2017年01月19日
連帯保証人と連帯債務者ってどこが違うの?
最近のキャッシングやローンは保証会社に保証してもらうケースが多くなったため、保証人を立てるということが少なくなっています。ただ、無くなったわけではないので、「保証」というものがどういうものであるか、よく認識しておかなければなりません。
ところで、保証人というとほとんどの人は「連帯保証人」を思い浮かべますが、それとは別に「連帯債務者」という制度もあるので、その違いを知っておくことが重要です。
ところで、保証人というとほとんどの人は「連帯保証人」を思い浮かべますが、それとは別に「連帯債務者」という制度もあるので、その違いを知っておくことが重要です。
●連帯保証人
保証には付従性、補充性、随伴性があります。
・付充性:主債務が存在しない時は、保証債務も存在しません。
債務者の完済や消滅時効によって債務が消滅すれば保証債務も消滅し、債務額が減れば保証債務の額も減ります。なお、保証債務額は減ることはあっても増えることはありません。
・補充性:主たる債務者がその債務を履行しない時に初めてその債務を履行する責任を負います。
債権者に対して主債務者から先に回収するように主張できます。
・随伴性:主たる債務の債権者が変更となる場合、保証債務の債権者も共に変更されます。
例えば、債権者がA銀行からB銀行に変更になった場合、保証債務もB銀行に移ります。
・民法第446条:『保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う』
ただし、連帯保証は催告の抗弁権(452条)と検索の抗弁権(453条)がありません。従って、債権者からの返済請求があった時に、主債務者に先に請求するように求めたり、主債務者の財産に対して差押えの執行をするように求めたりすることができません。つまり、連帯保証には「補充性」が無いことになり、債権者は主債務者ではなく、連帯保証人に直接請求することができますし、連帯保証人も返済を拒めないということです。
・民法第454条:『保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない』
さらに、連帯保証には「分別の利益」もありません。分別の利益というのは、数人の保証人がいる場合に、主たる債務額を平等の割合で分割した額についてのみ保証債務を負担する原則のことです。連帯保証の場合はこの分別の利益がないため、保証人が複数いても、各保証人は主債務者の保証債務全額について責任を負います。
例えば、Aが200万円の借金をし、連帯保証人としてXとYの2人がいた場合、XとYはそれぞれが100万円の保証債務を負います。しかし、Aが1円も返済しない内に自己破産したことで、債権者から200万円全額の返済要求が来た場合、XとYは100万円だけとは言えず、200万円を支払わなければなりません。
○共同保証における求償
連帯保証人が代位弁済をした場合は主債務者にその額を求償(賠償を求める)できますが、支払える能力があるわけはないので、共同保証人に求償します。
仮に、Xが150万円を代位弁済した場合、Xの保証額は100万円なので、100万円を超えた50万円をYに求償できます。なお、代位弁済したのが100万円以内の場合は、Yに対する求償はできません。
・民法第465条:『(前略)数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する』
●連帯債務者
連帯保証は連帯保証人が債務者の債務を保証するのに対し、連帯債務は複数の債務者が連帯して債務を同一に負担します。要するに、連帯保証人は他人の債務を保証する人であり、連帯債務者は他の債務者と一緒に債務額全額の債務を負う人のことです。従って、債権者はすべての連帯債務者に対して全額または一部の返済を請求することができます。
・民法第432条:『数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる』
連帯債務者が債権者に対して全額の支払い義務を負うことは連帯保証人と同じですが、求償権が全く違います。
○連帯債務者間の求償
例えば、A・B・Cの3人が全員で合わせて300万円の借金をした場合、債権者から請求された場合は3人とも300万円を返済する義務を負っています。しかしながら、3人が平等に借金を負担するため、仮にAが債権者に150万円を返済した場合は、BとCに対して同率の金額である50万円を求償することができます。
なお、各連帯債務者の負担部分については民法上の規定がないため、当事者間の特約によって決定することができます。例えば、Aが50%、Bが30%、Cが20%の負担とすることも可能です。その負担割合になった時に、Aが150万円を返済した場合はBに45万円、Cに30万円を求償できます。
また、特約が無い場合は、受けた利益の割合によって負担します。例えば、300万円の借金の内、Aが150万円を受領したのであれば、Aは50%を負担することになります。上記以外の場合は平等の負担割合とされます。
・民法第442条:『連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。
2.前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する』
