音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年04月08日
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テーマ: 洋楽(3315)
完成度の高さを誇る大人のポップス


 スティーリー・ダン(Steely Dan)は、1972年にデビューした米国のグループ。当初は6人組のバンドであったが、アルバム数枚を発表するにつれ、次第にスタジオ・レコーディングのみ(つまりライブ活動はなし)を志向していくことになっていった。これは中心メンバーのドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーの意向だったが、このことが原因でバンドは実質的に崩壊への道を歩む。最終的には、形式上、メンバーはベッカーとフェイゲンの二人だけとなり、スタジオでは様々なミュージシャンをゲストに迎えてレコーディング作品が作られていくようになる。こうした経緯のさなか、1977年に発表されたのが本盤『彩(エイジャ)』である(ちなみに、厳密にいえば、この時点ではギターのデニー・ダイアスというオリジナル・メンバーがまだ在籍していた)。

 全米チャートで3位、グラミーの最優秀録音賞を受賞し、200万枚を売り上げるヒットとなった。売上のみならず、評論筋からも絶対的な太鼓判を押され、一流ミュージシャンとしてのスティーリー・ダンの評価が本作によって確立された。さらに2003年に本作はグラミーの殿堂入りが決まっている。

 この音楽を形容するには、ポップ音楽という表現はどこか軽薄にすら響く。このアルバムをそういう範疇で括るのは相応しくないのかもしれないと思うが、他に適当な表現も思い当たらないので、さしあたりポップスと呼ぶしかない。しかし、ここにはジャズやロック、さらにはファンクなど多彩な要素が含まれている。

 このアルバム(およびその後のベッカー/フェイゲン)が凄いのは、名立たるスタジオ・ミュージシャンらをスタジオに招き、そのテイクをほんの一部しか使わなかったりということを平気で出来た点である。一方では、極端にいえばワン・フレーズだけのためでも資金をつぎ込んでレコーディングし、それらをつなぎ合わせていくという贅沢さは、儲け主義市場の現在にはなかなか実現し得ない。他方で、ライブを無視し、レコード芸術としての作品を積み上げていこうとするスティーリー・ダンの二人の意気込み。この二つが相まって至上の名作である本盤『彩(エイジャ)』はこの世に生れ出た。“ポップ音楽”というありきたりな表現が軽薄に響くと述べたのはまさしくこの二つの点においてである。

 結果、生まれてきた音の特徴は、その密度の高さにある。とにかく中身の濃い音楽なのである。“濃い”といっても、コテコテにファンキーだとか、バリバリにへヴィだとかいう形容は当てはまらない。あくまで広くポップスと呼べる範疇の中で、洗練され、中身の詰まった音楽と言えばいいだろうか。繰り返し集中して聴けば聴くほど、以前に気付かなかった工夫があることに気づく類のアルバムなのである。さらりと聞き流せること(ポップ性)とじっくり鑑賞に耐え得る(アート性)の双方がうまく両立している。この両立というのは、簡単なようでそうそう容易ではない。



[収録曲]

1. Black Cow
2. Aja
3. Deacon Blues
4. Peg
5. Home At Last
6. I Got The News
7. Josie

1977年リリース。






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Last updated  2011年05月03日 05時58分02秒
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