2022年12月9日に配信されたカルダノ(ADA)のチャールズ・ホスキンソン氏による「 What is RealFi?」の全訳です。
こんにちは。チャールズ・ホスキンソンです。いつも温かく晴れたコロラドからお届けします。
ちょっと待ってください。12月だから暖炉に火を入れないと。
今、2週間のファスティングの3日目で、うっかりしていることがあったらごめんなさい。
今日は、そんな長いファスティング中でも最悪な日で、常に何かをやり抜くのが大変な状態です。
自分用の煮出し汁とコーヒーで過ごしています。
コーヒーといってもファスティング中だから飲み過ぎはいけないんですが、手持ち無沙汰で…
では、今回は15分ほどになりますが、私たちがしばらく取り組んで、話し合ってきたあるトピックとコンセプトについて、さっと動画にしたいと思います。とても重要なことです。ちょっとスクリーンにしてシェアしますね。
これがその共有画面ですが。
Wow! さあ、これでOKですね。
私がスタンフォードのブロックチェーンカンファレンスに行っていたとき、そこではブロックチェーンの科学に触れていて、コーネルのICL(Cornell University Department of International and Comparative Labor、コーネル大学国際労働比較部?)のサム・ワーナー氏のチームから素敵なプレゼンテーションがありました。それが、分散型金融について書かれた SoKの論文 だったのです。
( お詫び: 動画内でご紹介したSoKの論文 は違う論文でした。申し訳ございません。)
その論文ではDeFiの基礎的な定義やあらゆる種類のDeFiの基本要素、つまり、スマートコントラクトやKeepersやオラクルやガバナンス、さまざまなDeFiプロトコルやオンチェーンアセット取引所、レンディング、ステーブルコイン、ポートフォリオマネジメント、デリバティブなどについて触れられています。
そこで、有用なDeFiのためのもっと良い用語はないものか、少し考えてみたいと思います。
そこで、ホワイトボード動画をやってみようと思って…
基本的に、あるコンセプトについて語りたいので…
(音声が途切れる)
ちょっと待ってください。
動かないなぁ…
コンセントを抜いたり差し込んだりと…
ちょっと待って。もう大丈夫かな。
ちょっとズームインしてみましょう。
動かなくなってしまった。
これじゃ、心配だなあ…、ちょっと待って。
どうやら、スクリーンでシェアするのはやめて、ホワイトボードに戻った方がよさそうですね。
たまにはこんなこともありますね。
いいでしょう。いずれにしても、DeFiについて少し語る動画にしたいと思います。
これをRealFiと呼ばれる新しいコンセプトに言い換えていくのです。
なので、背景をフォーマットして、インクの図形を使って、グラフにして…
ダメだ。
設定をやり直さないと。
では、口頭で説明しましょう。
それでは、DeFiとRealFiの違いは何でしょうか。
RealFiというのは、DeFiの上位セット(superset,ある集合の全要素にさらに要素を追加したもの。反意語はサブセット)で、さっき、お見せしたSoKの論文を見てみると、これはコメント欄に入れておきますが、基本的に、これにはいくつかのカテゴリーがあって、さまざまなユースケースがあって、などと言われますが、DeFiからは何かが欠けているんです。実際には、カテゴリーは5つあって、メタカテゴリーでは4つということになっていますが、(実際は)アイデンティティ、メタデータ、ガバナンス、標準、そして証明というカテゴリーになります。これを全部、まとめてみると、そのうえに成立する規制構造の概念というものが出てきます。
なので、RealFiは簡潔に言えば、DeFiにアイデンティティというカテゴリーを足したもので、それぞれについてお話したいので、ホワイトボード動画にしたかったんです。
しかし、アイデンティティといっても、基本的に、dAppsそのものにあるのは媒体で、ブロックチェーン上で実行するアプリケーションにあるのは、識別子という概念です。なので、インターフェイスに向かっている人々にあるのが、アイデンティティの概念ということになります。
それは必ずしも実生活上のアイデンティティではないですが、この人が唯一無二の個人であり、他の人とは区別できるし、違う人なのだと言えるだけのアイデンティティではあるということです。
