やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2009年01月31日
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 本を読んでいるとそれからあれへと、こう考えたりああ考えたりする。

 今月も読んでいる本に触発されたり、興味あることがらから選んだ本だったり、本との付き合いからいろいろの思いが浮かんでくる。

 といっても今月の冊数は少ない。 『戦争と平和』(三)(四) を読んでやっとこの本を読了した。年越してしまった。

 戦争をバックに恋愛物語と簡単にとらえるにはトルストイの歴史観、哲学観がぎっちりとあってその重圧に圧倒されてしまった。

 恋愛の方はナターシャとマリヤがしあわせになってちょっと拍子抜けだけれども、めでたしめでたし。若いころ読んだらきっと感激していい気持ちになったと思う。

 その若者達のはつらつした苦しみ、悩み、生命の躍動、高揚を挿しはさんで、地に流れる歴史のとらえかたの叙述に目を見張らされた。

 「歴史が動いていくのは一人の英雄傑物の意思ではなく、おおぜいのひとびとの総意である」というような、少々辟易の感もあったが(文章が饒舌で)なるほどと思った。

 それにしても権力や地位を得るために権謀術策、懊悩辛苦、滑稽喜劇を演じる様までいきいきと、トルストイの描写はさすが。ナポレオン皇帝やアレクサンドル皇帝という実人物も登場させて総勢500人余の登場人物、怒涛の名作ではあった。

 そうか、歴史が動いていくのはある一人の指導的人物の命令ではなく、それを受け取る人々の命令通りにやるか、やらないか、付け加えるか、勝手にやるかの総合した意思なのか。

 そりゃそうだ。特に戦争状態、緊急状態の時と場合によって、状況変化もあろうし、個人の利権を優先する気持ちの変化もあるだろう。

 ひるがえっておおげさだけれども、日本のこの下降している状態も歴史的に観られればいい、渦中で右往左往しているからどうなるかさっぱりわからないんだと思う。

 わたしの頭ではこの辺までで、もっと勉強しなければとて身近に本があったので 新書『イスラエルとパレスチナ』 を読んだ。お陰でパレスチナ関係の新聞記事が読めるようになって、ちょっとおもしろくなってきたところ。

 など、他の新書類もぱらぱらしていたところ、MSKさんのブログ記事で 武者小路実篤『友情』 についてあり、わたしが過去にコメントしたそうな。

 いかん、すっかり忘れていたとあわてて『友情』を読む。中学の時は感激したと思うのだが、再読してみてさすが文章は平明、構成もいい名作ではあるが、主人公をあわれには思えなかった。

 主人公の野島はいまひとつ空気の読めない、しかしいい人ではあるが、失恋をばねに強く生きるというのはなさけなく、こんな人に同情したのかな~。むしろ強靭に自分の意思を貫いた杉子がいきいきとしていた。間に入った親友の大宮はちゃっかりだよ。( ストーリーはMSKさんのブログで

 そうそう、武者小路実篤もトルストイに心服していたのだが…。

 という今月の読書だった。






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最終更新日  2020年12月19日 19時06分31秒
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Re:本を読んで…1月(01/31)  
alex99  さん

この文章を読んで思ったのは
ノンフィクションを楽しむ人は、精神が若いということ

msk222 さんのブログなど、私にはときどき恥ずかしくて読めないことがあるぐらいです (笑)

私もノンフィクションを読みましたが、それは若いとき限定でしたから、やはりそうだと確信しています

(2009年01月31日 10時02分32秒)

Re:本を読んで…1月(01/31)  
msk222  さん
>msk222 さんのブログなど、私にはときどき恥ずかしくて読めないことがあるぐらいです (笑)

そういうときは読まないでください、と。

「戦争と平和」は、はるか昔になんだか苦労して読んだわけですが、カタカナの名前が頭の中でゴチャゴチャ入り乱れて…。
ナポレオン軍が負けてほうほうの体で退却したくらいの記憶しかのこらないんです。
史実をもとにしてはいるけれど、これも広義ノンフィクションに入るのかな?はいらないでしょうねぇ。


