近代日本文学史メジャーのマイナー

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analog純文

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2009.06.19
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カテゴリ: 大正期・私小説

『無限抱擁』瀧井孝作(新潮文庫)

 この本の読書は結構辛かったです。
 うーん、そもそも何でこんな本を選んだのかと、ちょっと説明いたしますね。

 さて今回だけに限らず、取り上げる小説作品選択の基本ポリシーは、ブログタイトル通りの「近代日本文学史メジャーのマイナー」(これもわかったようでわからないですねー。おいおい考えていきたいと思いますー。)というのに加え、実は「うちにあって今まで読み過ごしてきた文庫本」というのがあります。
 で、まさにそれにぴったんこで選んだのが今回のチョイスだったわけです。

 古い記憶を遡れば、たぶん昔読んだ中村光夫の日本文学史の本で褒めてあったから買ったんではなかったかと思います。

 さて、この本は、文芸雑誌に分けて発表された4つの短編の連作をまとめた物なんですね。だから4つの章があります。
 でこれが、実は読んでいてちっともおもんないんだな、これが。

 そこで章が一つ終わるたびにちょいと別の本に「浮気」します。
 一章読んでは面白くないので一冊浮気、また一章読んでは面白くないので一冊浮気ということで、この本一冊を読み上げる間に、3冊の別の本を読みました。まとめますとこんな順番になります。

  『無限抱擁』第一章「信一の恋」→『砂のように眠る』関川夏央(新潮文庫)→
  『無限抱擁』第二章「竹内信一」→『ブルックナー』土田英三郎(新潮文庫)→
  『無限抱擁』第三章「無限抱擁」→『カツラーの秘密』小林信也(新潮文庫)→
  『無限抱擁』第四章「沼辺通信」

 まー、こんな読みかたをしていたら、面白い本でも面白くなくなる、というよりそもそも面白い本ならこんな読み方はしないわけです。
 でも、かといって、この本に対して私がとてもひどい評価を下すかと言えば、それは全然そんなことないわけです。

 それは読みながら自分でも分かっていたのですが、要するに、

 「これはこれで確かに一つの世界を描こうとしているんだろうけれど、今の僕とはほとんど関わるところを持たないな」

ということなんですね。
 ひょっとしたら、学生時代に読んでいたら、もっと愉しく読めたかも知れないなと思いました。

 いかにも昔の「純文学」という感じですね。
 「文学の本道→私小説→作り話は書かない」という感じですかね。しかし、時代的な役割はすでに終了している気がしました。
 うーん、時間とは怖いものですよねー。
 じゃ今回はそゆわけで。
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Last updated  2009.06.19 06:59:55
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七詩 @ Re:父親という苦悩(06/04) 親子二代の小説家父子というのは思いつき…
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