アイデンティティは、ネットワークの全員がそのアイデンティティを知っているというような普遍的なコンセプトである必要はありません。その辺の人には完全に匿名にすることが可能でも、それぞれの個人が知っている特定の人に対しては匿名にしなくてもよいということです。
メタデータが言っているのは、その人の性質とか、どの口座に資金があるとか、その人の背景事情とか、スマートコントラクトやDEXに流れていくトランザクションなどについて、少しだけ教えましょうというもので、私たちもそのことについて少しだけ知ることになります。
ガバナンスとは、基本的に、既存のDeFiをどのようにアップグレードし、更新し、変更するのかということです。
DEXやステーブルコインやオラクルがあって、たとえば、Djedのバージョンを1.1、1.2、1.3へとアップグレードしたり、そのような変更を加えたりするにはどうすればいいか。誰が意思決定するのか、また、そのようなことを決めるプロセスはどうすればいいか。そして、私たちは標準や証明について話し合い、合意に至るのです。
業界で容認されているDeFi分野の特定の業務についてどのように実施するか、ブリッジやマーケットメーキングやアセットの発行のための標準、生成されたデータの表示基準とそのデータの保存方法などに関する抽象的な概念もあります。
そして、基本的にその上に成立するのが、規制構造というものです。
その範囲は、アセットが稼働し、その行為者によって実施される商業に関連のある管轄区に及びます。
なので、規制はDeFiにも来ると言う人が多いですが、そのとおりです。
規制当局が抱える問題とは、それをどのように自動化し、分散化を維持するかということです。
DeFiがRealFiになるというのは、4つの特性が、アイデンティティ、メタデータ、ガバナンス、標準、証明(と5つ)になるということです。
しかもそこに、分散型規制、d-regというこの概念もあって、そこに導入することができるreg techというテクノロジー(規制技術?)がある程度あれば、基礎となるプロトコルを変えずに済みます。
つまり、ビットコインそのものやイーサリアムそのものを変える必要はないということです。
しかし、そこに上書きされるのが規制制度で、基本的に規制の機能が入れば、トランザクションの取り消しや凍結、関与する行為者の特定、KYCの完了やマネーロンダリング防止対策などが関わってくるようになります。
そのため、これを解決できる人が、DeFi空間全体を管理するようになると思います。
RealFiは、DeFiの次の世代で、ある時点でこれについてシリーズ化するつもりですが、今は、ホワイトボードがダウンしていて、ごめんなさい。いったい、どうしたのかよくわかりませんが、基本的に、DeFiを皆のために機能させるものの核となっているのがこれ(RealFi)なのです。
さて、RealFiの最後の部分になりますが、RealFiのメタパート、これがユーザーベースです。DeFi革命について常に私を悩ませてきたことのひとつがこれでした。それは、悪質なイールドファーマーが束になって来る可能性があることです。彼らは群れを成して経済圏を囲い、常にもっと大馬鹿者はいないかと探し回り、実際にはローンもトランザクションもするつもりはなく、誰かの費用でDeFiを使って金儲けをしたがっているだけの連中です。
誰かの損失によって勝利するサブゼロゲームのようなものです。
RealFiについて、なぜRealなのかというと、アイデンティティもメタデータもガバナンスも標準もあって、そこにこの規制も詰め込んでいるということ以上に、これを自身の主な金融スタックとして使う人がいるからです。
その人たちには銀行口座もクレジットカードもありません。これは主要な懸念事項ではなく、二次的な懸念事項で、その人たちは、ブロックチェーンベース、暗号通貨ベースの金融スタックを使いたがっています。これがRealFiだというのです。
そこの人は言います。(こんな状況で)誰が上手くやっていけるというのでしょう。考えてみてください。ナイロビの小規模な事業者が、たった今、Old Trafford Marketplaceのインターフェイスに出くわして、融資して欲しい、自分のストアに新しい在庫が欲しい、ちょっと資金が欲しいと思うたび、5%、10%、15%、20%の手数料がかかります。場合によっては、そこにアクセスするも、何だかんだと理由をつけて、望みどおりにしてもらえないこともあるといいます。