○相対的効力の原則
連帯債務は共通の目的をもった別個の独立した債務です。従って、連帯債務者の1人に生じた効力は原則として、他の債務者には及びません。例えば、債務の存在を承認すると消滅時効が中断しますが、仮にAが債務を承認したしても、B・Cが債務を承認したことにはなりません。また、債権者がAに対して返済期限の猶予をしたとしても、B・Cの期限が猶予されたことにはなりません。
○例外となる絶対的効力
連帯債務は相対的効力が原則ですが、以下の6つの事由については例外的に、絶対的効力が与えられています(すべての債務に効力が生じます)。
?@履行の請求
?A更改
?B相殺
?C免除
?D混同
?E時効
例えば、A・B・Cが連帯で300万円を借金し、平等に負担すると仮定した場合は以下になります。
?@履行の請求
債権者が連帯債務者Aに対して債務履行の請求をした場合、その請求は連帯債務者B・Cに対しても効力が生します。従って、全員の時効が同時に中断されます。
?A更改
債権者とAの間に債務の更改(新たな債務契約への変更)があった時は、B・Cに対する債権が消滅します。例えば、債権者とAが300万円の債務の代わりに車の所有権移転債務に更改する契約をすると、B・Cは債務を免れます。
?B相殺
Aが債権者に対して保有している反対債権でもって債務と相殺すると、B・Cも相殺した額の範囲で債務を免れます。例えば、Aが180万円の債権者に対する債権で債務と相殺すると、A・B・Cの連帯債務は各120万円に減ります。その場合、AはBとCに対して負担割合の60万円ずつを求償することができます。
また、180万円の反対債権を保有するAが相殺しない場合でも、B・Cは反対債権を保有するAの負担部分の範囲で相殺を援用することができます。つまり、B・CはAの負担部分である100万円の相殺を援用し、連帯債務を各200万円とすることができます。
?C免除
債権者がAに対して債務全額の免除をすると、B・CはAの負担部分の債務を免れます。つまり、Aは連帯債務が消滅し、B・CはAの負担部分の100万円の債務を免れ、各200万円の連帯債務が残ります。
?D混同(債権者の地位と債務者の地位とが同一になること)
Aが債権者の死亡によって債権者の地位を単独相続すると混同が生じます。混同によってAは弁済したものと見做され、B・Cも債務を免れます。簡単に言うと、Aが債権者の息子だったことで遺産である債権を相続すると、債務が消滅するため、B・Cの債務が無くなるということです。
?E時効
Aについて消滅時効が完成した場合、B・CもAの負担部分だけ債務を免れます。つまり、B・CはAの負担部分の100万円の債務を免れ、各200万円の連帯債務が残ります。
連帯保証人も連帯債務者も債権者に対して全額の返済義務を負うことは同じです。ただし、連帯保証人は保証するだけであって借金の債務者ではありません。しかし、借金をしていないのに、借金の債務を負います。
保証には付従性、補充性、随伴性があります。
・付充性:主債務が存在しない時は、保証債務も存在しません。
債務者の完済や消滅時効によって債務が消滅すれば保証債務も消滅し、債務額が減れば保証債務の額も減ります。なお、保証債務額は減ることはあっても増えることはありません。
・補充性:主たる債務者がその債務を履行しない時に初めてその債務を履行する責任を負います。
債権者に対して主債務者から先に回収するように主張できます。
・随伴性:主たる債務の債権者が変更となる場合、保証債務の債権者も共に変更されます。
例えば、債権者がA銀行からB銀行に変更になった場合、保証債務もB銀行に移ります。
・民法第446条:『保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う』
ただし、連帯保証は催告の抗弁権(452条)と検索の抗弁権(453条)がありません。従って、債権者からの返済請求があった時に、主債務者に先に請求するように求めたり、主債務者の財産に対して差押えの執行をするように求めたりすることができません。つまり、連帯保証には「補充性」が無いことになり、債権者は主債務者ではなく、連帯保証人に直接請求することができますし、連帯保証人も返済を拒めないということです。
・民法第454条:『保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない』
さらに、連帯保証には「分別の利益」もありません。分別の利益というのは、数人の保証人がいる場合に、主たる債務額を平等の割合で分割した額についてのみ保証債務を負担する原則のことです。連帯保証の場合はこの分別の利益がないため、保証人が複数いても、各保証人は主債務者の保証債務全額について責任を負います。
例えば、Aが200万円の借金をし、連帯保証人としてXとYの2人がいた場合、XとYはそれぞれが100万円の保証債務を負います。しかし、Aが1円も返済しない内に自己破産したことで、債権者から200万円全額の返済要求が来た場合、XとYは100万円だけとは言えず、200万円を支払わなければなりません。
○共同保証における求償
連帯保証人が代位弁済をした場合は主債務者にその額を求償(賠償を求める)できますが、支払える能力があるわけはないので、共同保証人に求償します。
