全12件 (12件中 1-12件目)
1
映画はともかくアルバムは大ヒット 1980年、人気絶頂のオリビア・ニュートン=ジョン(Olivia Newton-John)主演の映画が封切られた。このミュージカル・ファンタジー映画『ザナドゥ』は、興行的に成功せず、高い評価を受けるということもなかった。けれども、その一方で、この映画のサウンドトラックとして制作された盤は大きなヒットを記録し、イギリスのチャートで2位、アメリカでは4位となった。 このサントラ盤『ザナドゥ(Xanadu)』は、E.L.O.(エレクトリック・ライト・オーケストラ,Electric Light Orchestra)とオリビアの共同名義だった。とはいえ、内容をよく見ると、アルバムの半分がオリビアの作品、残り半分がE.L.O.の作品と言えるようなものとなっている。曲順(LPではどちらがA面、B面か)もまちまちで、オリビア・サイドが先に来ているものもあれば、E.L.O.サイドが先に来ているものもあるようだ(筆者の手持ちのCDは、E.L.O.が先なので、下記ではその曲順を記している)。 E.L.O.サイドは、まさしくE.L.O.節が全開である。注目は5.「ザナドゥ」で、オリビアとE.L.O.が共演していて、シングル曲として全英のほかいくつもの国で1位のヒットとなった(全米では8位)。他方、オリビア・サイドは、プロデュースを担当したジョン・ファーラーの楽曲が大部分を占め、オリビアが他のアーティストと共演する楽曲が3曲含まれている。7.「恋の予感(サドンリー)」は、クリフ・リチャードとのデュエット。8.「ダンシン」はザ・チューブスとの共演で、10.「気の合うふたり(ホエネヴァー・ユア・アウェイ・フロム・ミー)」はジーン・ケリーとのデュエット曲。また、6.「マジック」はシングルとして大ヒットし、英米共で1位を獲得している。[収録曲]1. I'm Alive (E.L.O.)2. The Fall (E.L.O.)3. Don't Walk Away (E.L.O.)4. All Over the World (E.L.O.)5. Xanadu (Olivia Newton-John & E.L.O.) 6. Magic (Olivia Newton-John)7. Suddenly (Olivia Newton-John with Cliff Richard)8. Dancin' (Olivia Newton-John with the Tubes)9. Suspended in Time (Olivia Newton-John)10. Whenever You're Away from Me (Olivia Newton-John with Gene Kelly)1980年リリース。 ザナドゥ [ エレクトリック・ライト・オーケストラ&オリヴィア・ニュートン=ジョン ] ザナドゥ【Blu-ray】 [ オリヴィア・ニュートン=ジョン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年01月31日
コメント(0)
“代役ギタリスト”が際立つ1980年代最後の盤 デイヴィッド・カヴァデール率いるホワイトスネイク(Whitesnake)は、1970年代後半に登場し、1980年代いっぱいまで大きな人気を集めた。このいわば最盛期にあたる時期の最後にリリースされたのが、1989年の『スリップ・オブ・ザ・タング(Slip of the Tongue)』である。 このアルバムには、ハプニングによって生じたある特色がある。ギタリストで曲の共作者でもあったエイドリアン・ヴァンデンバーグが、腱鞘炎によって演奏できなくなってしまった。そこで急遽メンバーとして加わったスティーヴ・ヴァイが全面的にギター演奏を引き受けた。結果、曲のクレジットにヴァンデンバーグは登場するものの、演奏には参加していないというイレギュラーなアルバムになった。代役のスティーヴ・ヴァイはアルカトラス(イングヴェイ・マルムスティーンの後任)やデイヴィッド・リー・ロスのバンドで既に活躍した経歴があり、本作の後にはソロでのキャリアを完成させていく。 冒頭の表題曲である1.「スリップ・オブ・ザ・タング」からテンションはマックスの演奏。3.「フール・フォー・ユア・ラヴィング」は、1980年のアルバム(邦題『フール・フォー・ユア・ラヴィング』、原題は『レディ・アン・ウィリング』)に収められていた曲の再演。1980年のものもシングル化されたが、本作のセルフカバーとなったヴァージョンもシングル発売された(1980年ヴァージョンは英で13位、米で53位、1989年のこのヴァージョンは英で43位、米で37位となった)。 他に触れておきたいナンバーとしては、6.「ウィングズ・オブ・ザ・ストーム」。本作全般に言えることだけれども、臨時加入のギタリスト、スティーヴ・ヴァイの色彩が強い。