経済的徴兵制の話が盛り上がらないねぇ?【防衛省】

『日本版GI BiLLが始まったのに誰も話題にしてないね?』


2015年ごろに、経済的徴兵制の話で世の中が盛り上がったことがありました。

まあよく研究された本が出版されましたが、日本の実情に合わないことを結び付けていました。

図1 予備自衛官招集訓練
図1 予備自衛官招集訓練.jpg
引用URL:https://twitter.com/jgsdf_RUMOI/status/1469139365368844288/photo/1

あれから時間がたち、より経済的徴兵制度に近い制度が開始されたのに誰も話題にしません。

貸費学生を、経済的徴兵制の懸念というには無理があったのでは?
(関連記事):『 【拝啓】経済的徴兵制が実施される!と叫ぶ皆様方へ
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(1)任期制自衛官退職時進学支援給付金をご存知ですか?

2021年(令和3年度)から、ある制度が開始されましたがほとんど知られていません。

任期制自衛官退職時進学支援給付金という、大学進学支援の資金助成です。

1.1 任期制隊員の大学進学支援制度

この制度は、任期制隊員が任期満了後に大学進学をするとき給付金を支給する制度です。

図2 任期制自衛官退職時進学支援給付金
図2 給付金.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/new/img/index/topics/shingaku.pdf

・即応予備自衛官に登録:年27.1万円
・予備自衛官に登録:年5.4万円


という形で、年間46人を限度に2021年から制度が始まりました。

ようやく任期満了後の隊員への進学支援制度が、人手不足の中で始まりました。

1.2 日本版GI BILLやんけ!

この制度が始まったと聞いたときに真っ先に思い浮かんだのが、

『日本版のGIビルやんけ!』

という物です。

図3 GIBILL
図3 GIBILL.jpg
引用URL:https://images05.military.com/sites/default/files/styles/full/public/media/money/2013/07/gibillbanner.jpg

GIビルは、米国で兵役を終えた軍人が大学進学を希望すると進学支援金を給付する制度です。

経済的徴兵制を論じた本において、まさに象徴として指摘されていた制度です。

とりあえずは、日本でも開始となりましたが支給金額の低さが気になります。

1.3 誰もこの話を経済的徴兵制として話していない?

しかしながら気になったのは、あれだけ経済的徴兵制が始まる!と叫んでいた人たちがこの制度については沈黙していることです。

おそらく知名度が低いので、誰も興味を示していないのでしょう。

もしくは、任期制隊員に興味が無いから無視しているのかもしれません。
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(2)貸費学生は経済的徴兵制じゃねえよ!

経済的徴兵制を叫ぶ人たちにとっては、ニュースに出てきた貸費学生の方が分かりやすいのかもしれません。

図4 貸費学生
図4 貸費学生.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EqDOiPBU8AAIuxz?format=jpg&name=large

勘違いしてるようだけど、貸費学生は経済的徴兵制にならねえよ!

2.1 貸費学生拡大の話が出てきたけど・・・

令和5年7月になり、防衛省の人的基盤強化に関する提言が提出され貸費学生制度拡大の話が出てきました。

理工系の大学3年生以上が対象だったものを、文系も含めて大学1年生から奨学金を出す制度に変更するようです。

ただこの話については、
・幹部自衛官になる人間を増やしても、人手不足解消にはならないのでは?
・本当に必要なのは、任期制自衛官を増やす取り組みじゃないの?
・組織の中軸となる防大出身者が不足するほど、ヤバい状況なの?

防大が抱える問題を現役教官が実名で告発するほどヤバい状況ならば、穴埋めのために貸費学生を充てるというなら問題をはき違えているといえます。

図5 任期制隊員
図5 任期制自衛官.jpg
引用wiki

本来取り組むべきは、志願者が減少している任期制隊員のの募集強化と待遇改善です。

2.2 わかりやすい貸費学生が批判の対象となってる
経済的徴兵制は、運動団体にとってはいい批判対象なのでしょう。

だからこそ、何かそれっぽい貸費学生をやり玉にして経済的徴兵制ガ〜!!とやっている状況です。

任期制自衛官退職時進学支援給付金は、よくわからんから放置されているといえます。

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(3)執筆者の現在の意見を聞いてみたい!