(2009年01月31日 11時03分59秒)

alex99さん  
ばあチャル  さん

>この文章を読んで思ったのは
>ノンフィクションを楽しむ人は、精神が若いということ

> msk222 さんのブログなど、私にはときどき恥ずかしくて読めないことがあるぐらいです (笑)

>私もノンフィクションを読みましたが、それは若いとき限定でしたから、やはりそうだと確信しています

たぶんノンフィクションはフィクションのことでしょ?(笑)

そう、恥ずかしげもなく酔ってしまいますね。おもしろく感じるのは作ってあるものに限るというのがわたしの嗜好です。

しかしノンフィクションとて作者のとらえかたでおもしろくて興味がわき、うならされるのもありますから結局文章力でしょうね。でも、ノンフィクションは少ないわたしです。
(2009年01月31日 12時50分00秒)

msk222さん  
ばあチャル  さん

>>msk222 さんのブログなど、私にはときどき恥ずかしくて読めないことがあるぐらいです (笑)

>そういうときは読まないでください、と。

ふふふ、どうも相性が悪いですねぇ。


>「戦争と平和」は、はるか昔になんだか苦労して読んだわけですが、カタカナの名前が頭の中でゴチャゴチャ入り乱れて…。
>ナポレオン軍が負けてほうほうの体で退却したくらいの記憶しかのこらないんです。
>史実をもとにしてはいるけれど、これも広義ノンフィクションに入るのかな?はいらないでしょうねぇ。

そういうわけで『戦争と平和』はフィクションです。
わたしも日数をかけてじっくり読みましたのでやっとごちゃごちゃが解けました。けれどもまた忘れちゃうのかしら?(笑)この感想だけでもとっておかなくては。

(2009年01月31日 12時57分15秒)

Re:本を読んで…1月(01/31)  
もろりん*  さん

「戦争と平和」、「カラマーゾフの兄弟」、
いつか読みたいけど・・・いつ読めるかしら・・・
最後まで読みきれるかしら・・・読んでも理解できるかしら・・・と頭をぐるぐるしています(^_^;)

そういえば、先日の日記で購入されたという「エミリー」、感想楽しみにしています。 (2009年01月31日 13時07分58秒)

もろりん*さん  
ばあチャル  さん

>「戦争と平和」、「カラマーゾフの兄弟」、
>いつか読みたいけど・・・いつ読めるかしら・・・
>最後まで読みきれるかしら・・・読んでも理解できるかしら・・・と頭をぐるぐるしています(^_^;)


それはもちろん読めます。時間がいっぱいあるではありませんか!(笑)

>そういえば、先日の日記で購入されたという「エミリー」、感想楽しみにしています。

そうなんです。「下妻物語」と「エミリー」をばっちりそろえているのです。はたして…どうなんでしょうね。
(2009年01月31日 14時39分32秒)

Re:本を読んで…1月(01/31)  
七詩  さん
「戦争と平和」読了されたのですね。
拍子抜けというよりも、あのエピローグ結構好きですよ。
ブリエンヌ、ドーロホフなどの個性的な脇役たちのその後が描かれていないのがちょっと残念ですが、まあ、それは読者の想像にまかせてということでしょう。
マリヤは昔も今も感情移入していましたので、最後に幸福な場面で終わってほっとします。でも・・・夫は多額の借金があって、顔はよいけど(マリヤは面食いですね)知的レベルはたぶん自分よりは下、愛息への嫉妬からすぐに棘のあることをいいたがる姑となんとかつての婚約者であった親戚の女性をつれて自分の領地の屋敷にやってくる。考えてみれば幸福な結婚どころかとんでもないシチュエーションですが、それでもマリヤにとっては幸福で最上の結末ですね。 (2009年01月31日 18時01分45秒)

