思いながらも、紅いレースにゆっくり右腕を伸ばす。
ベッドに腰掛けたまま、指先で紅いレースのbraを拾い上げる。
手にしたbraを、何かを確認するように、ひとしきり眺める。
つい見惚れる綺麗なレース、ふと気づいて、ベッドに抛る。
徐に部屋を見回す。
部屋の反対の隅に、もう一つ、紅いレースの端切れ。
ベッドから素肌の腰をあげる。
紅い端切れに向かって踏み出す。
どうしてこんな所に?屈んで、左手指先で紅いレースのthongを拾い上げる。
無意識に何かを確認するように、綺麗なレースを見つめる。
あらためて部屋を見回す。
部屋の中に、昨夜身に着けていたはずの衣装は、見当たらない。
怪訝に思いながら、視線を扉に向ける。
んっ?
開け放した扉の外に、布地の端らしきカゲ。
そんなところに何?
扉に向かいながら、手にしたthongをベッドに抛る。
寝室から、素足のまま踏み出す。
扉の外には、脱ぎ落としたと思しい、昨夜のタイトなスカート。
それは、ワタシの腰の形のままに落ちている。
ファスナーも半ば閉じたまま、ズリ落としたらしい。
その側に、今脱いだばかり、と見紛うようなパンティストッキング。
まるで抜け殻と化している。
あまりの有り様に滅入りそうになりながらも、一つずつ拾い上げて、リヴィングに向かう。
視界に入るリヴィングのソファ、その有り様を見て、ある意味で納得。
そこには、バッグと上着とシャツブラウスとが、まさに脱ぎ散らかされている。
手にしたタイトスカートとパンティストッキングを、ソファの上に抛る。
これで一揃い、妙な合点をする。
ワタシとしたことが…。
ぼんやりした記憶を辿ろうとする。
が、何も覚えていない。
思い立って踵を返す。
何も纒わぬままキッチンに立つ。
脇のダンボール箱から、500mlペットボトルを一つ取り出す。
キャップを外して、室温のミネラルウォーターを喉を鳴らすようにして飲む。
一息ついて、昨夜、というより未明の記憶を、もう一度探る。
…調査の最終日、油断したつもりはない、なのに監禁されて薬まで打たれるなんて…
何故襲われたのか、この先明らかにする必要がある。
幸い薬は少量で、なんとか脱け出すことはできた。
が、この部屋に帰るまでの記憶は思い出せない。
そんな無意識の中でも、裸で寝ることは忘れないなんて、ワタシったら。
「ククッ」
思わず苦笑するしかない脱ぎ散らかされたinnerwearたち。
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