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亡くなった夫はどんなメガネも似合った。レイバンのティアドロップのようなイカツイデザインも、秀才定番の銀縁シャープなデザインも、不思議なほど顔に合っていた。鼻筋が通っていたことと、幅の狭い顔のせいだとは思うが、メガネが似合う顔の分析は余りわからない。それは、私が全くメガネが似合わなかったからだ。※若い頃のキアヌリーブス。夫はこんな感じの顔立ちだった(「人によく「似てる」と言われた」と言っていた)。どんなメガネをかけても夫に笑われた。「そんなスタンダードなメガネも似合わんのか。変わったヤツやな」そう。誰でも似合うような、当たり前のデザインさえ、私がかけると違和感を伴う。「顔は小さいし、目と眉の間も普通、特にメガネが似合わん理由がないんやけどなぁ」と、分析とは言えない程度の分析をしてくれていたが、どんなメガネも似合わなかった。似合うわけではないが、アラレちゃんのような大きなメガネはかろうじてかけられたので、伊達メガネとして持っていたが、サングラスなどは買おうとすら思わなかった。子どもの頃から視力がよかったので、メガネが原因でいじめられずに済んだが、もし目が悪かったらと思うとゾッとする。不思議なのだが、夫はどんな帽子も似合わなかった。顎がシャープなので、ツバの大きな帽子は似合わないと理解できるが、キャップも、ニット帽も、ハットも、全く似合わなかった。物理的な理由ではなく、顔の特性と合わない感じ。かろうじて、ツバがほどほどで、高さが余りないテンガロンは何とか合うかな、という程度。ただ、テンガロンハットとファッションが合わない。夫の好むファッションとテンガロンは180°違うのだ。というわけで、夫は私が知っている限り、帽子を着けて出かけたことはなかった。対して、私はどんな帽子も似合う。一般的に販売されていないような、お高い帽子は合わせたことがないのでわからないが、スーパーやブティック、百貨店程度で販売されている「帽子」と名のつくものは、大抵似合う。それも夫に不思議がられた。「何かぶっても似合うなぁ。理由がわからん」買う気がないのに、売り場にあったベレー帽を着けてみようとしたら、「ええ年して、そんなん似合わんやろ」と言われた。鏡の前に立ち、かぶってみたら、後ろから見知らぬご婦人が鏡越しに私を見ている。驚いて振り返ると、「いやぁ、よう似合いはりますねぇ」と。「あ、ありがとうございます」面食らったが、怒る話ではない。夫も、「似合うなぁ。不思議なヤツや」顔の大きさや形、鼻の高さといった物理的な理由だけで似合う、似合わないが決まるわけではないことは理解できる。しかし、これほどメガネが似合わず、帽子が似合う理由は分析できずにいる。ところが、5年くらい前から老眼鏡をかけずには新聞も読めなくなった。メガネに関する知識がないので、とりあえず100円の老眼鏡を買ってきた。「似合うやんか。何や、安もんは似合うんか」と夫に嫌味なのか、本心なのかわからない言葉をいただいた。そう。ダイソーやセリアで購入した老眼鏡は、どんなデザインでも似合う。どういうこと?顔幅に合わず、下を向いたら落ちるくらいのサイズだが、なぜか似合っている。何が違うのか、わかる人は教えて欲しい。似合う、似合わないに関わらず、かけないと仕方ない老眼鏡、「諦め」の気持ちがあるから顔に合ってしまうのか。それとも、年を取ると誰でも老眼鏡が似合う雰囲気になるのか。わからない。。
2024.04.11
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