ワタシの想いがみさせるのか、もう20年近く前のイメージ。
目を閉じたまま想いを馳せる。
ブロンドに青い瞳の彼女。
今頃どうしているかしら。
ワタシのこと、覚えているかな。
外交官の娘だし、きっと結婚して子供もいるわね。
ワタシはというと…。
疲れた身体で、泥のようにベッドに突っ伏している。
一瞬、普通の生活を想いそうになって、打ち消すようにベッドの中で寝返りを打つ。
シーツの中で仰向けになる。
ゆっくり瞼を持ち上げる。
昨夜の薬のせいか、流石に全身に気怠さが残っている。
この二週間ほど、夜の店を中心にちょっとした潜入調査。
二十歳の頃の若さがないことを、肉体的にも客とのやりとりからも痛感する日々。
代わりに、上手にあしらう術は年々上手くなっている。
シーツの下、一切の束縛から解かれた身体。
自由な身体を満喫するように、軽く伸びをする。
いつからか裸でシーツにくるまる癖。
不規則な時間と、コスプレまがいに色々な格好をする日々。
ワタシの行動スタイルには合っている。
シーツを?いで、寝返りをうつようにして両脚を膝からベッド脇におろす。
同時に、両腕で上体を持ち上げる。
素肌そのままで、ベッドの縁に座る。
微かに痛む後頭部、何気なく手をやる。
指先に触れる髪に違和感がある。
頭の天辺、指先で掴んで持ち上げる。
何かを掴んだ指先を、露わな膝の上に戻す。
偽装のかつらを手にしている。
何てこと!カツラを着けたまま寝てしまうなんて。
思いながら、ベッドにカツラを抛る。
ふと、指先で目元に触れる。
やはり、という思い。
偽装の濃いメイクも、つけたまま眠り込んだらしい。
思わず両手で顔を覆う。
指の隙間から、ぼんやり眺める視界の隅に、紅いものが映る。
両手を膝に下ろして、目を凝らす。
昨夜、身に着けていたはず?
無意識に、剥き出しの胸を抱く。
見つめる先には無造作に落ちている紅いbra。
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