音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年08月01日
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テーマ: Jazz(1967)
カテゴリ: ジャズ
気持ちよく吹きまくるリー・モーガンに注目


 リー・モーガンと言えば、15歳でプロとしての活動を始め、18歳でリーダー作を吹き込んだ天才トランペッター。しかも33歳にして愛人に撃たれて死亡という、短い人生を疾走した人物だ。「疾走」というのには、もう一つ理由があって、ハード・バッパーとしての華々しい初期(1956年に初リーダー作)から、いち早く8ビートをジャズに取り込んだ(ジャズ・ロックなどと呼ばれる)「ザ・サイドワインダー」の大ヒットによる商業的成功(1963年)、そこから10年足らずで撃たれる(1972年)という変化に富んだアーティスト人生は、疾走感がある。

 さて、本作は1965年のもの。つまり、『ザ・サイドワインダー』(1963年)で商業的な成功を収めた少し後に当たる。ジャズ界としては異例のヒットを飛ばした後でどうするのか? ヒット路線を突っ走っていくのか、はたまたジャズの求道者に戻ろうとするのか。「お勉強」的に考えると、そうなのだが、果たしてモーガンはそこまで深く考えていたのだろうか。

 実は1965年というのは、天才モーガンにとって何度目かの「当たり年」だった。1957年には『キャンディ』をはじめとするリーダー作を連発し、その次は『リー・ウェイ』などの1960年。そしてこの1963年である。この年には、4月に『ランプローラー』、6月に本作『ザ・ジゴロ』、さらに9月には『コーンブレッド』とリーダー作連発の年だった。

 天才には、素晴らしい作品を何の苦もなく作れてしまう時というのがきっとあるのだと思う。本作を聴くと、もしかして、天才のインスピレーションが湧き上がり、そのインスピレーションのままにひたすら気持ちよく吹きたかっただけなののではないだろうか、とすら思える。これをもってマンネリと言うこともできるかもしれないけど、この吹っ切れた感じ、わが道を行く感覚がこのアルバムのよさなのだと思う。

 もう一つ、このアルバムをよくしているのは、ウェイン・ショーターとの二管という組み合わせだろう。モーガンの王道を突っ走るトランペットに、うまく(それも単に「上手」ではなく自然な感じに)歩調を合わせるショーターのテナー(それゆえ、ショーター色は強くない)。モーガンのペースにうまくショーターが組み合わさった、と言う表現が適当かもしれない。そして、この組み合わせが本盤を聴いて気持ちいい疾走感を高める一役を担っている。

 そんなわけで、8ビートやジャズ・ロックだの、モーガンのマンネリ期だのという難しいことは考えず、ただひたすら気持ちよく吹き進むモーガンを無心に聴くのが、本盤を楽しむコツのように感じる。


[収録曲]
1. Yes I Can, No You Can't 
2. Trapped 
3. Speedball
4. The Gigolo 
5. 同(別テイク)
6. You Go To My Head

Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Harold Maben Jr. (p), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)
録音:1965. 6. 25
レーベル:ブルーノート



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Last updated  2020年01月26日 04時41分18秒
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