高校時代にのめり込んだ長い長~い小説は
フランスの作家マルタン・デュ・ガールの『チボー家の人々』
若さゆえかもしれないが
ストーリーの細部にわたって鮮明で、寝ても覚めても
「チボー家の人々」である
主要登場人物の兄アントワーヌと弟ジャックに
ずっと添っていてしまうのであった
特にジャックは潔癖でしかも気性が激しく、ナイーブ
とても、とても魅せられた
その『チボー家の人々』を愛読書となさっていると公言されている
高村さんが書いた『レディ・ジョーカー』
これもかなり長い小説である
ストーリーは「グリコ・森永事件」を彷彿させるものと思えばいい
食品製造の大会社の社長が誘拐され、解放されるもその製造食品が人質になってしまい
その後、強請られ続け、社会問題になるのである
この小説では食品会社はビール会社になり
事件の誘因の叙述が作者のフィクションで
企業の仕組み、マスコミのセンセーション、個人の思い
など、さすが高村さんの作品は面白いと思う
(実際の事件も謎だったが、この小説のような見方もうなずける)
しかし、わたしのシンクロしたのは
その事件を追う警部の合田雄一郎=ジャックそのもの
その自己破壊的な激しさに
今やこの歳になるとなんともやりきれない!
と思いつつ、なつかしきゆえに添ってしまうのである
ひととうまく調子を合わせられず
穏やかなようでいて、激しく、なかなか成長しないのである
良くも悪くも世間的にならないのである
義兄加納祐介=アントワーヌが唯一の友であるが
『チボー家の人々』と同様かみ合っているようで
まるで違う方面に行くのである(あろう)
『チボー家の人々』の同じ結末になるのかと思いきや
アメリカ映画の結末だったというところが
次を期待するのはどうかなぁとも考えるのだがどうか?
よみがえり 2023年12月21日
こういうエンタメが好き 2023年12月19日
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