が着弾
?ASM-2は、24発中16発の撃墜(第1撃12発、第2撃4発)
?BSM-2について、32発を消耗
?CSM-1は、3発撃墜(6発消耗)
?D短SAM(シースパロー)は2発を撃墜
?E主砲射撃にて1発撃墜
?F撃墜成功は、最終的に24発中22発
図3 OR結果
SSKPの計算を何度繰り返しても、1〜2発がミサイル撃墜をすり抜けます。
そんな攻撃について第2回対艦攻撃を受けると、TG21.1については対空防御能力が激減します。
(SM-2をほとんど使い果たす)
これはまずい結果になりました。
1.3 ミサイル配分を変更!
OR分析の結果を受けて、TG21.1のS-3(作戦担当)学生と協議を行いました。
イージス艦での勤務を経験しているS-3学生から一つの妙案が出されました。
『イージス艦のミサイル配分を変えSM-2を最大限搭載する!』
図4 ミサイル装填
引用URL:https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/userstorage/000/020/200/348/d80b6e1faf.jpg
本来は、対空ミサイルやアスロック・対艦ミサイルの搭載定数が決まっています。
今回は、イージス艦には最低限のアスロックを残してすべてSM-2を搭載する方法を取りました。
焼け石に水ですが、やらないよりはましな対処です。
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(2)こーなりゃ部隊の入れ替えだ!
さらに、TG21.1の防空能力を可能な限り持続させる手段が必要になります。
2回の航空攻撃をしのいでも、さらに航空攻撃が続いた場合の作戦を考慮せざるを得ません。
2.1 再補給には1日かかる!
TG21.1のイージス艦についての最短の再補給完了時間は、
?@往復の航海時間(沖合〜母港〜沖合)
?Aミサイル再装填にかかる時間(この時間が一番長い)
?B燃料補給にかかる時間
これらを考慮すると、最低24時間が必要です。
まさか戦闘途中でTG21.1を抜け出して、単独で再補給に戻るわけにもいきません。
そんなわけでどうにか敵艦隊前面に、防空ラインを維持する必要があります。
2.2 作戦途中で部隊を入れ替えろ!
この時ペンギンにある考えが浮かびました。
「TG21.1の編成に固執するから弾薬不足が起きるんだよな・・・」
「SFの統合演習の時は、必要に応じて部隊配属を変更していたよな?」
「このさい、他TGからイージス艦を引き抜いて増強編成する手法もあるな!」
作戦では最初に、TG21.3(掃海部隊同行)が最初に離島沖に到着します。
図5 作戦展開図
TG21.3には、イージス艦2隻が配属されている設定になっていました。
TG21.3(第21任務部隊第3任務群)には、
?@3つの護衛隊(任務隊:TU(Task Unit))
?A8隻の護衛艦(任務分遣隊:TE(Task Element))
という編成になります。
ここから、イージス艦1隻(TE)をTG21.1の展開海域まで急行させて防空ライン増強を行います。
TG21.3の防空体制が一時的に低下するので、さらにTG21.4(輸送部隊同行)もイージス艦を先行させて2個TGの防空を行います。
3個TGに配属されている4隻のイージス艦を、ローテーションで防空戦に参加させる手法です。
SF後方幕僚の経験で、TGが近接したときにイージス艦を相互派遣して防空体制を強化していました。
(参考記事):『 【艦補処】自衛艦隊司令部後方幕僚に派遣!(その1) 』
この作戦なら、補給のための時間も確保できます。
2.3 作戦持続の観点からよろしい!
TG21.1内での作戦会議において、まずはこの増強作戦手法の合意が得られました。
次は、統裁部を兼ねる統率科教官室の許可が必要です。
「中級の図上演習はTG(任務群)の演練が主体である。」
「他のTGの艦艇を最初から増強する作戦は、教育上どうかな?」
「作戦時の連続情勢判断をもとに、他TGの増強要請のほうが良いのでは?」
教官室からは、色々とした教育上の観点から疑問が出されました。
図6 会議
引用URL:https://cdn.pixabay.com/photo/2014/12/05/06/46/hats-557581_960_720.jpg
話を聞いていた統率科長から、
「TG21.1の作戦目標から導出された、防空体制の持続としては良い観点である。」
「TGの集合・艦艇派出自体は、図上演習では禁止していない。」
「他のTGの説得・作戦調整も、幕僚活動の良い演練になる。」
結局、統率科長及び教官室からは、
との回答がありました。
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(3)他TGを説得!増強作戦で図上演習事前演練に望むぞ!
保留付きで、教官室から増強作戦の許可が下りました。
まずは関係するTGに対する説得を行います。
3.1 抵抗があったけど説得成功!
他の関係するTG21.3及びTG21.4に対して、TG21.1のメンバーが手分けして説得に回りました。
両方のTGからは当然反発がありました。
(自分たちの作戦修正を求められるため)
しかし、何とかOR結果と再補給時間を根拠として説得に成功します。
(各個撃破に会う可能性が高かったため)
3.2 さあ事前演練が待ってるぞ!
中級課程の本番の図上演習は、東京にある幹部学校図上演習装置を使用します。
図7 図上演習装置
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/navcol/msc/images/organization/o-05.jpg
その前に、2回ほど江田島にて簡単な事前演練を行い作戦修正のうえで臨みます。
ここまで来たからには、何とか成功させるぞ〜!
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図上演習だと、ホントにいろんな地獄が待っています。
対空戦を今回主眼に置いていますが、SSやスパイ船などさらに混沌としてきます。
何を最初に守るのか?戦闘継続をどうするかでいろんな結果になっていくでしょう。
ミサイルもろに貰う護衛艦隊も大変ですが一時的に防空能力がガタ落ちする掃海艦も地獄ですわなと
艦艇や航空機のみならずゲリラ的に潜水艦からのSSMが飛んでくる可能性と否定出来ないですおし
こういった想定が何度も上げられたが故にFFMのような重武装の掃海艦が
要求に上がった根源なのかなと(省力化も合わせて乗員への負担は大変そうですが