制作28話 放送10話(1966/3/6)「地底超特急西へ」
(制作順はWikipediaを参考にしました。)
シリーズを通してのメインの出演者
万城目淳:星川航空にパイロットとして勤務。
SF小説を書いている。
戸川一平:パイロット助手
江戸川由利子:毎日新報のカメラマン
ストーリー(ネタバレ)
最高速列車いなづま号(最高速度時速450km)の東京−北九州間の公開試運
転の日、マスコミしか参加できない試運転にどうしても潜り込みたい靴磨き
のイタチ、ウエイターのヘチマ、そして一平は作戦を練る。
ヘチマはイタチを肩車し、コートを着て二人で一人として潜入。一平は取材
に来ている由利子の同僚カメラマンとして乗り込んだ。
そのころ万城目は航空貨物輸送の受付をしていた。相川教授からの依頼は、
研究している人工生命M1号を圧縮してボンベに詰めたトランクを大阪まで運
んで欲しいということであった。
トランクの中身を確認したところ、中にはカメラ等全く別のものが入っていた。
一平がトランクを間違えて持って行ってしまったのだ。
いなづま号は新東京駅を発車。発信した後はいなづま号の電子頭脳が自動運転を
始めた。
通報により一平が間違えて持ってきたトランクは回収されて一時的に貴重品用の
特殊ロッカーに保管されることになったが、カメラマンの川田がフラッシュを焚
いて人工生命を撮影したことで、細胞が急激な成長を始め、ゴリラのような怪物
M1号が誕生してしまった。
M1号は、いなづま号の運転席を占拠して電子頭脳や操縦系統の機器を壊してし
まった。制御不能となったいなづま号は暴走を始め、運転士は独自の判断で機関
車と客車を切り離した。
機関車部分にはM1号とイタチが残っていた。新東京駅の指令室に相川教授と万
城目が到着。新東京駅の西岡主任は80億7千万円のいなづま号の機関車と子供
を救うために車止め用の車両を用意した。M1号は危険であるため射殺すること
になり、相川教授も了承した。
車止めの車両は機関車を止めることが出来なかった。両車両はそのまま付近の給
油タンクに突っ込み大爆発を起こす。
特殊合金で出来ている耐熱耐震の特殊ロッカーに間一髪入っていたイタチはM1号
と共に衛星軌道上まで吹き飛ばされて漂っていた。
M1号は初めて言葉を発した。「わたしはカモメ」
制作順に観てきたウルトラQの最終話です。20数年前のムック本では制作27
話「ガラダマ」、28話「ガラモンの逆襲」となっていましたが、今回はwikipedia
の現在の記述に従って視聴しました。
この「地底超特急西へ」は最終制作回としてずいぶんとはっちゃけた話となりました。
いままでは現実の1966年の世界に超常現象や怪獣が出現するシチュエーションだった
のが、現実の世界で新東京駅の開設と時速450kmのいなづま号の運行開始という未来
設定が飛び込んできます。東京−北九州間が3時間はすごいです。
いなづま号の機関車、車止め車両、ターミナル駅、給油施設、M1号など、かなりの
被害が出てしまいました。これは一平がお客様の荷物を間違えて持って行ってしまっ
たことに始まるため、星川航空には相当の損害賠償額が請求されるのではないかと思
います。(つぶれたんじゃないだろうか。ファンタジックな終わり方だったけど夢落
ちではなかったから。)
万城目が荷物の受付をしていたところは、いつもの星川航空の事務所ではなく、なぜ
か旅行代理店でした。窓には近畿ツーリストとありました。
今回は一平、由利子と万城目が一同に集まることはなく終わってしまいました。少し
寂しいです。
西岡主任を演じていたのは、当時おはようこどもショーの人気司会者でキューピーち
ゃんの愛称で知られていた石川進です。藤子不二雄の白黒時代のアニメの主題歌を多
く歌っていました。最近実写ドラマが始まった「ど根性ガエル」の主題歌もそうです。
(ちなみに、「新ど根性ガエル」の主題歌はとんねるずです。)次作のウルトラマン
のイデ隊員役となり、撮影も始まっていたがギャラかスケジュールの都合ですぐに降
板してしまったそうです。
最後のM1号の「私はカモメ」は時事ネタです。1963年、ソ連の人類初の女性宇
宙飛行士テレシコワの言葉です。野口宇宙飛行士の解説によると、彼女が乗船してい
たボストーク号のコールサインが「チャイカ=カモメ」だったので、「こちらはカモ
メ号」と言ったことが日本で紹介された時に「私はカモメ」という詩的な解釈をされ
たのではないかということでした。
M1号の風貌は、ダウンタウンの浜ちゃんに似ているということで、よく写真が使わ
れているのをみかけるので、見たことがある人も多いのではないのでしょうか。
ウルトラQは、初回放映時には「あけてくれ」が難解であるということで放映されま
せんでした。その分次回作の「ウルトラマン」が前倒しになる予定でしたが、「ウル
トラマン前夜祭」というイベントの放映をすることで1話分をかせぎました。
最終回なら難解でも放送すればよかったとも思いますが、新番組の前の週に視聴率を
落とすかもしれない冒険はしたくなかったのでしょう。
近年、このウルトラQも、1960年代のフィルム発色の特質に似せてCGで着色した
総天然色版が発売されています。
ウルトラQは1966年7月3日に第27話「206便消滅す」で終了しました。
前記のように7月10日には前夜祭イベントの放送が入ったためウルトラマンの第1話
の放映までは2週間ありました。その間隙をついて7月4日から日本初のカラー放送の
巨大ヒーロー番組が始まりました。それは、裏番組のアニメ「W3(ワンダースリー)」
で苦渋をなめた手塚治虫が原作漫画の実写化「マグマ大使」でした。
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