音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2013年10月05日
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テーマ: Jazz(1967)
カテゴリ: ジャズ




 いろんなことを考えたり、他人の感想を聞いたり、誰かが書いたりしたことを読みながら音楽を聴くのも楽しいけれど、細かいことや理屈抜きに聴いて愉しむというのが“正しい音楽の聴き方”なのだろう。こういう盤を聴くにつけ、そう思わされる。

 いきなりこんな書き出しにしてしまうと、この後に書く文章は何なのだろうかということにもなってしまうのだけれど、心底、理屈抜きに楽しんで聴ける盤の一枚がジョニー・グリフィンとマシュー・ジーの双頭名義の『ソウル・グルーヴ(Soul Groove)』というアルバム作品。

 ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)の方は『ア・ブローイング・セッション』などブルーノートからの諸作でその実力を既に世に知らしめ、“小さな巨人”としてリヴァーサイドで着実に実績を積み上げ、この作品の発表時点では確立されたミュージシャンであった。他方、マシュー・ジー(Matthew Gee)の方は、1925年生まれというから、年齢的にはグリフィン(1928年生まれ)よりも少し上だけれど、無名に近いミュージシャン。1956年に1枚のリーダー作を残しているが、どうやら他のリーダー作は1963年の本アトランティック盤のみと思われる。そのようなわけで、本盤が双頭名義になっているのも、グリフィンの名前に乗っかってマシュー・ジーの売り出しを図ったからとも考えられる。

 ともあれ、ジョニー・グリフィンのテナー・サックスに、マシュー・ジーのトロンボーンを組み合わせ、聴衆受けしそうな場面でオルガンを加えるというラインアップは思いのほか成功だった。全体を引っ張っているのは、グリフィンの迫力あるサックス演奏であり、安定したアート・テイラーのドラムである。出しゃばることなく渋く決まっているハンク・ジョーンズのピアノも全体にわたって貢献度が高い。けれども、最終的にはテナーとトロンボーンのアンサンブル、そして両者の絡み合う演奏がいちばん聴きどころになっているように思う。

 全体としてとにかくノリ(グルーヴ、どうやらジャケットのデザインはこの“ノリ”のグルーヴと、レコードの溝のグルーヴを掛け合わせたものらしい)がよく、最初に書いたように理屈抜きに“聴いた感じの楽しさ”を堪能できる。個人的に気に入っている演奏をいくつかピックアップすると、冒頭の1.「オー・ジー!」は全体のテーマ・イントロ的な短い演奏ながら、ボンゴ、コンガを取り入れたラテン風味から始まって、管楽器二人の圧倒的勢い、さらにはオルガンを取り入れた部分まで、この盤のイメージを最初から植えつけてくれる好演。これとほぼ同じ感覚は5.「ツイスト・シティ」にも表れていて、聴き逃せない演奏となっている。

 上記1.のほか2.、4.、5.、7.、8.とマシュー・ジー自身の曲が多く含まれているけれども、彼のオリジナル曲以外でもこの同じノリはちゃんと継続している。その意味で注目したいのは3.「アット・サンダウン」。ウォルター・ドナルドソンによる1920年代の古いスタンダードだけれど、トロンボーンとサックスの組み合わせ(間にハンク・ジョーンズのピアノソロもあり)で軽快かつグル―ヴィーに演奏が進んでいく。

 もちろん全編を通じて一本調子のまま終わってしまうというわけでもない。アクセントの効いている演奏の例としては、4.「スウィンガーズ・ゲット・ザ・ブルース・トゥー」が挙げられる。妙に重厚なイントロが1分間ほど続き、この後どうなるのだろうという雰囲気を出した後で、イン・テンポになるとマイナー調でありながら一気にこれまでのノリを継続させる。

 アルバム終盤にかけては、グル―ヴィーな部分はそのままながらややゆったりした曲調が耳につくようになる。最後3曲の6.「プア・バタフライ」、7.「ムード・フォー・クライン」、8.「レネー」と続く流れは、上記の通り、スタンダード曲(6.)でも、アーロン・ベルによるモード曲(7.)でも、はたまたマシュー・ジーのオリジナル曲(8.)でも、アルバムとしての演奏コンセプトが途切れることなく続いていることを示している。聴き手の中で“切れてしまう”ことなく、複数の曲の流れで楽しめるというのは、特に“体感”で楽しむタイプのアルバムには必要不可欠といったところだろうか。



[収録曲]

1. Oh Gee
2. Here
3. At Sundown
4. The Swingers Get the Blues, Too
5. Twist City
6. Poor Butterfly
7. Mood for Cryin'
8. Renee


[パーソネル・録音]

Johnny Griffin (ts)
Matthew Gee (tb)
“Big” John Patton (org.: 1., 5., 8.)
Hank Jones (p, org: 2., 3., 4., 6., 7.)
Aaron Bell (b, tuba)
Art Taylor (ds)
Carlos “Patato” Valdes (bongo, conga)

1963年5月13・14日録音。






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Last updated  2013年10月05日 08時32分10秒
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