ジャッキー・チェン映画を時系列に観るその21
ゴールデン・ハーベスト社で制作したハリウッド進出映画。日本版が発売されているジャッキー
出演映画のなかでは「ドラゴンファイター」で悪役を演じて以来の現代劇。
ストーリー
シカゴでレストランを経営している父親の元にショバ代を回収にくるマフィアを撃退した息子の
ジェリー(ジャッキー・チェン)はそのことで、マフィア同士の賭けの対象になっているテキサ
スのバトルクリークで開催されるストリートファイトの大会の出場選手に選ばれる。拒否するジ
ェリーだが、兄と結婚するために中国からやってきた婚約者を人質に取られ、やむなく大会に参
加することに。ジェリーはカンフーの師匠である叔父と恋人のナンシーと共にトレーニングを開
始した。
冒頭に現代劇と書きましたが、「ドラゴンファイター」は撮影当時の1970年代と、現代そのもので
したが本作品は、1930年代のシカゴとテキサスが舞台です。それでもこれまでの拳シリーズのおそ
らく清朝の時代設定から比べたら全く別の世界にジャッキーがいるのが新鮮でした。
前作「ヤングマスター」での激闘を観た後なので、今回は敵役に恵まれなかったと思いました。
出演しているプロレスラーのハードボイルド・ハガディーは1973年には引退してもう俳優に専念し
ていた頃です。せめて現役の動けるレスラーを相手役にして欲しかったです。1980年は、まだやっ
とハルク・ホーガンの人気が上がってきたころ(ロッキー3への登場は1982年)なので、スタン・
ハンセンとかアンドレ・ザ・ジャイアントが個人的には適役だったのではと思います。
日本のことを描いたハリウッド映画は日本を勘違いしているものが多かったですが、中国に関して
はどうだったのかと思います。今回はジャッキー演じる主人公の兄が中国本土にいる文通相手と一
度もあったことが無いのに結婚することになっりシカゴへやって来るという設定でしたが、当時の
中国でよくある話だったのか、勘違い設定だったのかには興味があります。やってきた婚約者は、
上下とも黒い人民服?で全然華やかな感じがしませんでした。
婚約者を人質に取ったマフィアは主人公の家族に知られて騒ぎにならないように婚約者と一度もあ
ったことが無い(顔写真も送り合っていなかった)ことを利用して、替え玉の婚約者を用意します。
替え玉の女はケバイおバカ系のようだったので、ここをもっと膨らませてコメディ的な展開にいく
のかなと思っていましたが、何事もなく終わってしまいました。
マフィアのボスがいい味を出してましたが、演じたホセ・フェラーは1950年の「シラノ・ド・ベル
ジュラック」でアカデミー主演男優賞を受賞した名優でした。
監督のロバート・クルーズは「燃えよドラゴン」を監督した人ですが、今回の戦いは、散漫な感じ
がしました。予選が町中を使ったバトルロイヤルで、金属の棒やナイフは使用禁止なのに木の棒を
使っても失格にはならないルーズなルールででした。開会式で木製のブーメランを持っていた男が
いたので、使っているシーンが見たかったです。
この映画でジャッキーが参加したローラーゲームは1970年代に日本でもブームでテレビ放送されて
いました。日本では東京ボンバーズというチームがありましたが、いつの間にかテレビ放送が終わ
ってしまいました。いまはどうなっているんでしょうか。ここで習得したローラースケートは後の
「五福星」のローラースケートや「スパルタンX」、「シティーハンター」のスケートボードスタ
ントにつながっています。
香港では1990年代の初めまでは実写映画でも声優による吹き替えが当然だったので、実はジャッキー
本人の肉声が映画で聞けるのは前作の「ヤングマスター」でジャッキーが歌う主題歌が初めてでした。
映画本編では今回の「バトルクリークブロー」がジャッキーの肉声が初めて聞ける作品です。香港映
画で吹き替え無しでジャッキーの肉声が聞けるのは1992年のポリス・ストーリー3まで待つことにな
ります。
このアメリカ滞在中にジャッキーはテレサ・テンと出会います。
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