仮に、Xが150万円を代位弁済した場合、Xの保証額は100万円なので、100万円を超えた50万円をYに求償できます。なお、代位弁済したのが100万円以内の場合は、Yに対する求償はできません。
・民法第465条:『(前略)数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する』
●連帯債務者
連帯保証は連帯保証人が債務者の債務を保証するのに対し、連帯債務は複数の債務者が連帯して債務を同一に負担します。要するに、連帯保証人は他人の債務を保証する人であり、連帯債務者は他の債務者と一緒に債務額全額の債務を負う人のことです。従って、債権者はすべての連帯債務者に対して全額または一部の返済を請求することができます。
・民法第432条:『数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる』
連帯債務者が債権者に対して全額の支払い義務を負うことは連帯保証人と同じですが、求償権が全く違います。
○連帯債務者間の求償
例えば、A・B・Cの3人が全員で合わせて300万円の借金をした場合、債権者から請求された場合は3人とも300万円を返済する義務を負っています。しかしながら、3人が平等に借金を負担するため、仮にAが債権者に150万円を返済した場合は、BとCに対して同率の金額である50万円を求償することができます。
なお、各連帯債務者の負担部分については民法上の規定がないため、当事者間の特約によって決定することができます。例えば、Aが50%、Bが30%、Cが20%の負担とすることも可能です。その負担割合になった時に、Aが150万円を返済した場合はBに45万円、Cに30万円を求償できます。
また、特約が無い場合は、受けた利益の割合によって負担します。例えば、300万円の借金の内、Aが150万円を受領したのであれば、Aは50%を負担することになります。上記以外の場合は平等の負担割合とされます。
・民法第442条:『連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。
2.前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する』
○相対的効力の原則
連帯債務は共通の目的をもった別個の独立した債務です。従って、連帯債務者の1人に生じた効力は原則として、他の債務者には及びません。例えば、債務の存在を承認すると消滅時効が中断しますが、仮にAが債務を承認したしても、B・Cが債務を承認したことにはなりません。また、債権者がAに対して返済期限の猶予をしたとしても、B・Cの期限が猶予されたことにはなりません。
○例外となる絶対的効力
連帯債務は相対的効力が原則ですが、以下の6つの事由については例外的に、絶対的効力が与えられています(すべての債務に効力が生じます)。
?@履行の請求
?A更改
?B相殺
?C免除
?D混同
?E時効
例えば、A・B・Cが連帯で300万円を借金し、平等に負担すると仮定した場合は以下になります。
?@履行の請求
債権者が連帯債務者Aに対して債務履行の請求をした場合、その請求は連帯債務者B・Cに対しても効力が生します。従って、全員の時効が同時に中断されます。
?A更改
債権者とAの間に債務の更改(新たな債務契約への変更)があった時は、B・Cに対する債権が消滅します。例えば、債権者とAが300万円の債務の代わりに車の所有権移転債務に更改する契約をすると、B・Cは債務を免れます。
?B相殺
Aが債権者に対して保有している反対債権でもって債務と相殺すると、B・Cも相殺した額の範囲で債務を免れます。例えば、Aが180万円の債権者に対する債権で債務と相殺すると、A・B・Cの連帯債務は各120万円に減ります。その場合、AはBとCに対して負担割合の60万円ずつを求償することができます。
また、180万円の反対債権を保有するAが相殺しない場合でも、B・Cは反対債権を保有するAの負担部分の範囲で相殺を援用することができます。つまり、B・CはAの負担部分である100万円の相殺を援用し、連帯債務を各200万円とすることができます。
?C免除
債権者がAに対して債務全額の免除をすると、B・CはAの負担部分の債務を免れます。つまり、Aは連帯債務が消滅し、B・CはAの負担部分の100万円の債務を免れ、各200万円の連帯債務が残ります。
?D混同(債権者の地位と債務者の地位とが同一になること)
Aが債権者の死亡によって債権者の地位を単独相続すると混同が生じます。混同によってAは弁済したものと見做され、B・Cも債務を免れます。簡単に言うと、Aが債権者の息子だったことで遺産である債権を相続すると、債務が消滅するため、B・Cの債務が無くなるということです。
?E時効
Aについて消滅時効が完成した場合、B・CもAの負担部分だけ債務を免れます。つまり、B・CはAの負担部分の100万円の債務を免れ、各200万円の連帯債務が残ります。
連帯保証人も連帯債務者も債権者に対して全額の返済義務を負うことは同じです。ただし、連帯保証人は保証するだけであって借金の債務者ではありません。しかし、借金をしていないのに、借金の債務を負います。
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