そんな中、この曲のヴァイのギターは、単に彼らしい演奏が披露されているのみならず、爽快なプレイである。あと、10.「セイリング・シップス」はカヴァデールのヴォーカルの魅力が存分に発揮された好曲で、曲後半ではヴァイらしさも発揮されていて、聴き逃がせない1曲になっていると思う。[収録曲]1. Slip of the Tongue2. Cheap an' Nasty3. Fool for Your Loving 4. Now You're Gone 5. Kittens Got Claws6. Wings of the Storm 7. The Deeper the Love8. Judgment Day9. Slow Poke Music 10. Sailing Ships 1989年リリース。 SLIP OF THE TONGUE (2019 REMASTER)【輸入盤】/WHITESNAKE[CD]【返品種別A】 スリップ・オブ・ザ・タング<30周年記念リマスター> [ ホワイトスネイク ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年01月28日
コメント(0)
INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。今年に入ってからの最近記事へのリンクを追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ → つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-I)へ → つづき(J-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”お願いします! ↓ ↓
2024年01月25日
コメント(0)
スラッシュ・メタルの夜明け メタリカ(Metallica)は、1980年代初頭にアメリカ西海岸で形成され、スラッシュ・メタルを牽引して大きな成功を収めたバンドである。そんな彼らのデビュー盤となったのが、1982年発表の本作『キル・エム・オール(Kill 'Em All)』である(発売当時の邦題は、ジャケットのイラストのイメージに即した『血染めの鉄槌』だったが、後にカタカナ表記の『キル・エム・オール』に変更されている)。 本ファースト作がリリースされた当時のメンバーは、ジェイムズ・ヘットフィールド(ボーカル、ギター)、カーク・ハメット(ギター)、クリフ・バートン(ベース)、ラーズ・ウルリッヒ(ドラムス)の4人。ただし、本盤は既にデモ録音などをしていた曲の採録が中心になったという性質上、それ以前にメンバー(ギター)だったデイヴ・ムステイン(メタリカをクビになった後、メガデスを主宰)のペンによる楽曲も収められている。 アルバム全般を見ると、どの楽曲もこのバンドらしさの特徴である重さとスピード感に富んでいるという印象。その中でも、いくつか気になる曲に触れておきたい。2.「電撃の騎士(ザ・フォー・ホースメン)」は。ムステインが関わった楽曲。元は「メカニックス」というタイトルで、彼が結成したメガデスのファースト作には、原曲により近いヴァージョンが録音された。インストゥルメンタル曲の5.「(アネージア)プリング・ティース」は、本盤の収録曲中で唯一、クリフ・バートンによる楽曲で、彼のベース・ソロによる実験的な演奏が目を引く。 本盤所収の曲でシングル発売されたのは2曲あった。ファースト・シングルは6.「鞭(ウィップラッシュ)」、セカンド・シングルは4.「炎のジャンプ(ジャンプ・イン・ザ・ファイアー)」だったが、いずれもヒットには至らなかった。これらに加え、筆者が感じているメタリカらしさがよく表れた曲としては、7.「ファントム・ロード」や8.「懺悔無用(ノー・リモース)」あたりが好曲と言えるように思う。さらに、スラッシュ・メタル・バンドの本領発揮と言えそうなのは、10.「メタル軍団(メタル・ミリティア)」。初作ということで粗削りな感じがする部分もあるのだけれど、アルバム作品としての完成度は高いのではないかと思ったりする。[収録曲]1. Hit the Lights2. The Four Horsemen3. Motorbreath4. Jump in the Fire5. (Anesthesia)Pulling Teeth6. Whiplash7. Phantom Lord8. No Remorse9. Seek & Destroy10. Metal Militia1983年リリース。 キル・エム・オール(リマスター) [ メタリカ ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年01月23日
コメント(0)
