音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2009年12月29日
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テーマ: 心に残る歌詞(7)
12月の詩(うた) ~その1~


 12月と言えば、ジョン・レノンの命日。それに続き、クリスマスソングが続々と流れる…。今年の12月もあと数日となったところで、そんな一般的な12月イメージとは一味違った曲を2つばかり紹介したい。1曲目は、SION(シオン)の「12月」。1987年初頭に発表のセカンド・アルバム『春夏秋冬』に収録され、同年末の初のベスト盤(『SION '85>'87』)にもライヴ・ヴァージョンが収録されている。

 SIONは、1960年、山口生まれのシンガーソングライター。19歳で上京し、25歳を迎える月に出した自主制作盤を足がかりとして、翌1986年にメジャー・デビューを果たした苦労人である。ハスキーな声と語りかけるような歌い方が特徴で、福山雅治をはじめ芸能界にもフォロアーが多い(福山はこの曲を弾き語りでカバーしている)。現在は俳優業などもこなし、音楽についてはレーベルを替えながらも精力的に活動を続けている。

 現在のSIONは ブログ なども書いていて、猫好きで柔和な側面を見せている。けれども、デビュー当時の20才代のSIONは、メタル系かパンク系かのような衣装で、眉毛がなく、目はギラギラした凄みに満ちていた。髪が半分モヒカンなんてのもあった。とにかく、いかつくて近づきがたい風貌をしていた。

 そんなデビュー当時から、SIONのシンガーソングライターとしての"詞"に筆者は惹かれていた。今回の「12月」という曲もそうだ。年末の浮かれた街の雰囲気には不釣合いな演奏をバックに、「ふたりに疲れてはひとりに戻り/まただれか恋しくてまた繰り返す」という、クリスマス・シーズンの裏側を鋭く突いた歌い出し。かと思うと、「屋根の上の猫がそんな俺を見て/めずらしいものでも見るよな顔して笑った」というシュールな展開(今となってはSIONが猫好き・動物好きだったということで納得できるのだが)。

 何よりも強く印象に残っているのは、「12月/街はクリスマス気分」と歌った直後に、「あちこちから思い出したようにジョンの声」というくだり。ジョンとは、もちろん1980年12月8日に亡くなったジョン・レノンのことで、このシーズンになると思い出したようにジョン・レノンの曲ばかりかけるラジオ局やその他メディアをちくりと刺しているようなフレーズだ。けれど、その次の詞では個人的な感情を覗かせる。「そして俺ときたらいつもこのごろになると/なにかやり残したようなやわらかな後悔をする」。

 この時期、たいてい筆者がやり残しているのは、大掃除(笑)だったりするのだが、クリスマス気分に浮かれる人々の陰の部分を語るように歌い、1年を振り返ることの大事さをさりげなく教えてくれる――筆者にとってはそんな1曲である。



[収録アルバム]

SION 『春夏秋冬』 (1987年)
SION 『10 cd best』 (1994年)、 『俺の声』 (2001年) ←いずれもベスト盤
SION 『SION '85>'87』 (1987年) ←「12月」のライヴ・ヴァージョン(86年6月)所収


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Last updated  2009年12月30日 02時33分29秒
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