2016年12月24日
「リル・ウェイン ザ・カーター」
お正月用に買ったけど、もう観ちゃった。大ヒット作『カーター?V』発売前後の日々に完全密着したドキュメンタリー。
『NWA キングオブコンプトン』のDVDの新作紹介に入ってて、興味は引かれたもののあのDVD自体がイマイチだったので、そこが若干ひっかかったものの、製作総指揮が『ビーフ』シリーズのクインシー・ジョーンズ3世(あのクインシー・ジョーンズの息子さんね)だったので買いました。
「リル・ウェインの大ファンか?」と訊かれれば、「そうでもない」としか言いようが無いが、好きな曲はあるし、やはりカリスマなんだろうな、カッコいいな、とは思っている。
で、そんな感じで観ていたのだけど、私自身バンドをやっていたし、ロックバンドに密着したDVDは数多く観ているものの、ラッパーのドキュメンタリーというと数はグッと少ない。しかも存命中のラッパー単体のものだと、ブルーハーブとJay-Zのものくらいしか観た記憶が無い。
アメリカでは、日本では考えられないくらいラップがチャートインし大ヒットしているが、単体でドキュメンタリーにするだけのカリスマというとやはり少ないのだろう。日本盤が出てないだけかもしれないけど・・・。
なので、出てくる映像は新鮮で、リル・ウェイン自体も75分間観ていても飽きないだけのカリスマ性はある。既に売れていたリル・ウェインのドキュメンタリーということで、映像も編集も巧く、安っぽさは微塵も無いし、キチンとヒップホップに理解のある人たちが制作した、良いドキュメンタリーだ。
でも、なーんかねぇ・・・・。全部予想通り、というか、歌詞やインタビューなんかから伺えていた、パブリック・イメージ通りの事しか感じなかったんですよ。
せっかく75分もドキュメンタリー観て、発見は特に無かったんだよね。
本作は『リル・ウェイン本人が公開差し止めの訴訟』をしたほど、『全部曝け出した』ドキュメンタリーのはずなんだけど、なんの衝撃も無かった。
正直、「どこを問題だと思ったんだ?全部イメージ通りだけど?」という疑問が出てきた。
映画冒頭に「約束に反して本人が度々取材を拒んだ為、我々は彼の音楽やリリックからその人生をあぶり出した」という文言が流れるのだけど、たぶんそういう事なんだろう。映像はそれなりに撮れたんだろうけど、あまりにも本人に迫れていない。インタビューすらあまり出来ていないんだろう。
クルーの一員になるくらい近いか、透明な傍観者たりえるか、ってくらいにならないと、なかなか『曝け出す』ところまでいかないだろうに。
リル・ウェインはカリスマなので、密着した映像は貴重だ。観ていて魅力的だし、面白い。良いドキュメンタリーだ、と、まぁ言える出来だとは思う。
でも、ちょっと期待はずれ感があるなぁ〜。よく出来ているだけに余計惜しい感じ。
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