ギター・ヒーローのカッコよさ満載の推奨盤 ゲイリー・ムーア(Gary Moore)は、1952年北アイルランドはベルファスト出身のロック・ギタリストで、2011年に心臓発作により58歳で没している。1960年代末のスキッド・ロウ加入をはじめ、1970年代にはシン・リジィでの活動、1990年代にはブルースへの回帰と、ギタリストとして多様に活動した。 本盤『ワイルド・フロンティア(Wild Frontier)』は、いわゆる“ギター・ヒーロー期”のもので、1987年にLPとCDの両方でリリースされた。本人によれば、“アイルランドの伝統音楽へのオマージュ”とのことであるが、1980年代当時のきらびやかなサウンド作りの時勢もあってか、現在からするとケルト音楽の影響的なものが決して前面に出ている感じではない。また、ドラムマシンの使用が本作のマイナス要素とされることもあるが、筆者的にはとにかく文句なしにカッコいいギター・ヒーロー盤というのがずっと変わらぬ印象である。 お薦めの曲を中心に何曲かに触れておきたい。1.「望郷の果て(オーヴァー・ザ・ヒルズ・アンド・ファー・アウェイ)」は、このアルバムの雰囲気を代表する1曲。先行シングルとして英チャートで20位となったほか、北欧で大ヒットし、特にノルウェーのシングルチャートでは7週連続1位になったとのこと。表題曲の2.「ワイルド・フロンティア」(12インチ・ヴァージョンも5.として収録)は、とにかく疾走感を含む曲調とギターのカッコよさが見事に組み合わされたナンバー。 インスト曲の4.「ザ・ローナー」は、本盤の大きな聴きどころの一つ。コージー・パウエルのアルバムに収録された曲のカバーだが、ムーアの自在なギター・プレイが堪能できる。後半(LPのB面)は出来がやや小粒な感じのナンバーもあるが、注目したいのは、伝統音楽を意識した9.「ジョニー・ボーイ」。さらに、少々余談ながら、CDのみに収録された11.「クライング・イン・ザ・シャドウズ」は、ムーアが本田美奈子に提供した「the Cross -愛の十字架-」のセルフ・カバーだったりする。[収録曲]1. Over the Hills and Far Away2. Wild Frontier3. Take a Little Time4. The Loner5. Wild Frontier -12" version-6. Friday on My Mind7. Strangers in the Darkness8. Thunder Rising9. Johnny Boy10. Over the Hills and Far Away -12" version-11. Crying in the Shadows*5.,10.,11.はCDでの追加トラック。1987年リリース。 ワイルド・フロンティア [ ゲイリー・ムーア ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年01月20日
コメント(1)
グラハム・ボネットとイングヴェイ・マルムスティーン アルカトラス(Alcatrazz)は、レインボーでも活躍し、その後、マイケル・シェンカー・グループを短期間で去ることになったグラハム・ボネット(Graham Bonnet)が1983年に結成したバンドである。このバンドのデビュー盤となったのが、このアルバムである。邦盤では『アルカトラス』とのみ表記されているものの、セルフタイトル盤ではなく、原題は『ノー・パロール・フロム・ロックン・ロール(No Parole from Rock’n’Roll)』という。後にロック・ギター界の“王者”として有名になるイングヴェイ・マルムスティーンがメンバーとして参加した唯一のアルカトラスの作品でもあることでもよく知られる盤である。 グラハム・ボネットが自身のバンドのギタリストを探す中で出会ったのが、若きイングヴェイ・マルムスティーンだった。まだ20歳そこそこのスウェーデン出身者がロサンゼルスへと渡り、グラハム・ボネットが形成しようとしていたバンドに参加することになったというのは、奇跡的な確率での出会いと言えたように思う。結果的にイングヴェイは1年ほどしか在籍せず、スティーヴ・ヴァイが後任ギタリストとなったものの、本盤が運よく生まれたのは、ロック界の財産だと思う。 収録曲のうち、有名曲でもあり、際立っているのは、4.「ヒロシマ・モナムール」。曲作りにおいても、演奏面においても、本盤でのイングヴェイの存在感は大きく、特にこのナンバーは曲そのものもよければ、グラハム・ボネットのヴォーカルもイングヴェイのギターも抜きんでている。さらに、筆者の気に入っている他の曲もいくつか挙げておきたい。1.「アイランド・イン・ザ・サン」は、グラハム・ボネットらしいヴォーカルのよさが出ていて、爽快なロック・ナンバー。その一方で2.「ジェネラル・ホスピタル」で展開されるハードな曲調も難なくこなしてしまうのが、彼のヴォーカルの魅力だと思う。