そこで、資産を全部デジタル資産に移行して、それを安心安全に、安定的に、流動的に、グローバルに保ち、なおかつ手数料を格安にする方法が見いだせたらどうでしょう。
地元の地域社会から手数料が35%もかかる融資を受けるのではなく、世界から融資を受け、皆が1ペニーを払えば、塵も積もって50セントになります。
これなら使いたいと思うでしょう。自分のアイデンティティを自己主権的に完全管理し、自分の信用も自分の資産の保管なども完全管理できるのですから。その核になっているのがRealFiで、私がこの業界に関心を寄せる要素になっています。私たちは開発途上地域の金融オペレーティングシステムになり、私たちが向かう先はそこだと言えます。それが本当に重要なポイントです。
アイデンティティ、メタデータ、ガバナンス、標準、証明、どれひとつとして、一政府、一個人、一企業によって支配されていないことがわかるからです。
多くの場合、そこで生成されたアセットはあなたが、ユーザーが所有するのであって、企業や、多国籍組織や、標準化団体などではないのです。
わかりますか?要するに、それがDeFiとRealFiの違いです。
RealFiはDeFiの上位セットです。追加された機能があって、ユーザーにこれなら使いたいと思わせる点で、ユーザーベースのとても特別な理念があります。ユーザーが自身の主要な金融スタックとして使うに十分な機能があるのです。
そうは言っても、チャールズ、クリプトはボラが大きいですよと言うでしょう。そのとおりです。だから、私たちはそのボラティリティを抑える方法を見出すため、アルゴリズム型ステーブルコインなどを構築しました。
でも、チャールズ、為替や流動性の問題もありますよ、とあなたは言うでしょう。そのとおりです。だから、入口車線と出口車線のようなものを構築するのです。為替手数料などもかかりますしね。
でも、チャールズ、DeFiアプリは必要性を正確に満たしてはいませんよ、と言う人もいるでしょう。まったくそのとおりです。
これは新しい経済なので、欠点や余分なものや粗削りな部分もいくらかはあって、ちょっと対処が難しい部分でもあります。
しかし、この違いは、これが一個人や一企業に関する個別のイノベーションではなく、業界単位のイノベーションです。私がスタンフォードブロックチェーンウィークで見たものを私が採用し、私たちがカルダノで思いついたことが他の人に採用されるようになっているのです。
要するにその道を突き進む何百億ドルものイノベーションがあなた方にはあるということです。
そのイノベーションを全部、まとめてオープンソースにしています。
なので、ほんの数年も経てば、DEXはもっと効率よく速くなり、セキュリティや保証内容も、巷のどの中央集権型取引所よりも格段に良くなっているでしょう。
わずか数年後には、知識、情報、データ、そしてその正確度についても、中央集権的企業から得られるよりもはるかに優れた表現方法を手にすることでしょう。
数年後には、多くのステーブルコインが生まれて、その道を突き進み、安定性やとても面白くなりそうなコミュニティのバスケット(いろいろな種類の通貨?)を生み出すにあたり、アルゴリズム的に価値をロックできるさまざまな方法をますますたくさん手に入れているでしょう。
そして、このようなものにかかるコストもダウンしていきます。なぜなら、一度、イノベーションコストを払ってしまえば、皆にとって公的利益になるからです。
このようなものが皆のためにプロトコルで実行されています。
この分野の業界について私をワクワクさせているのは、特に我が社としても2023年はかなり力を入れるつもりのRealFiであり、そのために業界定義を創出したいですし、私たちが現状のDeFiを越えてRealFi時代に移行できたらと思っています。
今日は、タブレットのことで謝ったことも含め、楽しんでくださっていれば嬉しいです。タブレットは直して、これからはホワイトボード動画で全部、書き出していきたいと思います。
では、また。
【参考資料】 SoK: Blockchain Governance
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