七詩さん  
ばあチャル  さん

>「戦争と平和」読了されたのですね。
>拍子抜けというよりも、あのエピローグ結構好きですよ。

今のわたし(ちょっと人生を知った)だからそう言うのです(笑)七詩さんはみずみずしいのです。

>ブリエンヌ、ドーロホフなどの個性的な脇役たちのその後が描かれていないのがちょっと残念ですが、まあ、それは読者の想像にまかせてということでしょう。

なるほど!想像しますと物語がわいてきますね。

>マリヤは昔も今も感情移入していましたので、最後に幸福な場面で終わってほっとします。でも・・・夫は多額の借金があって、顔はよいけど(マリヤは面食いですね)知的レベルはたぶん自分よりは下、愛息への嫉妬からすぐに棘のあることをいいたがる姑となんとかつての婚約者であった親戚の女性をつれて自分の領地の屋敷にやってくる。考えてみれば幸福な結婚どころかとんでもないシチュエーションですが、それでもマリヤにとっては幸福で最上の結末ですね。

そう、兄の遺児を育てるばかりの賢い老婦人で終わらなかったですものね。トルストイのおもしろいところはこういう身近な人生の機微をみせてくれるところですね。だから若い時に読むのもいいですよ。
ナターシャもトルストイの分身のようなピエールを夫にしてしまい、熟年時代には夫と意見が食い違って不和になる予感(笑)

(2009年02月01日 08時23分42秒)

Re:本を読んで…1月(01/31)  
朱鷺子6565  さん
「友情」は高1のとき読みましたが
それなりに、心に浸みましたけど、
詳しい感想は忘れました~~~

今、読んだら
腹が立つと思います。
とにかく、
うじうじした人間。
思うことが言えない。
そう言った人間が嫌いになりました。

ですから、昔の文学は
大体、今、深く味わえない私になりました。
なさけないですね~~

(2009年02月01日 10時35分37秒)

朱鷺子6565さん  
ばあチャル  さん

>「友情」は高1のとき読みましたが
>それなりに、心に浸みましたけど、
>詳しい感想は忘れました~~~

ほんとにそうです。たいがい忘れます!
覚えているのでも、
「へぇ、そんなところに感激したの?」
という風になります(笑)変わるのですね。


>今、読んだら
>腹が立つと思います。
>とにかく、
>うじうじした人間。
>思うことが言えない。
>そう言った人間が嫌いになりました。

気が短くなったのかしらね。わたしもそうです。自分が言い過ぎているのかも(笑)


>ですから、昔の文学は
>大体、今、深く味わえない私になりました。
>なさけないですね~~

うーん、それはどうかしら。ただ根気が無くなってきたのは確かです(汗)
(2009年02月01日 19時36分03秒)

初めまして  
まり さん
飲み会カラオケコースが大スキです
しっかり働いてる社会人です
ぬけてるらしくよくからかわれます…泣
彼氏居ないのはいつまでだろおな???
いい出会いってないんですかね????
結構明るい性格なので話やすいと
自分でわ思ってマスww
こんな感じの私ですが気軽にメール
して下さいね~
ちょっと今忙しいからフリーメールの方に
メールしておいてくれたら助かるなー

december_sky00@yahoo.co.jp

ごめんねお願いしちゃってその方が直ぐにメール返せるからさ!
んじゃ待ってまーす☆

(2009年04月18日 13時35分02秒)

新手は次々と  
Rinn さん
↑禁止ワードをくぐりぬけ、いかにもなんでもないメールに見せかける手口って、いろいろ考えるものですね。
上のメールって、明らかに男性向けのお誘いでしょ。こういうのは、知り合いならともかくまちがったとしか思えないですね。
営業に結びつけるのでも、一斉メールご苦労さまですわ。しかも男性女性問わず。
せっかく、こういう迷惑かえりみずオープンしてくださってるブログに、こんなことされるとこっちが腹立つわ!
楽天さんもヤフーさんも、責任ないのかと怒ってます。
(2009年04月18日 19時35分33秒)

Re:新手は次々と(01/31)  
ばあチャル  さん
Rinnさん
>↑禁止ワードをくぐりぬけ、いかにもなんでもないメールに見せかける手口って、いろいろ考えるものですね。

ほんと、こんなところにもきたわ。せっかくの禁止ワードも形無しですね。ブログを読んでくださってれば、効果ないとわかるでしょうに(笑)

(2009年04月19日 11時34分47秒)

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