その一方、イングヴェイ・マルムスティーンがらみでは、5.「クリー・ナクリー」が、この後に彼が展開させていく世界が既に示されたようなナンバー。 そんな両者のいいところがうまく合わさっている曲としては、7.「トゥー・ヤング・トゥ・ダイ、トゥー・ドランク・トゥ・リヴ」なんかがうまくいった例ではないかと思ったりする。最後にもう1曲、9.「スターカー・レーン」のロック・チューンとしてのカッコよさも外せない。[収録曲]1. Island in the Sun2. General Hospital3. Jet to Jet4. Hiroshima Mon Amour5. Kree Nakoorie6. Incubus7. Too Young to Die, Too Drunk to Live8. Big Foot9. Starcarr Lane10. Suffer Me1983年リリース。 【輸入盤】 Alcatrazz アルカトラス / No Parole From Rock N Roll (Expanded) 【CD】 【中古】 アルカトラス/アルカトラス 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年01月16日
コメント(0)
レスポールを使用した異色作 テレキャスターの名手として知られるロイ・ブキャナン(Roy Buchanan)が、あろうことかレスポールを演奏してしまったというのが、1978年発表の『レスポールとの遭遇(You’re Not Alone)』というアルバムである。この邦題、もう少し何とかならなかったものだろうかとも思うが、原題は『ユーア・ノット・アローン』である。ロイ・ブキャナンのアルバムの中では、特に評価が低く、商業的にも失敗作だったとされるアルバムである。 ジャケットは宇宙服の顔(窓にあたる部分)に、地球外惑星の大地に屹立するレスポールが写っているという、なんともビミョーなデザイン。このジャケット・イメージは演奏内容ともリンクしていて、シンセを取り混ぜながらスぺーシーな雰囲気のギター・プレイが披露されている。もちろん、そのギターの音そのものは、いつものテレキャスとは大きく異なる、レスポール特有の太い音である。 いちばんの聴きどころは、3.「フライ…ナイト・バード」。彼特有の“泣きのギター”の演奏が、レスポール・サウンドで聴けるというもの。他のナンバーとしては、2.「ターン・トゥ・ストーン」がいい。ジョー・ウォルシュのソロ・プロジェクト(過去記事)作に収録のナンバーであるが、ロイのファンなら同時にテレキャスでこの演奏を聴きたい、と思うような内容でもある。もう一つ、5.「ダウン・バイ・ザ・リヴァー」も挙げておきたい。ニール・ヤングの曲で、本盤では例外的にヴォーカリスト(ゲイリー・セント・クレア)を入れてのナンバーとなっているが、この曲のロイのギターが個人的にはなかなか気に入っている。 といったわけで、内容は悪くなく、決して低く評価されるようなものではないと思うのだけれど、トレードマークの愛用の楽器を持ち替えてやる内容だったかというと、やはり疑問符がつく。どうせなら、2枚組にしてテレキャス・ヴァージョンとレスポール・ヴァージョンが収録なんて企画だと楽しめたのかもしれないと思ってみたりするのだけれど。[収録曲]1. The Opening...Miles from Earth2. Turn to Stone3. Fly... Night Bird4. 1841 Shuffle5. Down by the River6. Supernova7. You're Not Alone1978年リリース。 【輸入盤CD】Roy Buchanan / Loading Zone/You're Not Alone 【K2017/2/24発売】 (ロイ・ブキャナン) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年01月13日
コメント(0)
日本武道館の名を冠した2枚組ライヴ盤(後編)(前編からの続き) さて、2枚組の本盤の2枚目(LPではC面に6曲、D面に5曲)を見ていきたい。最初のII-1.「風に吹かれて」は、前回記事にも書いたように、元の弾き語り的な演奏とは異なり、バンド演奏向けのアレンジ。これもまた1枚目のところに書いたように、淡々と曲を披露していくスタイルは個人的には好感を持っていて、II-2.「女の如く」やII-5.「見張塔からずっと」が収められているのも筆者としては有難いところ。 2枚目の後半に入ると、皆が聴きたがっていたであろう曲のオンパレードという感じが一層高まっていく。筆者的には外してほしくないII-7.「オール・アイ・リアリー・ウォント」に始まり、II-8.「天国への扉」もきちんと収録されている。アルバムの最後は10.