「にんにくには硫黄化合物が含まれ、この硫黄化合物に殺菌や抗菌効果があります。試験管での実験では、病原性微生物にニンニク由来の硫黄化合物を加えると、病原性微生物は死滅します。このことから、ニンニクを食べると感染症の予防や症状改善になることがわかります。」
上記のような、お話は、科学的根拠はありません(厳密にはそのエビデンスレベルは低い)。このようなお話は、化学的根拠や生物学的な根拠はありますが、科学的根拠はないのです。
確かに、化学的根拠や生物学的根拠も科学的根拠には違いありません。しかし、EBM(evidence-based medicine)でいう、科学的根拠(エビデンス)ではありません。
EBMでいう 科学的根拠とは、因果関係を示す科学的証拠があるという意味です 。因果関係とは、原因と結果の関係です。例えば、にんにくを食べると免疫力が上がるが、ニンニクを食べないと免疫力が上がらないという関係です。このような関係が本当にあるのかどうか科学的に検証した結果を科学的根拠とか科学的証拠などといいます。
科学的根拠は因果関係がある証拠のことであり、メカニズムを示すことではありません。前述したものは、にんにくの効能のメカニズムに焦点があるのですが因果関係には焦点が合っていないので、因果関係の証拠を示したことになりません。確かに試験管内での化学的・生物学的な事象も因果関係の証拠のひとつとして考えることも出来ます。しかし、そのエビデンスパワーはとても弱いのです。試験管内での出来事は、直接、実際に人が食べた場合、人体の中で同じことが起こる可能性は低いと考えられています。
前回の記事(にんにくは何に良いのでしょうか? その2 -がん予防?その因果関係-)で示したものは、本当(EBM)の科学的根拠に基づいたものです。つまり、にんにくをたべると胃がんのリスクが減るが、ニンニクを食べないと胃がんのリスクは減らないという因果関係が、科学的に検証され、その結果、現在ではそのエビデンスレベルが「おそらく確実」だったということなのです。
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