日本版GIビル制度が始まったところで、経済的徴兵制を論じた執筆者の意見が聞いてみたいところです。

(関連記事):『 【自衛隊】自衛隊幹部の低学歴が問題?大学側の傲慢のせいでしょ

ぜひとも、続編を書いて欲しいと思う次第です。
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posted by sstd7628 at 09:48| Comment(6) | TrackBack(0) | 防衛省

2023年07月16日

この記事へのコメント
サイサリスさま、コメントありがとうございます。

そういえば部内(入隊済み)からの受験であれば、年齢制限+2歳まで拡大されているのを忘れていました。

私の同期にも部内から一般幹候を受験して候補生学校に来たものがいました。(へなちょこ候補生だったペンギンは彼がいたから候補生学校を卒業できました。)
その後、部内受験者ながら固定翼機操縦士になりました。
(その後51空のテストパイロットになってます)

いつも適切な情報をいただきありがとうございます。

Posted by 管理人 at 2023年08月02日 16:46
>26歳以下で大学卒業資格を取得できれば、一般幹部候補生(A幹)を受験

部内からであれば受験資格はまた変わります・・・・
高卒・29歳で一般幹部候補生(A幹)に行った同期もおりますので・・・・・

行った理由は、あまり良い理由ではありませんが・・・・・
(事故やったわけではないのだけれど、曹としての行き場がなくなったため仕方なく・・・・・)
Posted by サイサリス at 2023年08月02日 15:28
ななしn番さま、コメントありがとうございます。

艦艇勤務の海士だと、仕事に追われて勉強時間が取れずに中途退職してしまう例が多くなっており処遇改善が必要です。
艦艇幹部(特に防大出身)の意識が、「職務に専念せず大学進学なんて!」というところが往々にしてあり、内部の意識改革が必要です。

海の幹部候補生試験は、良くも悪くも入口主義になっているところがあります。
陸自のU´のような制度改革も、今後重要になってくるかといえます。
ただ、海自は能力さえあればB幹でも1佐・イージス艦艦長などの道は開かれています。
幹部中級課程を修了したら、結構ごちゃまぜの状況です。


Posted by 管理人 at 2023年07月17日 15:38
ペンギン先生、お返事ありがとうございます。

>見てきた中では、任期制隊員の中にはたまに大学進学意欲を持ち学力もある者がいることもあります。
海と陸の任期制に対するスタンスの違いが大きいかもしれませんね、
思い出してみれば、陸士で通信制大学の入学希望者がおり、働きながら在学できるよう手続きをした記憶があります。ですがやっぱり、任期制の満期者は地元や自衛隊装備品系の工場に就職するイメージが大きいですね。

>海の場合は、あくまで部内幹部(B幹)
少々意外でした。陸自は幹部のうち、部内とSLC以外は防医体育学校も一般幹部候補生ないし同等の扱いでした。
あと、海幹校でよくあるのは防大海上要員落ち陸の学生が防大卒業して海幹校受けるケースでしょうか。
Posted by ななしn番 at 2023年07月17日 11:26
ななしn番さま、コメントありがとうございます。

令和3年度に始まったばかりの制度であるため、知名度は非常に低い状況で、定員も46人と低くなっています。

とりあえず制度を作ったという感じで、まだまだ改良の余地はありそうです。

見てきた中では、任期制隊員の中にはたまに大学進学意欲を持ち学力もある者がいることもあります。
(現行制度の中でも、任期制隊員の通信制大学・夜間主大学進学希望者への配慮を通知する訓令があります)
進学希望者にとっては、一応選択肢が広がったといえます。

海の場合は、あくまで部内幹部(B幹)という扱いになります。
26歳以下で大学卒業資格を取得できれば、一般幹部候補生(A幹)を受験できますが、海は部内幹部は部内幹部というう扱いは変わりません。

私の同期には、海士で入隊して通信制大学を卒業して年齢制限ギリギリで一般幹部候補生になったものがいます。

大学進学意欲のある隊員は一定数いるものの、助成対象から夜間主・通信制大学の選択を外したのは制度を不便にしているといえます。
日本版GIBILLを目指したけど、中途半端な制度になってきそうです。
Posted by 管理人 at 2023年07月17日 09:17
こんにちは。そういったシステムがあることすら私は知りませんでした。
一方で、正直な話、任期制の隊員で大学レベルの学力があることは非常に稀で、
そもそもその場合はU'(陸幹校では一般大相当扱いで部内から陸士が幹部になれます。海自さんはいかがでしょうか?)などでなったりできるので、任期制隊員にとって『民間に戻って学業をする』という考えはかなり厳しい選択であると思います。
日の目をみたら批判されるわりには、あまり利用者の少ない制度として終わる未来が見えます……。
Posted by ななしn番 at 2023年07月16日 21:16
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