「いつまでも若く」、そして締めくくりとして11.「時代は変る」。21世紀の今聴いても、この時代(1970年代後半)に武道館でこのセットリストのライヴをじかに見たかった、と思わせてくれる。ついでながら、現在では2023年11月に発売された『コンプリート武道館』(CD4枚組、LP8枚組)が出ていて、2日分のライヴすべてを聴くこともできる。 以上のように、本盤は、何か実験的な試みや、野心的な工夫を企図したという類のものではない。バンドでの演奏用アレンジになっているとはいえ、そうした意味では、既存の曲を新たな方法で楽しむという要素は希薄と言えるのかもしれない。遠く離れた日本のファンに本物のボブ・ディランの集成を見せる(そしてその音源がライヴ・アルバム化された)というものと言ってしまえば、それまでなのかもしれない。実際、ディランは後年のインタヴューで“手を引っ張って日本に連れて行かれライヴ盤を作らされた”といったように答えている。けれども、これこそが当時のファンの聴きたいものでもあったという部分があったのだろう。 なお、本盤『武道館』は、アルバム・チャートでは、全米13位となり、一つ前のライヴ盤(『激しい雨』)の17位を上回った(全英では前作が3位で本作が4位)。デビューから15年以上のキャリアを積み重ね、堂々のレパートリーを披露するディランの姿が記録された、初めてディランに触れる人への入口にも好適な盤と言えるんじゃないかと思う。[収録曲]〔Disc 1〕1. Mr. Tambourine Man2. Shelter from the Storm3. Love Minus Zero/No Limit 4. Ballad of a Thin Man5. Don't Think Twice, It's All Right (以上、LPのA面)6. Maggie's Farm7. One More Cup of Coffee (Valley Below)8. Like a Rolling Stone9. I Shall Be Released10. Is Your Love in Vain?11. Going, Going, Gone (以上、LPのB面)〔Disc 2〕1. Blowin' in the Wind2. Just Like a Woman3. Oh, Sister4. Simple Twist of Fate5. All Along the Watchtower6. I Want You (以上、LPのC面)7. All I Really Want to Do8. Knockin' on Heaven's Door9. It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)10. Forever Young 11. The Times They Are A-Changin' (以上、LPのD面)1978年リリース。 武道館 [ ボブ・ディラン ] コンプリート武道館 (完全生産限定盤 4CD) [ ボブ・ディラン ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年01月09日
コメント(0)
日本武道館の名を冠した2枚組ライヴ盤(前編) 1978年、ボブ・ディラン(Bob Dylan)はワールド・ツアーの日本公演を行った。2月28日~3月1日の日本武道館での公演の音源をアルバム化したのが、本盤『武道館(Bob Dylan at Budokan)』である。当初(1978年8月発売)は、日本だけのリリースという企画だったが、輸入盤(日本から見ると輸出盤)の増加を受けて、翌1979年4月に欧米でも発売された。その結果、全米で13位、全英で4位を記録し、日本の代表的コンサートホールとしての“ブドーカン”(もちろん、コンサート専用の施設ではなく、武道場なのだけれど)の名を世界に広める役割も果たした。 本ライヴ盤の内容は、“ヒット曲集”あるいは“ベスト盤”と言えそうな選曲である。LP・CDともに2枚組で、全22曲という聴きごたえのある盤である。以下、その内容をざっと追ってみたい。 1枚目(LPではA面に5曲、B面に6曲)は、初期の代表曲の一つで、ザ・バーズのヒットでも知られるI-1.「ミスター・タンブリン・マン」から幕を開ける。冒頭のこの曲からもわかるように、本ライヴ盤は大きな編成のバンドで演じられ、弾き語り風のこの曲の元のヴァージョンに比べて異なったアレンジで演奏されている。 I-2.「嵐からの隠れ場所」以下、テンポよく次々と楽曲が披露されていく。I-6.「マギーズ・ファーム」から始まるLP時代のB面に入ってもそのテンポは維持され、有名曲のI-8.「ライク・ア・ローリング・ストーン」や、ザ・バンドで知られるI-9.「アイ・シャル・ビー・リリースト」もこの流れの中で登場する。これら2曲は今どきの音楽業界の感性なら勿体をつけて仰々しく見せてしまいそうな場面になりそうだが、そんなことはお構いなしにさらりとライヴ向けアレンジで披露されているのは、個人的には好感が持てる。 長くなってきたので、本盤2枚目と収録の曲目等は、項を改めてということで(後編に続く)。 武道館 [ ボブ・ディラン ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年01月08日
