それは、こんな昔話から来ているといわれています。
昔々、遠い異国の、小さな村に、
アンディという青年がおりました。
彼の母親は重い病を患っており、
それが故彼は非常に真面目な働き者の青年でした。
そんな事情を感じさせないくらい、
彼はいつも明るく、優しい青年でした。
もちろん、村人たちは皆彼を好いていました。
困ったことがあれば彼を助け、
また彼も困った村人を助けて暮らしていました。
しかし、世の中は非情です。
彼の母親は、病が治らぬまま亡くなってしまいました。
さすがのアンディも悲しみにうちひしがれました。
そんな悲しみのせいか、
いつしかアンディは夢と現実の境目が
分からなくなっていたのです。
嵐の夢を見れば
村人たちに嵐が来ると言いふらし、
狼の夢を見れば
村人たちに狼が来ると言いふらす。
子供たちはそんな彼を
「嘘つきアンディ」と呼んで
バカにするようになりました。
村人たちは彼を不憫に思い、
何か彼を助ける手はないか考えました。
村人の一人が言いました。
「みんなで嘘をついて、嘘つきを当たり前にしよう」
さっそく村人たちは嘘をつくようになりました。
誰も傷付かない、小さな嘘です。
村の大人たちがみんな嘘をつくので、
子供たちはアンディをバカにすることはなくなりました。
やがて時がたち、アンディの心の傷も癒え、
もとに戻りました。
村人たちはそんな彼を見て、
子供たちに事情を打ち明け、
嘘をつくのをやめました。
しかし、アンディからある提案がありました。
自分のために嘘をつき続けてくれた村人たちへの感謝を忘れないため、
母親の命日には村ではみんな嘘をつこうと言うものです。
そうして、この村には嘘をついてよい日があるという、
変わった習慣ができたのです。
そう、その日がエイプリルフールなんてことはありません。
もちろん、アンディなんて青年もいません。
そもそも、この話はすべて作り話なんです。
エイプリルフールですからね。
以上、エイプリルフールな話でした。
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