時代の潮流の変化からか、8ビートを使った1.「ザ・ディップ(The Dip)」は、収録曲中4曲(1.,3.,4.,6.)を占める自作曲のうちの一つ。かと思えば上記2.のブラジリアン風ジャズの演奏を聴かせる。3.や4.ではリー・モーガンもろともまだまだハード・バップから脱却できないというか、頑なに続けているスタイルの片鱗が窺える。これで終わりかといえば、そうではない。5.「アイ・シー・ユア・フェイス・ビフォー・ミー(I See Your Face Before Me)」は、古いブロードウェイ・ミュージカルの曲で、これを録音したフランク・シナトラと張り合うのかといわんばかりの甘~いテナーの歌を聴かせる。最後の6.「ボーリン(Ballin')」は、再びリー・モーガンとのアンサンブルにそれぞれのソロが緊張感を保ったまま楽しく流れていく。