コメント(0)
ジェネシスを脱退し、ソロとなった第1作 本盤は、一般には『ピーター・ガブリエル1』と呼ばれ、ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)のセルフタイトルのソロ第1作である。ちなみに、彼のソロ作は第1作から第4作まですべて『ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)』が正式な表題で、わかりにくいことこの上ない(それゆえ、1枚目から順に、ジャケットデザインに因んで“カー(自動車)”、“スクラッチ(引っ掻く)”、“メルト(溶ける)”、“セキュリティ(保安)”の通称があったりする)。 1975年にジェネシスを脱退し、しばしの充電期間を挟んで、本盤は1977年にリリースされた。ガブリエル自身は、“このアルバムこそが、ピーター・ガブリエルのジェネシスとしての最後のアルバム”と語っており、確かにジェネシスっぽさが本作のあちらこちらに見られる。例えば、冒頭の1.「モリバンド・ザ・バーガーマイスター」などは、『眩惑のブロードウェイ』までのジェネシス作の中に配されていても違和感がないようにすら思う。とはいえ、それまでのジェネシスがピーター・ガブリエル的だったのか、この盤でのピーター・ガブリエルがジェネシス的なのかというのは、鶏と卵の関係なのだろう。2.「ソルスベリー・ヒル」を聴いていると、ジェネシス的な気もすれば、これこそがピーター・ガブリエルということだったのかという気も同時に起こってくる。 その一方で、ジェネシスでは成し得なかったサウンドを模索するガブリエル個人の姿というのも、本盤には見られるように思う。ゴスペル風に始まり、ロバート・フリップによるバンジョーが耳につく4.「エクスキューズ・ミー」などはその典型例と言えるだろう。勢いよくパワフルなヴォーカルが気持ちいい6.「スロウバーン」、ブルース調の7.「ウェイティング・フォー・ザ・ビッグ・ワン」、TOTOの曲かと思ってしまいそうな8.「ダウン・ザ・ドルチェ・ヴィタ」といった具合に、新たなスタイルやアレンジ、演奏の可能性を探求しているように見える。そういう意味では、ジェネシスでは表現されなかったピーター・ガブリエルの懐の深さが垣間見られる作品ということもできるのではないだろうか。[収録曲]1. Moribund the Burgermeister2. Solsbury Hill3. Modern Love4. Excuse Me5. Humdrum6. Slowburn7. Waiting for the Big One8. Down the Dolce Vita9. Here Comes the Flood1977年リリース。 【中古】 ピーター・ガブリエル I/ピーター・ガブリエル 【中古CD】1 / ピーター・ガブリエル ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年01月05日
コメント(0)
新年早々、大きな地震に航空機事故と決して明るいとは言えないニュースが続いています。新しい年を景気よく始めたいと思っていたのですが、ひとまずは応援ソングということで、中島みゆきの「ファイト!」です。 東日本大震災の直後にも一度アップした(過去記事参照)のですが、とっくにリンクも切れているので、あらためて本記事とします。 能登半島地震ではまだ救出活動も続いていて、という状況ですが、音楽ができることはと言えば、それを聴いた人に元気や勇気を与えることぐらいです。この記事が何かの役に立つかどうかはわかりませんが、取り急ぎ更新する次第です。 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年01月03日
コメント(0)
新年あけましておめでとうございます。慌ただしい師走を過ごしていたせいか、気がついたら年が明けていたような状態です。とはいえ、新たな年を迎え、気分も新たに本ブログもマイペースながら無理のない範囲で更新していきたいと思っています。戦争や災害などが相次ぐ昨今ですが、2024年が少しでも平和や平穏に向かうことを願っています。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年01月01日
コメント(0)
全12件 (12件中 1-12件目)
1